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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
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当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

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2010年3月10日 (水)

上顎の歯と下顎の歯のすき間

上顎と下顎を噛ませたとき、間に出来るすき間を『クリアランス』といいます。

このクリアランス(すき間)は、当たり前ですが、歯が抜けると出来てきます。

ところが、抜けたまま放置してしまうと、横の歯が倒れてきたり、対顎の歯が伸びてきたりして、すき間がほとんどなくなってしまうのです。

このすき間がなくなってしまった部に歯を作るのは至難の業です。

しっかりと治療をするには、矯正を行い、正しく歯列を戻すしかありません。しかし、たいていの患者さんには、その意志がないため、少ないクリアランスで何とか処置をしないといけないのが、しろくま歯科の現状です。

ほとんどおせんべいのような被せ物を対顎すれすれにセットしていき、なおかつ、顎機能もくるまず行うのは、本当に骨が折れます。

出来るだけ歯を削らないで治療をしようと心がけていますが、『致し方ないdown』という状況は出てきます。

このクリアランスのない部位の治療をしている時の私の血圧はおそらく200を超えているはずです。

もう、命がけです。

2010年2月15日 (月)

蔓延する化学物質について2

本日も、吉川涼一先生の著書『金属アレルギーと歯科治療』よりお届けいたします。

◇シックハウス症候群から化学物質過敏症へ

新築の家やマンションに入居したとたん、頭痛、目の痛み、鼻炎、動悸、皮膚炎、不眠、疲労倦怠感など、アレルギー症状を中心としたさまざまな症状に見舞われる病気です。

住まいは、一生に一度の高価な買い物ですから慎重に選択したはずでしょうし、またその住まいにはこれからの家族の夢が託されていたはずです。ところが、その夢のマイホームがかえって家族の苦病の源になってしまう。こんな不幸なことはありません。

原因は合板や壁紙などに使われた接着剤に含まれる化学物質です(ホルムアルデヒドなど)。やっかいなことに、接着剤などに含まれるホルムアルデヒドは、室内で10年以上にもわたって少しずつ揮発していきます。おまけに最近の住宅は機密性が重視されていて、換気が不十分というケースが少なくありません。こうして家族は、呼吸するたび、家から揮発する化学物質を体内に入れてしまい、アレルギー疾患を引き起こしてしまうのです。

もともと体質的にアレルギー反応が強い人が、シックハウス症候群のように化学物質にさらされて発症すると、病状がさらに悪化して「化学物質過敏症」におちいってしまうことがあります。

そうなると、石鹸、シャンプー、化粧品、衣類、灯油、排気ガス、はては新聞のインクの臭いでさえ、体内に入ることによってひどい症状を起こすようになります。

患者さんは、すべての自然素材で作られたもののなかでしか暮らすことが出来ませんが、現実的にはそのようなことは不可能で、常に症状に苦しむことになってしまうのです。

歯科治療でも、使用するものはすべて化学的に合成されたものばかりです。歯の治療もできません。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林

2010年2月14日 (日)

蔓延する化学物質について1

本日は、吉川涼一先生の著書『金属アレルギーと歯科治療』よりお届けいたします。

◇歯科金属アレルギーの増加は・・・。

歯科金属から溶け出してくる金属イオンが体内に入ることによって、さまざまな慢性的な症状や体調不良が起こっているのではないか。

難治性のアトピー性皮膚炎の原因は、歯科金属ではないのか・・・。このような事が騒がれはじめたのは、ここ10年ほどのことです。

歯科金属と慢性的な症状や疾患との関係は、まだ医学的に解明されていません。ではなぜ、最近になって歯科金属アレルギーが取り沙汰されるようになったのでしょう。

一つには、メタルフリー(金属を使わない治療)をしたときに、患者さんの慢性病が、急速に改善して治ってしまったという、臨床的な経験や疫学的な調査の結果です。証拠はつかんでいないが、状況証拠は確かに集まってきています。歯科金属は、限りなく黒に近いグレーという状況です。

そしてもう一つの理由は、一定の害をもたらす歯科金属に対して、人間の体のほうの許容量が小さくなってきた、ということも考えられます。いままでは歯科金属程度では慢性症状も慢性疾患も、さほど発生しなかったものが、現代では比較的簡単に発症しやすくなっているのではないか、ということです。

メタルフリーにすれば治ったという症例が増え、また疫学的な調査でも、あやしいと思われるデータがそろうようになったのは、そういう患者さんが増えたからに違いありません。それだけ発症する側の患者さんの体も、昔に較べると変化して来ているのではないかと思われます。

現代社会でアレルギー性疾患が増えている理由はさまざまでしょうが、一つの重要な要因が「化学物質」です。高度成長期の中で急速に増加したさまざまな「化学物質」は、私たちのからだに入り込み、アレルギー性疾患などの発症を促しているのではないかと思われます。

たとえば「シックハウス症候群」もその一つです。

明日へ続きます。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林   

2010年1月20日 (水)

歯に大きな穴が開いたときの治療~永久歯編~

本日も昨日に引き続き、熊谷先生と医療ジャーナリストである秋元秀俊さんの『徹底解剖 むし歯・歯周病~「一生笑顔」を約束する新しい歯科の知識~よりお届けいたします。

◇穴があいても、リスクコントロール

今日は永久歯についてみてみましょう。歯は非常にリスクコントロールの重要性が大事なのですが、これは初期の虫歯に限ったことではなく、大きな穴があいてからも同じです。

歯に穴があいてしまうと、むし歯のリスクが一つ増えることになりますから、リスクコントロールがより大切になるのです。残念ながら、大きな穴が自然にふさがることはありませんが、リスクコントロールをすれば、穴の拡大、進行を止めることが出来ます。

また、まだ軟らかいうえに、感染部分の色も淡い進行中のむし歯には、なかなか気がつきにくいものですが、この段階でリスクをうまくコントロール出来ないと、感染は一気に広がり、穴もどんどん大きくなります。

やがて感染は象牙質のなかにまで進み、痛みという信号を発して私たちに治療を促しますが、こうなると削って詰める処置で、歯の機能を回復するしか方法がなくなります。しかhし、むし歯の後始末のために削られた歯は、たとえどんなに丁寧な処置を行っても、より酸に浸されやすくなります。上手に処置しても、むし歯のリスクを改善しなければ、結局再発してしまうのです。

そして削り方、詰め方、その材料はさまざまです。患者さんにはこの違いを気にする人が多いのですが、本当に大事なのは、感染した歯質をしっかり除去したうえで、再びミネラルの収支バランスが崩れないようにすることなのです。

「むし歯の治療」とは「リスクをコントロールして、ミネラルの収支を改善する」ことであると、肝に銘じておいてください。

◇穴の処置のキーポイント

むし歯の穴の処置には、三つのキーポイントがあります。

まず一つ目は、歯の中に入り込んだたくさんの細菌を除去または殺菌することです。そのために感染した象牙質を削り取ります。けがにたとえれば、細菌が入り込んで膿んだ組織を切り取り、消毒する処置です。

二つ目に、削り取ることによってむき出しになった象牙質の傷口をふさぎ保護する処置です。これは象牙質と一体になった組織である歯髄を守るための処置でもあります。けがの処置でいえば包帯をかけるようなものです。

手足のけがなら、自然に皮膚にあたるエナメル質は再生しないので、三つ目のポイントとして穴を金属やプラスチックといった人工の材料で埋めて、元の形を復元します。また最後に、色も自分の歯のようになれば、さらに満足です。

患者さんの目には、穴を埋めて外見を回復した姿しか見えませんが、しっかり細菌を除去したり、傷口を保護して、歯のなかの歯髄を守る「見えない」処置こそが大切です。

なぜなら、歯は一見死んだ組織のように見えますが、そうではないからです。硬い歯は、象牙質と一体になった歯髄によって体液を内部から受け取り、痛みを感じたり、刺激に反応したりしています。

歯を「生きた組織」にしているのは、この歯髄なのです。

◇「歯を守る」治療と「痛くない」治療

歯髄を守るために、細菌に感染した歯質を丁寧に除去し、傷口をしっかり保護するといった「歯を守る」処置が痛くなければいいのですが、残念ながら痛みのない治療と、歯を守る治療は両立しないことがしばしばです。

感染した歯質をしっかり除去しようとすると、どうしても痛みが出ます。また歯質を除去した結果、歯髄がむき出しになり痛むこともあります。歯髄を除去すれば、とりあえず痛みはなくなりますが、歯は死んでしまいますし、除去後の経過は必ずしもよくありません。

また、削るとき、痛みのないように麻酔をすると、血行が悪くなり歯髄がダメージを受けやすくなるうえに、患者が痛みを訴えないので、歯を削りすぎてしまう傾向にあります。

患者の喜ぶ「痛くない」治療は、技術的には簡単ですが、良いことばかりではないのです。

最近では抗菌剤を利用して感染した歯質を殺菌し、出来るだけ歯質を削らずに残そうとするやり方もありますが、硬い歯質に薬剤をしみこませることは難しく、思うような結果が出ていません。また、むし歯の穴を接着剤で覆ってしまえば、痛みをなく歯髄も保護できるといいことずくめなのですが、なかなか完全に覆うことは困難です。

このように、痛みがなく、しかも確実に歯を守ることの出来る治療はありません。削って詰める以上は、たとえ痛くても、丁寧に痛んだ歯質を除去し、確実に「歯を守る」治療を進めるべきなのです。

参考文献 徹底解剖 むし歯・歯周病~「一生笑顔」を約束する新しい歯科の知識~ 熊谷崇 秋元秀俊 共著 法研

2010年1月19日 (火)

歯に大きな穴が開いたときの治療~乳歯編~

本日は、熊谷先生と医療ジャーナリストである秋元秀俊さんの『徹底解剖 むし歯・歯周病~「一生笑顔」を約束する新しい歯科の知識~よりお届けいたします。

◇乳歯のむし歯は取り返せる

さて、むし歯がひどくなり、大きな穴があいてしまったら、どうしたらいいでしょう。

まず乳歯についての話です。乳歯は軟らかく、簡単にすり減るうえに、対酸性が低いので簡単にむし歯になってしまいます。そのうえいったんむし歯になると、あっという間にひどくなり、口中至る所がむし歯になったり、歯がすっかりなくなるまでひどくなることもあります。

また、その間も子どもの顎はぐんぐん成長するので、乳歯のひどいむし歯は大人になってからの歯並びにも影響します。

乳歯がむし歯になってしまった場合には、見かけを治すことよりも、ここでむし歯をつくってしまうリスクをコントロールし、いずれ生えてくる永久歯をむし歯にしないことのほうが大切です。

乳歯は米粒のように小さいので、精密な治療はとてもむずかしい上に、子どもをむし歯治療に協力させるんは至難の業です。

そして、乳歯はいつか永久歯に生え変わる歯ですから、仮にむし歯をつくってしまっても、取り返しのつかない失敗ではありません。

ですから乳歯がむし歯になった場合には、とりあえず痛みを無くした上でリスクコントロールを徹底し、永久歯に悪い影響が出ないようにすることがキーポイントになります。

明日は永久歯編です。

参考文献 徹底解剖 むし歯・歯周病~「一生笑顔」を約束する新しい歯科の知識~ 熊谷崇 秋元秀俊 共著 法研

2010年1月 6日 (水)

歯医者さんは痛くなったときに行けば良い・・・・?

本日は、トータルスマイルという歯科医師集団がお書きになった『定期健診へ出かけよう』という本よりお届けいたします。

◇歯医者さんは痛くなったときに行けば良い?

Cさんは70歳の男性です。彼は若いときから健康には人一倍気を遣っていました。その証拠に彼は何か異常や痛みを感じるとすぐに歯科医院の予約を取り、診察を受けたのです。

「先生、今日も右の上に痛みと腫れがあって・・・・・・診てもらえますか?」

それを受けた先生は、

「ああ、ここが腫れているね。これは、神経を取った歯だから脆くなって割れてしまったのですよ。もうどうしようもないから抜いた方がすっきりしますよ。」とレントゲンで根が割れているところを指摘しながらおっしゃいました。

Cさんは、過去の事をいろいろ思いだしていました。

「この歯の神経を抜いたのは・・・何回か詰め物をしたけれども外れてしまって・・・そうだ、しみるようになって・・・・それで神経を抜いてもらったんだな・・・。」

そして、疑問におもったのは・・・・

「歯は、削ったところから大きくなって、しまいには抜かなきゃいけなくなる運命にあるんだ・・・・でも、前にテレビで80歳で20本の歯を残そうと言っていたがそんな人たちってどうやって健康を維持しているのかな・・・・・?」ということでした。

しかし、Cさんのお口にはも8本の歯しか残っていません。最近は、入れ歯が大きくなったこともあって、食事もあまり美味しく味わうことが出来ないと感じていました。

彼はもちろん入れ歯が手放せない状態です。

もちろん噛みやすいインプラントも考えたことがあります。しかし、彼のお嬢さんご夫妻はご自宅を新築なさるということで、是非援助してあげたいので経済的な余裕はあまりありません。

しかし、入れ歯に対しては、「力が入らない」「よくかみ切れない」「違和感がまだある」などの不満もお持ちです。

「あ~ぁ、どんどん歯が無くなってじきに総入れ歯になるんだろうな~とため息をつきました。

Cさんは、いつもトラブルがあるとすぐに歯科医院にかかるように心がけていました。

しかし、Cさんの歯は小さい詰め物が徐々に大きくなり、そして神経を抜き、その歯が割れてきて抜かなければならなくなるということを何度となく経験してきました。

「何か間違っていたのかな・・・・」

というのがCさんの素朴な疑問でした。

Cさんの疑問はたくさんの方が感じられていることなのです。

何が間違っていたのでしょうか?

◇歯医者に行けば行くほど歯は、悪くなる・・・・・。

Cさんの経験なさったことは、ほとんどの日本人が経験していることだそうです。なぜなら、“日本”という国の成人の歯の数は、先進国の中で最下位なのです。

皆さんもショックを受けていると思いますが、実は“タイ”という国の人々よりも歯を健康に保持している人は少ないのです。

日本での80歳の歯の本数はわずかに6本に比べ、タイは10本以上歯が残っているのです。もちろん、欧米では20本を超えている国がほとんどです。

長崎大学の新庄先生がまとめられたデータでもこのことは証明されています。

そのグラフ(実際の本を参照ください)でもお分かりになるように、症状がある時に歯科にかかっている人は80歳になるとわずか6本の歯しか残らないということなのです。

なぜ、日本人は、高度な医療技術がある環境にいながら決して先進国とは言えない“タイ”の人々より残る歯の本数がすくないのでしょうか?

なぜ、欧米の人々の半分くらいしか歯が残らないのでしょうか?

それは、5つの大きな理由があると思います。

①定期的に歯や歯ぐきの手入れを歯科衛生士にしてもらう習慣がない。

②歯のにトラブルが発生して初めて歯科医院を受診するという習慣が定着してしまって。

③むし歯の治療は削って詰めることで完全に回復するという勘違いが常識として定着してしまった

④流通が発達し、いろいろな砂糖を含む食品が市場に溢れ、いつでもどこでも簡単に手に入る環境がある。

⑤保険制度の弊害で、歯科医院は“削って詰める”という行為を行わなければ収入を得ることが出来なかったために歯医者さんも行政もあまり予防に関心を示さなかった。

よく考えてみると歯医者の側にも一般の方々の側にも原因があることがわかります。しかし、同じ環境であれば、この事実は変えようがありません。

それは、、、、、「歯医者に行けば行くほど歯は、悪くなる」

これが日本の正しく、そして悲しい現状なのです。

しかし、このままでいいのでしょうか?

参考文献 定期健診へ出かけよう トータルスマイル(天羽大介 鎌倉聡 佐名川徹 田中伸尚 笠井啓次 竹下誠 成富健剛)著 ブイツーソリューション   

2009年12月21日 (月)

こんな症状があれば早めに歯科で診察を

本日は、森山貴史先生の『中高年の歯の病気がすべてわかる本』よりお届けいたします。

◇命に関わらなくても放置は禁物

むし歯や歯周病のはほとんどの場合、その自体が直接命に関わることは少ないと思われていて、かなり悪くなるまで放置されがちです。

そのため手遅れとなって歯を失うこともあります。しかし、早めに歯科を受診すれば、歯を失わずにすむことのほうが多いです。

次のような症状がある場合は要注意。歯科医に相談しましょう。

・歯肉が腫れる、歯肉から出血する、歯がぐらぐらする、歯肉が後退して歯の根本が見える→歯周病かもしれません。

・歯が痛い、うずく、歯に穴が開いている→むし歯かもしれません。

・冷たいものや熱いもの、酸っぱいものがしみる→むし歯や知覚過敏かもしれません。

・顎の関節が痛い、口をあきずらい→顎の関節の病気かもしれません

・歯肉や舌、口腔粘膜にできものやただれがある→口腔粘膜の病気かもしれません。

・歯の根元に石のような硬いものがある→歯石がたまっているかもしれません。

参考文献 中高年の歯の病気がすべてわかる本 森山貴史 主婦と生活社  

2009年12月20日 (日)

むし歯から起こる歯髄の炎症と治療

本日は、熊谷崇先生と医療ジャーナリスト秋元秀俊さん監修の『徹底図解 むし歯・歯周病~「一生笑顔」を約束する新しい歯科の知識~』よりお届けいたします。

◇歯髄を守るか、痛みを解決するか

歯がズキズキ痛み始めたなら、歯の中の歯髄(血管と神経の集まり)が炎症をおこしています。このような歯を治療するために、細菌に感染した歯質を除去していくと、歯髄が露出することがあります。

こうなってしまうと、感染を防いで歯髄を生かすか、炎症のひどい部分を切り取るか、あるいは全部取ってしまうか、選択は大きく分かれます。

生かすか殺すかという判断ですが、本来は歯髄の受けているダメージの程度によって決まります。しかし、痛みをともなう治療ですから、患者さんと歯医者さんの関わりの深さが、どうしても処置方針の決定に影響します。

ダメージを受けた歯髄を生かすと、あとで痛みが出たり、自然に歯髄が死んでしまうというトラブルの可能性が高くなります。半分残すことがありますがこれも同じです。患者と歯科医の間に十分な信頼関係がない場合には、このような不確実な治療はしにくいものです。

歯髄を殺して除去してしまえば、当面は痛みが無くなるという確実な結果が得られます。もちろん長い目でみるなら、歯髄はできれば取りたくありません。歯髄がなくなると歯は死んでしまいますから、もろくなり、時間がたつと変色していきます。あるいは歯根の先に膿がたまるかもしれません。歯髄は、歯の命ですから、可能であれば守りたいものです。

◇『神経を抜く』治療とは

ひどいむし歯で、歯髄がダメージを受けたとき、生きている歯髄を除去して痛みをしずめる処置を、歯医者さんは「神経を抜く」と表現することが多いようです。

正しくは、「抜髄(ばつずい)」といい、歯髄を処置したあと、歯髄のあった空洞を清掃し、封鎖しやすいように整える処置です。

抜髄の目的は、炎症を起こしている歯髄を除去して、骨の中に病変の及ぶのを避けることにありますが、被せる治療をすませた歯が痛まないように、あらかじめ健康な歯髄を除去してしまうこともあります。歯の神経は、痛みという信号で危険を教えてくれますが、その信号を避けるために信号機を外してしまうのです。

しかし、歯髄がなくなった歯は、枯れ木のようなもので、割れやすくなります。信号機を外してあるために、むし歯が再発しても痛まないので、むし歯に気がつかないという問題も起こります。このため不必要に抜髄することは避けるべきです。

また、きれいな見かけを回復するために歯を削るときに、歯髄のスペースが大きい場合には健康な歯髄を取らざるを得ないことがあります。さらに患者さんが治療中に強く痛みを謡えたり、治療後の一時的な不快症状を恐れる場合には、痛みを完全にコントロールできる抜髄を選ぶ傾向があります。

長い目で歯の健康を守ることと、その場の快適な選択は、ここでも矛盾します。

参考文献 徹底図解 むし歯・歯周病~「一生笑顔」を約束する新しい歯科の知識~ 熊谷崇・秋元秀俊監修 

2009年12月 9日 (水)

口腔粘膜疾患とは

本日は、山崎博嗣先生の著書『歯・口腔のことがよくわかる本』よりお届けいたします。

◇口腔粘膜疾患とは

口腔粘膜というのは、口腔内で歯や骨のような硬い組織に対する言葉で、柔らかい部分を示します。たとえば舌、歯肉、入れ歯の下にあたる歯槽粘膜、頬粘膜、あるいは上あごの部分の口蓋粘膜、舌の下の周囲にあたる口腔底粘膜、口唇の内側の口唇粘膜などに分けられます。

粘膜上皮《粘膜のもっとも表層》は組織学的(顕微鏡を使って詳細に観察した結果)にいいますと重層扁平上皮(じゅうそうへんぺいじょうひ)という名称が与えられ、体の中では生殖器の粘膜と組織学的に類似しています。

口腔粘膜は丈夫で、水が入ってきても、堅い食物が入ってきても、耐えられる、あるいはたとえ傷が出来ても治りやすいという特徴があります。

一方、口腔と隣接する鼻粘膜の上皮は、円柱線毛上皮(えんちゅうせんもうじょうひ)といって、ゴミなどを繊毛で払いのける作用は得意なのですが、水泳などで鼻に水が入るともう大変、というように水に弱いといった口腔粘膜とは異なった特徴があります。

胃など消化管の粘膜はまた違う特徴があるのです。

口腔粘膜の疾患は数多くありますが、口内炎と一般的には言われている状態で、肉眼的に丸く小さい白いくぼみで、周囲は赤い輪で囲まれており、小さい割にはひどく痛む病状を有する、アフタ性潰瘍と言われるものがもっとも一般的と思われます。

痛みの割には、前述の口腔粘膜の特徴のように治りやすく、約一週間ほどで良くなります。その全身的原因には、ビタミン不足などがあげられますが、詳細は不明と言われています。

局所的原因として、日常で気をつけることに小外傷があると思われます。例えば、新しい義歯が入ったばかりで、それが気になって舌が絶えずそちらへいってしまい、舌表面粘膜がこすられて傷になる場合、あるいは歯ブラシで“ゴシゴシ”やりすぎて歯肉粘膜を傷つけてしまう場合、ざらざらした揚げ物で傷をつけた場合などがあります。

この小外傷に対して、唾液の中の“ネバネバ”成分【ムチン】が対応していますが、それ以外にダメージが大きい場合に生じるものと考えられます。

口内炎には、このアフタだけでなく、いろいろな種類があります。昔ある学者が、口腔粘膜は全身の鏡ですといい、歯と歯肉しか診なかった歯科医を啓蒙しました。口腔粘膜は、まず色を見るようにしてみてください。

正常の血液循環がなされている場合では、ピンク色です。それよりも白い場合には貧血が疑われます。もっとも口腔粘膜が白くなる場合は相当重傷の貧血ですので要注意です。

貧血の診断には、普通は口腔粘膜でなく眼瞼結膜をみて推測されます。歯肉が黒い場合には、メラニン色素沈着が考えられます。メラニン色素は皮膚だけでなく口腔粘膜にもあります。しばしば、歯肉が黒いといって若い患者さんが心配して来院されることもあります。また黒色腫といった悪性の腫瘍もありますが、頻度は非常にすくないといえます。

普段のピンク色の口腔粘膜を基準にして、白い部分、もっと赤い部分は、口腔粘膜の疾病である可能性が高いので注意してください。また口内炎と思われても、一週間してもいくならない場合には、歯科受診をしたほうが良いと思われます。

歯科医は口腔粘膜に生じるがんも考慮にいれて診断しているのです。当然、扁平上皮がんということになります。最近では、二子山親方が口腔底癌でなくなられました。口底の場合には唾液腺由来の腺がんのこともあります。

参考文献 歯・口腔のことがよくわかる本 山崎博嗣著 本の泉社 

2009年12月 2日 (水)

口腔環境の維持には2つのコントロールが必要

本日は、島谷浩幸先生の著書『歯磨き健康法』よりお届けいたします。

◇2つのコントロール

一般的に言われるように。口腔内の健康維持には次の2つのコントロールが必要です。

①炎症のコントロール

②力のコントロール

一つの例として、歯周病の炎症で痛くて噛めない場合の治療法について見ていきましょう。

歯周病の炎症は、歯周病菌が歯周ポケット内で過剰に増殖して炎症を引き起こしているわけですから、まず「炎症のコントロール」として、歯周ポケット内を徹底的に機械的に清掃して、出来る限りの細菌を排除します。

しかし、ポケットの深い部分まで完全に細菌の排除をするのは不可能ですから、抗菌剤をポケット深部に注入したり、あるいは内服として抗菌薬を飲むことで対応します。

また、炎症が強いと歯が浮いて噛んだときの痛みになるので、「力のコントロール」として、歯を削って噛み合わせを調整し、咬合力の負担を和らげる必要があります。

それと合わせて、患者さん自身には、歯磨き・うがい薬を使ったブクブクうがいの徹底と固い物は噛まない、体を安静にする、薬をきちんと飲む、といった注意を与えます。

このように、歯科の治療において、「炎症のコントロール」と「力のコントロール」の組み合わせは非常に重要なのです。そこでそれぞれについて、さらに詳しく見ていきましょう。

①炎症のコントロール

「炎症の五大徴候」と言われる、疼痛、腫脹、発赤、熱感、機能障害が炎症の主要症状として現れます。口腔二大疾患の虫歯・歯周病関連の症状で、全患者さんの9割以上がこれらの症状を訴えます。歯科で認められる症状もほとんどが虫歯・歯周病に関連します。

例えば、「虫歯が疼く」場合はもちろん、「冷たいもので歯がしみる」、「噛むと歯が響く」といったこれらの症状すべてが炎症によるものですし、「歯磨きの時に歯肉から血が出る」、「歯肉が腫れた、膿が出る」といった歯肉の症状もすべて炎症です。

何度も述べているように、虫歯・歯周病は口腔内細菌の感染症です。ですから、①の炎症のコントロールは、いかに口腔内細菌をコントロールするか、つまり「プラーク・コントロール」をいかに上手にしていくか、と言うことなのです。その手段としては、歯磨きやうがい薬を使ったブクブクうがいも効果的な方法ですし、歯磨きの出来ない所は、薬の力によって細菌をやっつけることになります。

②力のコントロール

口腔内での「力」で言えば、まず第一に「咬合力」、つまり「咬み合わせ」の力です。

この力は相当強いものであり、成人男性の咬合力は、1センチ平方あたり60キログラム以上にもなります。この強い力は時として、歯・歯肉や顎関節を痛めるというような悪影響を及ぼすことがあるので、過度の力がかからないような力のコントロールが必要になります。

参考文献 歯磨き健康法 島谷浩幸著 アスキー新書 

2009年11月27日 (金)

口の中が電池になっている

本日は、福岡博史先生の著書『歯と口を治せば、不調は治る!』よりお届けいたします。

◇口の中が電池になっている

口の中に電流が発生することをご存じでしょうか?

これは事実です。口腔内に2種類以上の金属が存在している場合に、唾液を介在して起こる化学反応なのです。

唾液は、97%の水と、ナトリウムかカリウム、カルシウムなどの無機質、ムチンなどの有機物で組成されています。

この唾液が電解質溶液となって、2種類の金属のうち、イオン化しやすい金属が溶け出し、腐食が起こるのです。溶け出した金属はマイナスに帯電するので、他の金属との間に電位差が生じるため、口腔内に微電流が流れるというわけです。

また、こうした腐食には、金属が原因のほかにも、口腔内バクテリアによる「微生物腐食」などもあります。もちろんどれも非常に小さい反応で、本人は、感じることはありません。こうしたさまざまな腐食によって溶け出した金属が、体内に取り込まれます。

その多くは体外に排出されますが、その量が多かったりその期間が長かったりすれば、その一部が残留して、体の中でさまざまな悪さをすることになるのです。

◇金属が及ぼす悪影響と対策

有害金属がからだに及ぼす影響として知られるものには、金属アレルギー、リウマチ、アルツハイマー、自閉症などがあると言われています。

金属アレルギーは、湿疹、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、口唇炎、舌炎などがあげられます。いずれも対象の金属がイオン化することでアレルゲンとなります。

たとえば、青果店やスーパーに多いのですが、レタスをさわると強度の皮膚炎を起こすレタスアレルギーの方がいます。ところが、彼らがレタスを食べてもなにもおこりません。なぜなら、レタスに含まれるアレルゲンは元素(それ以上分解すると、ものの性質を失う単位)ではないので、消化液で分解されると別の炭化水素などになり、もはやアレルゲンではなくなってしまうのです。

ところが、金属は元素ですから、アレルギーを起こしやすいイオン化が起こったものが口腔粘膜に吸収されていったん体内に入ってしまうと、しっかりとアレルギーを引き起こしてしまうのです。

このように因果関係がはっきりしている金属アレルギーに比べて、リウマチなどの他の疾患は、原因不明のものが多く、かつ難治性のもの、治療が困難なものが多いことにお気づきのはずです。それでも、有害金属が原因の一つとして充分に考えられるという意味では多くの信頼できるデータができあがっているのです。

歯科金属のアマルガムが、有害金属の筆頭としてあげられたのには、水銀という明らかに体によくない金属が含まれているからでした。

確かに水銀は、水銀中毒という言葉があるように、いったん体内に入ると、タンパク質と結合して、血液に乗って体中を巡ります。それがやがて脳に到達して中枢神経に蓄積されていくことで、知覚障害・運動障害をなどを引き起こします。急激に蓄積された場合は、脳が萎縮することもあります。

もちろんこれは、長年かつ臨界点を超えたという結果ではありますが、だからこそ、「気がつかぬうちに進み、気がついたときには遅い」という、歯周病に似た特徴を持ち、歯周病以上に恐ろしい状況が起こりえるわけです。

水銀だけでなくこうした金属は、本来地球上のあちこちに存在するものですから、衣食住の環境そのものに点在し、口、皮膚などからも知らない間に入りこんでいるものです。だからこそ、わかっているものは極力取り除き、早い段階で排除していく必要があるでしょう。

現在、自分の体にどのような有害金属(に代表される有害物質)がたまっているかは、髪や爪を採取して、取り込まれている金属の種類や量を分析することが可能です。また歯科領域でも、口腔内の電圧を測る機械で、部分的に高い歯=異常を示している歯を示している歯を調べることも出来ます。

そういう意味において、歯科材料からの有害金属の侵入は、他の要因(衣食住からの侵入)にくらべて判断しやすく、なおかつ、害を及ぼしているものが特定できれば、すぐにそれを排除して安全なものに詰め替えればいいいのですから、自分のからだのリスク管理として、口腔ケア=オーラルエコは、かなり安易でかつ効果の高いものだということがわかっていただけると思います。

ただし、「昔詰めた金属は危険だから、すぐにとってもらいましょう」ということではありません。たとえば飲料物や化粧品などから金属を取り込んでいる可能性もあります。同じ金属でも、溶け出す量や影響を及ぼす量は人によって違うからです。ここでも免疫力の違いが大きく関わってくるのです。

参考文献 歯と口を治せば、不調は治る!福岡博史著 主婦と生活社  

2009年11月26日 (木)

マウスピースによる治療

本日は、吉野敏明先生の著書 『再生治療で歯並びを治す』よりお届けいたします。

◇咬み合わせ治療の第一段階はマウスピースによる診断

Amazon.co.jpの和書で検索すると「かみあわせ」で三十九件、「咬み合わせ」で七件、「噛み合わせ」で三十九件、「矯正」でなんと一一一八件もヒットします。

その多くが咬み合わせと全身の関係は隠れたベストセラーのようです。ところが、「マウスピース」で検索すると、歯科治療間連の書籍では一件で、しかもマウスピースを用いた矯正治療の方法のようです。

歯科治療の特殊性は「削って治す」ことであり、またこの「削る」という行為は不可逆性の行為、すなわち元には戻せない行為です。古代人は歯がなくなると死んでしまいました。現在の野生動物もそうです。

現代人は詰めたり被せたり、最近ではインプラントをしたりして歯の欠損を補えるとはいえ、それが健康な自分の歯に勝ることは決してありません。歯は生きた臓器ですから、削らない方が絶対にいいのです。

ところが、咬み合わせや顎関節を治療するためには、上の歯と下の歯の接触の仕方や方法を変えなければなりません。しかも、顎関節の治療によって、日々上下の関係は変化しますから、咬み合わせもどんどん変化します。そのたびに歯を削っていてはたまりません。

ですから、マウスピースを装着し、このマウスピースを削って、あるいは足して、咬み合わせである咬合を治療し、結果として最小限の歯の削合を行えば、倫理的んひも抵当化されるわけです。

さらに大事なことがあります。このマウスピースは作っておしまいではなく、マウスピースからあらゆる情報が得られるのです。これを用いてさまざまな「診断」をしていきます。

すべての医療において、診断は治療には先行する最も大事な行為ですが、歯科治療の場合は特に、先ほど述べた「不可逆的」があるため、生命に直接関係ないとはいえ診断は非常に重要な行為です。この点を軽視した現在の国民健康保険制度は残念なことです。

◇マウスピースでこんなことがわかる

①上下の顎の咬み合わせが上下左右前後の三次元的に適正かどうかの診断

②その咬み合わせが、顎関節や咀嚼筋、そして全身骨格と調和しているかどうかの診断

③歯ぎしりや食いしばりなど、いわゆる食事以外の顎運動があるかないか、またその強さ、動く方向、左右差があるかないかの診断

④①~③を診断し、そしてマウスピース上で正しい咬み合わせになるように治療したとき、歯を削ったり矯正したり、あるいは手術をする必要があるかどうかの診断

⑤突発性難聴、耳鳴り、めまい、手足のしびれ、顔面麻痺などの疾患が現在の咬み合わせと関係あるかないか、関係があった場合はどの程度治療できるかの診断

⑥短期的、あるいは恒常的な精神状態や精神疾患が現在の咬み合わせを関連しているかどうか、関連している場合はその症状が低減できるかどうかの診断

⑦ストレスなどのセルフチェックは客観的なチェックの応用

⑧その他

などがあります。これの診断はマウスピースを装着してすぐにわかるものではありません。

まず生活習慣、生活状況、咀嚼習慣、睡眠時の姿勢、歯科治療歴やどのように咬み合わせが発育形成されてきたかなどを患者様からの問診で、十分に情報を得ます。必要な場合は患者さんのご家族やパートナーなどにもご本人が自覚されていないこと(睡眠時の歯ぎしりなど)について問診しますし、子供の時の写真などを持ってきてもらい、どのように顎間面系が発育してきたかを推察します。

場合によっては、睡眠時の姿勢を診断するため、カメラをお貸しして、夜間ご家族に撮影してもらったり、睡眠時間の呼吸状況を耳鼻科で調べてもらったりします。

その上で、顎関節のレントゲン、頭蓋骨のレントゲン、咀しゃく筋や頭頸部の筋肉と関節の接触、姿勢の写真撮影、上下の顎の模型の作成、もちろん歯のレントゲンなども撮影します。

この時点で、咬み合わせの治療が必要であるかないか(咬み合わせに関係がないことがわかることもあります)、もしある場合はこれらすべての状況を確認し、何が咬み合わせ不良の原因であるかの事項を調べ、いくつ問題があるか、そしてその問題の順位づけをし、さらに各々の程度がどのくらいであるかを予測します。

そしてそれらをマウスピースを装着することで明確化していきます。マウスピースを装着することで、診断と原因除去を同時に行っていくのです。

ですから、マウスピース装着後は、数日~一週ごとに来院していただき、その都度変化亜した咬み合わせに対してマウスピースの調整をします。調整はマウスピースを削ることもあれば、材料を足すこともあります。ですから、マウスピースは厚くなったり薄くなったり形が変わったりします。

参考文献 再生治療で歯並びを治す 吉野敏明著 ディスカバー携書 

2009年10月22日 (木)

歯のホワイトニング

本日は、日本経済新聞2009年9月26日分のNIKKEI PULUS1よりお届けいたします。

◇歯のホワイトニング

モデルやタレントの笑顔で印象的なのが歯の白さ。一方、鏡の中で微笑む自分の歯を見ると、黄ばみが気になる、という人も少なくない。

結婚式や同窓会などが増えるこれからの季節には、より白い歯を手に入れたいと考える人は多いだろう。最近注目されている歯のホワイトニングの手法を探った。

「毎日しっかり歯磨きをしているのに、何だか歯が黄ばんでいる」と感じている人は少なくない。それもそのはず。実は日本人の歯の色は、もともと欧米人に比べ少し黄色い。また、年齢を重ねるごとに歯の黄ばみが気になるようになるが、これは加齢により歯の内側の濃い色が透けて見えやすくなるからだ。

こうした悩みに対応した治療法がホワイトニングだ。ホワイトニングでは、過酸化水素水や過酸化尿素といった薬剤を使って、エナメル質や象牙質に沈着した着色汚れを漂白する。

薬剤に含まれる過酸化水素が口の中の水と反応して着色汚れを分解する。

漂白剤を口の中で使うので、安全面が気になるところだが、、昭和大学歯学部の久光久教授は「過酸化水素水はもともと歯周病治療の際の殺菌に使われていた薬剤。歯をコーラに付けたときよりもホワイトニングの方がダメージが少ない。」と説明する。

◇1日1~2時間

ホワイトニングには2種類の方法がある。1つは歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」。もう一つは自宅で行う「ホームホワイトニング」である。

オフィスホワイトニングでは歯に薬剤を塗り、そこにレーザーなどの光を当てて薬剤を急激に反応させて白くする。通常は比較的高濃度の薬剤を使うことが多い。利点は一回の治療ですぐに白くなること。大切な行事などですぐに白くしたいときなどに向いている。ただし「透明感がやや少なくマットな(つやのない)白色に仕上がることがあり、歯の色が再着色する『後戻り』が起こりやすい』と久光教授は話す。

一方、ホームホワイトニングは、まず歯科医院を受診してマウスピース形のトレーを作ってもらい、薬剤とともに家に持ち帰り、自宅で行う方法。トレーに薬剤を入れ、一日に1~2時間歯に装着すると、2~4週間で歯が白くなる。寝る前の空き時間や家事の最中に漂白出来るのが特徴だ。歯科医院のいすの上で緊張する必要がない。「すぐには白くはならないが、ゆっくりと漂白するので歯の透明感が失われずに白く出来るのが特徴。歯の再着色もしにくい」と久光教授。

日本大学歯学部の宮崎真至教授は「日本大学の患者の場合、7割がホームホワイトニングで、3割がオフィスホワイトニング。ゆっくり自宅で行いたいという人は女性が多く、短時間で済ませたいという人は男性が多い傾向にある」と話す。

◇過半数に痛みも

ただし、ホワイトニングは一度で効果が障害続くわけではない。次第に着色するので、白さを保ちたい場合には、オフィスホワイトニングなら約半年、ホームホワイトニングなら約1年ごとに再度ホワイトニングを行う必要がある。日ごろのメインテナンスも大切。

赤ワインなど着色しやすい食べ物を控えたり、定期的に歯科医院でクリーニングを受けたりするといい。

1つ覚えておきたいのは、ホーム、オフィスいずれの方法でも、軽いケースを含めて55~75%の人で歯の痛みや違和感など知覚過敏症状が出ること。ただし、それも市販の知覚過敏用の歯磨き剤を使えばおさまることが多い。

医療機関を選ぶ際には知覚過敏などの説明があることが重要な軸になる。また、「ホワイトニングでは、患者が求める歯の白さなどのニーズをきちんと把握する必要がある。質問がしやすい雰囲気であることや、歯科衛生士や歯科医師との相性も大切な要素になる」と宮崎教授。

◇まずむし歯治療

ホワイトニングを行う際、まずむし歯などの治療が必要。妊娠中や授乳中も控えた方がいい。さらに宮崎教授は「エナメル質や象牙質の形成が不十分な歯の場合には、色むらができるのでホワイトニングには向かない」と限界を説明した。

「エナメル質の形成不全などでホワイトニングが出来ない場合には、歯のマニュキアという方法が向いている。歯の表面にコーティング剤を塗り固め、歯を白くするものだ」とホワイトニング専門の歯科医院ティースアートの椿智之代表も話す。コーティング剤を光りで固めるのではがれにくく、1~3ヶ月もつという。

2009年9月24日 (木)

あごでぽきんと音がする

本日は日本経済新聞2009年9月19日号の健康生活NIKKEI PLUS1の『ヘルスこの一手』よりお届けいたします。

◇痛みと開口幅に着目

食事の時、口の開閉につれ、耳の前で「カクン」「ポキン」などの音を感じる人は結構多いのではないだろうか。

耳の前に指を当て、口を開け閉めするとよりわかりやすい。この音は顎(がく)関節から発する音で、クリック音と呼ばれるものだ。

典型的なものは、口の開閉それぞれに繰り返し音が発生する症状。私たち歯科医師は「相反性クリック」と呼んでいる。

顎を動かすとジャリジャリ、ゴリゴリという音を感じることもあるが、こちらはクレピタス音と名付けられている。

顎関節とは下顎骨と頭蓋骨(ずがいこつ)を連結している関節のこと。関節をスムーズに動かすため、下顎骨と頭蓋骨との間には軟骨のクッションみたいなものが挟まっている。この関節円盤はハンモックのように前後から支えられ、通常は下顎骨の関節部分に帽子のようにかぶさっている。

クリック音が起きるのは、ハンモック様の支えに異常が生じ、関節円板がすれてしまうことが原因だ。開け閉めのたびに下顎骨の関節部分が関節円板にひっかかり、乗り越える時に「かくん」「ぽきん」と音が出る。音がしても痛みがない場合もある。

どの段階で受診すればよいのか迷うと思う。一般的な目安としては、口を開けた時の上下の前歯間の距離が40ミリ程度あり、咀嚼(そしゃく)時に引っかかる感じや痛みが出なければ、すぐ治療の対象にしなくてもよい。

音が消えても口が開けにくくなったり、音が続いて痛みや開口障害が頻繁に起きたりする時の方が、受診には必要だ。

一方、クレピタス音は下顎骨の関節部分が変形した場合や、骨の変形を伴う疾患で生じる。この音が出ている場合は、X線検査で骨に異常が認められる場合がおおい。すでに骨の変形があるため、簡単に症状が改善することは難しい。それでも食生活を工夫したり、歯のくいしばり・噛みしめをしないように注意することで痛みが軽くなることはある。痛みを伴うようであれば、まず受診をすすめたい。

顎関節のトラブルの治療は、開業歯科医院をはじめ総合病院、大学病院など様々な施設で治療出来るが異なるので、担当医と十分に話し合うことが大切だ。

テキスト:国立病院機構東京医療センター歯科口腔外科医長

2009年9月21日 (月)

大人は治療済みの歯に要注意

本日は、倉知ななえ先生の著書『きれいな歯をつくる 大人のためのデンタル・ブック』よりお届けいたします。

◇大人は治療済みの歯に要注意

あなたは子どもの頃、歯医者さんでむし歯を治療してもらった経験はありませんか?実は大人の場合、むし歯になるリスクがもっとも高いのが、その治療済みの歯なのです。

むし歯は、口の中にいる虫歯菌が作る酸によって、歯の表面のエナメル質が溶け出すことによって起こります。

子どもに多いむし歯は、健康なエナメル質の表面や隣接歯に穴があき、色が変わってくるので、よくチェックしていれば、比較的簡単に発見できます。

ところが、大人の場合は、昔のむし歯治療で入れた詰め物やかぶせ物のわきから少しずつ進んでいくため、口を開けたときに目に入りにくい部分から始まり、歯の中へ中へと進んで行きます。

これを二次カリエスといいますが、もしそれが神経を抜いてある歯であればどんなに進行しても痛みは感じません。しかも、詰め物や被せ物には変化がありません。

こうした状況のために、気づいた時には、かなり深くまでむし歯が進行していることが多いのです。

むし歯治療の際、健康保険が利く範囲で使われるプラスチック(レジン)の詰め物や金属の被せ物は、残念ながら、一度入れても一生ものではありません。どれくらいもつかは、その人の口の中の状態や毎日のケアの仕方などによって違いますが、寿命があるのです。

これら人工物が年月とともに傷んでくると歯との間にすきまができ、そこからむし歯が発生しやすくなります。歯と被せ物の収縮率の違いから、被せ物と歯の間にすき間ができ、そこからむし歯になる場合もあります。

詰め物やつらなった被せ物は、天然の歯に比べて、どうしても汚れがつきやすいという欠点があります。そのために、その周辺は健康な歯以上に、丁寧に清掃する必要があるのです。

「治療がすんだから大丈夫」という油断は大敵!あなたの詰め物、被せ物の周囲は大丈夫ですか?

参考文献 きれいな歯をつくる 大人のためのデンタル・ブック 倉知ななえ オーイズミ出版  

2009年8月29日 (土)

パニック障害の治療

本日は、渡辺登先生の著書『パニック障害』よりお届けいたします。

◇パニック障害は薬での治療が中心~ほとんどの人が治るか改善する~

パニック障害の治療は、薬物療法が中心です。薬の効果はとても高く、パニック発作を抑え、予期不安の症状を改善する働きがあります。

個人差はありますが、三~四週間に服用で効き目が現れ始め、ほとんどの人が普通に生活できるようになります。軽症の人の場合では、完治してしまうことも珍しくありません。

広場恐怖のある人には薬物療法と併用して行動療法《下記参照》が有効です。薬だけよりも治りが早くなります。

時々薬に対して抵抗感を持つ人がいますが、パニック障害の薬は怖いものではありません。心配なら医師に相談し、医師と二人三脚で治療しましょう。

◇行動療法~徐々にふつうの生活に戻していく~

行動範囲を狭め、ついには外出出来なくなってしまう広場恐怖。少しづつもとの生活の戻して行くには、勇気をもって、一歩を踏み出さなければなりません。行動療法はそのための治療です。

★誤った思い込みを修正する

多くのパニック障害の人は、広場恐怖に苦しんでいます。その恐怖は、誤った思い込みでできあがったものに過ぎません行動療法とは、恐怖の対象へ少しづつ近づいていって、誤った思い込みであることを認識させ、恐怖を克服していく治療です。

★恐怖の対象へ少しずつ近づいていく

行動療法では、まず、「一人で電車に乗れるようになりたい」など、具体的な目標を設定することからスタートします。

次に、その目標をいくつかの小さな段階に分けて、一番楽な物から挑戦していきます。そして、その場所に慣れることが出来たら、次の段階へと進んで行きます。

大切な事は、一つ一つの段階で、ここに来てもなにも起こらないのだということを確認することです。このようにして、恐怖の対象を一つづつ克服し、普通の生活を送れるようにしていきます。

◇こんな治療法も

★認知療法

うつになると、ものごとを自分にとって悪いほうへと受け取りがち。治療者と対話をしながら、考え方(認知)のゆがみを修正していく方法。考え方のゆがみは、病気の快復を妨げたり、自分で自分のストレスを増やしていることもある。

★自律訓練法

一種の自己暗示をかけて、心身の緊張をほぐしていく方法。心身の緊張や不安をとり、ストレスに対しても強くなる。習得するにはある程度の練習が必要だが、リラックスする方法を主簿得るだけでも有効

参考文献 パニック障害 渡辺登著 講談社  

2009年8月27日 (木)

虫歯がないのに歯が痛い

本日は日本経済新聞2009年8月22日分のNIKKEI PLUS1のなかの健康生活『ヘルス この一手』よりお届けいたします。

◇虫歯がないのに歯が痛い

「歯が痛いので歯医者に行ったけど虫歯がないと言われた」と、困った顔をして私のところに来る患者さんが時々いる。

そんな時考えるのは「この患者さんは突発性三叉(さんさ)神経痛の可能正があるのでは」ということだ。

三叉神経は脳神経の一つで、顔面を通っている。額と上顎、下顎の三カ所に分布することから三叉神経と呼ばれるゆえんだ。歯や口腔粘膜の知覚がこの神経に支配されているので、三叉神経痛は歯痛との区別が難しい。これがしばしば問題となる。

三叉神経痛は、痛み以外の症状が乏しい「突発性」と、顔面や歯に痛みの原因がある「症候性」に分けられる。

突発性三叉神経痛は神経の走行路など限られた部分に、電撃のような短時間の激しい痛みが出ることが多いが、軽い痛みが長引くこともある。

痛みの発作は食事や洗顔、歯磨き、ひげそり、はてには顔に風が当たった時にも起こることがある。

顔面の片方の同じ部位が反復して痛むことも特徴で、痛みがない時には、患者さん自身も忘れていることもある。

突発性の痛みの場合、カルママゼピンという薬がよく効く。まずこの薬を処方し、症状が良くなれば突発性であると診断することもある。

一方、症候性の方は痛みが長時間続いたり、痛みの他に腫れや感覚の麻痺など別の症状を伴う事がおおい。

これらが鑑別点になるので、患者さんは症状を出来るだけ整理して伝えて欲しい。

この病気は中高年に多いとされている。原因がはっきりしない歯痛で、これまで述べられたような症状に当てはまる場合は、三叉神経痛による痛みかもしれない。

カルママゼピンによる治療効果が不十分な時は、手術による外科療法や神経ブロック療法を採ることがある。実際に私が担当した中にも、口の痛みが強く、カルママゼピンを多量服用いしないと症状が軽くならないが、薬の副作用でふらふらしてしまう患者さんがいた。話し合いの結果、手術を選択したところ、服薬が不要になった。

原因が不明の歯痛や口腔周囲の痛みが続くときは、歯科口腔外科や耳鼻咽喉科、場合によっては脳神経外科の受診とおすすめする。

テキスト:国立病院機構東京医療センター歯科口腔外科外科部長 大鶴 洋

2009年8月22日 (土)

口腔心身症

本日は、加藤大幸先生の書著『よくわかる 歯科 インプラント』よりお届けいたします。

◇口腔心身症

豊かで平和な世になってくると清潔志向が強くなるためか、口臭を気にして歯科へ来院される方が増えています。

この病気は医師からみると取るにたらない症状であるようでも、本人にとっては、社会的依存を許されるか否かというほどの深刻な問題になることがあります。

以前は口の中の病気に由来する口臭と内臓疾患に由来する口臭に大別されていましたが、最近では他覚的に不快な臭いがあろうが、なかろうが、本人が自覚していれば、それを総称して口臭と呼んでいます。

実は、口臭は心身症の始まりで、その症状の裏には心の病が隠されています。

本当に口臭のある患者さんの80%以上は、口の中に原因があるといわれています。むし歯や歯周病、入れ歯による口臭、ドライマウスで口の中が不潔になっておこる口臭などです。

それ以外の原因で起こる口臭には胃や肺の病気などが考えられてきましたが、これらが原因になることは希なのです。

むし歯や歯周病が原因の場合は、完璧に治療すればいいわけですし、入れ歯による口臭もほとんどが日常のケアをしっかり行うことで解消します。

しかし、口臭を訴えて来院する方には特に医学的な異常所見が認められず、口の中の清掃状態も非常に良好で、客観的に口臭が認められない場合があります。このような患者さんを自臭症といい、口臭を訴える方の80%以上が自臭症なのです。

嗅覚は人間の特殊感覚の中で、もっとも順応の早い感覚です。私たちが自分の口臭を自分で評価することは現実的に不可能ですが、それでも自分の身体から悪臭が発散して他人に迷惑をかけているという恐れを抱いたりするのは、臭いそのものよりも、良好な人間関係を築けなくなっている対人関係が背景にあるからです。

人間は群れをなして社会生活を営む生き物ですから、客観的に口臭が認められないにもかかわらず、自分自身に口臭があると信じることは、つまり、社会生活をしていく上で良好な人間関係を築くことに失敗した自分へのいいわけになっているのです。

口臭のように他人との接触に直接影響を及ぼす要因になる人間心理の変化は微妙なもので、心身症の半分が口臭を訴え、性格的には几帳面、繊細、清潔症の人がなりやすいです。

心身症のうち、特に、口のなかに原因があると思い込まれている方を口腔心身症と呼んでいます。

口腔心身症に行う心理療法では、たとえ患者さんの訴えが医学的に矛盾していても、歯科医はこれを許容的にきかなければなりません。

そのうえで、検査結果の説明や類似症例の治療実績などを示し、患者さんに自身の性格的傾向と症状との関係を理解させます。そして、症状改善の可能生を示し、励ましていくのです。

やがて患者さんは自らの力で症状をコントロールできることをしり、それが自身となって健康な社会へ戻ることが可能になるのです。

口の中は、内面的な葛藤のターゲットとなりやすい場所ですから、歯科医は「口が渇く」「頬がしびれる」「舌がひりひりする」「入れ歯が気になる」などといった違和感をしばし訴えられます。

原因が特定できないため、治療は困難と判断されがちですが、このような症状の多くは客観的原因を伴わず、心理的ストレスが自らの身体に向かって放出された結果なのですから、的確な心のサポートを受けることによって治癒は可能なのです。

参考文献 よくわかる 歯科 インプラント治療 加藤大幸著 現代書林

2009年8月19日 (水)

 水銀化合物《アマルガム》の毒性2

昨日に続き、アマルガム《水銀》の毒性についてです。

本日もダニー・スタインバーグ著『口の中に潜む恐怖~アマルガム水銀中毒からの生還』よりお届けいたします。

◇海産物からレンズ・クリーナーまで ~日常の中の水銀~

水銀を体内から取り出すためには、まずは水銀を取り入れないように注意しなければなりません。

しかし、残念ながら、タイプは異なれ、水銀はどこにでもあるので、水銀を取り込まれないようにすることは、ほとんど不可能です。

食物、化粧品、リサイクル・トイレットペーパー、掃除機、殺菌剤、絵の具などの中に含まれています。

これらのうち主なものを見てみましょう。

●●水俣病と阿賀野川の水銀汚染●●

海、河川、湖沼は、水銀が産業廃棄物として排出されるにつれて、どんどん汚染されていきます。水銀は地下に吸収されず、流れてたまります。

そのため、沿岸海域の海産物は、とくに汚染されやすくなっています。ヒ素(猛毒の一種)のような汚染物質もそこに集まります。南アジアでは、カニや伊勢エビを捕るためにヒ素を使う漁師さえいるのです。

従って、残念なことながら、サケ、タラ、車エビ、伊勢エビ、カニなどは、安全性が確認するまでは、避けるべき品目の中に入ります。深海魚でさえ、水銀の汚染されるものもあります。

マグロやメカジキなどです。あるロサンジェルスの毒物研究者は、マグロの缶詰を長年、毎日欠かさず食べて水銀中毒になった男性の症例を報告しています。それによると、その男性は、重度の精神障害を起こしました。ただし、幸いにも死には至っていません。

しかし、日本では、一九五三年から一九六五年に有機水銀汚染された魚を食べて、多くの人達がなくなりました。また、何千人もの人たちが死ぬまで障害にかかったままでした。

熊本県の水俣湾そして新潟県の阿賀野川のメチル水銀排出汚染です。これらの人たちは、悲惨でした。どんな思いで、この世を去ったのでしょうか。

一九九九年の『朝日イブニングニュース』の記事は、ブラジルのアマゾン川流域の住民が川魚を食べて水俣病に似た症状を呈したと報道しています。水俣水銀中毒の研究者、原田は博士の談話は、アマゾン川の場合、長期にわたる低レベルの水銀汚染で中毒症になる、との事でした。

『ジャパンタイムス』の記事には、インド洋のセーシェル諸島の人々が魚をたくさん食べ過ぎてアメリカ人の10倍の水銀レベルを示すという研究報告があります。

ところが、その研究者たちは、そのような高い水銀レベルを示す女性でも、その子どもは水銀の影響を受けていないと主張しています。その解釈はおかしくありませんか。デンマークでの研究では、北太平洋のフェロー諸島の女性が水銀汚染された魚を食べていて、その子どもたちが発達障害を呈しています。どちらが正しいのでしょうか。いずれにせよ、これら二つの研究結果の違いが明らかになるまでは、そのような魚を食べることは控えたほうが無難です。

免疫毒素学者でコーネル大学の乳がん・環境危険因子研究プロジェクト代表ディタート博士によれば、海産物の水銀は、「胎児への影響が大きい問題」です。水銀は、摂取されて数ヶ月後でも胎児の神経系を破壊しうるのです。だから、「安全策をとって、妊娠の可能生のある女性は、一週間後にマグロ(ツナ)・サンドイッチを二個以上食べないようにするのがよいでしょう」と述べて、さらに危険性がある物として、メカジキとサメをあげています。

産業・農業廃棄物汚染のある河川や沿岸の海水産物は、水銀レベルがとくに高くて危険です。これは、すべての研究者の一致した見解であると思われます。

●●化粧品と日用品と医療●●

水銀を含有している可能生のある日用品としては、美白クリーム、乾せん軟膏、入れ墨、髪染め、痔薬、赤チン、メルチオレート(殺菌消毒剤)、甘こう(塩化水銀含有の下剤)、皮膚の消炎に用いるローション・軟膏、コンタクトレンズの洗浄剤、膣用ゼリーなどがあります。

ただし、これらが必ず水銀を含有しているとは限りません。安全のため、使用にさいしては、含有成分を確認した方がよいでしょう。

なお、十分に調べた訳ではありませんが、昔、日本では、「おいらん」と呼ばれる遊女がお白いの重金属のために苦しんだという悲話があります。現在の日本では、そのような化粧品を使っていないと信じたいと思います。

ペイント、床用ワックス、ニス、接着剤、蛍光灯、農業用殺虫剤なども注意が必要です。残念ですが、ほとんどの国で、水銀含有という表示が義務づけられていませんが、どのような団体が調査をしているかは、よくわかりません。

水銀は、昔からいたるところで薬品として一般的に使用されています。とくに、中国の薬草の場合は、結合剤あるいは心臓刺激剤として水銀を使用するケースが多いようです。日本の薬草は、中国の伝統をいくぶん受け継いでいるので、注意が必要です。

そのような薬草に使用にあたっては、是非水銀やそのほかの有害物質が含有されていないかどうかを確かめてください。

参考文献 口の中に潜む恐怖~アマルガム水銀中毒からの生還 ダニー・スタインバーグ著 マキノ出版

2009年8月18日 (火)

水銀化合物《アマルガム》の毒性1

本日は、ダニー・スタインバーグ著の 『口の中に潜む恐怖~アマルガム水銀中毒からの生還 』よりお届けいたします。

◇水銀化合物の毒性

水銀化合物についての話です。

水銀は、常温で液体になる唯一の金属であり、湿気中では表面が徐々に酸化されます。どのような形態であれ、水銀はすべて有害ですが、形態によって毒性が異なります。水銀化合物は、水銀元素、水銀イオン《第一、第二水銀》、有機水銀の三種類に分けられます。

元素状態の水銀化合物は、かき回したり、圧縮したり、加熱したり、湿り気の多い空気に触れたりすると、蒸発します。

この蒸発を吸入すると、すぐに組織の中に吸収されて細胞膜を通って拡散してゆきます。この種の水銀が歯科用アマルガムを作るのに使われます。また、フランスで帽子職人がフェルト製法過程で使ったものもこれに属する化合物です。

無機水銀化合物には、水銀蒸気、水銀塩、水銀イオン化合物などがあります。これらが体内に入ると、細胞内外で、たんぱく分子の一部である硫黄化合物と結合する可能生があります。

血中たんぱくと結合すると、全身を回って悪さをすることになります。

有機水銀化合物は、さらに危険性の高い化合物です。とくに、メチル水銀を含むアルキル化合物は、毒性がきわめて高いことが知られています。なぜなら、メチル水銀は、脂溶性が高いので、脂質を含む細胞膜を容易に通過出来るからです。つまり、細胞の中に入りやすい臓器へ侵入しやすいのです。

このような水銀は、殺菌消毒剤や絵の具に使用されていますが、その使用は即刻禁止すべきです。メチル水銀は、日本やイラクで、そして最近は、ブラジルで中毒の原因になています。それが蒸発すると、有害となる危険性があります。

絵の具については、アメリカでは家庭でよく使われています。一般には、絵の具の鉛の危険性は知られていますが、水銀の危険性についても知るべきです。

明日へ続きます。

参考文献 口の中に潜む恐怖~アマルガム水銀中毒からの生還 ダニー・スタインバーグ著 マキノ出版  

2009年5月 9日 (土)

なぜ、一度に全ての治療が出来ないのか?

本日は、遠藤為成先生の著書『歯医者さんの治療がよくわかる本』よりお届けいたします。

★なぜ一度にすべての治療ができないのですか?

たった一本のむし歯なのにどうしてこんなに時間がかかるの?

歯医者にかかったことのある人のほとんどが感じている疑問だと思います。治療の遅い歯医者さんは腕が悪いんじゃないか?ついそんなことを考えてしまいがちです。

でもちょっと待ってください。一度に治療出来ないのは理由があるのです。一つは「対処療法」か「根本治療」かという違いがあります。

たとえば、被せ物や詰め物が外れた場合の事を考えてみましょう。治療済みの歯なのだから、単純に被せ物を戻して接着すればいいのでは・・・・と考えがちです。でも、被せ物が取れるのは、むし歯の再発、噛み合わせの悪さ、被せ物の適合の問題など、それなりの原因があります。こうした原因を解決しないで、単に新しく被せたり詰めたりするのは応急処置に過ぎません。

原因を取り除かないで、応急処置をしただけでは、その場はしのげても、歯の状態はどんどん悪くなり、やがて抜歯しなければならなくなるかもしれません。

歯の根の治療も時間がかかります。神経を抜いた後で歯の根の治療(根治)をきちんとやらないと、いくらよい詰め物や被せ物をしても何にもなりません。基礎工事がしっかりしていないと、頑丈なビルが建てられないのと同じです。

歯周病で歯肉が腫れたような時でも、抗生物質などで炎症は一時的には治まるかもしれませんが、原因を取り除かないとすぐに再発します。歯肉に腫れの原因の多くは歯垢(プラーク)や歯石の中にある細菌です。これを除かないと歯周組織は徐々に壊れ、やがて歯が抜けてしまいます。

その場の問題が解決されればそれでいいのか、それとも歯のよい状態を長く維持したいのか。つまり、「治る」という治療のゴール、イメージを患者さんがどこに置くかです。長持ちしなくてもいいから、とにかくいま現在の痛みをとって欲しい、忙しいのであればとりあえずの治療をして欲しいという方もいます。

しかし、原因が取り除かれないかぎり、いつかは必ず歯をぬかなければならなくなります。し

そして、一度治療を始めたら、最後まで続けることが大切です。痛みがなくなるとつい自己判断で「もう大丈夫だろう」と治療をさぼってしまいがちです。もうすぐ治療が終わるというのにこなくなってしまい。しばらくしてまた悪くなって受診する方も少なくありません。治療を途中でやめてしまうと、それまでの治療が無駄になってしまうばかりか、状態が以前よりも悪くなることもあります。

もし、自分の歯を長持ちさせたいのなら、じっくりと腰を据えて治療に取り組んで欲しいと思います。

参考文献 歯医者さんの治療がよくわかる本 遠藤為成著 現代書林  

2009年4月28日 (火)

痛いところが悪いところ?

本日は、徳島大学歯学部創立30周年記念出版『なるどほ現代歯学』よりお届けいたします。

◇歯、口、顎の痛み、頭痛~痛いところが悪いところ?

★痛みの判断は難しい

「痛み」を感じると、どうしてもその場所に何か痛みの原因があるように思ってしまいます。しかし、痛みを感じる部分にはではなく、ほかに原因があることもしばしばあります。さらに、その感じ方には大きな個人差があり、また心理的な影響も大きく作用するため、通常以上に強く痛みを感じる場合もありますし、原因となる疾患や傷害はないのに心理的要因ののみから痛みを感じる場合もあります。

これらの事から、「痛み」の診断は非常に難しい場合があります。

★歯と口の痛み

まず、「歯の痛み」ですが、ほとんどの場合、「歯の痛み」の原因はむし歯か歯周病です。ところが、明らかに原因と思われる異常が見当たらないのに、歯の痛みを感じることもあります。たとえば、頭から頸にかけての筋肉に痛みの原因があったり、心臓が原因で顎や歯に痛みが生じることもあります。また、神経痛や頭痛が原因である場合もあります。

次ぎに「口の痛み」ですが、「歯の痛み」と同様に、注意深く検査をしても舌や口腔粘膜に炎症や傷、潰瘍などの変化がなく、ガンや金属アレルギー、貧血やその他の疾患もなく、臨床検査でも異常が認められないにもかかわらず、痛みや違和感を訴える方がいます。そしたg場合には心理的要因を十分考慮する必要があります。

★顎の痛みと頭痛

「顎の痛み」は、多くの場合、顎関節症に関係しています。原因としては種々なことがいわれていますが、ブラキシズム(歯ぎしり、食いしばり)が症状の悪化要因として注目されています。

一方で三叉神経痛や舌咽神経痛、それから偏頭痛や緊張性頭痛などとの鑑別も必要です。さらに、肩のこりなども顎の関節部分に痛みを生じさせることが知られていますし、心理的要因が強く関与する場合もあります。

「頭痛」は大きく、一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。頭痛の診断は医科で行われ、歯科で頭痛それ自体を治療することはありませんが、ブラキシズムや顎関節症に関連するものとして、緊張性頭痛があります。この頭痛は、筋緊張性頭痛ともいわれ、ストレスなどによって頭や首の部分の筋肉が緊張し、持続的頭痛ともいわれ、ストレスなどによって頭や首の部分の筋肉が緊張し、持続的収縮を起こすことによって生じるものです。この緊張型頭痛は、慢性頭痛の70~80%を占め、ブラキシズムも要因の一つとしてあげられています。

★心理的(精神的)要因

次ぎに、「痛み」に関する心理的(精神的)要因ですが、ここで重要な概念が「身体化」です。

これは簡単にいうと、「身体的な原因が見当たらないのに、身体症状が生じている状態」のことです。そしてこの「身体化」を生じうる疾患として、身体表現性障害、大鬱病性障害、妄想性障害、統合失調症などがあります。

この身体化で問題となるのは、これらの精神的要因により身体化が生じてしまっている場合には、たとえその症状がなんらかの歯科治療後に生じたもので、症状として歯科に関連していると思われるものであっても、さらなる歯科治療(噛み合わせの調整や歯に被せるもののやりなおしなど)では、症状の改善は難しいということです。

現在の症状に心理的(精神的)要因が大きく関与しているような場合には、歯科治療は無効である可能性があるので、一般歯科や口腔外科、顎関節症外来といった診療科とあわせて、診療内科や心身症科を受診する必要があります。

このように、痛い場所、あるいはなんらかの症状を感じる場所に、つねにその原因があるとは限らないということを知っておくことも重要です。

参考文献 『なるどほ現代歯学』 徳島大学歯学部創立30周年記念出版 竹内久裕著 医歯薬出版  

2009年4月24日 (金)

噛み合わせの悪さと不眠症

本日は、青山健一先生の『よくわかる家庭の歯学』よりお届けいたします。

◇噛み合わせの悪さと不眠症

ストレス社会といわれる今、ストレスが眠りを妨げています。厚生労働省の調査によると、十人に一人が不眠症であるといわれています。いろいろな枕や布団の売れ行きが好調な要因には、こうした不眠症で悩む人のワラをもつかみたい気持ちが表れているのでしょう。

睡眠は本来、大脳を休ませるための機能ですが、ノンレム睡眠とレム睡眠が交互に生じています。眼球が素早く動いている状態の睡眠(rapid eye movement)の頭文字のremをとってレム睡眠とし、眼球が動かない、深い睡眠(non  rapid eye movement)がノンレム睡眠と分類されています。

浅い眠りのレム睡眠では、夢を見ているので、脳幹は休まず活動しています。昼間のストレスが夢となり、歯ぎしりや歯の食いしばりも生じます。

歯ぎしりや歯の食いしばりは、悪い噛み合わせの人には、自律神経系に異常を生じる原因になり、その異常を睡眠中に体が察知することで目が覚めるのです。噛み合わせの悪い人が、朝までに何度か目を覚ましたり、眠りが浅く感じるのは当然のことです。

不正な噛み合わせがある人の中には、自分の噛み合わせに異常があることが潜在的に頭の中にあって、歯が抜ける夢や、歯に関係した夢を見るかたも多くいらっしゃいます。

不眠症のキーワードは「浅い眠りのレム睡眠」「夢」「ストレス」「歯ぎしり、歯のくいしばり」「不正咬合」の五つです。

昼間に「ストレス」がたまると、それが「レム睡眠」中に「夢」として現れます。それを解消しようと「歯ぎしりや歯のくいしばり」をすると、不正咬合のために、自律神経系のバランスを崩して不眠症になるのです。

したがって、加齢とともに、「レム睡眠」が多くなるので、年配者の方の不眠症も多くなりますが、「不正咬合」の人ほど、「歯ぎしり、歯の食いしばり」を悪い方向に導いてしまいます。

年とともに眠りが浅くなるのは仕方がないことなのではなく、たとえ年配の方でも、正しい噛み合わせの人の眠りは深く、歯ぎしりをしたり歯を食いしばったりしても、不眠症にはなりません。

不眠症は、自律神経系のバランスを崩すので、風邪を引きやすくなったり、肌荒れ、倦怠感など、多くの悪影響をおよぼします。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房 

2009年4月23日 (木)

頸部蜂窩織炎

本日は、天笠光雄先生監修、佐藤豊先生、佐藤文枝先生著書『え、この病気 歯 が原因!?』よりお届けいたします。写真も同じです。978 979_2

◇頸部蜂窩織炎とは

治療されていないむし歯があると、むし歯の穴から、口の中の細菌が歯の根を通って顎の骨に侵入します。

細菌の感染により顎の骨が溶けると周囲組織への炎症が波及いたします。特に下顎の内側に感染が生じると炎症が急速に広範囲に広がり、そのため周囲が腫れ気管を圧迫し呼吸困難になることがあります。

また首の筋肉と筋肉の隙間から、炎症が下方へ進み胸部へかけて炎症が波及すると、胸の縦隔炎を併発し、さらに重い感染症を引き起こし、治療が遅れると致命的になることもあります。

早い時期に強力な抗生剤の点滴と、たまった膿を外に出して炎症の波及を防ぐことが必要となります。

~日頃から注意すること~

・未処置のむし歯を放置しないこと

・また正常に生えていない下顎の親知らずに感染を起こし、腫れて症状が続くようなら要注意

・糖尿病などの基礎疾患があると症状が重くなるなるので、そちらの治療も行うことが大切です。

参考文献 『え、この病気 歯 が原因!?』  天笠光雄監修、佐藤豊・佐藤文枝著 写真とも 砂書房 

2009年4月 7日 (火)

アマルガムの発明と悲劇

本日は、ダニー・スタインバーグさんの著書『口の中に潜む恐怖』よりお届けいたします。

◇アマルガムの発明と水銀をめぐる争い

水銀は、古代エジプト、インダス、中国で知られていましたが、最初に歯科用アマルガムとして使われたのは、西暦639年の唐の時代であったと思われます。

西洋では、それから1000年以上も後になって使われるようになりました。イギリスの歯科医師たち、中でもベルという人を筆頭にして、スズ、ビスマス、鉛、水銀の化合物を使って、金属ペーストの実験を始めました。この人たちは、金(ゴールド)という最高級品に代わる廉価な素材を捜し求めていたのです。パリの歯科医師の一人が銀と水銀の化合物である「銀ペースト」を使い始めたのは、1826年ころです。。それは今日のアマルガムの先駆けでした。

やがて、水銀アマルガムの危険性が歯科医師たちに知られるようになります。まもなく、大西洋をはさんでアメリカとヨーロッパで、歯科医師たちが論争をおこしました。アメリカでは、アマルガムの使用を批判しました。

アメリカ口腔外科学会は、1840年に設立されましたが、水銀使用禁止の決議をしています。そして、会員の歯科医師の組織は、アマルガムを使用しないという誓約書にサインすることが義務づけられました。これは、驚きですが、まさに、現代のアメリカ歯科医師会が求めていることと正反対です。

もっとも、アマルガムを使用して除名された会員もいましたが、金(ゴールド)が買えないひとに対して密かに使用し続けた会員もいました。

1855年頃までにアマルガムの議論に敗れ、その学会は解消します。代わって、アマルガム容認の組織として、アメリカ歯科医師会が誕生いたしました。反対勢力は、追放され、100年におよぶアマルガム使用に対する抵抗も忘れられていきました。

アメリカ歯科医師はアメリカの主要組織となり、今日でもアマルガムの使用を支持し続けています。

参考文献  口の中に潜む恐怖 ダニー・スタインバーグ著 マキノ出版 

2009年3月23日 (月)

むし歯はすべて充填すべきか?

本日は、丸橋賢先生の著書『歯で守る健康家族』よりお届けいたします。

◇むし歯はすべて充填すべきか?

むし歯によって生じた欠損部(穴)をアマルガム、レジン(プラスチック)、鋳造してつくった金属インレーなどで埋め、歯の形態、機能を修復する治療を充填といいます。

むし歯(学術的には齲蝕、カリエスと呼ぶ)は、口腔内の細菌が産生する酸が、硬い歯質を溶かしてつくられること、そしてむし歯の進行度によって、C1~C4で表します。もう一度整理してみましょう。

C1・・・エナメル質に限局したむし歯

C2・・・象牙質まで進行したむし歯

C3・・・歯髄まで達したむし歯(神経を取ってその後、根管治療が必要になる)

C4・・・C3を治療せずに放置すると歯冠部は崩壊し、歯根しか残らない状態(抜歯になるケースが多い)

充填がもっとも多くなされるのはC2で、C1に対して私は充填を行いません。最近、子供のむし歯が減少し、逆に歯科医院が増加した影響か、C1でも充填してしまうケースが増えているようです。一度充填されると、そこからまたむし歯が再発しやすくなるので、必要のないむし歯の充填は行わない方がよいでしょう。

臼歯部咬合面(咬む面)の、溝のエナメル質が着色している程度のむし歯であれば、正しいブラッシングと正しい食生活で進行が止まったり、再石灰化して自然に治ったりするからです。

◇誰でも分かる良い充填、悪い充填

次ぎに各充填方法についての基礎知識と、良い例と悪い例の見分け方のポイントをお話いたします。アマルガム充填、レジン充填、インレーと充填方法は違っても、正しい治療か否かを見分ける共通のチェックポイントは次の通りです。

1.歯と充填物の継ぎ目に隙間や段差がないか

肉眼で確認出来るものはもちろん駄目。とがったまま爪楊枝のもので継ぎ目を探り、ひっかかりがあれば駄目。隙間が50ミクロン程度でむし歯が再発する。

2.きれいに研磨してあるか

研磨が悪いと、食べかすがつきやすく、再発しやすい

3.咬合調整が正しく行われているか

咬合の確かめ方は難しいので、とりあえず、咬みにくい、高い、咬むと滑る、物が噛み切れないなどの状態があれば駄目。

4.むし歯が完全に除去されているか

これがもっとも大切だが、充填物の上からは見えない。むし歯を充填物の上からは見えない。むし歯を完全に除去しないと中でむし歯が再発する。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋賢著 現代書館

2009年1月27日 (火)

歯科治療はアンチエイジングのトップランナー

本日は、黒田昌彦先生の『歯科からはじめるアンチエイジング~あなたの歯年齢はいくつ~』よりお届けいたします。

★歯が抜けると老けて見える!

歯が抜けると、実年齢よりも老け込んで見えてしまいます。それはなぜでしょう?

歯が抜けると、あごの骨が吸収します。やつれた状態を表すのに「頬がこける」という表現がありますが、全身的に健康であっても、顎の骨が吸収すると、頬がくぼんが状態になってしまいます。とりわけ前歯がないと老けて見えます。

上唇が内側に入り込み、鼻唇溝(鼻翼の外側口角に向かう溝のようなシワ)が強く見えるようになり、多くの歯がなくなると上下の唇が内側に入り込み、噛み合わせの高さが低くなって、頬がこけた感じになります。

見かけだけの変化だけではなく、発音もおかしくなってしまいます。噛むこともうまくできません。よく噛む事が出来ないと、唾液の分泌が減少し、唾液に含まれている消化酵素や老化防止ホルモンも減少してしまいます。そして食欲も減退し、唾液の減少は胃の負担を増し、胃腸が悪いと腹筋が衰え、前屈みの姿勢になり、いかにも老人らしくなります。

誰しも、いつまでも若くはつらつとしていたいと願うはずです。それには、まず口腔の健康の回復が若さへの近道だと感えるのですが、いかがでしょうか?

◇前歯がきれいだと、若々しく感じる

最近はあまり見かけなくなりましたが、以前は前歯に金冠をかぶせた状態を目にすることがありました。

「治療をしたこと」が一目瞭然です。噛むという事だけを考えるならそれでもよいかもしれませんが、せっかく治療をするのなら、機能的な回復とともに、きれいに、若々しくなるために、ご自身にマッチした状態に戻したいことと思います。

けれども、ただ白い歯にすればよいというものでもなく、ご自身のほかの歯との関係、唇や顔貌と調和した色や形でないと、不自然な感じになってしまいます。

にっこりと明るい笑顔は、活動性を高め、免疫力をも高めることでしょう。人前で自信をもって笑える口元を戻して、明るくアクティブな日々を送っていただきたいものです。

参考文献 歯科からはじめるアンチエイジング~あなたの歯年齢はいくつ?~ 黒田昌彦著 医歯薬出版

2008年12月24日 (水)

顎が動かない

本日は、垣本充先生の著書『歯育ては子育て上手』よりお届けいたします。

★顎関節症は精神面にも悪影響

『顎関節症』という聞き慣れない病名は、むし歯、歯槽膿漏につづく第三の歯科疾患といわれている病気のもので、上顎と下顎の繋ぎ目の顎関節を動かす筋肉や関節自体がうまく動かない病気です。

顎関節がスムーズに動かないと、普段何気ない動作でも口がうまく開かなくなったり、大きく開けたときや、噛み締めたときに痛みを感じたりします。痛さの程度には差がありますが、ひどいときは頭にずきずきくるときがあるようです。

この病気は、とくに10歳後半から20歳代前半の女性に多いとされていますが、高齢者や子どもにもみられます。女性に多いのは、女性の関節、筋肉、靱帯が男性に比べて弱いためではないかと考えられます。子どもでは、口を開閉するときや食べ物を噛んでいる時に、カックンとかギコギコといった雑音が生じる場合に注意が必要です。この音は他人にもはっきり聞こえます。

顎関節症は、頭痛のほかに、目眩、耳鳴り、難聴、肩こりなどの症状を生じさせます。また、前にもお話したとおり、噛む運動は人間にとって情緒を安定させる働きをもつものですから、顎関節の異常をそのままにしておくとストレスを増大させます。子どもでは、眠いが浅くて疲れやすく、食欲不振、目眩などの自律神経失調症的な症状を引き起こす例も見られるのです。すなわち、顎関節の異常は子どもの精神面にまで悪影響を及ぼすことがあるのです。

顎関節の原因の一つに下顎の発達不足が挙げられます。噛むトレーニングの不足は、顎関節症を動かす筋肉を萎縮させ、ひいては顎関節症を引き起こすのです。そのほか、むし歯になって歯がぬけてしまい、片方の歯だけでいつも食べ物を噛んでいる場合にも、顎関節症はおきると言われています。

顎関節症でよく見られるのですが、噛み合わせがうまくいかないことは姿勢の悪さにつながります。背骨が曲がってしまい、側わん症にまでいたった例もあるのです。

噛む運動の不足やむし歯が原因であれば、当然食生活からの予防が大切です。でも、顎関節症や不正咬合、歯列不正になってしまった子どもには、専門の「矯正歯科」で診断を受けさせる必要があります。歯科大学や歯学部のある大学の、付属病院の矯正歯科、または専門医を訪ねてください。

これらの歯の病気は、比較的簡単な治療ですむものから、何年もの長期間をかけて治さねばならないものまで、いろいろな症例があります。

アメリカでは病気になってからより、まる前に予防することが第一と考えられています。しかし、我が国では予防医学の徹底がはかられているとは残念ながらいえません。口の中の病気は食生活に気を配ることによってかなりの割合で予防できるものなのです。子どもに症状が出たら、すぐに適切な治療をうけさせることはもちろんですが、普段からそうならないような注意をおこなたらいようにしましょう。

参考文献  歯育ては子育て上手  垣本充著 農文協

2008年12月16日 (火)

どうして、入れ歯では噛めないのか?

本日は、波田野先生、石橋先生の共著『一生美味しい 総義歯&インプラント』よりお届けいたします。

◇どうして入れ歯では噛めないのか

総義歯というと、かなりの高齢者が使うものと思っている方が多いことでしょう。確かに総義歯を入れている約四百万人の大半は五十五歳以上の方です。

しかし、四十歳代で自分の歯を大半を失っている方も大勢いらっしゃいます。また、総義歯を使っているのは四百万人と聞いても、日本人の人口の三十分の一ですからそれほど多くないように感じるかもしれませんが、横浜市に住んでいる人と同じかそれ以上は総義歯なのですから、その多さがおわかりいただけると思います。

その四百万人の方の大半が、入れ歯に対して何らかの不満や悩みを持っています。私のところにも、多くの患者さんが来院し、現状の不満を訴えます。

  • 旅先で人目をしのんで入れ歯を洗うのがいや
  • 噛み合わせが悪くて、咀嚼していると疲労を感じてしまう
  • 義歯を載せたところが炎症を起こして痛くて装着していられない
  • 歯肉と義歯がぴったりしないので、なんとなくガタガタする。
  • 義歯が不安定で、何度か義歯が壊れた
  • 義歯がゆるんでいて、すぐにはずれる。
  • おしゃべりしたり笑ったりすると義歯がはずれる
  • 顔が老人みたいになった。

楽しく食事したりおしゃべりするために作ったはずの義歯が機能していないのです。これは困ったことです。

原因の一つに、歯を失った年齢と総義歯を作った時期のギャップがあります。

事故にでも遭わない限り一度に全部の歯を失うことはありません。一本抜けてまた一本という具合に抜けてしまい、いよいよだめだという時点で総義歯をいれます。実はその時点で、歯を支える構造が以前と大きく違っているのです。

歯は、口を開けて見えている部分は全体の三~四割で、あとの六割以上が歯肉の下にあります。歯の構造で見ると、一番外側はエナメル質という水晶ほどの硬さのある部分で、その内側に象牙質という少し軟らかい空間があり、そこに動脈と静脈と脳への伝達神経である三叉神経が通っています。この動脈から血液と栄養分と酸素が運ばれて、静脈から不要なものが運び出されます。

歯の根は直接歯肉に埋まっているのではなく、セメント質という骨のようなもので薄く覆われています。この部分が歯と骨を結ぶ大切な役割を担っているのです。

そのセメント質を歯根膜が覆っています。歯は、歯槽骨といわれる部分に歯の根が植わっています。歯槽の内側にある歯槽骨と、これを取り囲んでいる歯槽を支える支持骨があります。歯はこうした組織にがっちりとサポートされているので、硬いものを噛んでも抜けることがないのです。

問題は歯が抜けた時に生じます。

実は、全身の骨は二年で新しいものに生まれ変わる、リモデリング(骨再生)を繰り返しています。破骨細胞が骨を作るという作業を繰り返すことで、全身の骨が入れ替わっているのです。骨を支える歯槽骨も同じように、再生が行われます。しかし、歯がぬけるとそれを支える骨も必要なくなるので、破骨細胞の働きが骨芽細胞を上回り、骨が壊れ、やがて身体に吸収されていきます。つまり歯のないところに歯槽骨は存在しなくなってしまうのです。

話しを総義歯に戻しましょう。

総義歯を作ろうと思ったときは、歯が抜けてから相当時間がたっているために、当然歯槽骨は吸収されにくくなっています。いわゆる歯肉が痩せたという状態になっているために、上唇のあたりにしわがよって老人のような顔になるわけです。

老人のようになってしまった現在の顔に、歯をいれることでかつての顔に戻そうとするわけですからあわないのは当然です。

作る際に歯のあった時代の写真を見たり、その方の昔の顔をしっかりイメージしてそれに合わせて総義歯を作らなければ、ぴったり合う総義歯などできるはずがありません。

患者さんの歯の色と形、歯肉の色や顔貌、体格、失われた歯肉と歯槽骨の量はどれくらいか、顔の大きさなどを考慮し、歯のあった頃を想像し、どんな位置で咬合していたか、好きな食べ物や職業、社会的地位などをお聞きした上で三次元的に造形することで、使い勝手のよい総義歯が出来るのです。たとえば、政治家の方の総義歯を作るときは、前歯を大きく派手(歯出)に作ってあげることもあります。これだけでアクティブな印象になるからです。

総義歯は個人に合わせたフルオーダーメイドですから、絵画や彫刻といった世界に一つしかない芸術品を作るのと同じくらい技術をセンスが要求されるものなのです。総義歯を作る歯科医は、一流のアーティストでなければ最高のものは作れないといわれつのはそのためです。

参考文献 一生美味しい 総義歯&インプラント 波田野尚樹 石橋卓大共著 小学館 

2008年11月28日 (金)

ホワイトニングの安全性について2

昨日の続きです。本日も坂上先生の著書「ホワイトニングの最新知識と治療の受け方」よりお届けいたします。

★ホワイトニング剤を誤って飲み込んでも大丈夫?

通常、オフィス・ホワイトニングの薬剤には増粘剤を混ぜて、口の中にたれ落ちないようにしてあります。万一、垂れ落ちてしまっても、大量に飲み込むことは考えられません。誤って少量のホワイトニング剤を飲み込んでしまったとしても、過酸化水素水は唾液や消化物質と反応して、水と酸素に分解するだけなので毒性はありません。

増粘剤は少量の添加で液体の粘性や安全性をよくするためのもので、食品、化粧品などに広く用いられています。

ホワイトニングに使用される増粘剤の主成分は、カルボキシビニルポリマーと呼ばれるもので、水分を含んでジェル状になり、安全性・安定性に優れ、広く化粧品にも使用されている成分です。

ホーム・ホワイトニング剤の主成分は過酸化尿素です。過酸化尿素は、過酸化水素と尿素の化合物質です。マウストレーの中で過酸化水素と尿素に分解しますが、過酸化水素からフリーラジカルが発生してホワイトニング効果が生じます。

尿素は、もともと人体の内部に存在している物質で、その安全性から保湿クリームなどにも多く使用されているものは、皆さんよくご存じのこととおもいます。ですから、ホーム・ホワイトニングの最中に僅かの量のホワイトニング剤を飲み込んでしまったとしても、人体にはまったく影響はありません。

★活性酸素(フリーラジカル)は人体に害はないの?

活性酸素は、激しいスポーツや喫煙、紫外線、大気汚染、加齢、ストレスなどが原因となり、日常生活のさまざまな場面で体内で発生しているといわれています。また、肥満により増加するともいわれています。人体は呼吸によって酸素を消費する際に活性酸素を発生させており、それを酵素により無毒化しています。

活性酵素は、がんや生活習慣病、老化などの原因であるといわれていますが、因果関係がはっきりとしていないものも多いです。

活性酵素は、オゾン療法として治療目的に使用される場合もあります。活性酵素とオゾンガスの持つ細胞賦活作用と殺菌作用などが感染症、脱毛、脳性麻痺などに高い効果があったと報告されています。

抗生物質の普及とともに使用される頻度は減少していますが、現在でもオゾン療法を行っている医療施設があります。

ホワイトニング治療の際に、活性酸素であるフリーラジカルが発生しますが、その量は人体に対して影響を及ぼすようなものではありません。発生した活性酵素は、生体内で簡単に分解できる量です。しかもその多くは生体内ではなく、空気中で分解されるため、人体に対する影響はありません。

★ホワイトニングで歯を削ったりしないの?

ホワイトニング治療は過酸化水素水による酸化還元反応を利用したもので、麻酔をしたり、歯を削ったり、傷つけるようなことは絶対にありません。

歯を白くする方法には、ホワイトニング以外に「ダイレクトボンディング」「ラミネートベニア」「セラミッククラウン」などがあります。これらの治療方では、歯の表面を薄く削ったり、削除したりします。しかし、ホワイトニング治療はこれらの治療法とはまったく異なる方法で、健全な歯を安全に白くします。

★ホワイトニングの治療は「痛い」と聞いたけど?

実は、この質問はしばしば聞かれます。特にオフィス・ホワイトニングは、つい数年前にあらかじめ痛みを止めを服用し、この痛み止めの効果が現れるところを見計らってホワイトニング治療をしていたという話しを聞いたことがあります。以前はそんないまでして歯を白くしていたのかと、信じられない話しです。

確かに、ホワイトニング治療の際には歯の表面で起こる化学反応のために、不快症状(痛み)が起こることがあります。

オフィスホワイトニングに関わる「痛み」は、ホワイトニング中に起こる歯のエナメル質からの脱水によると考えられる「痛み」と治療が終わったあとに歯がしみるような感じの二つです。歯のエナメル質からの脱水によると考えられる「痛み」は、オフィス・ホワイトニングの最中に「ピリッ」とした「痛み」として感じることがありますが、我慢できないほどのものではありません。「あれっ!あれっ!ああおさまった」という感じで終わってしまいます。これに関しては日四度システムでは、ビヨンドジェルの開発により劇的に改善され、ほとんど痛みらしい「痛み」はなくなり、むしろ若干の「不快症状」といった方が適切です。

ホワイトニング終了後に「歯がしみるような感じ」、または「歯が痛がゆいような感じ」がすることがありますが、これもビヨンドジェルの開発により、症状は軽減され、早ければ半日、長くても三日程度で完全に消失してしまいます。また、この「痛み」が歯の神経に影響を及ぼすこともありませんので、全く心配いりません。

ビヨンドシステム以外のシステムを採用している歯科医院の場合には、担当の歯科医師に詳しくお聞きください。

次ぎにホーム・ホワイトニングにかかわる「痛み」に関しては、ホーム・ホワイトニング中に歯がしみるという方がたまにおられます。また、ホームホワイトニング剤の量を減らしたり、一回のホワイトニング時間を短くすることで対処できます。

ホームホワイトニング後の歯の知覚過敏に関しては、一時的なものですからまったく心配いりません。

当院では、事前にこの知覚過敏が起こったときはマウストレーに注入して三十分ほど使用していただく知覚過敏抑制剤を必ずお渡しするようにしていまが、まだ誰もこの知覚過敏抑制剤をホワイトニング期間中に使用した方はおられません。このような知覚過敏は、ほとんど一日程度でおさまってしまいます。

仮に、このような症状が出た場合には、ホーム・ホワイトニングを毎日せずに、二~三日おきにおこなえば、問題なくホワイトニング治療を終了させることができます。

参考文献 ホワイトニングの最新知識と治療の受け方 坂上俊保著 桐書房

2008年11月27日 (木)

ホワイトニングの安全性について1

本日は、2回に渡り、坂上先生の「ホワイトニングの最新知識と治療の受け方」よりお届けいたします。

『歯の表面が溶ける』という伝説?

「ホワイトニングは安全ですか?歯の表面が溶けてむし歯になりやすいと聞きましたが・・・・。」

この質問を受けたとき、一番驚いたのは私自身です。もし、そのようなことがあるとしたら、もう二十年以上の歴史をもつホワイトニング大国のアメリカでは、ほとんどの人がむし歯だらけで、若くして総入れ歯の人があふれかえっており、世界中でホワイトニングは禁止されているはずです。

ご安心ください。ホワイトニングは安全な治療です。

ホワイトニング剤の主成分である過酸化水素水(オフィス・ホワイトニングでは十五~三十五%、ホーム・ホワイトニング剤では過酸化水素水に換算すると三%強)は、消毒剤として使用される成分と同じですので副作用を心配する必要はありません。成分の残りは、増粘剤と触媒です。これにかんしても全く心配ありません。

米国食品医薬局(FDA)でも安全が保証しれており、安全性にていてはまったく問題ないと言えます。

その安全性は、米国歯科医師会(ADA)も認めており、日本でも歯科大学の研究室などで研究され、多くの論文などで証明されています。

厚生労働省が薬剤の使用・販売などを新たに認可する場合は、動物実験による分析を踏まえ、臨床での治験もおこなって薬の安全性を有効性を確認します。しかし、すでに一般に使用され、広く普及している薬剤に対しては、その副作用を細かく調査したうえで、使用の続行が妥当であるかを決定します。

ホワイトニング剤として使用される過酸化水素水は、口の中での使用に理想的ということから、長年殺菌・洗浄に使用されています。

過酸化水素水はオキシドールと同じ成分で、濃度が三十六%以下ならば低濃度のものとして体内に入っても害がないものとされ、安全で広く普及しています。

では、「歯の表面が溶ける」伝説はどこから生まれたものなのでしょうか?

これは私の憶測なのですが、ホワイトニングが研究され始めた百年ほど前に、初めて実験に使用された薬剤は「塩酸」だったと聞いたことがあります。「塩酸」ならば歯を溶かしてしまうことも考えられます。今から三十年ほど前、ホワイトニングに使用する薬剤はすべて過酸化水素水と過酸化尿素に変わりました。現在では、ホワイトニング剤自体には歯を弱くしたり、溶かしたりする作用はありません。

また、まったく不思議なことですが、日本では厚生労働省が認可していないホワイトニング剤が、なぜか売られています。これらの海賊版ホワイトニング剤の中には「酢酸」「クエン酸」などが使用されているものがあります。

この製品は、歯の前処理として、歯のエナメル質の表面に、これらの「酢酸」「クエン酸」を作用させて、意図的に歯の表面を腐食させるのだそうです。まったく信じられない製品が売られているものです。

こういった怖い話は、尾にヒレが付いて伝言ゲームのように広がって、間違った情報として皆さんの耳に入るのだと思います。

安心してください。皆さんが歯科医院でホワイトニング治療を受ける際には、厚生労働省の認可がキチンとおりた製品を使用しています。皆さんの大切な歯に危害が加わるようなことはまず考えられません。

明日へ続きます。

参考文献 ホワイトニングの最新知識と治療の受け方 坂上俊保著 桐書房

2008年11月14日 (金)

歯に被せなければいけないとき

本日は、花田信弘先生、井田亮先生、野邑浩美先生の共著「むし歯・歯周病」よりお届けいたします。

◇歯に被せないといけないとき

むし歯や摩耗のために、噛み合わせの部分がほとんどなくなっているような場合には、人工的な材料でクラウンを作って歯に被せます。

歯をすっぽり覆うクラウンだけでなく、噛み合わせ部分だけのアンレーや、部分的に被せるパーシャルベニアクラウンがあります。出来るだけ歯を削る量が少なくてすむ方法を選びたいものです。

クラウンを被せてしまえば、安心と思っているかもしれませんが、被せた歯にはいろいろと問題があります。

被せたクラウンの中でむし歯が広がってしまうこともあります。取り残した歯髄や、根管治療が不十分であった場合など、クラウンの中の歯が駄目になってしまうことがあります。

また、被せたクラウンと歯肉との間が歯周病やむし歯になりやすいということもあります。

噛み合わせが長い間の摩耗で変わってくることもあります。10年ぐらいたったら、やり直さなければならないという覚悟が必要です。

クラウンの中の歯が駄目になった場合でも、出来るだけ抜かないで、歯根を残す必要があります。というのも、歯根のまわりの歯根膜は、歯槽骨を残す事につながるのです。

歯根に穴を開けてその穴にぴったりあう金属の鋳物をはめ込む方法(ダウエルコア)や、金属やプラスチックの支柱を立てて、プラスチックで固める方法(レジンコア)があります。こうして土台をつくりクラウンを被せます。

クラウンは貴金属、金属表面をプラスチックや陶材で覆った物、丸ごとセラミックで出来た物などがあります。見た目で選ばず、どのくらい保たせたいのか、しっかり考えて選びましょう。

参考文献 むし歯・歯周病  花田信弘、井田亮、野邑浩美共著  小学館

2008年9月19日 (金)

アンテリアガイダンスってなに?

歯科用語の中に「アンテリアガイダンス」というものがあります。

私は、このアンテリアガイダンスを臨床で最も重視しています。

アンテリアガイダンスとは、口を閉じたとき、上顎の前歯と下顎の前歯が接触することをいいます。

この上下の歯の接触具合で口の働きが全く異なっています。

また、アンテリアガイダンスは食物の性状(硬さ、大きさ)を瞬時に見分ける機能があります。

なぜ、前歯かというと、顎関節から一番遠い部位で、衝撃を一番緩衝しやすいからです。前歯で硬い食物が来たという命令が顎関節に渡り、その情報から筋肉に働かせる力の量を決めています。

赤ちゃんが前歯から歯が生えてくるのは、このシステムを脳が構築して、食事を行う準備をしているのだと私は思うのです。

アンテリアガイダンスは顎が動く際の角度に関係があります。角度が大きいと大きく口を動かして食事をし、小さいと、顎の動きが小さくなります。もちろん、動きが大きいと、顎関節への負担が大きいですし、小さいと、負担は小さいです。

そのため、アンテリアガイダンスの接触角度が非常に大事です。接触角度によって、顎が動く角度が変わってきます。また、審美的に前歯を作り直すときもアンテリアガイダンスの接触を間違うと、顎関節に影響が出て口が開きにくくなったり、しゃべりづらくなったりします。見た目が綺麗でもしゃべれない、食べれないでは治療した意味がないですから。

そのため、咬合が開口状態(過去に指しゃぶりなどで、上下の前歯が閉じない状態になっている)になっている患者さんの顎関節をチェックすると、かなり高い確率で顎関節症に罹患しています。私は将来の事を考えて、矯正をお勧めいたします。お近くの歯医者さんへ相談してみてください。

2008年8月27日 (水)

歯の生命線を知っていますか?

本日は、花田先生、井田先生、野邑先生の共著である「むし歯・歯周病」よりお届けいたします。

歯の生命線を知っていますか?

問題になるのは、象牙質に出来た虫歯が歯髄に近くまで迫っているときです。感染した象牙質を出来るだけ確実にとろうとすると歯髄を痛めてしまいます。

「神経をとりましょう」と歯科医にいわれるのはこんな時です。神経というのは歯髄のことです。

麻酔をして歯髄を取り、歯髄のあった空洞を埋めてしまう処置をすると、費用もあまりかかりませんし、治療にも時間がかかりません。

しかし、問題があります。

歯髄は歯の組織に栄養を送り、必要に応じて歯の内側から象牙質をつくる働きをしています。歯髄を取り除いてしまうと象牙質の細胞は死んでしまいます。歯はもろくなり、歯の寿命を縮めてしまうことになるのです。

歯髄を活かしたいのですが、それはたいへん難しいことです。

そこで、こういう場合には、感染した象牙質をある程度まで削って、そこに薬を詰めておき、数ヶ月まちます。その間に象牙質が硬くなり、歯髄の内側にも新しい象牙質が出来ます。それからもう一度掘り返して処置をします。

このように出来るだけ歯髄を残す治療をした方が、長い目でみると歯を守る治療になるのです。

時間がかからなくて、すぐに痛みがとれる治療がいい治療とは限らないのです。歯髄を取ると言うことは、歯を死なせることです。

参考文献 むし歯・歯周病~もう歯で悩まない~ 花田信弘 井田亮 野邑浩美 共著 小学館 

2008年8月19日 (火)

歯科のX線(レントゲン)撮影は本当に安全?

本日は、徳島大学歯学部創立30周年記念出版「なるほど現代歯塾」よりお届けいたします。

歯科のX線(レントゲン)撮影は本当に安全?

◇歯科のX線撮影も危険?

歯が痛くなると歯科に行きます。そこでは、必ずといってよいほど歯のX線(レントゲン)写真をとります。けれど、「体に害を及ぼす危険なX線を浴びて本当に大丈夫なの?」と疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?

X線を浴びると、毛が抜けたり、失明したり、がんになってしまうのではと不安に思っていませんか?

戦時中に広島や長崎で、不幸にも原爆による放射線を浴びた人の中には、そのようになってしまった方がたくさんいらっしゃいます。たくさんの放射線を浴びたほとんどの方が亡くなってしまいました。

X線も放射線の一つなので、浴びれば体になんらかの異常が現れるはずです。けれども皮膚が赤くなる、毛が抜ける、失明するといった症状は、確定的影響といわれ、ある程度以上のX線(しきい値)を浴びないと絶対に起こりません。

歯のX線撮影では、最大でも1回、約5ミリのシーベルト(X線の単位)です。「皮膚が赤くなる」というのが最初の症状なのですが、これは2シーボルトで起こります。つまり続けて約400回の撮影ということになり、歯のX線撮影ではこのような事は絶対に起こりません。

白内障では5シーボルトがしきい値ですから、千回ということになります。また、撮影後に時間が経つと回復が起こるので、一生のうちで400回撮影しても安全です。

一方、放射線を浴びると、がんになるといわれています。。放射線による発がんは、確率的影響といわれ、しきい値がなく、浴びた量に応じて、がんになる確立が高まってきます。歯のX線撮影を1回行うと、そのうちの一人がそうなるということを意味しています。個人単位で考えるならば、無視することができるくらいのものです。

妊娠している場合は?

妊娠している場合はどうでしょうか?胎児に影響が出るのは、胎児が100ミリシーボルト以上浴びた場合に奇形(小頭症)が起こります。歯のX線撮影では、そのような大きな線量はありえませんし、胎児に直接X線があたることもありません。

妊娠しているかどうか分からない場合はどうでしょうか?

着床前期(受精後9日まで)では、50ミリシーボルト以上で胎芽死亡が起こり流産しますが、これも歯のX線撮影で起こることはありません。しかし、胎芽や胎児が被爆することは望ましいことではないので、その時には鉛入りのエプロンを使用すればより安全です。

参考文献 徳島大学歯学部創立30周年記念出版「なるほど現代歯塾」 医歯薬出版

2008年7月31日 (木)

退化型の若者たち1

本日から2回に分けて、丸橋賢先生の「退化する若者たち」よりお届けいたします。

戦後日本人の顔が崩れた!?

敗戦直後の1947年から49年にかけてベビーブームがあり、その世代を団塊の世代と呼び、そろそろ定年を迎える年齢です。

団塊の世代の人々と、いま20歳の人々の顔を比較してみると、これが同じ日本人であるとは思えないほど形態が異なってしまっています。たった50年の間の大きな変わり様です。

顔を正面から見ると、下顎のエラが張り、丸くまたは四角い丈の短い寸づまりの概形は、驚くほど縦長となり、下顎のエラは細く、オトガイ(下顎の先端)にかけて尖った形となっています。それに加え、顔が鼻筋から下顎の先端(オトガイ)にかけて、左右どちらかに大きく曲がっている例が目立ちます。というより、鼻筋から下顎の先端(オトガイ)にかけて、左右のどちらかに大きく曲がっている例が目立ちます。というより、鼻筋からオトガイにかけてまっすぐで、左右対称の顔はあまりみられなくなっています。

横顔の概形にも大きな違いが認められます。下顎角という、下顎のエラの部分の角度が大きく開き、弓形、または三日月型となっています。その角度は団塊の世代では100度くらいで、直角に近く見えたのですが、退化型の若者の下顎角は120度にもなっています。

私が問題視するのは、短い期間にこれほど激しい形態の変化を見せているのは、世界中で日本だけの特異的な現象である、ということです。

さらに、縦長で横から見た顔型が三日月型の退化顔の若者には、体力、気力の低下ばかりではなく、頭痛、肩こり、めまい、吐き気、手足の痺れなど、強い不快症状あつきまとおう例がほとんどなのです。

最近の日本人の活力や持久力の低下、学力低下、不登校やニート、非行の増加などの根底には、このような、退化という近年の日本人の生物学的異変があると思われるのです。

◇進化により獲得してきた形態

あらゆる生物の多様な形態には、それぞれ明確な理由があります。必要とする能力を獲得するために何十万年、何百万年をかけて、繰り返して体を使い、獲得してきたのです。

魚は泳ぐために、鳥や蝶は飛ぶために、猛獣や草食動物は歩き走るために、現在の形態を獲得してきたのです。

体の細部にいたるまで、形態は合目的的であり意味があるのです。

キリンやダチョウは遠くまで見渡し、敵や餌を発見するために長い首を持ち、広範囲を視野におさめる目を持ち、速い脚を獲得しています。しかし、ライオンのように、狩りをするための太い脚や爪、牙などはもってはいません。反対にライオンは長い首を持っていれば目立ち、獲物に逃げられるので首は短く、獲物を襲う目的で太く強力な脚、爪、牙を獲得しています。

歯や歯列、顎骨などの形態、腸などの消化器の形態まで、食性にかなったものとなっているのです。

人間は大まかにいえば猿、猿人、原人の進化の過程を経て、ヒト(ホモ・サピエンス)となる道を歩んで来ました。森から草原に出たことが立ち上がるきっかけと言われますが、立ち上がることにより遠くを見る視力を獲得し、一方、自由になった手を活発に使うようになり、その刺激によって脳容量を増大させてきました。

立ち上がることは四肢で体を支えるのとは違い、重力に逆らって直立し、行動し、物を持ち上げなければいけません。そのため、しだいにヒトとしての脊柱(背骨)やそれを支える筋群を発達させてきました。

私たち人間の体も、他の生物と同様、長い歴史を経て、必要性によって現在の形態を獲得してきたことをまず理解しておきたいのです。決して理由無く出来た形態ではなく、その形態なくして必要性を満たすことが出来ないのが生物の形態なのです。

明日へ続きます。

参考文献 退化する若者たち 丸橋賢著 PHP出版

2008年7月27日 (日)

歯の崩壊パターン

本日は、野田先生の著書「歯周病で死ぬのはイヤだ!」よりお届けいたします。

年をとるほど、歯のエナメル質は成熟し、虫歯は出来にくくなります。ところが、35歳を過ぎたあたりから歯周病にかかり、歯肉が下がって、歯の根元が露出するようになります。

また、間違った歯磨きの仕方によって、歯肉が下がるケースもあります。これは、力を入れすぎて、歯肉を傷つけてしまうからです。

いったん下がった歯肉は、元に戻すことは出来ません。歯周病の兆候に気が付いたら、とにかく早めに治療を受けて、歯肉が下がるのを止める努力が必要です。

また、あまり知られていなののですが、噛み合わせによる歯肉の打撲も問題になります。ここで簡単に説明すると、年を取って歯肉が衰えると、自分の噛む力で歯肉が打撲するようになります。高齢社会に入り、歯肉の打撲傷で受診する方は増えていますので、注意が必要でしょう。

次ぎに、その典型的なパターンについて記します。

Ⅰ 十代 小学生の頃、お母さんに手を引かれて来院、虫歯治療

Ⅱ 二十代 以前に治した歯が痛み出し、歯医者に行くと、神経を取られて銀歯に

Ⅲ 三十代 被せた銀歯が痛くなり、歯医者に駆け込むも手遅れで抜歯。さらに隣の歯を削  ってブリッジに

Ⅳ 四十代 ブリッジが脱落したので、もう一度作り直してもらいたいと来院。ところが、ブリッジを支える歯が崩壊しており、やむなく抜歯。ついに部分入れ歯となる。

Ⅴ 五十代 最近、歯がぐらつくので歯医者に行くと、歯槽膿漏との診断。手の施しようななく、抜歯。欠損部分をブリッジや部分入れ歯で補うも、長持ちせず、次々と抜歯。

Ⅵ 六十代 歯科受診のたびに抜歯を繰り返し、そのたびに入れ歯を作り直し、口腔内の大半を入れ歯が占領する

Ⅶ 七十代 ついに総入れ歯

自分の歯がボロボロになったころに死期を迎えられればいいですが、高齢社会では、そういう思い通りにはいきません。結果、治療の苦労に加えて、自分の歯がない歳月を不自由に過ごさねばなりません。

日本人の歯科治療にたいする認識が現状のままでは、相変わらず悪環境を続けることになるでしょう。何とかしてそれを断ち切らねばいけませんし、少なくとも次世代にはそれを断ち切ってもらいたいものです。

参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 野田隆夫 野田雅代 共著 光人社 

2008年7月 1日 (火)

親知らずは本当に抜かなければだめか?

本日は、清水敏之先生の著書「見えないから怖い口の病気」よりお届けいたします。

親知らずは本当に抜かなければだめか?

基本的には、きちんと生えていないものは抜いた方が無難です。特に女性は妊娠中に症状が出現すると本当に厄介です。

ただ症状もなく、特に大きな予定がない方ならば、今年抜いても、来年抜いても、予後は変わらないという程度のものです。

症状が一度もでなくて完全に埋まっている時は様子を見るという選択肢もあります。

矯正治療の時、症状が一度でも出たとき、親知らずの頭が一部出ている時は抜歯をお勧めいたします。ここで大事なのは抜かないと決めた時の予後をしっておくことです。親知らずは細菌に感染しやすいところなので、感染すると膿みがたまり大きな炎症になることがあります。すごく痛みが出れば抜こうと決心する助けになりますが、抜くのとあわせて二回痛みを感じなければなりません。しかし、気持ちの上では納得できます。

また非常にまれですが、親知らずの手前の大臼歯が感染しやすくなり、むし歯になって2本とも抜かなければならなくなるケースがあります。10年、20年平気で無症状で経過することもありますが、高齢になって抜くのも、また大変です。

基本的には患者さんの決めることですが、私が相談をされた時は矯正治療など他の治療目的がなく、症状が一度もなく、レントゲン所見で完全に骨に埋まっている時は「様子を見てもいい」と説明します。

以下は抜くと決めた方への注意事項ですが、その他の外科的処置にも応用できますので参考にしてください。

*親知らずを抜く方へ

親知らずは体の中で一番大きな歯の一つです。骨の中に埋まってしまっている親知らずを抜く場合は抜く歯をまずバラバラにし、その手前の歯を保存しながら抜歯します。(通常手術は40分程度かかります。)また、骨も手前の歯を保存するために一部削りますので、必ず腫れます。喉が痛くなったり、口が開けにくくなったり、肌が変色することもありますが、七日から十四日でほぼ消えるので心配いりません。(腫れても冷やさないでください)

まれに、下顎の神経の麻痺が出現することがありますが、ほとんどの場合は数ヶ月で改善していきます。しかし、中には改善しないこともあります。

術後は口の中にカサブタが出来て次第に治癒しますので、たばこ、酒は控え、体を安静にしてください。七日程度は無理をされるとカサブタが出来ずに激しい痛みが出現することがあります。また、術後、唾液に血が混じることがりますのが特に心配はありません。ただ、たばこを吸う場合は四、五日続くこともあります。麻酔が切れるころ少し出血する傾向がありますので、心配な方はガーゼなどで30分から1時間しっかり圧迫してください(食事はしっかりとってください)

*投薬に関して

痛みが出た時。我慢出来るようでしたら痛み止めは服用しなくても構いませんが、化膿止めの薬は毎回規定どおり正しく服用してください。特に注意すべきことは薬のアレルギーで、湿疹、強い下痢などの症状が出現した時は必ず服用を中止してください。

*通院は抜いた次の日の消毒と一週間後の糸抜き、その後状態により二、三回の消毒通院が必要です。

参考文献 見えないから怖い口の病気 清水敏之著 早稲田出版

2008年6月28日 (土)

歯肉の腫れや出血はほっとけない

本日は、花田信弘先生、井田亮先生、野邑浩美先生の著書よりお届けいたします。

痛くもかゆくもないのに、歯の根元では歯周病が始まっています。

歯周病は、歯を支えている骨、歯槽骨が溶けてなくなってしまう病気です。痛くもかゆくもないので、気づきにくいのが厄介なところです。

「歯ブラシで磨くと血がでる」、「歯肉が腫れている」程度のところで気がつくと、治療も比較的簡単ですので、ちょっとおかしいな、とおもったら迷わず歯科医に行きましょう。

歯周病の治療も虫歯の治療を同じように、検査から始まります。まず、歯周ポケットの検査(ポケットプロービング)をします。

歯周ポケットとは、歯と歯肉の間のすきまです。ここが歯周病の発生場所です。歯と歯肉がぴたっと着いていれば、ポケットは出来ないのですが、もともと1mmぐらいの歯肉溝というすきまがあります。これが、歯周病のために30歳代半ばぐらいから徐々に隙間が開いてくるのです。

3mm以上の隙間が出来ると、炎症が起き、出血します。歯周病が始まっています。ポケット診査ですが、中の歯垢をキレイに取り除き、歯肉の腫れがおさまってから、細い針のような器具を歯と歯肉の隙間に差し込み、歯周ポケットの深さを測り、出血のあるなしなど歯肉の状態を調べます。

それともう一つ重要なのは、X線検査です。歯を支える骨に変化がないか調べます。歯周病が歯の根元ですすむと、歯を支えている歯槽骨が、自分にも害が加わることを恐れ、退却していくと思ってください。

この歯槽骨が減っていないかを調べるのがX線の検査です。

歯周病は誰にでも起こる病気です。早期発見があなたの歯を救います。

参考文献 むし歯・歯周病 ~もうむし歯で悩まない~ 花田信弘 井田亮 野邑浩美共著 小学館

2008年6月21日 (土)

虫歯の進行具合と症状

本日は、青山健一先生の著書「よくわかる家庭の歯学」よりお届けいたします。

●虫歯の進行度合いと症状

C1

エナメル質に限った虫歯の事です。以前は「早期発見・早期治療」を謳い文句に、この程度の虫歯でも治療していました。今ではC1は治療すべきではないという考えかたに変わってきています。というのも、虫歯の自然治癒力がないと考えられていたのですが、エナメル質に限っては、再石灰化によって虫歯が治癒できるのです。とくにフッ素を使用する人に、再石灰化が起こりやすいので、削って治すのではなく、フッ素を使って再石灰化すかどうか経過を見ていくべきです。

ちなみに、エナメル質には神経が通っていないので、痛い、しみる、といった自覚症状はまったくありません。

C2

虫歯が象牙質まで達した虫歯の場合です。象牙質は、エナメル質と違って、再石灰化も起こさず、硬さも5~6倍柔らかいので、あっという間に歯の神経に到達してしまいます。

この状態でなるべく早く治療をしなければなりません。象牙質の虫歯も深くなると、痛みやしみるなどの自覚症状が出てきます。とくにデンタルフロスを使っていない人は、歯と歯の接点(コンタクト)から虫歯になり、本人が気づかないうちに虫歯が進行する場合が多いのです。

C3

歯の神経にまで虫歯が到達すると、常時の激痛になります。ここまで虫歯が進行すると、歯の神経を取り除かなければなりませんが、いったん歯の神経を取ると、その後その歯は、血液の循環による栄養を補給できなくなりますので、年々弱くなっていきます。そうしていつかは枯れ木と同じようになってしまいます。

ですから、C2の段階までのうちに早めの治療を受けることが大切です。

C4

虫歯に感染している部分を取り除いて、歯肉の上から歯の見える部分がほとんど無くなり、歯の根元だけが残っている状態です。虫歯が歯肉にまで達してしまうと、このC4の歯はもう抜歯になってしまいます。

早期治療が歯の寿命を縮めるとき

従来の歯科治療では「早期発見。早期治療」が常識的な方針でした。しかし、今ではフッ素の普及や定期的な健診により「早期発見、定期検診」が効果的だというスタンスになってきました。

歯の表面の最も硬い部分のエナメル質に限定した虫歯では、早い時期から削って治療することは逆に歯の寿命を縮めることにもなりかねないのです。

しかし、エナメル質は人間の体の中で最も硬い部分であり、虫歯の進行もとても遅く、数年たってもたいした進行がないこともよくあります。

それを歯科医院で簡単に削って詰め物をするために、虫歯より大きく削ってしまうと、数年かけて進む虫歯の進行を、一瞬にして数年分を削ってしまうことになるのです。

エナメル質の下にある象牙質はとても軟らかく、虫歯の進行が早いので、象牙質まで進行している虫歯は「早期発見、早期治療」の対象になります。

患者さんの立場のなると、自分の虫歯がエナメル質に限定したものなのか、それとも象牙質まで進行した状態なのかは、自分で判断することは難しいと思います。

歯の表面が黒っぽくなっているぐらいの虫歯は、エナメル質に限定していますので、削ってまで治療する必要はありません。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年6月17日 (火)

ジルコニア

本日は、加藤大幸先生の著書「よくわかる歯科インプラント治療」よりお届けいたします。

ジルコニア

医療の現場では、2年おきくらいに新しい技術が導入され、大きなイノベーションが起きています。そのなかには、医療メーカーや製薬会社が売り込みをかけて大々的に発表するものがありますが、本当に使えるものはごくわずかなのです。

しかし、発表当時は全くダメなもの、それから2年も経つと先例されて使えるようになってきます。たとえば、型どりした歯型をコンピュータで三次元的に読み込んで機械で人工歯を作る技術、CAD/CAMがあります。当初は適合も悪い上にコストも高く、とても使える代物ではありませんでした。しかし、3年ほどまえからアメリカで徐々に普及してきて、あっという間に技術革新されました。

日本でも2006年11月に薬事法の認可が降りて、本格的にCAD/CAMを使った治療が始まりました。現在では工作精度も上がり、歯科技工士が造る補綴物(人工歯)と遜色ないレベルにまできていますし、人工ダイヤモンドであるジルコニアを使った人工歯も作れるようになっています。

ジルコニアの利点は、金属をまったく使うことなく、天然歯と遜色のない審美性を持った材質であることです。もちろん強度も強く、理想的な材料といってよく、身体に害がなく、生体親和性に優れたジルコニアは、今後の歯科治療を変えていくでしょう。

私のクリニックでも昨年からジルコニアを使った治療を開始していますが、非常に扱いやすく、しかも見た目も美しく、納得の行く治療が可能です。

まず型どりした歯型を専用の読みとり機でデータ化し、その情報だけをスウェーデン工場(現在は幕張にアジアの拠点が出来ました。)にメールで送信いたします。そうすると一週間くらいでジルコニアの人工歯の土台が出来上がってきます。

それを噛み合わせや歯の色のチェックをしながら仕上げて行くのですが、型どりから仕上げまで2週間もあれば完了です。将来的にはCAD/CAMで治療するのが当たり前になるでしょう。

ジルコニアクラウンとは、金属を一切使わない修復システムで、生体親和性と優れた審美性を追求する治療法です。

ジルコニアは審美的な白色を有しているだけではなく、生体親和性においてもすぐれ、医療分野で人工関節の球状骨頭部などに既に20年近く用いられています。

またスペースシャトルの断熱保護材やF1のブレーキディスクなどにも使用され、過酷な状況下での耐久性も証明されています。

今までのオールセラミッククラウンではどうしても強度的に弱く、せっかく治療したのにも関わらず割れてしまうことがありました。ジルコニアは人工ダイアモンドやセラミック包丁などに使われている材料で、通常のセラミック強度よりはるかに硬く、強靱で科学的に安定した物性を持っていますが、あまりにも硬すぎるために加工が難しく、今まで歯科治療に使うことが困難だったのです。

しかし工業界では一般的になってきたCAD/CAMという技術を使い、ジルコニアの塊(インゴット)をコンピュータで切除しえ作ることが可能となったのです。

今までは工作精度に問題があり、治療に使えるようなものではありませんでしたが、近年CAD/CAMの技術が進化して、現在では30ミクロン以下の適合も可能となり、技工士さんが手作業でつくる金属クラウンと遜色ないレベルに達しています。将来的にはインプラントを除くすべての人工歯がジルコニアに移行していくと思います。

現在、私のクリニックでもジルコニアクラウン・ブリッジを使用した治療を行っておりますが、透明性が高く、口腔内では天然歯ととものバランスのとれた自然な印象を与えることが出来ます。

歯を作り出す歯科技工士はとても過酷です。ひとつひとつハンドメイドで丁寧に仕上げられるのですが、彼らは毎日徹夜を覚悟で、応えてくれているのです。CAD/CAMが、彼らの過酷な労働条件を少しでも軽減してくれれば、技工士さん達のストレスも軽減されるでしょう。 722

イギリスには「ビスポーク」という言葉があります。721_12

お客さん一人一人にあった型を元に、革靴や服をつくるシステムの事です。昔は当たり前のように行われていたことですが、現在では限られた一部のセレブのための特別なサービスとなってしまいました。

例えば、ビスポークで靴を作るとだいたい50万円くらいします。こんなに高いの?と思うかもしれませんが、ビスポークは最低でも2足は作るのです。そして、一足目で当たりが強いところをや履き心地をチェックして、その靴を捨ててしまいます。もったいない事ですが、そうして出来上がった靴は靴擦れもなく、手入れを怠らなければ一生ものなのです。価値あるものはそれなりに高価なのです。

将来、歯科クリニックに行くと、「ビスポークにしますか?それとも機械で作りますか?」などと聞かれることになるかもしれません。

参考文献 よくわる歯科インプラント治療 加藤大幸著 現代書林

2008年6月 6日 (金)

口内炎はあぶない

本日は、名古屋大学医学部口腔外科学講座教授 上田実教授の著書「咀嚼健康法」よりお届けいたします。

口内炎はあぶない

口のなかにはさまざまな病気が出来ます。なかには癌のようなきわめて危険な疾患もあります。代表的な口腔癌の舌癌は、観察しやすい場所にできるにも関わらずなぜか発見が遅れることが多いのです。

我々の病院を訪れる患者さんで、大都市に住み、多くの医療機関に囲まれて暮らしているにもかかわらず、進行舌癌になってから来院する人は珍しくないのです。舌癌がなかなか発見されない理由は、患者本人に知識が不足していることもありますが、歯科医や医師が見過ごしたケースも少なくないのです。

患者さんが口の中の異常を医師に訴える時、ほとんどの人が「口内炎です」といいます。その結果、カルテ上でも口内炎という診断名になってしまいます。これは患者さんが内科に行って「風邪を引きました」と自己診断して風邪薬をもらってくるのと同じ事であります。口内炎という病名は、患者さんにとっても医師にとっても安心出来る病名なので無意識に受け入れられてしまうものかもしれません。

かくして、初期の舌癌は確定診断が得られないまま放置され、進行癌になるのです。

参考文献 咀嚼健康法~脳と体を守る~ 中公新書

2008年6月 5日 (木)

こんなに大切な噛み合わせ2

昨日の続きです。本日も宮田隆先生の著書よりお届けいたします。

噛み合わせと歯周病

歯根膜ですが、最近になってその驚異的な役割と機能が明らかになってきました。後で詳しくお話しますが、失われた骨を再生する夢の治療方法の原理もこの歯根膜にあります。

また歯根膜は噛む力を上手に分散する「ショックアブソーバー」の役目もあります。このしょっく・アブソーバーはセンサーも兼ねていて、私たちが「歯ごたえがいい」とか「歯触りがいい」などと食べ物の味わいを表す言葉にもありますように、噛むことで食べ物の個性を瞬時に判断することも出来ます。つまり、私たちがおいしく食事が出来る「感触」を歯根膜が果たしているのです。

さて、歯周病は「付着の喪失」を伴う感染性炎症疾患である、とお話しました。付着の喪失というのは、要するに歯を支えている骨が無くなっていくことですが、同時に歯根膜も失われます。それは歯根膜が骨から歯に向かって供給されているので当然のことです。

「付着の喪失」が無ければ、歯根膜は100%の量で歯を支えることが出来ます。ですから、歯はびくりともしませんし、何の違和感もなく(虫歯や知覚過敏があったら別ですが)噛むことが出来ます。しかし、歯周病が進行して、例えば骨が半分くらいなくなったら歯を支えている歯根膜の量も半分になってしまいます。

それでは、実際に1本の歯にどのくらいの負荷がかかるのでしょうか。ブラウムという学者が詳細な実験をして、6~8歳で78ニュートン、20歳程度で176ニュートンの力が加わることが明らかになりました。

また、25~40歳ぐらいの健康な成人が噛む力では最大となり、200ニュートンくらいあると考えられています。

ニュートンという単位は、私たちにはあまり馴染みがありませんが、「1キログラムの質量をもつ物体に1メートル毎秒の二乗の加速度を生じさせる力」と定義されています。ニュートンはまた重量の単位でもありますので、地球表面において質量1キログラムの物体の重量は約9.81ニュートンで逆にいえば、質量9.81-㎏(約101.94㎏)の物体は約1ニュートンの重量をもつことになります。したがって子供達で約8キロ、大人だと約18キログラムの力が1本の歯に加わる事になります。

ですから、健康な成人で28本の歯がすべて揃っているとすると、約5.600ニュートンつまり、570キログラム強の力で噛んでいることになります。

もちろん、前歯や奥歯では力の差が違いますから、あくまで理論上の話しなのですが、いずれにせよ人が「ギュッ」と思い切り噛むと500キログラム近い力になることになります。

成人で28本の歯の歯周組織すべてが健康とした場合、1本の歯への負担は200ニュートンとなり、全部で5.600ニュートンになります。もし歯を失ったとすると、その最大の力を維持するには1本の歯にどの程度の負担がかかるかをシュミレートしたとすると、例えば、8本の歯を失うと約倍の400ニュートンの負荷が1本の歯に加わる事になります。もちろん、これは理論的な推論で実際にはこのようにはなりません。しかしすくなくとも歯を失うことによって残っている歯に大きな負担がかかることには間違いありません。

参考文献 歯周病の本当に怖い話し 宮田隆著 医歯薬出版 

2008年6月 4日 (水)

こんなに大切な噛み合わせ1

今回から、何回かに分けて宮田隆先生の著書「歯周病の本当に怖いわけ」よりお届けいたします。

歯周病はお口の中を清潔に保っていれば、進行を遅らせることができるのでしょうか?残念ながら答えは「ノー」です。

歯周病の進行は感染性の炎症と「力」による、と専門家は考えています。「力」とは、私たちが毎日物を食べる「噛む」という行為そのものです。

実は私たちが食事に費やす時間、つまり物を食べるために噛む時間というのは意外に短いのです。もちろん個人差もありますが、本気で噛んでいる時間はせいぜい数十分ではないでしょか。

「良く噛んで食べる」という本に面白い記述があります。学生達に弥生時代から平安、鎌倉、江戸の初期、後期、そして昭和10年代を経て現代までの7つの時代の代表的な食事を与えて、どのくらいの回数を噛み、そしてそれぞれの食事に費やした時間を調べてみたそうです。

その結果、弥生時代の食事は3990回で51分も時間を費やしたそうです。その後、噛む回数は減ってきていますが、それでも千回以上は噛み、食事に費やす時間も多少ばらつきがあるものの15分から30分くらいかけていたそうです。

ところが、現実は実に620回、わずか11分で終わってしまうのだそうです。それだけ、食べ物が軟らかくなった、ということなのでしょが、問題はカロリーです。現代は過去のおよそ倍のカロリーを摂っているのです。噛む回数も食事の時間も昔の半分くらいで摂取カロリーだけは倍。この本の著書、斉藤滋氏はそんな日本人の噛まなくなった傾向を警告しています。

噛み合わせと歯周病

逆に考えると、現代日本人は噛まなくなったのだから「力」の影響は少ないのでは、と考えるのが普通ですが、実はそうではありません。食事の時に噛むのは一日のうちそう長い時間ではありませんが、むしろ、睡眠中とか無意識で噛んでいる方がはるかに長いのです。

それが顎の関節や筋肉に異常が出る「病的」な状態になると「ブラキシズム」や「顎関節症」といった病名が付きますが、ほとんどの方はそんな障害を与えたことがあるのです。

歯と歯周病組織の事をもう一度おさらいしておきましょう。歯は骨の中に埋まっています。厳密にいうと、もともと骨の中にあった歯のオリジナルが成長するのに従って外に飛び出てきた、といったほうが正解でしょう。それ「萌出」といいます。そして、歯を外に押し出すネットの役目をしていたのが歯根膜と呼ばれる細い繊維です。

ある年齢に達すると歯はしかるべき所まで外に出ると萌出をやめます。ちょうどその場所が、前にお話しした歯冠と歯根を分けるセメント・エナメル鏡といわれる部分なのです。そして、歯を押し上げていたネットは、今度は歯を取り囲むように骨と歯を結んでしっかり繊維で固定します。ですから、歯は骨と直接くっついているのではなく、繊維を介在して安定を保っているのです。

明日はこの歯根膜の続きからです。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 宮田隆著 医歯薬出版 

2008年6月 3日 (火)

“YouTube”で受診行動を促進

今回は、デンタルトリビューン紙2008年6月号よりお届けいたします。

“You Tube”で受診行動を促進~歯科診療所の新たな広報戦力~

(ドイツ)歯科医院を訪れることを考えるだけで恐ろしいという患者さんがいます。このような反応を引き起こしているものは、扁桃体と呼ばれるアーモンド形をした脳の器官です。この器官は、危険の可能性を感知すると、身を守るために逃走反応を引き起こすよう、その情報を一連の神経経路に伝えます。

全世界で患者の5~15%が歯科恐怖症であるとの調査があります。そのため未治療の齲蝕や歯周病が全身の健康状態に深刻な影響を与えかねないにも関わらず、治療を受けられないでいます。

歯科診療の解説ビデオをyou tubeに掲載

最近の歯科恐怖症患者専門のクリニックでは、歯科医師とともに精神科医が治療に参加し、患者が通常の歯科治療を受けられるよう、恐怖と不安をコントロールする技術を提供しています。

米ペンシルベニア州の歯科医師Jerry Gordon氏も同様の戦略を用いています。さらに同氏は自身のウェブサイト、そして翌年には“you tube”に映像コンテンツの掲載を始めました。

you tubeは、2006年に16億5.000万円ドルでグーグルに買収されたきわめて人気の高い動画共有サイトであり、世界中のユーザーが投稿したビデオ映像をいつでも閲覧することが出来ます。

同氏のビデオは地元の制作会社、Swamp Queen Production社によって制作されており、根菅治療や抜歯、そのほかエアーアブレージョンや審美歯科治療の処置法などの臨床ビデオに加え、無痛治療や歯科恐怖症の解説をいったトピックも扱っています。

同氏は、「よいウェブサイトは、患者が診療所を選ぶための判断材料になりうる」というのが持論だと述べ、「自分の仕事を自分の町に人ばかりではなく、世界中の人たちに見てもらえることは非常に感動的です」と語っています。

系統的脱感作法の一手法として

“Dr.90210”や“The Swan or Extreme Makeover”などの形成外科医の仕事とプライベートを描いたテレビ番組とその台頭とその人気に伴って、人々が実際の治療の様子を目にする機会が増えています。

Gordon氏は「私の臨床ビデオがすべての歯科恐怖症患者のためになるとは言わないけれど、メリットがある患者もなかにはいるはずです。この方法は、行動心理学ではよく知られている方法で、系統的脱感作法または段階的曝露療法ともいわれています」と説明します。

つまり、歯科恐怖症の処置の様子や器具を目にすることによって、歯科治療の環境に慣れることによって恐怖心が薄まる効果を期待しています。

you tubeを利用した同氏の活動は、多くの反響を招いており、ニューヨーク・タイムズ紙やインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙、ボストン・グローブ紙に掲載されました。その影響は大きく、Gordon氏によると「ニューヨーク・タイムズ紙でビデオを見たという患者が、根管治療のためにニューヨークから約100マイルも離れた私の診療所まで来院してくれた事もありました」とのことです。

同業者からの反応はsわまざまで、「ビデオについて少しけちをつけていた歯内療法医が何人かいる一方で、こうした手法を気に入り、コツを聞いてくる歯科医師もいました。なかでも、根管治療が必要な歯科恐怖症の患者がビデオのおかげで治療を受けることが出来たという声があったのが一番嬉しかった」と同氏は話します。

そのほか、you tubeでビデオを見て、引退したアメリカンフットボール選手の治療など同氏が取り組んでいるほかの診療について連絡をしてきた歯科医師も何人もいたといいます。

同氏は、「You tubeにビデオを公開することによって、私が行っていることを知ってくれる方の範囲がずいぶん広がりました」と活動の効果を話し、「私のビデオを見ることが、少しでも歯科医師や歯科治療への恐怖心を克服するのに役立っています」と述べました。

2008年6月 1日 (日)

入れ歯相談所1

今回は、佐藤満先生の著書「入れ歯相談所」よりお届けいたします。

悩み1 口をあけると上の入れ歯が外れてしまいます。

口をあけるたびに上野入れ歯が落ちてきます。いつも外れてしまうのか心配で、口を大きくあけることも出来ません。話すことも食事も落ち着いて出来ません。どうすれば良いのでしょうか?

解決法

患者さんにとって最悪の入れ歯は口をあけると落ちてくる入れ歯であることはいうまでもありません。落ちてくる理由としては5つの原因が考えられます。入れ歯の大きさ、厚さ、噛み合わせ、歯の位置、歯肉との適合です。

まず大きさですが、入れ歯の縁が長すぎる場合です。口を閉じている状態と開けた状態とでは筋肉の動きで頬の粘膜の一番深い位置が変化します。そのため長すぎると口を開けた時に頬の粘膜に押し上げられて、外れる力が加わります。

入れ歯の縁が厚すぎる時も、同じように頬の粘膜の動きに影響されます。これは指を入れてみるとすぐ理解して頂けると思います。頬と歯の間にあるくぼみに指を入れてみてください。閉じた状態から口を開けると指が頬に押されるのがわかると思います。これが厚すぎたら外れる理由です。

次ぎに噛み合わせです。左右均等に噛み合っていないと入れ歯は安定しません。ゆっくりと上の歯と下の歯を合わせてみてください。どこか先にあたる歯や滑りながら噛み合ったりしていませんか?もしそうなら噛み合わせの調整が必要となります。

歯の位置も重要です。特に前歯ですが、前の方に並べられている唇の力によって押さえつけられると外れてしまいます。入れ歯は患者さんの口をかたどった模型で造られますが、そこに唇や頬などは存在しません。したがって入れ歯を造っていく段階で歯を並べるのにちょうど良い場所を患者さんと一緒に探っていかなければならないわけです。

最後に適合性です。入れ歯と歯肉がどれだけぴったりと隙間なくくついているかです。ぴったりしていたら吸着力が働きます。ちょうど吸盤がくっつくのと同じように、歯肉に入れ歯が吸い付き落ちなくなります。適合が悪いと吸着力が働かず簡単に落ちてしまいます。

以上のような原因があると入れ歯は外れやすくなります。入れ歯は本来あるべき位置におさまらなければなりません。その位置をデンチャースペースといいます。技術的にも非常に難しいのですが、頬に寄りすぎず、舌に寄りすぎず、ちょうどぴったり収まる位置を見つけて入れ歯を造っていかなければなりません。

参考文献 入れ歯相談所 佐藤満著 ブイツーソリューション・星雲社

2008年5月28日 (水)

虫歯で死ぬこともある

本日は、野田先生の著書「歯周病で死ぬのはイヤだ!」よりお届けいたします。

虫歯で死ぬこともある

あるサラリーマンの方の歯肉が、腫れるようになりました。しかたなく歯科医院を訪れたところ、歯肉を切開して膿みを出したそうです。帰宅後、急に熱が出てきて、しかも悪寒と胸の痛みを訴えて立つことが出来なくなりました。慌てて救急車を呼んで病院に行きました。

原因は、歯肉の血管から入った細菌が、肺にまわった結果の肺炎でした。しかも、もし体力が落ちていたり、ほかになにか持病でもあったら、命も危なかった、と医師にいわれたそうです。

本人は、まさか菌が原因で命の危険にさらされるなんて思いもしなかったよ、歯を軽くみていたな、と反省しきりでした。

また、平成19年3月12日の産経新聞には、黒人の少年が虫歯で死亡したという記事が載りました。「米メリーランド州で先月末、12歳の貧しい黒人少年が虫歯を悪化させ死亡した。貧困差が最低限の医療さえ受けられない格差社会の現実を浮き彫りにした。デーモンド・ドライバー君は今年1月、ひどい歯痛を母親に訴えた。病院に運び込まれた時虫歯の黴菌が脳にまわっていた。二度の手術を受けたが、先月25日に死亡した」(ワシントン=渡辺浩生)

さらに、高齢者の方では、次のようなことが起こります。

右の下の奥歯が痛かったそうですが、たいしたことはないだろうと旅行に出かけました。旅先から帰ってきても痛みが治まらないため、歯科医院で抗菌剤を処方されました。

翌日、症状が悪化したため、内科へ紹介されました。内科では、点滴で抗菌剤を二日間投与しましたが、症状はよくなりません。そこで、総合病院へ転送されました。総合病院の検査では、未治療の糖尿病が明らかになりましたが、翌日敗血症ショックで亡くなりました。

このように、かくれ糖尿病などの持病をもつ場合、歯の病気は命に関わることになります。

*菌血症と敗血症

一般に、手や足に切り傷などが出来た場合、すぐに傷口を洗います。消毒薬がある場合には、薬を使って消毒します。

これは、細菌が傷口から入り、血管を通って体全体にまわらないようにするために行われます。

同様に虫歯菌や歯周病菌も、虫歯の穴や弱った歯肉を通して血管に入ります。症状が軽い場合、これを菌血症と呼びます。さらに、侵入した細菌が増えて、全身性の炎症反応を起こした場合を敗血症と呼びます。細菌は血管を通じて体の中の臓器に運ばれて、サイトカインストームと呼ばれる全身性の炎症反応を起こし、生理活性物質が身体中で大暴れして多臓器不全を起こします。

参考文献 歯周病で死ぬはイヤだ! 野田隆夫 野田雅代共著 光人社

2008年4月24日 (木)

歯科用麻酔は本当に安全か?

本日は、徳島大学編集の「なるほど現代歯塾」よりお届けいたします。

歯科の麻酔は本当に安全?

◇局所麻酔剤

歯科で使用されている局所麻酔は大変安全ですが、まれに局所麻酔をすることで、様々な合併症が起こることがあります。これら合併症の原因には、局所麻酔によるものとそれ以外のものがあります。

歯科で用いられる麻酔の注射液の中にはさまざまな成分が添加されています。歯科では、リドカインというアミド型の構造をもった局所麻酔薬が最も多く使用されています。

リドカインはアレルギーを起こしにくく、アレルギーの症例報告はほとんどないので、局所麻酔薬のアレルギーと思われている人の多くは、他に原因がある可能性があります。

そのほかに、局所麻酔剤の中には、防腐剤としてパラベン類が添加されています。パラベンは、化粧品、医薬品、石けん、歯磨剤などに含まれており、パラベンで皮膚炎などのアレルギー症状が出る人は、局所麻酔剤に対しても注意が必要です。

また、局所麻酔剤の中には麻酔が長い時間効くように、エピネフリンという血管収縮薬が添加されています。

麻酔注射の直後、エピネフリンの影響で動悸がすることがあります。狭心症や心筋梗塞など心臓に疾患がある人は、特に注意が必要です。

★心理的要因

歯科の治療、特に麻酔注射は痛くて不愉快なものです。恐怖心や不安感などが強い患者さんの場合、麻酔注射などがきっかけで気分が悪くなることがあります。最も多いのは神経原性ショックといわれるものです。麻酔注射をした時などに、急に気持ちが悪くなり、冷や汗が出たり、吐き気がしたり、力が入らなくなったり、目の前が真っ暗になりきが遠くなったりします。

この神経原性ショックは、口の周りに痛み刺激が加わることで三叉神経反射という自律神経反射が生じることが原因です。

不安や恐怖心は呼吸にも影響を与えます。歯科治療中に呼吸が激しくなりパニックに陥ることがあります。過換気症候群といわれ、激しい動悸がして、息苦しさを感じたり、手足が痺れてきたりします。ひどくなると意識がなくなります。

過換気症候群を防ぐには、静脈内に鎮静薬を注入して不安を軽減する方法が効果的ですが、β遮断薬も効果があります。

□麻酔の方法

歯科の局所麻酔の方法には、顎の骨の外側(歯肉)に注射をしてごく限られた部位だけを麻酔する浸潤麻酔と、神経の近くに注射をして広い範囲を麻酔する伝達麻酔があります。

まれにですが、浸潤麻酔では、注射部位に潰瘍などが出来ることなどのおもに局所的な合併症が、伝達麻酔では、口が開きにくくなったり、神経麻痺が生じたりなどの合併症が起こる危険性があります。

◇死亡事故

数はごくごく少ないのですが、歯科治療中にも死亡事故が報告されています。原因について正確なことは分かっていませんが、窒息が多いとの報告があります。

そのほかに、心筋梗塞や脳卒中発作、出血、異物(歯や金属のかぶせもの)の肺内吸引。縦隔気腫、空気塞栓などが報告されています。

参考文献 なるほど現代歯塾 徳島大学歯学部偏 富岡重正著 医歯薬出版

2008年4月14日 (月)

歯科恐怖症を克服

本日は、デンタルトリビューン紙2008年4月号からお届けいたします。

経口剤による鎮静法で歯科恐怖症を克服(米国)

不安障害に悩まされる人が増えている現在、歯科恐怖症の克服への注目も高まっています。米国立精神衛生研究所によれば、米国では毎年4.000万人が一つ以上の不安障害に罹患しているといいます。

過去の疼痛経験が歯科恐怖症と関連

全般性不安障害(GAD)から心的外傷後ストレス障害(PTSD)に至るまで、不安障害の重篤度は多様であります。歯科では近年、疼痛を軽減し、快適かつ迅速に処置を終えられる治療法が導入されつつありますが、歯科恐怖症の患者さんは、針やタービン(歯を削る機械)の事を考えただけで憂鬱になります。

幼少時に経験した、痛みを伴う歯科治療が恐怖の根元となっていると考えられます。患者の不安が現実のものであろうと想像上のものであろうと、彼らの感じている恐怖は現実のものなのです。このため治療が必要であっても、歯科医院から遠ざかっている患者さんは多いのです。このような恐怖から多くの人を救う方法として、経口剤による鎮静法を提供する歯科医院が増加しています。

経口鎮静法により不安感を除去

注射剤と比較して経口剤は管理や投薬が簡便であり、安全性も確認されています。経口鎮静法では、GADやPTSDの治療に広く使われていまるベンゾジアゼピン系の薬が使われています。頻繁に処方されるロラゼパムはパニック障害の治療で、トリアゾラムは睡眠導入剤として、そしてジアゼパムは不安障害や不眠症の治療によく使われています。

それぞれの用法、用量にしたがって歯科治療前もしくは1時間前に服用することで、患者さんはリラックスして快適に治療を受けられます。歯科医は、患者さんの精神状態や他の薬との相互作用を考慮して薬の種類や用量の変更、あるいは、診療時に処方の追加を行うこともあります。

さらに、経口鎮静法は不安感を取り除くだけでなく、不安を持続させる恐怖のスパイラルを断ち切るのにも有効です。患者さんは安心して、平静に歯科治療を受けることができるため、歯科治療を不快な経験ではなく、前向きにとらえなおすことが出来ます。

これにより、徐々に歯科治療に対する姿勢が変わってきます。また、1回の来院時に今までより多くの治療を実施できるので、来院回数を減らすことが可能になり、患者さんにとっても歯科医院にとっても都合がよいのです。

経口鎮静法を用いた歯科恐怖症の克服は、しばしば「リラクゼーション歯科診療」と呼ばれます。不眠症の治療に使われる薬剤を使用しますが、治療中に患者が意識を完全に消失するようなことはない。しかし薬剤によって意識レベルは低下させているため、患者さんは治療中の出来事をほとんど覚えておらず、術後の不安感や疼痛の記憶も軽減されます。

米国では、成人の30%が歯科医院での定期検診に行っていないと推計されます。経口鎮静法を利用すれば、恐怖心のために歯科医院に行けずにいる多くの患者さんが救われます。

2008年4月 7日 (月)

歯科金属アレルギーで、何が起こる?

昨日の続きです。本日も吉川先生の著書よりお届けいたします。

☆アマルガムは消えていくのか・・・・・☆

有機水銀中毒による水俣病のことは、読者の皆さんもよくご存じのことと思います。では、なぜ水銀を含むアマルガムという合金が、歯科金属として使われているのでしょうか。

これは、アマルガムに含まれる水銀は無機水銀だから安全だ、と考えられているからなのです。

実際、100年以上の歴史を持つアマルガム合金に対してはアメリカ歯科医師会、日本歯科医師会、厚生労働省が安全宣言を出していて、これを使用することは現在も歯科医療で選択される一つの方法として認められています。

もちろん、最近ではいろいろな歯科材料が普及してきましたので、審美的にも強度としても、アマルガムよりすぐれたものが使用されることが多くなってきました。しかし、かつてアマルガムはとてもよく使われていたのです。

歯科金属アレルギーの問題が「グレーゾーン」で問題になっているいま、「疑わしきは使用せず」の姿勢で、アマルガムを使用しない歯科臨床医も増えてきています。新しく治療する患者さんは、気になるようであれば、歯科金属の材料について積極的に質問するようにするとよいと思います。

アマルガムがアトピー性皮膚炎を起こす、あるいは本書(実際の参考文献で参照してください)の冒頭で紹介したアメリカの事例のように、神経に機能的な問題を引きおこすということは、実証できていません。しかし、アマルガムは自然淘汰されていく運命にあるようです。

歯科金属については、このようにきわめてゆっくりとした変化が、いま起こっているところなのではないかと考えられます。

〔症例 歯の治療直後、突然顔に湿疹ができはじめた)

Cさんは57歳の女性です。会う人ごとに「きれいなお肌をしていますね」といわれるほど、色白できれいな女性でした。

ところが、近所の歯科医院で治療を受けた後から、急に顔に湿疹が出来はじめました。きれいな肌は見る見るボロボロになっていったそうです。治療を受けた歯科医に相談したところ、「金属アレルギーかもしれない」といわれ、居住地の市民病院の皮膚科を紹介されました。

Cさんは、皮膚科を受診して金属アレルギーかどうか調べてもらおうと思いました。ところが、検査は拒否されました。Cさんが「検査して欲しい」とお願いしているのにも関わらず、医師は「あなたのこの症状は、絶対に金属アレルギーではない。自分の長年の経験からいって、そんなことは絶対にあり得ない」といわれ、パッチテストすらもしてもらえなかったそうです。

同じ病院の歯科口腔外科でも相談しましたが、やはりその歯科医にも「金属アレルギーではないと思う」といわれたそうです。困ったCさんは、インターネットで歯科金属アレルギーについて調べ、当院のホームページを見て受診したのです。

早速パッチテストをして見たところ、17種類の金属のうち白金、クロム、亜鉛、マンガンの4種類の金属アレルギー反応が現れました。明らかに金属アレルギーです。

亜鉛は、現在Cさんの口の中に入っているすべての詰め物に含まれている金属元素です。そこで、口の中の金属をすべて除去することにしました。メタルフリーの治療を行ったのです。

そして15ヶ月後。Cさんの顔からは湿疹は消え失せ、もとのきれいな肌に戻ったのです。治癒まで15ヶ月もかかったのは、おそらくCさんの新陳代謝が良くなかったからだと考えられます。真夏でもほとんど汗をかかないので、体内に溜まった金属イオンが排出(解毒)されるまでに、時間がかかったのだと思われます。

なお、この間、Cさんは皮膚科的治療は一切行っていませんでした。

皮膚科の先生がおっしゃったという根拠はわかりませんが、当院での治療の経過と結果を見れば、明らかに歯科金属アレルギーによる湿疹と考えられます。

このケースのように、長期にわたって慢性化した皮膚疾患に悩んでいる患者さんは、多いのではないかと思います。

後日談ですが、顔の湿疹がひどい頃、自分の顔がクシャクシャになる夢を見てうなされたことが何度もあったそうです。さぞかし辛い思いをされてきたことでしょう。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林

2008年4月 6日 (日)

歯科金属アレルギーでなにが起こる?3

昨日の続きです。本日も吉川先生の著書からお届けいたします。

☆アトピー性皮膚炎(歯科金属との関係は解明されていないが・・・・)

治りにくいアトピー性皮膚炎の原因が、実は口の中の歯科金属ではないかということも、最近よく耳にすることではないかと思います。

実際、当院でも病院を転々としてもよくならなかった皮膚炎が、メタルフリー治療のあとで改善した症例がいくつかあります。

しかし、最初にはっきりしておかなければいけないのは、歯に詰めたりかぶせたりした金属が、アトピー性皮膚炎を起こしているという証拠は何一つ見つかっていないということです。メタルフリーにすることで、難治性のアトピー性皮膚炎が治る患者さんもいるし、治らない患者さんもいます。

歯科金属がアトピーを引き起こすという疑いに対して、化学は「完全にクロ」と判定できていません。しかし、科学者の目から見て「完全にシロ」とはとても言い切れないような“状況証拠”はたくさんある、それもまた事実です。

したがって歯科金属アレルギーに取り組んでいる歯科医は、「非常にクロに近いグレー」しかし「決してクロとしては扱えない」問題として、患者さんと相談しながら治療を行っているわけです。

☆京都の小学生に対する疫学的調査から☆

「状況証拠」の一つを、次ぎに紹介しましょう。口の中に存在する歯科金属、とくにアマルガムに含まれる水銀が、アトピー性皮膚炎の重大な原因になっているのではないか、という研究報告です。

京都市のアレルギー科医師、島津恒敏博士(島津医院)は、アマルガムが小児アトピー性皮膚炎の発症に、どの程度の影響を与えているかを調べました。(『皮膚』第42巻・増刊22号、2000年10月)。

島津先生は、京都市内の小学校の1年生から6年生までの256名に対して、口の中の歯科金属のアマルガムがあるかどうかを調べました。また同時に、アトピー性皮膚炎を発症しているかどうかも調べました。そのうえで、アマルガムが口の中にある子供達とアマルガムがない子供達の間で、アトピー性皮膚炎の発症率にはっきりした差が認められるかどうかを検討しrたのです。結果は、明らかでした。

アマルガム治療を受けた児童(98名)のうち、皮膚炎を有する児童は48%であったのに対し、アマルガム治療を受けていない児童(158名)には、皮膚炎が7.6%しかなかったといいます。つまり、アマルガム皮膚炎に対して、実に6倍以上もリスクが高いという結果がでています。

歯科金属アレルギーに取り組んで、長年「メタルフリー治療」を行っている歯科医院では、歯科金属が原因で、アトピー性皮膚炎を起こしていたと思われる患者さんの症例は、いくつも持っているのではないかと思います。

たとえば、大阪のある歯科医も、アトピー性皮膚炎の患者さんにメタルフリー治療を行った結果、約7割の患者さんに改善が見られたと報告しています(産経新聞・9/11)

明日へ続きます。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林

☆アマルガムは消えていくのか・・・・・☆

有機水銀中毒による水俣病のことは、読者の皆さんもよくご存じのことと思います。では、なぜ水銀を含むアマルガムという合金が、歯科金属として使われているのでしょうか。

これは、アマルガムに含まれる水銀は無機水銀だから安全だ、と考えられているからなのです。

実際、100年以上の歴史を持つアマルガム合金に対してはアメリカ歯科医師会、日本歯科医師会、厚生労働省が安全宣言を出していて、これを使用することは現在も歯科医療で選択される一つの方法として認められています。

もちろん、最近ではいろいろな歯科材料が普及してきましたので、審美的にも強度としても、アマルガムよりすぐれたものが使用されることが多くなってきました。しかし、かつてアマルガムはとてもよく使われていたのです。

歯科金属アレルギーの問題が「グレーゾーン」で問題になっているいま、「疑わしきは使用せず」の姿勢で、アマルガムを使用しない歯科臨床医も増えてきています。新しく治療する患者さんは、気になるようであれば、歯科金属の材料について積極的に質問するようにするとよいと思います。

アマルガムがアトピー性皮膚炎を起こす、あるいは本書(実際の参考文献で参照してください)の冒頭で紹介したアメリカの事例のように、神経に機能的な問題を引きおこすということは、実証できていません。しかし、アマルガムは自然淘汰されていく運命にあるようです。

歯科金属については、このようにきわめてゆっくりとした変化が、いま起こっているところなのではないかと考えられます。

〔症例 歯の治療直後、突然顔に湿疹ができはじめた)

Cさんは57歳の女性です。会う人ごとに「きれいなお肌をしていますね」といわれるほど、色白できれいな女性でした。

ところが、近所の歯科医院で治療を受けた後から、急に顔に湿疹が出来はじめました。きれいな肌は見る見るボロボロになっていったそうです。治療を受けた歯科医に相談したところ、「金属アレルギーかもしれない」といわれ、居住地の市民病院の皮膚科を紹介されました。

Cさんは、皮膚科を受診して金属アレルギーかどうか調べてもらおうと思いました。ところが、検査は拒否されました。Cさんが「検査して欲しい」とお願いしているのにも関わらず、医師は「あなたのこの症状は、絶対に金属アレルギーではない。自分の長年の経験からいって、そんなことは絶対にあり得ない」といわれ、パッチテストすらもしてもらえなかったそうです。

同じ病院の歯科口腔外科でも相談しましたが、やはりその歯科医にも「金属アレルギーではないと思う」といわれたそうです。困ったCさんは、インターネットで歯科金属アレルギーについて調べ、当院のホームページを見て受診したのです。

早速パッチテストをして見たところ、17種類の金属のうち白金、クロム、亜鉛、マンガンの4種類の金属アレルギー反応が現れました。明らかに金属アレルギーです。

亜鉛は、現在Cさんの口の中に入っているすべての詰め物に含まれている金属元素です。そこで、口の中の金属をすべて除去することにしました。メタルフリーの治療を行ったのです。

そして15ヶ月後。Cさんの顔からは湿疹は消え失せ、もとのきれいな肌に戻ったのです。治癒まで15ヶ月もかかったのは、おそらくCさんの新陳代謝が良くなかったからだと考えられます。真夏でもほとんど汗をかかないので、体内に溜まった金属イオンが排出(解毒)されるまでに、時間がかかったのだと思われます。

なお、この間、Cさんは皮膚科的治療は一切行っていませんでした。

皮膚科の先生がおっしゃったという根拠はわかりませんが、当院での治療の経過と結果を見れば、明らかに歯科金属アレルギーによる湿疹と考えられます。

このケースのように、長期にわたって慢性化した皮膚疾患に悩んでいる患者さんは、多いのではないかと思います。

後日談ですが、顔の湿疹がひどい頃、自分の顔

2008年4月 5日 (土)

歯科金属アレルギーで何が起こる?2

昨日の続きです。本日も吉川先生の著書からお届けいたします。

金属アレルギーに関連のある疾患

☆掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

歯科金属アレルギーの関連のある疾患として、最もよく知られているものが「掌蹠膿疱症」とよばれる皮膚炎です。

手や足にニキビのようなぷつぷつの湿疹が出来て、それが水疱になったり膿疱になったりします。痛くて立てない、歩けないというほどの症状が悪化することもあり、さらにひどくなると、女優の奈美悦子さんがなったような「掌蹠膿疱症性骨関節炎」という関節症状も引き起こします。こうなると、激痛に苦しむことになります。

ちなみに奈美さんの場合は、その原因が口腔内金属と関係があったのかどうかはわかりません。著書「死んでたまるか」(主婦と生活社)には、口の中の金属が原因かもしれないと考えて歯科医院へと行ったということは書いてありました。

そこまでひどくならないにしても、治ったと思ったらまた悪くなるということを繰り返す治りにくい病気で、皮膚科の特定疾患の一つとされています。

もちろん、歯科金属だけが原因ではありません。「金属アレルギー」の他に「感染アレルギー」(病巣アレルギー)もあげられます。扁桃腺から起こることは以前からよく知られていますし、体のどこかにある慢性的な感染病巣が原因になることも少なくはありません。

歯科領域では、根尖病巣(歯の根の先に出来る病巣、レントゲンで黒く映る)や慢性の重度の歯周病が原因になる場合もあります。

しかし、最近になって、原因が分からないような場合に、メタルフリーにすると、掌蹠膿疱症が治ってしまうことが多いことが分かってきました。こうして、ようやく口腔内の金属が原因の一つとして考えられるようになってきたのです。

〔症例〕頑固な掌蹠膿疱症、メタルフリーにすると半年で完治

27歳のかわいらしい女性、Bさんは、いつもロングスカートをはいています。それは高校生のころから出始めた足の湿疹が気になるからです。手にはニキビのようなブツブツが出ていました。

皮膚科には、何年も通っていました。掌蹠膿疱症と診断され治療を続けましたが、良くなったり悪くなったりそ繰り返し、いっこうに治りません。

皮膚科には良い温泉があると聞けば、遠方といわず訪れました。(Bさんは、「いちばん効果があったのは桃太郎温泉だったと言っていました)しかし、やはり治りませんでした。

インターネットで調べて「金属アレルギーが原因かもしれない」と考えたBさんは歯科金属アレルギー治療を行っている当院のホームページを見て来院されました。

パッチテストを行ってみると、金にアレルギー反応が現れました。

よく、「金ならアレルギーは出ないから、金属アレルギーの人は金を使うといいよ」と言われますが、パッチテストを行っている歯科医としては、金にアレルギー陽性反応を示す人は少なくありません。油断は禁物です。

Bさんの口の中を診てみると、金合金、金銀パラジウム合金などあが入っていましたので、相談の結果、メタルフリーの治療を行うことになりました。こうして口の中の金属をすべて除去すると、半年後、あれだけ頑固だった掌蹠膿疱症が、意外なほどあっさり治ってしまいました。きれいになった足を見て、Bさんは喜んでいました。

明日へ続きます

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林

2008年4月 4日 (金)

歯科金属アレルギーで何が起こる?1

本日は、吉川涼一先生の著書「金属アレルギーと歯科治療」よりお届けいたします。

歯科金属アレルギーで、何が起こる?

歯に詰めた金属によって起こってくる「歯科金属アレルギー」とは、いったいどんなものなのかを簡単に説明しましょう。

まず第一にお伝えしておきたいのは、むやみに怖がらないでください、ということです。歯に金属を詰めている人のすべてに、金属アレルギーが発生するわけではありません。

そばやタマゴを食べるとアレルギー反応を起こす人は少なくありませんが、大多数の人にとっては、いくら食べても問題を起こさないし、むしろ非常に素晴らしい栄養食品です。

これと同じで、歯科金属も、ほとんどの人にとっては安全なものなんです。

ただし、口の中が荒れやすい、慢性的なアレルギー性疾患がある、いくら調べても原因不明の体調不良が良くならないというような場合には、後述するようなパッチテストをうけてみるといいでしょう。

ではどういう場合に金属アレルギー(歯科金属によって引き起こされる疾患)かもしれないと考えれば良いのでしょうか。

注意したいのは、歯科金属アレルギーというのは、口の中だけに症状が現れるわけではない、ということです。むしろ、口の中以外に症状が現れる事の方が10倍も多いのです。それがやっかいなところでもあります。

私たち日常の感覚では、「金属は水に溶けない」と思われるはずです。しかし、分子レベルでみれば、金属は「イオン」という形で水の中に溶けていきます。歯に詰めた金属はいつも唾液にさらされていますから、イオン化して唾液に溶け、腸管から吸収されて血液中に入り、全身を巡っていきます。そこまでは、事実です。

それが、後述するような体の免疫システムに引っかかって、何かの拍子にアレルギー反応を起こしたり、原因不明の症状に結びついたりすることがあるかもしれない、というわけです。

したがって当然、現れてくる症状は、口の中に限りません。

医学的に歯に詰めた金属が疾患を引き起こすということは、まだ明らかにされてはいませんが、口の中をメタルフリー(詰めた金属をすべて取り去って非金属のものに替えること)にすると改善するなどの症例から、極めて疑わしいと考えられている症状や疾患がいくつかあります。以下、個々の疾患について、症例とともに紹介していきます。

明日へ続きます。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川良一著 現代書林

2008年3月 9日 (日)

よく噛めるとは

本日は、佐藤考先生の著書「歯からはじめよう!アンチエイジング」よりお届けいたします。

「よく噛める」とはどういうことか

「よく噛む」には「よく噛める」状態が必要

「よく噛む」ことはアンチエイジングにとって大切な要素です。「よく噛む」には「よく噛める」状態にする必要があります。自分では噛めていると思っても噛めないことも多く、また逆に噛めないと訴える人もいます。

それでは、「よく噛む」とはどういうことなのでしょうか。意識して噛む回数を多くし、時間を掛けて出来るだけ細かくすりつぶすことなのでしょうか。

一口ごとに数十回も噛むことは非常にむずかしいことです。実際、そのように噛めば食事はドロドロになり、味もまずくなり、食事そのものを楽しめなくなります。

ましてやまずい物はとてもかみ続けることは出来ません。食事をすることはただ噛むだけではないからです。噛むことは、食事が喉を通るだけの大きさに砕き、唾液と全体が混ざることであって、食物をより細かくするのが目的ではないのです。

「よく噛む」ことは意識して行う行動で、よく噛めないと途中で疲れていやになって飲み込んでしまいます。

ですから、よく噛める歯があってはじめて「よく噛む」ことができるのです。その歯がグラグラしたり、歯が喪失していたのではよく噛むことは出来ません。しかし、単に丈夫な歯が揃っているから噛めるとは限らないのです。

「噛める」とは意識的なものではなく、歯のかみ合わせがバランスよく機能して得られる感覚なのです。これは一般的には「歯ごたえ」と表現しているのかもしれません。

人は食物を口の中へ入れ、無意識に歯の上にのせて噛み始めます。その噛み始めの位置と噛み込んだ後の位置が、常に同じでズレていないことが大切です。これがズレていると、どこで噛んで良いのかわからないという感覚になります。このことは、つまり顎の動きのスタート地点とゴール地点が常に同じ場所にあって、必ず元の位置に戻ってくることが「噛める」、あるいは「噛めている」という感覚になります。

剪断、圧断、臼磨の三機能

また、食物を噛んでいる間は、上下の歯は摂食していません。ある程度食物が小さくなり量が少なくなると、最後には上下の歯が当たるようになってきます。そのため、噛むときの顎の動きは食物の性状によって多少の違いがあるものの、顎はいつも同じような運動をします。噛む動きは一定の決まったパターンがあり、このパターンに沿って食物を歯の上にのせて噛みきり、それを砕き、そして最後にすりつぶすことをします。

この時の顎の動きと歯の噛む面の形との間に、調和がとれていることも大事な要素になります。これらの働きを剪断、圧断、そして臼磨運動と表現していますが、これらが上手く機能するかどうかが「よく噛める」あるいは「噛めている」かどうかに影響してくるのです。

たとえば板のような平坦なもの同士で食物をはさんで食べる場合は、噛みきって砕いてすりつぶすことが充分に出来ず、よく噛めないのです。また、一般的に噛みにくいとされているイカやタコなどのような性状の食品はこの三つの機能が働かないとよく噛めません。

「よく噛む」には噛み合わせが重要

そしてそれに加え「よく噛める」感を感じ得るためには、天然歯であれば噛み込む力を十分に食物に加えることが出来ることです。噛む力は、歯の周りの歯根膜全体から歯槽骨に加わり、末梢と中枢を連携する神経のネットワークに沿って脳へ伝わり噛みごたえとして感じるもので、その感覚が大きければ大きいほどよく噛めるといわれています。

たとえ、歯がなくなってしまっても義歯を通して口の粘膜に均等に噛む力が伝わり、その力によって粘膜の下の神経を刺激し「よく噛める」という感覚を得るのです。

このように「よく噛む」ためには「噛み合わせ」が重要で、噛み合わせがうまく調和して機能していれば、食物もよく噛み切れて砕け、そして擦りつぶせるため、自然に「よく噛める」ようになり、無意識によく噛むことになるのです。

これによって脳にもしっかり刺激が伝わり、食物の味もおいしく感じられ、噛むことの効用が発揮されてきます。「よく噛める」とは、歯が単にそろってあるからではなく、顎口腔系全体の調和した働きによって成り立つもので、アンチエイジングにとっては非常に重要なことになります。

参考文献 歯からはじめよう!アンチエイジング 佐藤孝著 日刊工業新聞社

2008年2月 1日 (金)

どうなったら歯は抜かれてしまうのか?

本日は、熊谷先生の著書「歯科・本音の治療が分かる本」からお届けいたします。

どうなったら歯は抜かれてしまうのか?

抜歯の基準

抜歯は「歯」の死です。でも、自然な死ではありません。ほとんどの歯は、歯科医の判断で抜歯されます。では、どういう状態になると歯は抜かれてしまうのでしょう。

抜歯の基準は「学会で決まっている」というわけではありません。基準となる研究データがあるわけでもありません。抜歯しなければ治らない痛みがあるようなとき、たとえば歯が縦に割れているような場合は抜歯となります。ほかに方法がないですから、こういうケースは例外です。

根の先に膿の袋(歯根嚢胞)が出来て治りにくくなっているときにも多くは抜歯されていますが、これは根の先を外科的に開いてきれいにすれば治ります。歯周病がひどくなって歯が縦横に揺れるようになった時も抜歯されていますが、丁寧なブラッシングで歯肉の状態を良くすることは出来ます。そのような状態で自然に脱落するまで抜かないでおくか残すべきかは、それにつづく処置によって決まるのです。ですから抜歯の判断は、ケースバイケースです。

たしかにひどい炎症をそのままには出来ませんから、体の害を考えて抜歯すべきときはあります。しかし、抜歯につづく治療計画があやふやな時に、とりあえず歯を抜いてしまうというのは困ります。

抜くか抜かないか、何を根拠に判断するのか

重度の歯周病になった歯でも、両側に健全な歯がある時には比較的早く抜歯すべきでしょう。そのままにしておくと周囲の骨に悪い影響が及ぶからです。それに両側に歯があれば、抜歯後ブリッジにすることで対処出来るからです。同じように歯周炎になっていても、残りの歯の数が少なくなっていたら抜歯は急ぎません。もしも噛み合う相手の歯があるならば、歯を切ってわずかな根っこだけでも残したいと考えます。入れ歯の支えにするためです。

逆にインプラント(チタンの人工歯根)を使った治療計画であれば、抜歯の判断は速くなります。インプラントを予定するときは、歯を支える組織がある程度残っていても早めに抜歯して、インプラントを植える環境を良くする方法が良いと考えるからです。総入れ歯にするときも抜く判断は比較的早めでしょう。

抜歯後に処置をするつもりがないなら、特別具合が悪くない限り急いで抜歯する必要はありません。特別具合が悪くない限り急いで抜歯する必要はありません。救急の場合を除いて、とりあえず抜歯してからの事ですから後の事を考える、という治療の進め方はしないのです。

治療の進め方が抜歯の基準を左右するのですから、抜歯するかどうかは患者さんも参加していっしょに決めるのがほんとうです。正しい抜歯の判断はかかりつけの歯科医でないとできない、といってもよいでしょう。

どれだけ悪くなっても歯を抜きたくない

歯周病の患者さんの中には、どれだけ悪くなっても歯を抜きたくないと思っている方がいます。とくに医療不信に強い方にその傾向があります。そういう場合には、可能な限り歯を残すことになりますが、見かけや具合の悪さをある程度犠牲にすることになります。ひどい歯周病では、歯は残したいが見かけもよくしたいという要望はかなえられません。

患者さんの希望が強いと、歯医者さんもついつい振り回されて治療方針を見失ってしまうことがあります。しかし、ひどくなった歯周病や根の先に膿が溜まった状態をそのままにしておくことは、不快なだけでなく、体の健康に大きな障害になります。手ひら大の膿んだ傷をそのままにしておくことが健康によいか考えてみてください

参考文献 歯科・本音の治療が分かる本 熊谷 崇著 法研

2008年1月27日 (日)

顎が捻れることにより体は歪む

本日は、ひきた歯科医院院長である疋田 渉先生の著書「顎関節症 頭痛・腰痛~なぜ私たちは治ったのか!」からお届けいたします。

顎が捻れることにより体は歪む

歯は顎に生えています。また、顎は舌とつながっています。そして、下顎は筋肉でぶら下がっているです。骨は、すべて筋肉でつながっています。

もし、歯に不具合があり顎が捻れてしまったら、頭の先から足の先まですべての骨が順番に捻れてしまうのです。そして、脳。内臓も歪んでいくのです。

顎関節症

私が考える顎関節症には、3つのタイプがあります。

1:顎関節症状のみの顎関節症

2:全身症状を伴う顎関節症

3:全身症状と精神症状を伴う顎関節症

皆さんが顎関節症を本やインターネットで調べる時、注意しなければいけないことがあります。この医療機関は顎だけを診ているのか、それとも顎と全身を関連付けて診ているのかをまず判定しないと、後悔することになります。

顎に歯が生えています。そして顎と頭蓋骨は、筋肉でつながっています。また、背骨も筋肉でつながっています。ですから歯と顎と全身を関連づけて診ていかなければいけないのです。

☆症例:全身を診ず顎関節のみを治療した悲劇

顎関節症は治ったのですが、その後のひどい肩こり・腰痛に悩んでいるKさん(28歳)の場合。

数年前に某大学病院口腔外科でのスプリント治療(マウスピース)で顎関節症は治りました。しかし、1年後肩こり・腰痛などの不定愁訴に襲われました。なぜこのようになったのでしょう。

顎関節痛がでていた時は、顎関節部分に歪みが集中していました。ところがスプリントを装着することで顎関節部分の歪みが首と腰の部分に分散してしまったために、顎関節症痛は治ったが1年後肩こり・腰痛として症状が出現するのです。

ここで皆さんは疑問を感じると思います。なぜ1年も経ってから症状がでるのでしょうか。これは、すぐ他部位に症状が出る方は理解しやすいのですが、数年経てから出るので、全く関係無いと思われています。

しかし、体はすべてつながっています。症状が出るということは、ひどい状態に一番成っているところです。そこの歪みを治せば他に分散して歪みます。

ただ、2番目に悪いところがさほど歪んでなければ、症状が出るまでに時間がかかるのです。そして、もう一つ疑問が出ると思います。

これでは、歪みが体のあちこちいき、いつまでも症状は治まらないのではないか?その通りです。原因を除去するまでは、症状は治まらないのです。

この方の原因は、左右の噛み合わせの高さが違うために顎が捻れていました。それを治さなければ、いつまでも体の捻れは治まらないので、症状は繰り返されるのです。

通常は、顎関節痛・顎関節症・開口障害・関節雑音の症状を訴える場合を顎関節症といいます。

ところが、この3症状以外に全身の症状や精神症状を訴えるものがあります。これを私は、「歯による全身病」と呼びます。

主に歯の不具合が原因により、顎が捻れ、頭蓋骨が歪み、脳が歪み、背骨が歪み、臓器が歪み、血管・神経が歪み、骨盤が歪み、足の長さが違ってしまったため、体が歪み、全身・精神面に色々な症状・病気を引き起こす、非常に怖い病気です。

一見、歯には関係なさそうな病気も実は歯が原因であることがあります。また、顎関節に症状がなくても全身に症状が出ている場合もあります。

このように、歯だけを診ている歯科医師には、得たいのしれない病気のため、治療法が確立できず、以前の私のようにドクターショッピングを繰り返し、苦しみに悩んでいる人が大勢いるのです。

参考文献 顎関節症 頭痛・腰痛~なぜ私たちは治ったのか! 疋田渉著 講談社出版

2008年1月25日 (金)

口の中のガン

本日は、徳島大学創立30周年記念において出版された「なるほど現代歯塾」よりお届けいたします。

口の中の怖い話

口の中のガン

「舌が動かしにくい」、「舌をさわると硬いしこりがある」、あるいは「歯肉に潰瘍ができ、歯磨きする時に出血しやすい」などの理由で歯科医院や大学病院を受診される患者さんは結構多いのではないのでしょうか。

このような場合、たいていは簡単な治療で治るのですが、なかには入院したうえで治療が必要なケースがあります。

いわゆる「口腔ガン」といわれる、生命に危機を及ぼす病気です。

口腔ガンや咽頭ガン、喉頭ガンを含めて「頭頸部ガン」といいますが、世界的にみて肺ガンや大腸ガンなどにつぐ第六番目に多く発症する「ガン」です。

世界で年間50万人が新たに頭頸部ガンと診断されています。疾学的研究より、ガンの発症率は年齢とともに指数関数的に増大するため、今後の高齢化社会を考えた場合、口腔ガンの発症の増加が容易に予想されます。

口腔ガンの主たる発症リスクファクターは、「喫煙」と「アルコール摂取」であることは広く認められています。これまでの報告で、46歳以下のヘビースモーカー、ヘビードリンカーあるいは両者を嗜好する人は、飲酒・喫煙をしない人に比較して、それぞれ20倍、5倍。50倍、口腔ガンの発症リスクが増大することが明らかにされています。

口腔ガンがどのように発症するかについては、他の部位のガンと同様に、他段階発ガン(*)であることが示されています。すなわち、前ガン病変とされる「白板症」や「紅板症」を経て、ガンの発症に至ります。

(*)口腔ガンの他段階発ガンとは

正常口腔粘膜→上皮過形成→軽度上皮異形性症→中等度上皮異形性症→高度上皮異形性症→上皮内ガン→浸潤性ガンと進むこと。

転移

「ガン」の最大の特徴として「転移」があげられます。

この転移には「リンパ行性転移」と「血行性転移」があり、一般にリンパ行性転移は所属リンパ節への転移であり、血行性転移は肺や肝臓、骨などの他臓器への転移です。

口腔の所属リンパ節は頸部、すなわち首のリンパ節です。口腔ガンが発見された場合、頸部リンパ節転移があるかないかは、予後を大きく左右するので、ガンの診断と同様にリンパ節転移のい有無は慎重に検査(造影CT法、超音波検査法、MRI、PET-CTなど)されます。

その個人の「ガン」がリンパ行性転移や血行性転移を起こしやすいか否かは、ガン細胞を産生する因子、たとえば血管内皮細胞増殖因子(VFGF)や塩基性線維芽細胞増殖因子などの産生量によって決定されます。

ちなみに、1cm3 の「ガン」があれば24時間に100万個以上のガン細胞が血液系へ流れ込みますが、大部分のガン細胞は、血流内で受ける障害のため死滅します。このため、転移は多くの場合起こりません。

口腔ガンの治療

それでは、実際に口腔ガンが見つかった場合、どのような治療がなされるのでしょうか?

①外科的手術療法②放射線療法③抗ガン剤による化学療法が挙げられます。これらの治療法を単独あるいは併用(集学的治療法)して用いる事により、ガンの撲滅をはかります。

けれども口腔領域には、①話すこと②噛むこと③飲み込むこと④息をすることといった、人が生きていくために必要な機能が備わっているため、これらの機能を出来るだけ残した治療法(機能温存療法)の構築が研究・開発されています。

最近ガン治療におけるトピックとして、「分子標的治療法」が挙げられます。この治療法は、たとえば非小細胞肺ガンに対する上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフェニチブや、大腸ガンに対する坑VEGF抗体であるアバスチンなどのように、ガンに特異的に高発現している分子のシグナルを遮断することにより、坑腫瘍効果を発揮させる治療法であり、次世代の化学療法の主役と目されています。

現在、分子標的治療法薬で口腔ガン治療に保険適用された薬剤はありませんが、今後の臨床研究・臨床試験により。適応できる分子標的治療薬を開発していきたいと思います。

参考文献 なるほど現代歯塾 徳島大学創立30周年記念出版 医歯薬出版

2008年1月 5日 (土)

まだ、お正月気分が抜けませんが、アマルガムの話です。

本日のテキストは、藤井佳朗先生の著書からお届けいたします。

アマルガムの人体への影響

体に害を及ぼすものは、歯科医療の材料にも存在しています。その代表が歯に詰めるアマルガムです。

アマルガム中の有害な水銀の含有量は、約50%にのぼります。水銀含有量は長期間口の中に置かれると、少しずつ蒸発し、体の中に入っていきます。

熊本県水俣湾の例を挙げるまでもなく、水銀の毒性は広く社会に知られています。アマルガムを作製する歯科医師や歯科助手が水銀中毒にかかる事例は世界で報告されています。その水銀を含んだ詰め物が、歯に充填(抜けた歯や欠けた歯に歯科材料を使用して治療すること)されているのです。

歯科材料としてのアマルガムは、昔から安定した合金だと見なされ、歯の詰め物に使用されてきました。ところが、1800年代からその安全性は疑問視されており、1980年代頃からはアマルガムが健康に大きな影響を与えることが、世界中で次々と発表されてきました。

日本でもアマルガムの危険性は指摘され、難治性の疾病との関連性が報告されています。

ヨーロッパでも国によっては、こうした毒性の高いアマルガムに対し、使用を法律で禁止しています。

しかし、アメリカの歯科医師会ではアマルガムを安全であるとし、アマルガムを除去した医師の免許を剥奪した程です。

アメリカの歯科医師会がこうもアマルガムの安全性を主張する背景には、アメリカが訴訟社会であり、これまで広く使用し続けてきた歯科材料の危険性など口が裂けても言えないという事情があります。しかし、一方で「アマルガム治療の犠牲者の会」なるものも存在し、集団訴訟も起きています。

日本ではどうかというと、アマルガムによる治療は保険の適用になっています。つまり、国が承認する形で、様々な病気の原因となる危険な物質が歯に詰まられているのです。

もちろん、私はアマルガムを除去しても、詰めることはしていません。アマルガムを除去することでアトピー性皮膚炎をはじめ、さまざまな不定愁訴が表れている患者さんを治療して来たからです。

アマルガムの使用によって引き起こされる症状は、多岐にわたります。『口の中に潜む恐怖~アマルガム水銀中毒からの生還』(ダニースタインバーグ著 マキノ出版刊)によると、アメリカ、スウェーデン、デンマーク、カナダの患者さん(合計1569名)が訴える症状のトップ10は、疲労感、頭痛、視覚障害、ふさぎ込み、めまい、皮膚炎、注意散漫、物忘れ、舌のざらつき、胃腸障害となっています。

この報告では、患者さんのアマルガム除去後の快復率も示しています。アマルガム除去後の症状に快復率は平均で80%を超え、最も多い症状の疲労で86%、ふさぎ込みは91%、舌のざらつきは95%もの快復率を上げています。これは驚くべき結果と行って良いでしょう。アマルガムを口の中から取りさることによって、症状が回復する可能性がいかに高いかがわかります。

こうした危険性の高いアマルガムを、放置していいはずがありません。

日本でも多くの歯科医師が、アトピー性皮膚炎などの各種金属アレルギー、神経疾患、慢性症候群と歯科材料との関連を報告しています。さらに電磁波障害への関与も疑われています。

歯に詰めたアマルガムが、携帯電話などの電磁を吸収しやすくしているのではないかという意見もあるのです。

民主党の歯科医療改革案については、桜井充参議院議員は、2002年10月に、国会で歯科用水銀アマルガムに関する質問を提出しています。

日本におけるアマルガムの使用程度、水銀が口腔内で気化する可能性、アマルガム使用を禁止しない理由などについて質問したのです。ところが、厚生労働省の答弁では、アマルガムは毒物だが世界保健機構(WHO)主催の専門家会議(1997年)で、安全であると報告されているという理由から、禁止する予定はないという見解を示しました。

水銀は毒物だがアマルガムは毒物でないという人がいますが、これは誤りです。アマルガムは毒物と認定されています。

厚生労働省がWHO主催の専門家会議におけるアマルガムは安全という報告を支持しているとなると、安全な毒物がこの世に存在するという矛盾が生じます。

電磁波にしろ、水銀アマルガムにしろ見えない危険性を見て見ぬ振りするのではなく、解明していく努力をしなければいけないのです。

ちなみに、、1999年の薬事工業生産動態統計によると、歯科用水銀にお出荷量は64万3444グラムとなり、これに歯科アマルガム用合金に含まれる水銀の量を合わせると、1999年に歯科治療に用いられた水銀の量は、およそ700㌔グラムになると推定されています。現在アマルガムを使用する歯科医師は減少傾向を示していますが、今でも数千万人の日本人の口の中にアマルガムが存在していると考えられます。

参考文献 歯科からの医療革命 藤井佳朗著 現代書林

2007年12月25日 (火)

顎関節症を考える2

昨日の続きです。本日も木野孔司先生 杉崎正志先生 和気裕之先生の「顎関節症で困ったら」からお届けです。 

オフィスの冷房で口が開けづらくなった

実際に、顎の痛みや口が開けづらいなど症状がなかなか治らず、その原因もわからずに苦しんでいた患者さんの例をご紹介しましょう。

25歳のOL、A子さんです。1年前の夏ころから、時々口が開かなくなって、無理に開けようとすると右耳の前のあたり、つまり顎関節のところに痛みを感じるようになりました。

口を開け閉めする時に、顎の関節から「カクカク」という音もします。この関節の音は中学生のころからあったそうです。

初めは痛みや関節の音が気になっていたそうですが、秋が過ぎて寒くなってくると症状が和らぎ、冬の間はまったく異常はありませんでした。

ところが、再び夏を迎えて暑くなってきたら調子が悪くなってきたので、著者の病院へ来院しました。

すぐに顎関節症と診断しましたので、最初に、スプリントという器具を装着する治療で、様子を見ることにしました。ほかに、セルフケアとして、A子さんが好きなフランスパンや硬いおせんべいをあまり食べないように、またこの仕事中に電話を肩で挟むことを止めるように指導しました。

このスプリントを使った治療で、顎の痛みや、口が開けにくくなる症状はいくらか良くなりましたが、それでも時々口があけずらくなることがあり、なかなか完全には治りません。

初診から2ヶ月ほど経って、どんな時に口が開けづらくなるのか、さらに詳しく思いだしてもらったところ、「そういえば休日に口が開かなくなったことはない」との答えが返ってきました。おそらく平日の仕事が症状と深く関わっているのだろうと、ようやく直接の原因に近づくことができました。

その後、何度かの診察をするなかで、仕事中に食いしばりが起きていることがわかり、「オフィスの冷房でそれがひどくなる」ことにA子さんは気が付きました。いつもカーディガンと膝掛けを手放せないほどオフィスの冷房がきつくて、しかもエアコンの吹き出し口がA子さんのデスクの真後ろにあるというのです。こうした仕事中の寒さに反応して、知らず知らずに奥歯を強く噛み締めていたようです。

そこで、A子さんは上司に相談して、寒さを避けられるようにデスクの配置換えをしてもらいました。また、A子さん自身、仕事中になるべく上下の歯を接触させないようにして、極力、食いしばりが出ないように気をつけました。こうした原因を取り除くことによって、A子さんの通院はようやくピリオドが打たれました。その後も「カクカク」といった関節の音は続いたものの、生活に支障があるほどではなく、顎の痛みと口の開けづらい症状は消えてしまったのです。

仕事のイライラや姿勢の悪さも原因になる。

もう一つ、例をあげて起きましょう。

52歳のB子さんは、何年も前から口が開けづらくて悩んでいたのですが、いくつかの歯科医院で診察をうけたものの良くならなかったという方です。

左右の顎の関節の近くに痛みがあります。口が開けづらいという症状が初めて現れたのは5年前で、その時はある歯科大学の病院でスプリント療法をしばらく続けましたが、痛みは消えなかったそうです。

そのため、2年前から近所の歯科医院に移って、別の種類のスプリントを夜間に付けるようになり、それで痛みはいくらか軽くなったそうです。今でも口が開けづらいことには変わりないそうですが、その先生に紹介されて来院しました。

診察したところ、口を開ける痛みは側頭筋という耳の前上方の筋肉に起こっていて、頭痛のように感じます。口は大きく開けられず、開口は38ミリ(上下の前歯の距離)が、精一杯でした。また、口を開け閉めする時は「カクカク」音がし、これは20年も前からあったそうです。

B子さんの生活状態をいろいろ聞いてみると、次の事が分かりました。

  • B子さんは美容院を経営されていて、毎日非常に忙しい
  • いつも疲れ気味で、イライラしやすく、熟睡できない。
  • 血圧が高いので、降圧剤と精神安定剤を服用している
  • 仕事がら無理な姿勢をすることが多く、歯を食いしばっていることがある。
  • 数年前に腰痛が出て、うつぶせで寝る癖がついた

これらの生活上の習慣や環境などは、すべて顎関節症に繋がる要因です。これを出来るだけ取り除くために、初診時からいくつか指導をしました。

まず、睡眠時の姿勢を仰向けに変えました。この効果は十分にあったようで、2週間後には口を開けるときの痛みが無くなり、開口の範囲も45ミリまで広がりました。

さらに仕事中はなるべく姿勢を良くして、食いしばりが出ないように気を付けた結果、初診から2ヶ月後には「カクカク」という関節の音を除いて、症状はすべて消えてしまいました。こn関節の音も初診の時に比べてかなり小さくなっており、生活には支障はありません。

その後のB子さんは、ご主人の協力で仕事の量も減らせるようになり、表情まで明るくなりました。

このケースでもおわかり頂けるように、かみ合わせの状態をみたり、X線写真で顎の骨を検査しても明らかな異常がなかった時は、初めに生活習慣を改善したり、さらに患者さん自身のセルフケア治療の重点を置くことが大事です。

参考文献 顎関節症で困ったら 木野孔司 杉崎正志 和気裕之共著 砂書房

2007年12月24日 (月)

顎関節症を考える1

本日は、木野先生、杉崎先生、和気先生の共著である「顎関節症で困ったら」からお伝えします。

日本人の二人に1人は顎関節症?

家族や友達と会話しながら、ピーナッツをポリポリ、おせんべいをボリボリ。

よくある光景ですね。そんな時に、顎がだるくなったり、疲れてしまったことはないですか?そのだるさがひどくなって、「顎に痛みを感じる」とか「口が開けずらい」という人は、顎関節症にかかっているかもしれません。

顎関節症は、このような日常生活のちょっとしたタイミングで起きてしまうことがある病気です。

ちょっとしたことで起きてしまうだけでなく、実は顎関節症はそんなに珍しい病気ではありません。まだまだ聞き慣れない方もいらっしゃると思いますが、顎関節症はごくありふれた病気で、軽い症状を含めると、なんと日本の人口の半数はその経験があるのではないかと言われています。そんなにたくさんの人がかかっているのなら、もっと病名が知られていたり、もっと身の回りに患者さんがいてもよさそうなものです。でもそうでもないのは、顎関節症で現れる症状が、顎関節症に限ったものとは言えないことに原因があります。

1950年代に決められた初期の頃の定義では、「カクカク」という雑音、口があけずらい、顎が痛い、のうちのひとつの症状があれば顎関節症と診断することになっています。

しかし、口が開けにくかったり痛かったりという症状は、他に原因があっても起こりえるものです。そのため、この症状だけでは顎関節症だと診断しにくいという事情がありました。

加えて、顎関節症は、放っておいても自然に症状が消えてしまうという特徴があります。

例えば、硬いものを噛んで顎に痛みがあったときは、しばらく軟らかい食事に変えてみたり、自分でマッサージをしているうちに痛みがとれてしまうことがあるのです。ですから、一時的に症状があっても、総ての人が病院や歯科医院にかかっているわけではありません。

このようなことから、昔から多くの人がかかっていると推測される病気でありながら、最近になって注目されるまで、あまり知られない病気だったわけです。

思いがけないささいな事も顎関節症の原因に

「硬いものを食べたら、顎が疲れるのは当然。病気だなんて、大げさでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、顎関節症は運動をした後に疲れを感じるような単なる筋肉痛とは違います。

顎を酷使したわけでもなく、もっと些細なことで顎関節症になった例をご紹介しましょう。

ある人は、会社でパソコンを導入したてのころ、早くパソコンを覚えようと熱中していました。4~5時間もパソコンと格闘し、ようやく昼食を食べようとすると、口を大きく開けることが出来ません。かみ合わせもおかしいような気がします。しかし、数回噛んでいるうちに症状は治まってしまいました。

こんなことが続いたのですが、これは顎関節症でした。おそらく、覚えたてのパソコンと格闘しているうちに、知らず知らず歯を食いしばっていたのが原因でしょう。

またある人は、初めて飛行機に乗ったときに、しばらくしてジーンとした耳の痛みを感じました。気圧のせいで起こった症状だろうと思っていたのですが、一向に治まる気配がありません。治まるどころか、痛みはどんどんひどくなり、その範囲も顎の後ろの方まで広がってしまいました。結局、痛みが消えたのは飛行機から降りてしばらくしてからでした。これも初めて飛行機搭乗体験で緊張していたため、歯を食いしばっていたものと思われます。

中学生のころに、顎を開け閉めするとカクンカクンという音が鳴るようになって、面白がって良く鳴らしていたという人もいますが、これも顎関節症なのです。

毎週日曜日のテニスの後、どうも口が開きにくくなる人、長い会議のあった日は夕方になると顎の痛みが強くなるという人もいましたが、これも顎関節症です。

この程度の事で・・・・・などと思わないでください。それに、口があけずらかったり、痛みが伴ったりするのであれば、日常生活にも支障をきたすことになりますから、それらの症状を取り除く必要があります。

痛みには必ずその原因があるのですし、発症のメカニズムなど詳しいことは後で述べます。顎関節症は立派な病気なのです。

明日へ続きます。

参考文献 顎関節症で困ったら 木野孔司 杉崎正志 和気裕之共著 砂書房

2007年12月 4日 (火)

咬合関連症候群5

昨日の続きです。難しい話が連日続きますが、本日が最後ですcoldsweats01

聴力はかみ合わせセンサー

いままでは耳鼻科の聴力測定法について述べましたが、これからは歯科での聴力の測定、聴力の変化からみた「かみ合わせ」の状況に変化について述べることになります。

臨床においてさまざまな症例や統計分析から聴力は顎の運動に対応して、即時、変化するということが分かったのです。

つまり、聴力はかみ合わせのセンサーということは、かみ合わせの機能の良否を数値的な判断によって行えるものが聴力であるという考え方です。

良い「かみ合わせ」は、良い「聴力」値となり、悪い「かみ合わせ」は、悪い「聴力」となります。

そのことから、歯科治療より「かみ合わせ」を改善し、悪いかみ合わせをよいバランスのかみ合わせに改善させ、さらに、かみ合わせの訓練が必要になるのです。それにより、良い聴力値になり、よい口腔環境になり、加えてからだ全体の健康に結びついていくことになります。

かみ合わせ訓練前後の聴力の変化では、奥で噛む傾向のある人は、噛んでいない部分で噛む練習を重ねることによって、聴力の左右の均等化が起こります。

聴力をセンサーとしたかみ合わせで、聴力を測定する歯科専門のかみ合わせバランス測定器「咬聴計」が開発されました。また、その他のかみ合わせを視覚的に判定するものとしてオクルーザーという機器があります。

それは上下顎の物理的なかみ合わせの接触状態を計測する測定器で、「咬聴計」による聴力改善時のデータと比較することで、さらにかみ合わせバランスの状況が改善していることを客観的に確認することができます。

つまり、聴力改善時のオクルーザルのデータは左右バランスおよび前後バランスの中心点が一致することが多いことがわかりました。

聴力のデータとオクルーザルのデータを加えることで、このあたりのバランスの良否の判定を科学的に計測することが可能となりました。

いままでの研究や臨床経験から、聴力は「かみ合わせ」部位に対応していることがわかりました。

125ヘルツから250ヘルツの低周波あたりは「大臼歯部」に対応し、500、1000,2000ヘルツあたりは「小臼歯部」に対応しています。

また、4000ヘルツから8000ヘルツ辺りは、「前歯部」に対応しています。ですから歯科用「咬聴計」の場合、周波数で分けられていた数値が対応部位大臼歯部、小臼歯部、前歯部と3つの領域に区別され、確認することが出来ます。

それで、咀嚼運動を行うことによって、聴力低下部位の向上による左右差の減少がおきます。つまり、左右差がなくなり、均等化してくるというわけです。

具体的には、低い周波数から高い周波数までの聴力の水平化をイコライジング効果といいます。測定では、聴力は普通に聞こえれば良いのです。聞こえないのも良くないし、聞こえすぎるというのも、異常値になります。ですから、マイナス10デシベルから30デシベルくらいの値が正常値になります。

つまり、聴力を見ることによって、かみ合わせ状況がよいか、悪いかということが分かり、歯科治療による「かみ合わせ」に回復と咀嚼指導がいかに必要かということが分かるのです。

かみぐせにならないために

ここで「かみぐせ」の発生はどのような時に起きるかということについて述べたいと思います。

  1. 歯の萌出期間(乳歯から永久歯の交換期)にまず起きます。
  2. 食べ物の好み(奥歯で食品を噛む食品を好むか、前歯で噛む食べ物を好むか)
  3. 右利きか左利きか(右利きの場合、右手でお箸を持ち、最初に食べ物が届くところは左の奥歯で、その奥歯で噛むことが通常多く、日本人の特徴になります。これは私見ですが、聴力を採りますと、左側の低周波帯の聴力が低下している人が多く見られ、日本人など、箸を使って食べることが多い人々に多い事が挙げられます。また、フォーク、ナイフを使用の場合は、左手でフォークを持ちますので、最初に噛むのは通常右の奥歯になります。しかし、右手でフォークを持つというケースもありますので、フォーク、ナイフ、の方が左右差のバランスが良いように思います。また、ハンバーガーなど西洋料理は前の歯で噛む料理もありますのでバランス良く食べる食事がおおいのではないかと思います。
  4. 歯科疾患(歯が抜けている、および痛みがある場合)
  5. かみ合わせ状態(正常か不正咬合か)
  6. 生活状況(緊張した生活をしていて、食いしばりが発生するかによって、かみ合わせが変わります)
  7. スポーツなどの関係(力を入れる場合、噛む箇所が普段と異なります。瞬発力を感じる箇所が普段とことなります。その箇所で食いしばることで噛みぐせが発生することがあります。

今回、5日間に渡り、長坂先生の著書からの引用を用いましたが、これには理由があります。

最近、私の患者さんで、かみ合わせの治療を続けていた所、聴力が上がり、耳鼻科の治療が非常にうまくいく患者さんが続出しているのです。

解剖学的な理由と自分自身勉強したいという気持ちが強く合ったために、今回かみ合わせと聴力の関係を詳しくブログに書いた次第です。

私自身、自分の治療にさらに強い確信がもてましたし、今後も患者さん力になれるのではと思いました。

参考文献 アンチエイジング かみ合わせ力 長坂 斉著 アートダイジェスト

2007年12月 3日 (月)

咬合関連症候群4

昨日の続きです。

聴力の判定法

耳鼻科による聴力の判定法の仕方は、気導・骨導聴力オージオメータといい、ヘッドホーンを耳に当て、診査音(鈍音)という音を患者さんに聞いてもらいます。その音を患者さんが聞こえた場合は、スイッチを押し、その状態を記録紙に取ります。

左右の耳で診査音を聞いてもらう気道聴力とは、診査音がして耳の中に空気振動で音が伝わり、鼓膜を刺激して、蝸牛内の細胞を振動させます。その音を増幅して脳神経を通じて大脳聴覚野で感じるのが音への認識の仕方です。

そのことによって鼓膜領域まで疾患がないか、どうかということを外部から入る音の量で調べるわけです。

また、骨伝導というのは、骨伝導携帯電話というのが知られていますが、骨に当てることによって耳で聞かなくても、鼓膜を振動させずに感じるという、直接内耳の聴覚の所まで振動を与えているのです。

骨伝導が聞こえないというのは、聴覚器そのものに疾患があるということになります。

耳鼻科の聴力検査には通常2種類のオージーメータを用い、伝導性難聴または感音性難聴の疾患部位を特定することにより、耳鼻科による耳疾患の処置および手術を行うために使用されます。

例えば、耳の中に耳あかなどが詰まっていると気道聴力が伝わりにくくなり、そのために、聞こえにくいというのは疾患名としては、伝導性難聴ということになります。また、逆に鼓膜に至るまでに何らかの疾患がなくて、聞こえないというのは、蝸牛そのものに問題があると言うことになります。ですから、蝸牛から内耳、脳に至るまでの疾患があるかどうかの判定をするあめの方法としては骨伝導を用いて調べるという方法ということになります。

聴力測定の方法ですが、横軸に125,250,500,1000,2000,4000,8000ヘルツと周波数が並び、左から低い音で倍々と高い音になっていきます。125ヘルツ(低周波)は低い音、8000ヘルツは(高周波)は、高い音で、キーンという音になります。

横軸は、音量です。上に行くほど小さな音、下に行くほど大きな音になっています。10デシベル、20デシベル、30デシベルとレベルが変わります。この10デシベルの差は10×10で、20デシベルの差は10×10×10、そして30デシベルの差は10×10×10×10になります。

ですから100倍、1000倍、10000倍というように大きくなっていきます。この差というのは、大きな差になります。正常範囲は30デシベルより上で、マイナス10デシベルぐらいの辺りまでが正常範囲になります。20代の平均聴力レベルは0デシベルだと考えてください。

明日へ続きます。

参考文献 アンチエイジング かみ合わせ力 長坂 斉著 アートダイジェスト

2007年12月 2日 (日)

咬合関連症候群3

昨日の続きです。

本日も長坂先生の著書よりお伝えします。

咬合関連聴覚障害

かみ合わせ異常が原因で正常な咀嚼運動が出来なくなると、からだ全体にさまざまな症状が発生するのですが、なかでも聴力に関しては、その時どきのかみ合わせの状況により、即時に対応し変化していることが分かったのです。

かみ合わせバランスが良くなることにより、全身のさまざまな症状が減少し、聴力においてもその値が改善する、つまり、正常なかみ合わせ運動は、からだ全体のバランスを整える機能を有しているということになります。

ここで、「かみ合わせ」と「聴力」に関連する症状として、「咬合関連聴覚障害」があり、別の名を「顎関節症耳症状」ともいいますが、次のような症状を挙げることが出来ます。

  1. 咬合関連性聴力低下症。耳鼻科疾患が原因の真性難聴ではなく、耳鼻科にて原因不明とされている突発性、または老人性と呼ばれるもので、かみ合わせ治療をおこなうことで改善する場合、仮性の難聴と考えています。
  2. 咬合関連性めまい、立ちくらみがある。いわゆるメニエール症候群。
  3. 咬合関連による耳鳴り。耳鳴りは耳鼻科にて計測することが不可能とされ、原因においても不明とされているものですが、かみ合わせ改善にともなう一定の聴力の向上が見られたとき、耳鳴りの症状が消失することが分かりました。
  4. 咬合関連に関する耳痛

といったものがあります。

それでは、咬合関連症聴覚障害には何があるかということを考えてみます。

聴覚障害は、かみ合わせによって咀嚼関連筋の左右差から起こる脳血流の変化が起こり、また、それと同時に顎関節運動に関連した側頭骨部付近の咀嚼筋圧の変化によって起こると思われます。

脳血流の増加は、側頭骨内の血流の左右差が生じて来て、蝸牛内分のリンパ圧そのものの左右差が生じるためと思われます。そうした現象が聴力の違いとなって現れると思われます。

明日へ続きます。

参考文献 アンチエイジング かみ合わせ力 長坂 斉著 アートダイジェスト

2007年12月 1日 (土)

咬合関連症候群2

本日も昨日の続きで長坂先生の著書よりお届けいたします。

聴力測定で分かって来たこと

「咬合関連症候群」を詳しく調べて分析してみますと、整形外科の領域、あるいは内科の領域と重層的な関係が非常に多いことがわかります。

頭痛、肩こり、腰痛、めまい、難聴などのおそれがある場合、内科、整形外科、耳鼻咽頭科、整体マッサージなどを訪れます。

顎関節症の症状が出てはじめてその原因を歯科、口腔外科関係ではないかと考え始めるのです。

先ほど述べましたように、通常、治療としてスプリント(マウスピース)を入れたりして治していきます。場合によっては、口腔外科に行って手術をしてりします。

ところで、「咬合関連症候群」というのはだれでも持っている症状なのです。どういう事かと言いますと、「かみぐせ」でも起きてしまいます。

日本人は、左の歯ばかりでのかみぐせの人が多くいます。これは、日本人は、お箸を持ちますので、普通、右手で持ち、口の左の方に食べ物を持っていき、左側の大臼歯で食べ物を噛むという咀嚼行為を行います。

聴力の統計を始めた頃、何で左の低周波の聴力低下の人がこんなに多いのか、左の歯ばかりがなぜ悪いのか、右が悪い人は少ないのか、最初は分からなかったのです。

「あなたはどこで噛みますか」と若い人に聞くと、「奥歯で噛む」と答える人が多くいます。おそらく小臼歯を使っている人は少ないと思います。

それで、大臼歯の歯が悪くなってきて来て、噛めなくなってくると、犬歯から大臼歯までの中間のところで噛むようになります。そうしますと、聴力は一時的に向上します。

さらに年をとって来て、犬歯から大臼歯までの中間のところも抜けたりして犬歯だけ残りますから、その犬歯だけで噛むようになり、高周波が下がって来ます。その時の聴力の値が耳鼻科の老人性難聴パターンと一致するということが分かって来ました。

この「咬合関連症」での症状のある頭痛、肩こり、腰痛、難聴などの症状は、「かみぐせ」がある時もこのような症状あ現れます。また歯科疾患があってもこのような症状が現れます。また歯科疾患があってもこのような症状が現れます。

しかし、その症状そのものの場合、歯科以外の他の科を受診してしまいます。「顎関節症」の症状が発症して初めて歯科を訪れます。このことは先ほどから述べている通りです。

これから「咬合関連症」とは、「顎関節症」とは、ということを説明して行きたいと思います。

咬合関連症とは

「咬合関連症」とはなにかと言うことを整理してみたいと思います。

  1. 歯科疾患および咀嚼障害に関連して増減する体全体の症状。つまり、歯を治療して改善した症状群をいいます。マッサージをして治ったものも「咬合関連症」ではないわけです。専門医の処置、また、薬の作用もなしに症状の改善が見られるものを咬合関連症といいます。
  2. 歯科治療を行ったことにより症状が軽くなる
  3. 義歯をいれたり、痛みの処置およびかみ合わせ訓練などの歯科処置により症状の変化が確認できたもの
  4. 発病症状に対する関連科の治療行為は行わないもの。
  5. その変化が客観的に評価出来るもので、計測機器などによる観察分析が出来ること。

などと、「咬合関連症」を整理することができます。

また、どのような条件の人に「咬合関連症」が多いかを考えて見ますと、

  1. 左右のどちらか一方で噛む癖のある人
  2. 歯並びの悪い人
  3. 右または左に虫歯があり、またその痛みなどがあり、左右均等に噛むことが出来ない人
  4. 入れ歯を壊れたままで放置している人
  5. 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすく、その部位で噛めない人
  6. 乳歯から永久歯への交換が正常に行われなく、古い乳歯が長期残存している人
  7. 長期間歯が欠落したまま放置している人
  8. 歯周病(歯がぐらぐらして)で、噛む箇所が定まらない人
  9. 左右の歯列のバランスが悪い人
  10. 歯ぎしりなどが多い人
  11. 仕事が忙しくて疲労や睡眠不足があるという人
  12. 長時間にわたってパソコンなどによるデスクワークをしている人
  13. あまり運動をしないため、全身の筋肉が衰えている人
  14. かたよった食事をして、いつも軟らかいものを好んで食べている人

という人に多いことがあげられます。

ただ、これらの人に見られる共通の事項として口腔機能に虫歯や何らかの異常があるために、噛みぐせが生じ、その「かみぐせ」による障害が口腔以外の領域に派生していることが多いとうことが分かりました。

「日本全身咬合学会」では、98項目ほど挙げていますが、私は症状をそこまでは細かく分けていません。それは「かみ合わせ治療」として次の項目をチェックしています。

  • 肩こり
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • めまい
  • 腰痛
  • 立ちくらみ
  • 手足のしびれ
  • 涙目
  • 目の痛み
  • 肋間神経痛
  • 座骨神経痛
  • いらつき感
  • 手足筋肉痛
  • ぎっくり腰
  • 膝の関節痛
  • 四十肩、五十肩
  • 顎関節症状

ということになります。

これらの症状は歯科関連の症状として常識では考えられないことと思われますが、実際歯科治療を行い、治療前後の問診などによりその症状の改善が顕著に現れて来るのです。

また、そのことから「咬合関連症」の症状を考慮しますと、潜在的歯科疾患を持った方が非常に多いと思われます。

参考文献 アンチエイジング かみ合わせ力 長坂 斉著 アートダイジェスト

2007年11月30日 (金)

咬合関連症候群1

私は顎関節症の患者さんを毎日診させていただいていますが、その多くが、他の症状も抱えていることがあります。

本日から数回に分けて、長坂先生の「歯のかみ合わせ力」のなかから、顎関節に関係した症状についてお届けいたします。

顎関節症と咬合関連症候群

「顎関節症」の症状や「頭痛」「肩こり」「腰痛」などの体全体の症状のうち、「歯のかみ合わせ治療」の改善で軽快する症状があります。

これらを「かみ合わせ異常からくる関連症候群(=咬合関連症候群)と言っております。

では、「顎関節症」と「かみ合わせ異常からくる関連症候群」の違いは何かと言いますと、「顎関節症」は顎の関節の症状で、つまり「口が開かない」「顎が痛い」「顎の音がする」の三つの症状をいいます。

しかし、「日本顎関節学会」の教科書を見ますと、この三つの症状を挙げたほかに「肩こり」「腰痛」などがあると書いてありますから、「顎関節症」を考える上で誤解を招くことになるのです。

本来であれば「顎関節症」とは別に「咬合関連症候群」という大きなわくを考えなければいけないのです。

これはどういうことかといいますと、普通の体の状態の人に「頭痛」「肩こり」「腰痛」などがあり、歯科治療を受け、治療後、問診してみると「頭痛」が減った、「肩こり」が減った、「腰痛」が軽くなったと言う人が多くいらっしゃいます。ただ、頭痛、肩こり、腰痛というのは、数値では表せないので、自覚した症状の減少から判断せざるをえません。

実際にかみ合わせの異常の患者さんを治療している時、治療前から治療後において不定愁訴の軽快があり、「顎関節症」が現れるのは、それらの関連症状が現れた後に起こることが多く、場合によっては、「顎関節症」の症状そのものの発症がないまま改善が得られることもあるように思います。

したがって、歯科疾患と同時に現れる症状、また、歯科治療後に、改善する、あるは消失する症状を「咬合関連症」と考えています。

これは、教育機関としても、あるいは学会など研究機関としても、何らかのガイドラインを定義してもらわないといけないことになります。

「顎関節症」=「咬合関連症」ではない。「咬合関連症」のなかの一部の症状に「顎関節症」があることをはっきりと定義しないと、これからの研究も進まないと思います。

咬合関連症候群の症状は

一般に口腔外科でいう「顎関節症」というのは、口が開かなくなった人が来たり、それから顎から音がするようになったり、あるいは、顎に痛みがある人で、それらの症状を持った患者さんが「口腔外科」の門を叩いたとします。そこで、「口腔外科」ではどのように対応しているかといいますと、その症状を取ることに努力をします。

つまり、口が楽に開くような処置や、スプリント療法を行ったり、場合によっては、手術を行って関節円盤を除去するという処置を行います。これが口腔外科の立場なのです。

ところが先ほど述べましたように「顎関節症」の教科書にあるように、「顎関節症」には耳症状もあり、頸椎症状もあり、頭痛も肩こりまでもあります。というように不随症状を含めた総称として「顎関節症」とうたっているのでややこしくなります。

その症状のなかには、咬合関連症候群の症状が多いのです。

咬合関連症候群という症状がなぜ分かったかと言いますと、患者さんが歯科に来院され、初診時の疾患を最初に聞くわけですが、例えば、来院された時に、頭痛や肩こり、腰痛がある、あるいは手が挙がらない、腰が痛い、というふうに体全体の症状を問診票に書き入れた体全体の症状のどの部分が減少しているかを確認します。

歯科治療とかみ合わせ訓練で減少した症候群を先ほど述べましたように「咬合関連症候群」と言います。

その咬合関連症候群には、さまざまなものがあります。脳の血液に関係した症状のものや、頭の位置からくるものや、体のバランスに関連した症状などがあります。

例えば、Aさんは原因不明の頭痛、肩こり、膝の痛みがあり、また起きたとき、気だるいという症状などを感じていました。

昼前、オフィスでパソコンを使い書類を作成していて、「今日は朝から首が回らない、頭が痛い」という症状を強く感じて来ました。その時、通常、耳が聞こえずらい場合は耳鼻科へ、頭痛の場合は内科へ、肩こりの場合は整形外科へと受診します。

しかしそれらの科において疾患は認められないこともまた少なくありません。それで大きく口を開けた時にガクッと音がし、あるいは口が開かなくなった、ということで初めて歯医者に行くわけです。この時のAさんも近くの歯科医院に行きました。

それで、歯医者さんに来院された時にどのようなイメージを持たれるかといいますと、「顎関節症」という診断名を聞き、手術することを思い描きます。

通常、一般歯科医院では「私のところでは顎関節症は治療しておりません」ということになり、大学病院の「口腔外科」を紹介され口腔外科的処置の対象となるのです。その結果、その人の診断名は、「咬合関連症の領域」であったはずの診断名を越えて、「顎関節症」ということになってしまうわけです。

Aさんも「咬合関連症」という診断名を知ることなく「顎関節症」になってしまいました。

明日へ続きます。

参考文献 アンチエイジング かみ合わせ力 長坂 斉著 アートダイジェスト

2007年11月10日 (土)

ホワイトニングとは2

昨日の続きです。

自然の色はこうしてつくられる

ここで、簡単に歯の構造と色について見ておくことにしましょう。

歯の表面を覆っているエナメル質はかなり硬い組織で、半透明の乳白色をしています。エナメル質の内側にあるのが象牙質で、これが歯の本体にあたります。

象牙質はその名のとおり、淡黄色や黄褐色をしています。一番内側の歯髄は血管や神経が集まっている所で、そのため、赤い色をしています。

このような要素がミックスされて歯の色として認識されるため、自然な歯の色には黄色やオレンジ、ピンクなどさまざまな色が含まれるのです。

特に前歯の先端部分は象牙質や歯髄もなく、ほかの部分より透明感があります。

ちなみに歯槽骨は歯を支えている骨、歯根膜とは歯を支える組織で、歯槽骨と歯の間でクッションのような働きをしています。

ホワイトニングが有効なのは天然の歯

先にお話ししたとおり、その人本来の歯の色味を生かして、理想的な白さを引きだして行くのがホワイトニングです。したがって、ホワイトニングが有効なのは天然の歯に限られ、すでに入っている差し歯や詰め物(レジン=プラスチック、銀歯、セラミック)など、人工的なものはホワイトニング剤を塗っても色は変わりません。

その様な場合は、歯全体がホワイトニングで希望の色になった段階で、差し歯や詰め物などを同じトーンのセラミックに変えることで、バランスよく統一された白い歯の整えることが出来ます。

変色の原因は大きく2つに分かれる

歯の変色の原因には外因性の変色と内因性の変色があります。

外因性の変色には、①飲食中の色素やタバコのヤニなどの沈着②虫歯③歯の補綴物(詰め物、かぶせ物)による変色などがあげられます。

内因性の原因としては、おもに①加齢による黄ばみ②抗生物質テトラサイクリンの服用による変色(永久歯の歯冠形成期=出生直後から小学校入学前の期間=に服用により、歯の硬組織に取り込まれることで起こる変色で、重度になると縞模様をともなう)③フッ素症(上水道中に1ppmを越えるフッ素を含む地域に発生しやすく、歯の表面に白や褐色の斑点がでる)による変色などがあげられます。

一般に、外因性の変色により内因性の変色、特にテトラサイクリンやフッ素症が原因の変色はホワイトニングによる効果が出にくいとされています。ホワイトニングを始めると白い部分はより白くなるため、かえって縞模様や斑点が目立つようになるためです。

斑点の場合には、ホワイトニング後、その部分を削って周囲の色調にあわせた詰め物をする処置が必要になる場合があります。

ただし、テトラサイクリンによる変色は根気よくホワイトニングを繰り返して縞模様が強調される時期を乗り越えると、ある程度目立たなくなる場合もあります。

審美歯科ではホワイトニングの他にも、ラミネートベニアやセラミッククラウンという白い歯に再生出来る技術も提供しています。重度の変色であっても、治らないなどと心配する必要はありません。1人1人の悩みに対応出来る治療法がありますので、安心して歯科医に相談してください。

参考文献 美しい歯を手に入れる本 平原順也著 現代書林

2007年11月 9日 (金)

ホワイトニングとは1

今回は、平原順也先生の「美しい歯を手に入れる本」からホワイトニングについてお届けいたします。

ホワイトニングとは?

歯の内部からきれいにしていくのがホワイトニング

ホワイトニングは別名ブリーチング(bleaching=漂白)とも呼ばれるとおり、変色している歯の表面にホワイトニング剤(漂白剤)を塗って、脱色しながら歯を白くしていく方法です。

真っ白なシャツも、繰り返し着ているうちに洗濯しても黄ばみが取れなくなるものですが、私たちの歯も、食生活や嗜好品などによって少しずつ変色していきます。コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーなど、色の濃い飲み物や食べ物、またタバコを吸う習慣がある人など、歯の表面のエナメル質から内部(象牙質)にまで色素が沈着していき、いくらブラッシングをしても落ちなくなってしまいます。

ホワイトニングはこのように内部に沈着してしまった色素を取り除くことが出来るため、歯が白くなるのです。歯の表面に塗ったホワイトニング剤の成分(過酸化水素水・過酸化尿素)から発生するフリーラジカル(活性酸素)により、歯の内部に沈着している汚れを分解することで、歯の内側から白くしていくのです。

自然できれいな白さを引き出すホワイトニング

ただし、人によって歯の色はさまざまです。自然な歯の色の中には青味がかった白もあれば黄色味を帯びた白、ピンクやオレンジ、灰色や茶色がかった白もあります。

ですから、ホワイトニングの効果にも個人差があります。また歯の厚さや色素沈着の程度、変色の原因などによって、比較的少ない回数で結果が出る人もいれば、ある程度回数を重ねて希望の白さに到達するケースもあります。

ホワイトニングは、その人がもともと持っている歯の色味を生かしながら、もっとも自然ですっきりとした、きれいな白さを引き出していくものと考えていただければいいでしょう。

もとの歯の色味によって得られる白さもさまざまですので、カウンセリングの際によく相談しても変わりがありません。

クリニックには「シェードガイド」と呼ばれる歯の色見本が用意されていますので、もとの歯の色とシェードガイドの色とを比較して、どの程度まで白くしたいのか具体的に希望を伝えると良いでしょう。

明日へ続きます。

参考文献 美しい歯を手に入れる本 平原順也著 現代書林

2007年10月30日 (火)

知覚過敏を引き起こす歯の状態とその状況2

昨日の続きです。

9:発生学上の問題により生じる知覚過敏

発生学的に病的な知覚過敏を持つ患者さんの存在が報告されています。しかし、その原因がエナメル象牙境をセメント質を覆っていないためなのか、全体的に痛みに対する閾値が低いためなのかについては今の所不明です。

10:修復物による知覚過敏

修復物を装着する際に考えられるいくつかの要因について、ある種のアマルガムは、充填後(24~48時間)の収縮により、感受性が亢進することが知られています。コンポジットレジン充填は、操作中の汚染や不適切なエッチング処置が辺縁漏洩を引き起こすことにより感受性を高めます。また不適切な歯質の乾燥も感受性を向上させます。

一般的に歯髄は窩洞形成時、すでに障害を受けていますので、修復処置後にしみるのは当然といえます。また、修復後に咬合が変化したことにより知覚過敏が発生することもあります。

11:薬剤による知覚過敏

抗ヒスタミン剤や血圧降下剤の長期服用は唾液を減少させます。口腔乾燥は唾液の保護作用が低下するので、酸により障害を受けている歯質をさらに悪化させます。

象牙質が露出している場合は、象牙細管の開口を促進させる要因となります。また唾液の減少は、結果的にプラークを蓄積させるため、唾液のpHをう蝕に引き起こすレベル(象牙質う蝕はpH6.0~6.8 エネメル質う蝕はpH5.5以下で発症)まで低下させてしまうのです。

12:ホワイトニングによる知覚過敏

生活歯に対するホームホワイトニングによる知覚過敏は、10%のカルバミド酸に含まれる2つの成分(3%の過酸化水素水と7%の尿素)が速やかにエネメル質からエネメル質を通して象牙質に浸透、通過し、短時間で歯髄に到達することで起こります。

可逆性の歯髄炎へと進行する感受性の亢進は、歯髄への明らかな害が特定されない場合、象牙細管内容液の移動、歯髄に接する歯科材料、浸透圧の変化などにより引き起こされることが考えられます。過酸化物の濃度にもよりますが、ホワイトニングすべての施術(オフィスホワイトニング、医師に処方箋が無くても店頭で買えるもの)に引き起こされる可能性がります。

以上のように、象牙質知覚過敏症は、様々な要因によりエナメル質やセメント質が喪失し、象牙細管やセメント質が喪失し、象牙細管が露出して発症します。「しみる・痛い」と訴えている患者さんの正しい鑑別診断のために、先述した12項目の象牙質知覚過敏鑑定別において考慮すべき要因を参考にしてください。

参考文献 チームで取り組む 象牙質知覚過敏症 深川優子 安田登 共著 クインテッセンス出版

2007年10月29日 (月)

知覚過敏を引き起こす歯の状態とその状況1

今回は、知覚過敏について取り上げます。テキストは、安田先生と深川先生の共著である「象牙質知覚過敏症~しみる!痛い!にどう対応?~」からお届けします。今回のテキストは歯科医師に向けて書かれたものなので、すこし難しい内容になっていますcoldsweats01

象牙質知覚過敏症鑑別診断において考慮すべき要因

私たちは、知覚過敏症の患者さんを前にすると、いろいろな検査、問診、視診、X線等の診査をして、様々な情報を元に診断をしていきます。

その中で、知覚過敏症を引き起こす歯の状態や症状があります。今回はその一つ一つを検証していきましょう。

1:膿瘍(根の病気)のある歯、あるいは失活歯(神経の無い歯)

膿瘍のある歯や失活歯は、X線写真所見で、根尖部(根元の部分)に透過像(バイ菌がいる可能性があるということ)が認められたり、同部位にフィステル(膿が歯肉を突き破って口腔内に出てしまうこと)の存在が多く認められたりします。

大部分は、生活している組織においても、1根(歯の根の数は1~3本)だけが、部分的に壊死を起こしていることも多く、この場合は、電気歯髄診などのバイタルテストを行います。痛みの原因は主に歯根膜の痛みと考えられます。

2:破折している歯

垂直的破折、あるいは咬頭が部分的に歯髄にまで達していれば歯髄、あるいは歯根膜の痛みを伴います。また咬頭が部分的に破折して象牙質が露出していれば当然象牙質の知覚過敏が生じます。

3:う蝕のある歯

う蝕進行に伴う感受性はエナメル象牙境(エナメル質と象牙質の境目)でもっとも強く感じますが、その部分を超えると歯随に到達するまでの間、一時的に鈍くなります。う蝕はほとんどの場合でう窩(虫歯で出来た穴)を伴うので、X線写真像、探針などで鑑別する事が可能です。

4:歯肉退縮のある歯

一般的に、歯肉退縮はブラッシングによる機械的刺激や急性歯周炎が治癒した後、またはオーバートリートメント後に発症することが多く、これによりセメント質が喪失し、歯根部の象牙質が開口することにより感受性が亢進します。また、歯周病により歯肉クレフトも考慮しなくてはなりません。

5:ブラッシングによる摩耗のある歯

毛先の硬い、あるいは軟らかい歯ブラシで不適切な磨き方によりエナメル質を摩耗させてしまいます。特に研磨材配合の歯摩材の使用が相乗効果として働き、エナメル質を喪失するだけでなく、歯面表面の軟らかい歯肉を退縮させる要因ともなります。

6:咬合性外傷による障害(アブフラクション)

咬合性外傷(アブフラクション)による障害の感受性は大変強く、歯髄にまで進行してしまう場合があります。アブフラクションは、始めにエネメル質が剥離し、その後摩耗や酸蝕などの影響を受けるためか、結果として生じる象牙質知覚過敏、歯質の実質欠損の原因には複数の因子があると考えられます。また肉眼では認識しづらいアブフラクションもあり、むしろこn場合も方が診断の対処の方法も大変難しくなります。

7:酸による障害

一般的に、胃酸の逆流などの内因性の酸による障害は口蓋側に起こり、酸性食品の摂取による外因性の障害は頬側に起こる傾向があります。

pH値が大変高い炭酸飲料のコーラやフルーツジュースなどの大量消費や長時間消費(だらだらと飲む)は、酸による攻撃と同じです。そのうえさらにブラッシングを行うと、酸によって軟らかくなったエナメル質や象牙質の歯質を引き起こす要因となります。また、咬耗がみられる臼歯部咬合面に凹状のエネメル質喪失を引き起こします。

明日へ続きます。

参考文献 チームで取り組む 象牙質知覚過敏症 深川優子 安田登 共著 クインテッセンス出版

2007年10月11日 (木)

入れ歯のイロハ

本日は、日本経済新聞9月30日分サンデー日経の健康面に記載された記事からお届けいたします。

入れ歯のイロハ

せっかく入れ歯を作っても、「かみにくい」「痛い」「はずれやすい」といった悩みを抱える高齢者は多い。いくらおいしい食べ物でも味を十分に楽しめないと、生活に張りも出ない。入れ歯と上手につきあえば、生活の質(QOL)も向上するはず。

大人の歯は親しらずを除くと28本。厚生労働省の統計によると、自分の歯が20本以上ある人の割合は60歳で7割だが、70歳になると4割、80歳で2割まで減る。一方、自分の歯が一本も無い人は70歳以上で3割近くに達する。「歯を失う原因の約9割が虫歯と歯周病だ」(野首大阪大学名誉教授)

作ってからが本番

28本中、20本以上あれば高齢になっても、大半の食べ物をかみ砕くことは可能。咀嚼(そしゃく)がうまくいかないと、食べ物をおいしく感じられないほか、健康に悪影響をあたえかねない。最近では噛むことが脳の活性化に繋がるという研究も盛んだ。

入れ歯には総入れ歯と部分入れ歯があり、どちらも取り外す事が可能。自分の歯が全部なくなっている場合は、総入れ歯を、まだ多く残っていれば部分入れ歯を使う。部分入れ歯は残っている歯の本数や状況によって、形や大きさが異なる。

入れ歯はレジン(プラスチックの1種)やセラミックなどで作る。人工歯を支える義歯床には歯肉の色に似たレジンや、コバルトクロム、チタンなどの金属を使う。

レジンは加工しやすい反面、強度を保つためにある程度の厚みがいる。一方、金属は薄くて異物感が少ない。また、熱も伝えやすく、水を吸わないなどが利点がだが、調整しやすさではレジンに劣り、健康保険の対象にならないケースもある。

入れ歯は精密に型を取り、噛み合わせを決め調整しながら作るため、完成までに1~2ヶ月かかる。ただ、できあがったからそれで終わりではない。高齢者歯科が専門の小正裕・大阪歯科大学教授は「入れ歯は作ってからがむしろ本番だ」と話す。

まず、入れ歯に必要なのは慣れ。初めて入れ歯を使う人は数週間はかかると覚えておこう。使い始めに良くあるのが、「なんとなく気持ちが悪い」「しゃべりにくい」「痛い」といった訴え。

違和感は「はめる時間を少しずつ長くしていけば約1週間で慣れる」(小林教授)。はめる前に入れ歯を一度水で濡らすと口になじみやすくなる。

安定剤は緊急用

都内に住む60代の石川さえ子さん(仮名)は、歯周病が原因で昨年、上下とも総入れ歯にした。ただ、サ行やタ行がうまく発音出来ない。入れ歯を作ってもらった横須賀歯科医院(東京・太田)の横須賀正人院長に訴えると、「声を出して新聞を読んだり、好きな歌を口ずさんだりしてみましょう。」と助言された。早速実践すると三週間もしないうちに普通にしゃべれるようになったという。

噛みにくい場合は、豆腐やバナナなど柔らかいもので噛む練習をするのもよい。痛み出したら我慢は禁物。傷が出来ることもあるので早めに歯科で調節しなければならない。横須賀院長は「少しでも不具合があれば歯科医師に相談すること。勝手に自分でヤスリなどで削らないでほしい」と言う。

毎日の手入れも欠かせない。食後は入れ歯に食べかすがたまる。放置すると歯肉が炎症を起こしたり、細菌が繁殖したりする。高齢者だと細菌がもとで肺炎になるケースもある。

入れ歯をはずして専門ブラシなどで表と裏を丁寧に洗い流そう。歯磨き剤は特に使わなくてもよい。

ブラッシング後に専用の洗浄剤に浸せば除菌も出来る。入れ歯に熱湯をかけて消毒する人がいるが、変形するのでやめよう。寝るときははずし、歯肉を休ませる。合わないからといって、市販の入れ歯安定剤を使い続けるのは良くない。「あくまで緊急用。合わないのなら早めに歯科を訪ねて欲しい。」と専門家は口をそろえる。入れ歯は自分の歯の代わり。上手に使えるようになっても半年に一回、歯科での定期チャックは忘れずに。

2007年8月30日 (木)

4歳の息子暴れ、虫歯治療すすまず

本日は、読売新聞8月26日分の-くらし、健康-の中に寄せられた質問を東京医科歯科大学小児歯科教授 高木裕三先生がお答えになっているものです。

4歳の息子が虫歯になり、歯科に通い始めましたが、泣いて大暴れするので、なかなか治療が進みません。歯肉が腫れ、神経まで痛んでいるので全身麻酔による早期の治療を進められていますが、心配です。(千葉 母)

A:高木 裕三教授

歯科治療が必要なのに、お子さんが暴れて治療が出来ない場合には、小児歯科専門医に一度相談されることをお勧めいたします。小児科医は次の4つから方法を選択いたします。

最初に方法は、お子さんに歯科治療のトレーニングを行って、十分慣れてから治療に入る物です。理想的に見えますが、治療を始めるまでに時間がかかり、このお子さんのように緊急を要する時にはかえって問題が起きてしまいます。

2番目は、体の抑制具を使って、事故を防止しながら治療を始める方法です。注射麻酔をしてから治療を行うので、痛みはないですが、当初は体が拘束される不快感や不安感から、泣き叫んでしまいます。しかし、多くのお子さんは、治療が進むと状況を理解して協力してくれるようになります。

3番目は、鎮痛剤を使って、意識がはっきりしない状況で治療する方法です。全身機能の管理が不可欠なので、歯科医と麻酔専門医との連携が必要になります。

最後は、ご質問の全身麻酔で歯科治療を行う方法です。全身麻酔は心臓や肺、肝臓への負担がかかるほか、事故のリスクを皆無にする事ができないので、他の方法では治療できないと考えられる場合に限って、選択するのが一般的です。

これらの方法から、小児歯科医がどれを選択するかは、年齢や治療の緊急度、心身の状態などで決めますが、ご両親の了解が不可欠です。小児歯科医専門医からよく説明を受け、方法を選択してください。

2007年8月24日 (金)

がん治療前に口腔ケア

平成19年8月19日の福島民報サンデー健康からの抜粋です。

静岡がんセンター調査 がん治療前に口腔ケア-合併症減りQOL向上-

がんの放射線治療や科学療法が原因で、重い口内炎や出血、あごの骨の壊死などの合併症に悩ませれている患者は少なくありません。

こうした合併症は、がん治療前に虫歯や歯周病の治療など口腔ケアを徹底することで、四分の一に減らせることが、静岡県立静岡がんセンターの調査で判明。

同センターは、口腔ケアをがん治療の一環と位置付け、QOL(生活の質)向上に役立てています。

★化学療法の約40%

米国がん研究所(NCI)のデータでは、口内炎を中心とする口腔の合併症は、化学療法を受けた患者の約40%で発生しました。造血幹細胞移植を受けた白血病などの患者では80%、顔から顎、首にかけての頭頸部がんで口腔が含まれる部分に放射線治療をした患者は100%に達します。

静岡がんセンターの太田洋二郎歯科口腔外科部長は「放射線や抗ガン剤は正常な細胞も傷つけるので、口内炎や味覚障害などが起きます。唾液を出す細胞が障害されると唾液が減り、プラーク=歯垢=1mmg中に約1億個いる細菌が繁殖しやすくなって虫歯や歯周病が一気に進みます。」と説明します。

さらに、食欲がなくなり、体重が減少、体力も低下してきます。医師や看護師、薬剤師らがチームで取り組むがん治療の中で「口内トラブルは生存率に直接影響を与えないので、注目されてこなかったのです。食事がちゃんと出来るようになって、初めてがん治療に成功したと言えるのに」と太田部長。

★病室で治療も

口腔ケアの重要性を裏付けるのが、がんで切除した舌を腹や太ももの筋肉を使って再建する手術の後の合併症調査です。

太田部長は、同じ形成外科医が再建手術をした患者を事前の口腔ケアの有無で比較しました。他のがん専門病院で口腔ケアなしで手術を受けていた33人では21人(64%)に感染症や肺炎などの合併症が起きていたのに対し、静岡がんセンターで口腔ケア後に再建した56人では9人(16%)と1/4ですみました。

この結果もあり同センターでは、がん治療が決まった患者には歯と歯肉を精密に検査し、歯石除去や虫歯治療を実施、ブラッシングを指導しています。放射線をかけた後に抜歯すると、変性してスカスカになった顎の骨が細菌の温床となるため、抜歯も放射線治療前にすませます。

入院中は歯科医や歯科衛生士が病室まで出向き、治療やケアをすることもあります。

口内炎の予防法は無いため、①清潔保持②保湿③局所麻酔薬によるうがいなど痛みのコントロールで対処します。

また、患者が自分でケアできるようにと「口腔ケアセット」をサンスターと共同で考案。通常は歯科医院でしか販売しない歯ブラシ、デンタルリンスを患者の状態に合わせて3種類のセットにして、7月から売店で販売を始めました。

★地元歯科と連携

静岡がんセンターでは、太田部長ら常勤医2人と他科兼務の研修医5人で、月に約1000人の歯科診療に当たっています。しかし、退院後の患者まで手が回らず、患者からは「がんの治療中と申告したら歯科治療を断られた」、歯科医院からも「がんの治療内容の内容が分からないので不安」との声も寄せられました。

「がんセンターで完結しようとすると歯科治療難民を生み出す」(太田部長)として昨年夏から進めているのが、地域の歯科医との連携です。講習会を通じて県東部の歯科医の半数近くに連携歯科医となってもらい、同センター退院後の患者を50人以上紹介。口腔ケアを徹底するため、がん治療まえからの連携につなげたい考えです。

2007年8月20日 (月)

気になるけど治さない

本日は、福島民報8月12日のサンデー健康に記載されていた記事からです。

気になるけど治さない・・・低い歯並びへの意識

自分の歯並びに不満な人が多いのに、矯正治療を受けたことがある人ははわずかに10人に1人-。

日本臨床矯正歯科医会の調査で、まだまだ低い日本人の歯並びに対する意識が浮き彫りになりました。

「高額」「器具が目立つ」「子供が受ける治療」といった従来のイメージが治療へのハードルになっていることも伺われ、同歯科医会は「昔と比べ治療方は変わった。器具も進化して目立たなくなり、痛みも軽減されている。まず、矯正医に相談してほしい」と訴えています。

調査は7月中旬、全国の10~50代の男女500人ずつ計1000人にインターネットで実施しました。

「歯並びで第一印象が左右されるか」という質問に「思う」と答えた人は21%、「やや思う」は50%で、10人中7人が歯並びの重要性を感じていました。

一方で「自分の歯並びは良いと思うか」との問いに「思う」と答えた人は9%、「やや思う」は19%で、大半の人は自分の歯並びに満足していないことが分かりました。

しかし、歯並びについて歯科医に相談したことがある人は27%、矯正治療の経験がある人はわずか10%にとどまり、不満を抱えながらも行動が伴っていませんでした。

背景には、矯正治療に関する知識不足があるとみられます。透明で目立たない器具を知っている人は36%、器具の進化で痛みが少なくなっていること、歯肉が健康なら年齢にかかわらず、矯正治療を受けられることを知っている人はそれぞれ21%と17%で、いずれも認知度は低い結果になりました。

同歯科医会は、矯正歯科を専門とする開業医で組織され、現在の会員数は約460人。市民セミナーなど啓発活動に取り組んでいます。

2007年7月31日 (火)

世界的傾向のメタルフリー2

昨日の続きです。

口の中に入っている金属が、アレルギーを引き起こす場合、酸っぱい味覚として感じられたり、歯肉の黒ずみ、舌や唇がただれるといった症状が口の中に現れ、やがて血液を介して直接金属に触れていない部位にも湿疹やかぶれといった症状が広がることもあります。

このような症状が出たら、まずは皮膚科やアレルギー科でパッチテスト(貼付試験)を行い、どのような金属に過敏に反応するかを調べた上で歯科を受診するようにしましょう。

歯科では金属アレルギー検査器(DMAメーター)を使って、どの歯の金属イオンが体内に放出されているかを調べ、原因になっている歯を特定します。

原因になっていた歯の金属をはずし、セラミックなど非金属の材料で修復することにより、アレルギーは改善されるはずです。

それまで特にアレルギーがなく、歯の治療後に先のような変化が現れたら、歯に原因はないかチェックすることです。また、金属アレルギーがあることがわかっている人は、歯の治療に金属を使わない方が安全です。

セラミックは安全性・耐久性と審美性を合わせ持つ素材

現在、歯科治療で金属の代わりに使われている材料には、セラミックを始めレジン(プラッスチック)、その中間の特徴を持つグラス、強度の面ですぐれたジルコニアといった素材があります。この他チタンは金属ですが、生体親和性の高い材料であることが知られています。

レジンは白色で前歯などの治療によく使われる材料ですが、強度にかけるため、強い力がかかる奥歯の修復には適しません(注:最近はそんなこともなくなりました)。また粒子が大きいため変色しやすく、使っている間に摩耗するといった欠点もあります。

それに対し、セラミックは天然の歯と同程度の強度を持ち、変色や摩耗することもなく長持ちします。

セラミックは「陶器」を意味するとおり、約1000度という高温で何回も焼き付けながら歯の形に整えていく技法が用いられ、それだけに歯科技工士にも高い技術が求められる分野です。

天然の歯にはエナメル質や象牙質などがあることはお話しまhしたが、セラミックの作成においては、ぞれぞれの質感を表現するための色調が何百種類と存在しています。安全性を始め、質感、強度、耐久性の面でも、セラミックはもっとも進んだ材料といえるでしょう。

参考文献 美しい歯を手に入れる本 著者 平原順也 現代書林

2007年7月30日 (月)

世界的傾向のメタルフリー1

本日は、平原順也先生の著書「美しい歯を手に入れる本」からお届けいたします。

体にやさしい審美歯科治療(メタルフリー)

最近、メタルフリー(ノンメタル)という言葉をみたり聞いたりすることがあると思います。

これは歯科医療の世界で、審美的な要求や金属アレルギーに対する歯冠修復の観点から、金属を問わず、生体親和性の高いオールセラミックやハイブリッドセラミックス(硬質レジンとセラミックの複合高分子合物)などを使って処置をすることを言います。

自然で美しい歯を再生するという審美的な側面ばかりではなく、安全性、耐久性においても優れたメタルフリーによる歯の修復は、すでに海外では主流になっています。

意外と気がつかない、歯が原因の金属アレルギー

金属アレルギーというと、ピアスやネックレスといったふだん身につけているアクセサリーや日用品に使われている金属によるものが知られています。それらの金属が汗や体液でごくわずかに溶けてイオン化したものが体内に入り、免疫の働きで異物として記憶され、つぎに同じ金属に触れた時に拒絶反応が起こって皮膚にかぶれなどの症状(アレルギー性接触皮膚炎)をもたらすことを言います。

金属アレルギーは誰でもかかるわけではなく、身につけた金属(溶け出しやすい金属)やつけている人の条件(金属に触れる頻度)などによって異なります。

一般に虫歯の治療の後に使われる合金には、様々な金属(ニッケル、クロム、コバルト、水銀、ロジウム、パラジウムなど)が含まれています。

ピアスやメガネなど身につけるものはそれとわかりますが、口の中にも金属があることは見過ごしがちです。ある日突然アレルギー症状が出ても、歯が原因だとはなかなか気がつかないものです。それが持病になり、さんざん検査を繰り返した後、ようやく歯に詰めた金属がアレルギーの原因だったことがわかった、そんな例も珍しくありません。

明日へ続きます。

参考文献 美しい歯を手に入れる本 著者 平原順也 現代書林

2007年7月25日 (水)

象牙質知覚過敏症発症のメカニズム

本日は、安田登先生の著書である「象牙質知覚過敏症」からお届けいたします。

象牙質知覚過敏症発症のメカニズム

象牙質に加わる物理的および科学的刺激が歯髄神経に興奮を起こすメカニズムが提唱されたのは古く、100年以上前のこととなります。

現在もっとも広く受け入れられている学説は、1963年にGysiが最初に提唱し、Brannstromら、Horiuchiらおよび堀内の報告でその詳細が明らかとなった、象牙細管内溶液の移動に注目した「動水力学説」であると考えられています。

しかし、その後、1992年においてさえ、まだ象牙質知覚過敏症は「なぞめいた物、不可解なもの」と呼ばれていたことも興味深い事実です。

動水力学説が提唱されてから約20年経過していても、なおその対処法に戸惑っている当時の歯科界の現状を物語っています。

では、動水力学説とはどのようなものなのでしょか?

象牙質知覚過敏症は、様々な要因より発症しますが、そのメカニズムは以下の順で生じるといわれています。

  1. さまざまな要因でエナメル質やセメント質が喪失することにより、象牙質が露出し、その表面に象牙細管(象牙質内を走る神経とエナメル質の間の管)が開口する。
  2. そこに何らかの刺激が加わる。機械的刺激(ブラッシング)、温度刺激(飲食)、咬合圧(歯ぎしり)、化学物質(ホワイトニング)、口腔乾燥(口呼吸、薬剤の服用、加齢)
  3. 象牙質に加わった様々な刺激により、象牙細管内溶液が外向きあるいは内向きに移動する
  4. 象牙細管内溶液の移動が歯髄・象牙牙境付近に分布する自由神経終末を刺激・興奮させインパルスが発生するために痛みが生じる。

**************************************象牙質知覚過敏症に関する多くの報告では、感覚の亢進した象牙質に対する診査の際に、冷気、冷水、および鋭利な探針による擦過刺激であるとされています。

また、興味深い知見として、温刺激が冷刺激よりも痛みを喚起しないのは、象牙細管内溶液の移動が緩慢であり、歯髄側の神経繊維を刺激させるまでには至らないとの報告があります。

冷刺激を感じやすい部位にも特徴があり、主として、上顎は左右ともに第一小臼歯、ついで犬歯、下顎右側は犬歯、ついで第一小臼歯、下顎左側は反対に第一小臼歯、ついで犬歯との報告もあります。

この部位特異性は、利き腕とプラークコントロールの関係によるものかもしれません。

参考文献 チームで取り組む 象牙質知覚過敏症 深川優子/安田登著 クインテッセンス出版

2007年7月23日 (月)

治療中・治療後に気をつけること

本日は、歯科雑誌 nicoから治療中、治療後に気をつけることについてお伝えします。

Q:治療中はどんなことに気をつけた方が良いですか?

=麻酔が効いている時=

麻酔が効いている間の食事はさけましょう。感覚が麻痺しているので、唇や頬を噛んでしまったり、硬いものをそれほどにも感じずにガリッと噛んでしまうこともあります。

=食事=

ガムや餅など、歯にひっつくものは避けましょう。

仮歯がはずれたり、隙間ができると、細菌が入ってしまい、治療は最初からやり直しになってしまいます。

また、強い力がかかると、歯髄(神経)を取り除いて弱くなっている治療中の歯が割れてしまうことがあります。

こうなると、抜くしか方法がなくなるので、硬いものは避けましょう。

=ブラッシング=

特に、仮歯が入っている場合は、仮歯の表面が粗いため、プラークなどの汚れが付きやすくなっています。仮歯との歯肉の隙間にも汚れが溜まりやすいのです。歯の根本にも毛先を当てて、念入りにブラッシングをしましょう。

治療後にはどんなことに気をつける?

=食事=

基本的には何を食べてもかまいません。ただ、神経(歯髄)をとってしまった歯はその強度が弱くなっているので、やはり硬いもの、ひっつくものはなるべく避けた方が無難

=オーラルセルフケア=

お口のなかに起こる主な病気は、お口の中に起こる主な病気は、お口の中に細菌が問題を引き起こしているため、治療をするだけでは、ふたたび同じような問題が起こってしまいます。

ほんとにご自分のお口のなかを健康に保って行きたいのならば、ご自身の行っている口腔健康管理を見直してみることが必要になります。

2007年7月17日 (火)

なぜ何度も通う必要があるの?

今日は、nico(ニコ)という歯科医院の待合室に置いておく雑誌のなかから歯の根に関する事を。

Q:歯の根の治療に、なぜ何度も通わなければならないのですか?

A:将来問題が発生しないように、細菌に対してのさまざまな配慮が必要だからです。最後まで治療にお付き合いください。

この質問には、歯内歯周専門室 宮下歯科院長 宮下裕志先生がお答えになっています。

歯根の治療には大きく分けて2つあります。一つは炎症を起こしている歯髄を取り除く治療です。

もう一つは以前に歯髄を取る治療を受けたけれども、また治療が必要な場合です。

歯髄を取る治療は普通麻酔をして行います。小さな歯の中には何千本もの神経や血管が枝分かれしており、その炎症を起こしている歯髄をきちんと取り除くには時間がかかります。

歯髄をとる治療でなによりも大切なことは、治療中のすべてのステップで歯のなかに細菌が入らないようきちんと配慮してもらうことです。そうすることで2度と問題が発生することはありません。

再治療が必要とされる場合は、細菌が根管のなかで繁殖して根の先の部分に炎症が起こっています。これを出来る限り取り除く必要がありますが、しぶとい細菌が繁殖している時があります。

また治療が困難な状況が作られてしまっている場合や、根管を探すのが難しい場合もありますので大変です。

再治療は通常、冠を外して行いますので、それまでの治療が無駄になるばかりでなく、歯自体にも大きな負担となります。

だからこそ、最初に歯髄を取る治療をする際にしっかりと治療をしてもらう事が大切です。

この様に歯根の治療は、細菌を歯のなかに入れない配慮と、入れてしまっている細菌をきちんと取り除くという配慮の2つの原則が守られていると成功します。治療には通常2回~5回程度の通院が必要となるでしょう。是非じっくりとお付き合いください。

2007年5月21日 (月)

歯の治療は、実は・・・。

本日は、飯塚哲夫先生の著書「歯科受診の常識」からお届けいたします。

歯の「治療」は、実は「修理」

多くの人々は、「歯の治療」というものを、具体的にはどのようなものと考えているのでしょうか。

「歯の治療」というと、おそらく、「つめる」「かぶせる」「差し歯をいれる」「入れ歯をいれる」「歯を抜く」「歯並びを直す」といったことを想像すると思います。

しかし、このような行為を「医療行為」と見なしている国は、世界中を見渡しても、日本を含めて只の一つもありません。

つまり、一般に「歯の治療」と考えられているのは「治療」ではなく、「医療」の範疇に入るものではないのです。

「入れ歯をいれる」という行為を考えてみましょう。

口の中へ入れ歯を入れても、どんな種類の病気も治りません。そもそも入れ歯を入れるという行為の目的は、病気を治すことではありません。それは口の中の土木工事にすぎません。

入れ歯を入れれば、歯の無い所に人工の歯が作られてモノが噛めるようになります。しかし、それによって何らかの病気が治るわけではありません。

虫歯の穴に金属や合成樹脂などを詰めれば、穴はふさがります。虫歯のために形が崩れた歯に金属の冠をかぶせれば、歯の形は元通りになります。モノが噛めるようになります。

しかし、そのような行為は、虫歯で崩壊した歯の形を回復するための土木工事に過ぎず、虫歯という病気を治す役に立つものではありません。

虫歯で崩れた歯に差し歯を入れれば、歯の頭(歯冠)の形は回復します。しかし、この行為にも「医療」の意味がないことは明らかでしょう。

歯を抜く事が「治療」でないことは、言うまでもないことです。歯の治療とは、歯の病気を治して健康な歯にする事です。そうなれば、抜く必要はなくなります。つまり、「歯の治療」とは「「抜歯」とは正反対の行為なのです。

歯の神経を抜く(とる)ことを「治療」と考えている人は、すくなくありません。何か悪いところ、あるいは病的なものを取り除いて健康にすることと思っているのかもしれません。

そもそも「神経をとる」という言い方が間違っているのです。歯の中には「神経」が入っているのではありません。「歯髄」と呼ばれる、生体の一部が入っているのです。というよりも、この歯髄が「歯」という器官の本体であり、我々が「歯」と考えている硬い部分は、歯の衣服とでも考えるべきモノなのです。

たとえば、貝という動物の本体は我々が食べる中身のやわらかい所であり、貝殻ではありません。貝殻は、貝という動物の衣類にすぎません。中身のない貝殻は、貝という動物の死骸と言っていいでしょう。神経をとってしまった歯は歯の死骸にすぎませんから、神経をとるという行為は、歯を殺すことなのです。

歯そのものに問題があって抜かれる歯は、例外なく死んだ歯、つまり歯髄のない歯です。

生きている歯は、どんなに高齢者の歯でも、歯自体の問題で抜かれることはありません。この一時を考えても、「神経をとること」すなわち「歯を殺すこと」がいかに重大なダメージを歯に与えることであるか理解できると思います。

しかし、実に多くの人が、「神経をとること」を一種の治療と考えているようなのです。「この歯は、たしか3年まえに、ちゃんと神経はとってもらっているはずです」と言う患者さんは大勢います。

歯並びを直すいわゆる矯正治療は「治療」でないことは明らかでしょう。歯を動かして悪い歯並びをきれいに並び替えることは、まさに、口の中の「土木工事」そのものでしょう。

歯並びを直す歯列矯正という行為を医療行為の一種と考えている国は、世界中に一つもありません。歯並びを直す行為は、美容的効果はあるかもしれませんが、医学的見地からは数々のデメリットがあり、メリットはほとんど無いものなのです。

しろくま歯科医院から一言。

今回のブログは、いろいろな考えがあっても良いのではないかという立場から参考にさせていただきました。

私は、歯科治療はれっきとした医療と思っていますし、矯正治療も必要不可欠なものです。

しかし、非常にドライな考え方をすれば、飯塚先生のような考え方も一理あるのかなというきはします。

参考文献 歯科受診の常識 歯科に行くまえに読む本 飯塚哲夫著 愛育社

2007年5月10日 (木)

歯はなぜ抜かれるのか?

私は、暇さえあると本屋へ行くのですが、今回も本屋で「歯科受診の常識」という本を発見。

副題に「歯科に行くまえに読む本」と書いてある。

患者さんの心理を知る事もとても重要と思い、迷わず購入。

その中の冒頭に書いてあったコラムです。

歯はなぜ抜かれるのか

人は誰でも、歳をとれば身体が老化します。白髪、老眼、そして入れ歯などは、老化の減少と考えられています。

歳をとると誰でも白髪が増え、老眼が進み、歯は徐々に抜け落ちて入れ歯がどんどん大きくなっていくものと、ほとんどの人は考えている様なのです。

確かに、白髪や老眼は「老化」の現象で、誰もが避けて通ることの出来ない「老化現象」でしょう。

しかし、入れ歯は老化の象徴ではありません。なぜなら、歯が抜けるのは決して老化によるものではないからです。

つまり、どんなに高齢になっても、「年をとった」という理由で歯が抜け落ちることはないということです。だからすべての人々が、たとえ百歳過ぎまで生きたとしても、ただの一本の入れ歯も入れずに、死ぬまで自分の歯でモノを噛めるはずなのです。

それが信じられなかったら、歯が抜かれる原因を考えてみてください。「寿命」とか「老化」という理由で歯を抜かれた人を見たことがありますか。

よく、「日本人の歯の平均寿命は何歳」とか「一番寿命の長い歯は犬歯」といった話を耳にしますが、この場合、「寿命」という言葉を使うのは間違いといって良いでしょう。

なぜなら、「寿命がつきて」抜かれた歯など存在しないからです。「老衰」で抜かれる歯もないし、「老化」で抜け落ちる歯もないのです。

それでは、歯は、いったいどんな理由で抜かれるのでしょうか。答えは至極簡単です。「虫歯」か「歯周病」で抜かれるのです。

もっと詳しく言うと、虫歯やその継発症、つまり虫歯が原因でその結果生じた病気か、あるいは歯を支えている骨が歯周病によって消失してしまった結果、歯は抜かれるのです。

それ以外の理由で抜かれる歯は、極めて例外的なもので、問題にならないほどの微々たる数です。たとえば、交通事故やスポーツ事故などで歯を強打して、折れてしまった場合などです。

だから要するに、「虫歯」や「歯周病」にかからなければ、いくつになっても歯は抜かれないのです。また、もしかかったとしても、治療をすれば歯は抜かれないはずです。

しかし、かなりの知識人も含めた圧倒的多数の人々は、年をとれば「歯は抜かれるのが当たりまえ」、あるいは「歯が抜かれるのは、加齢に伴う自然の成り行き」と考えています。それでいながら、「寿命や老化という理由で歯を抜かれるのは、加齢に伴う自然の成り行き」と考えています。それでいながら、「寿命や老化という理由で歯を抜かれる人はいない」という説明にも納得します。

前述したように、実際そのような理由で歯を抜かれる人など存在しないからです。

多くの人々は、年と共に歯を失っていくことをなぜ「自然の成り行き」と感じているのでしょうか。

それは、「年をとれば、ほぼすべての人々の歯は確実に失われていく」という否定しようのない現実があるからでしょう。どんなに一生懸命歯の治療を受けても、年と共に歯は抜かれていきます。いくら歯の治療を受けても駄目なのだから、それは「年のせい」だろうと考えるのは当然かもしれません。

参考文献 歯科受診の常識 歯科に行くまえに読む本 飯塚哲夫著 愛育社

2007年5月 1日 (火)

結婚相手より慎重に選びたいもの

本日は、歯学博士 村津和正先生の著書「歯はウソをつかない」からお届けいたします。

結婚相手より慎重に選びたい歯の詰め物

虫歯菌の存在であなたの歯に穴があいてしまいました。

穴のあいた場所を削り、中に大切な歯に変わるものを入れなくてはなりません。さあ、あなたは歯に何を詰めようとしますか?

じつは、あなたの歯の詰め物選びは、あなたの結婚相手以上に慎重に選ぶ必要があるのです。

結婚相手を選ぶ基準には、顔、スタイル、学歴、収入、趣味、人生哲学など、いろいろな要素がありますが、少なくとも自分で納得のいく方を選んで結婚に踏み切るでしょう。

最近では、バツイチ、バツ二の人も増えてきているものの、やはり結婚するときには一生この人と連れ添うのだと心に誓っていたと思います。

結婚相手を選ぶときに慎重になるのは、一生連れ添う相手なので、問題があるとその後いろいろ困るからです。

ところが、私たちは自分の歯に関しては、まったくこの慎重さを失います。歯と結婚相手では次元が違うから?

そうです。今までのパラダイムで考えている限りは、その通りです。たかが「歯」だったのです。しかし、新しいパラダイムでは、されど「歯」といってよいかもしれません。

それに結婚相手は、いくら好きだといっても四六時中一緒にいるわけではありません。しかし、歯の場合はどうでしょう。

口の中に入っていて、いつもあなた一緒にいます。何かを食べているときのみならず、仕事をしている時も、おしゃべりをしている時も、眠っている時でさえ、あなたとともにあるのです。

例えば、あなたが性格のすごく悪い人と結婚してしまったとしましょう。あなたは相手といっしょにいると傷つけられたり、マイナスの波動を受けたりするでしょう。しかし、これも四六時中一緒にいるわけではありません。

ところが歯の場合はどうでしょう?

例えば、せっかく美味しい水を飲んだとしても、水銀アマルガムやパラジウムなそ、本来は生体に存在しないような身体とは不調和な金属が詰められていたら、波動が狂わされてしまうわけです。

唾液も血液もそうです。不調和な、あるいは不適切な金属が詰められている歯は、波動を劣化する装置にかわってしまうのです。

あなたが、いくら無農薬の有機栽培野菜を食べていたとしても、不適合金属などの絶対安全とはいえない物質が歯に詰まっていれば、ぜっかく最高の波動の野菜をよく噛んで、それらに接触させ、粉砕させるうちに強震共鳴の原則から、好ましくない波動に変化していく可能性があるわけです。

たまに起こることであれば、このように取り上げる事は誇大なことであり、意味のないことですが、口や歯は食べ物の入り口であり、消化器官の上流にあたりますので、それらが毎食、毎食、1年365日、何十年にわたって、しかも唾液に至っては、毎瞬、毎瞬、わずかずつでも影響を受け受け続けるわけですから、事は重大なのです。

鍾乳洞のつららのように垂れ下がった鍾乳石がよい例です。普通の水となんらかわらないような炭酸石灰がわずかに混入した水が、一滴、一滴、あるいは何百滴れ落ちてきても鍾乳洞が形成されることはありません。

しかし、それらが継続的に常時、毎瞬、毎日、毎年と垂れ落ち続けると、そこにはとてつもない結果が現れるのです。

たとえわずかでも、口の中における身体と不調和な物質の使用も同様ではないでしょうか。その結果が原因不明の難病であり、生まれながらにアトピーで苦しむ赤ちゃんであり、そして癌などの悪性新生物の多発、人間の破壊的な異常行動の発現も引き起こしているのではないかと思っています。

歳をとったときの肌のシミ、その他の変化にまつわるさまざまな変化の一部が、命の上流の一見とるに足らないようなわずかな汚染から生じている可能性を誰も否定は出来ないでしょう。

参考文献 歯はウソをつかない 立証・歯臓説 村津和正著 三五館

2007年4月28日 (土)

入れ歯チェック

今日は、技工士さんが書かれた本から、入れ歯のチェックについて、抜粋しました。

自分で出来る入れ歯チェック

1.入れ歯全体を指で押さえて、痛いかどうか

人差し指と中指で、入れ歯の歯の部分全体を歯肉の方に押したとき、痛みを感じれば、それは入れ歯の床の部分と歯肉がぴったりとあっていない証拠です。床の形を正しくすることが大事です。

2.噛み合わせをチェック!カーボン紙で、点の当たり方をみてください

カーボン紙を割り箸に挟んで、口の中でカチカチ噛んで、入れ歯の人工歯に印記される点をみてください。すべての歯にまんべんなく当たっていれば、バランスのいい入れ歯ですが、点が薄かったり、変なところに当たっていると、入れ歯は噛んだときに痛くなるはずです。噛み合わせの調整に行きましょう。

3.上の入れ歯と下の入れ歯を合わせて横に移動するかどうか

カチッと噛ませた状態で、左右に動かなければ、入れ歯がロックされていると考えてください。顎が左右に動かないと、野菜の繊維や肉の筋などは食べられません。

4.歯の部分(人工歯)に山があるかどうか

山のない歯は平面で当たっていて、力を加えたり、硬い物をパリッと割ることは出来るのですが、野菜の繊維や肉の筋、スルメなどをすり切るのは難しく、最後まで口の中に残ってしまう事になります。これでは消化によくありません

5.入れ歯の表面を良く見てください

入れ歯の床などの表面がザラザラしていたり、突起物があると、粘膜を傷つけます。また、口腔衛生上も不潔です。そのような入れ歯は仕上げが悪いという事になります。しっかり研磨してもらいましょう。

参考文献 歯科技工士が書いた入れ歯至急相談室 宮野たかよし著 現代書院

2007年4月24日 (火)

咬合異常の原因

今回は、志賀先生の著書「噛み合わせと顎関節症 治療と予防」よりお届けいたします。

噛み合わせは知らないうちに狂ってくる-咬合異常の原因-

矯正を必要とする不正咬合があると、噛み合わせが著しく悪い状態にあることは明らかです。

しかし、一見噛み合わせが悪そうに見えない歯並びでも、噛み合わせに問題があることがありますし、本人が気づいていない噛み合わせの異常(以下では「咬合異常」という言葉をつかいます)もあります。

では、なにが異常咬合の原因となっているかを考えましょう。

原因の多くは、歯や顎を含めた口腔とその周辺の癖にあります。

虫歯や歯周病、あるいは口内炎などの口腔内の病気によって始まる片側噛みの他、歯ぎしり、歯の食いしばり、横向き寝、頬杖、舌の突き出し、口呼吸、唇を噛む癖などは、歯を摩耗させたり、歯並びや顎を変形させたりします。

虫歯などで、抜けた歯を放置したままにすると、その歯と噛み合っていた歯が咬合対象を失って咬合異常になることがあります。

さらには、不正咬合の矯正治療や咬合調整自体が不適切なために咬合異常がひどくなることさえあります。

咬合異常は、これらの中の一つが原因となることもあるし、複数の要因が重なっている場合もあります。また、咬合異常の原因として現れた症状を見分けにくいケースもあり、実にやっかいです。

参考文献 噛み合わせと顎関節症の治療と予防 志賀泰昭著 日東書院

2007年4月17日 (火)

日常に潜む顎関節症の原因

私の歯科医院には、毎日多くの顎関節症の患者さんが訪れます。

顎の異常を訴えるきっかけとなる事は、患者さんによって違いがあるのですが、日常生活が非常に似通っている方が多いのです。

本日は、そのあたりを考えながら、原因を考えてみましょう。

以前は、顎関節症は、噛み合わせ(口を閉じたときの上下の歯の当たり具合)の異常が大きな原因だと考えられていました。

これは、顎関節症の患者さんに噛み合わせの異常が数多く見られ、噛み合わせを治療すると、顎関節症の症状も改善されたケースが少なくなかったからです。

しかし、最近では、噛み合わせの異常は主原因とは言えない、というのが大方の専門医の考えです。

顎関節症の研究が進んだ結果、今では一つの因子(原因)によって顎関節症がおこるのではなく、いろいろな因子が積み木のように重なって、耐久限界を超えたときに発症すると考えられています。

つまり、因子を持っていても、耐久限界に達しなければ顎関節症は起こらず、いくつかの因子が重なって耐久限界を超えたときに初めて、顎関節症が起こると言うわけです。また、耐久限界にも個人差があり、なりやすい人となりにくい人がいます。

顎関節症を引き起こすさまざまな因子

どんな因子が顎関節症の原因になるのか具体的にあげてみましょう。

最も大きな因子と考えられている「ブラキシズム」

「ブラキシズム」とは、上下の歯をぐっと噛みしめる「くいしばり(クレンチング)」や歯をぎりぎりときしませる「歯ぎしり(グラインディング)」、歯をかちかち鳴らす「タッピング」などをいいます。

中でも、食いしばりや歯ぎしりは、顎関節症の患者さんの多くに共通して見られるため、顎関節症を引き起こす中でも、最も注目されているものです。

これらは、いずれも、本人が自覚しないまましていることが多いものです。くいしばりは、力を入れて行う肉体労働をしているときでなく、仕事に集中している時などに、無意識のうちに行っています。

また、日中だけでなく、就寝時にも起こります。

一方、歯ぎしりは、隣で寝ている人に指摘されて初めて気が付くことが多いようですが、実は、音のする歯ぎしりは20%に過ぎず、残りの80%は音のしない歯ぎしりです。「歯ぎしりはしません」という患者さんの歯の状態を診察してみると、歯ぎしりによるひどい歯の磨り減りが見られるケースがよくあります。

こうした食いしばりや歯ぎしりは、咀嚼筋の緊張を引き起こし、関節に過度の負担をかけるため顎関節症の大きな原因となります。

ストレスもブラキシズムを引き起こす

次に、ストレスがあげられます。仕事がうまくいかない、家族に不満がある、経済的な悩みがある、人間関係に問題があるなどの困難な状況だけでなく、結婚式などのうれしいこともストレスになります。

こうしたさまざまなストレスを抱え、精神的な緊張を強いられると、無意識のうちに食いしばりをしたり、肩や首、顔の筋肉を過度に緊張させることにより、筋肉痛が起こります。また、ストレスが睡眠障害を引き起こしたり、夜間のブラキシズムを悪化させることも、研究からわかってきました。

偏咀嚼(へんそしゃく)などの癖が顎関節や筋肉に負担をかける

日常の習慣、いわゆる「癖」もあげられます。例えば、いつも片側の歯だけで物を噛む「偏咀嚼」があります。

片側に顎関節症の症状を持っている人の多くは、症状のある側で噛んでいます。

“物を噛む”という、顎の正常な働きであっても、長い時間片側だけに負担をかけていると、歯ぎしり、食いしばりなどの負担とあわさって顎関節症を引き起こすことになります。

この他、うつぶせに寝る習慣、頬杖をつく癖、顎の下に電話を挟むなど、ふだん何気なく行っている行為も、習慣になれば、筋肉や関節に負担を蓄積させることになります。

また、背中を丸め、頭を前に出す猫背の姿勢も顎間節症の原因になります。この姿勢で長時間デスクに向かっていたり、運転をしたりすると、咀嚼筋や頸部の筋肉を過度に緊張させるからです。

その他に、あまり多くはありませんが、顎や頸部、頭などを強く打って、関節包(顎関節を包んでいる筋肉の袋)や靱帯を損傷した場合も、顎関節症を引き起こすことがあります。

先にあげた噛み合わせの異常と顎関節症との関連については、現在のところはっきりしていません。

参考文献 あごが痛い、口が開かない 顎関節症  和嶋浩一 監修 NHK出版編

2007年4月12日 (木)

虫歯治療と免疫ネットワーク

本日は、歯周病専門医で日本大学客員教授の宮田隆先生のエッセイからお届けいたします。

虫歯治療が免疫ネットワークを狂わせる?

虫歯になると、歯を削ってその部分に樹脂や金属などを詰めますが、この歯の詰め物にどんな素材を運ぶかで、全身の健康状態が大きく左右されることがあります。

金属は、人間の体にとって異物です。さらに金属は金以外、酸やアルカリによって齲蝕し錆びつく性質もあるので、時間が経つにつれ溶け出すこともあります。

それによって、体の免疫機能が絶えず発動している状態となり、皮膚炎などのアレルギー症状、原因不明の不調として現れることがあるのです。

これは、ピアスやネックレスにかぶれる人と同じで、まったく症状が現れない人もいれば、すぐさま症状する人もいます。

虫歯の治療は大きく分けて、保険適用と保険適用外の治療があります。

保険適用の治療は、保険内で費用が負担されているため比較的安く済み、詰め物には複合レジンと呼ばれる合成樹脂、銀合金、金銀パラジウム合金など金属を組み合わされたものが使われます。

かつてもっとも使われていたのが、アマルガムという合金で、半分以上を水銀が占めています。これは腐蝕によって10年ほどでかなり減少してしまい、それによって虫歯の再発や重金属の体内蓄積をおこします。

近年、日本ではほとんど使われていませんが、かなり前に詰めた奥歯の詰め物で真っ黒に黒ずんでいるものはアマルガムを使用している可能性があります。

現在、保険適用される金属の詰め物は、金銀パラジウム合金が主流です。いわゆる銀歯といわれるもので、銀50%に加え、金、パラジウム、銅、スズ、亜鉛から作られています。

比較的丈夫でありますが、銀のアクセサリーや銀食器が傷ついたり、変色しやすいのと同じように、この金属も長く使ううちに磨り減ったり、変色してしまいます。

保険適用外では、大きく分けて金合金と白金加金、セラミックがあります。

金を多く使った詰め物は歯になじみやすく、腐蝕しないので比較的長持ちし、ほかの金属に比べてアレルギーの出にくい性質があります。

金は適合性や精度では虫歯の詰め物に適した素材です。

セラミックは陶材を使ったもので、見た目が自然で、金属アレルギーの心配がありません。生体への適応を考慮にいれると、セラミックが優れていますが、硬く破損しやすいという欠点があります。

参考文献 歯周病で体がサビつく!老けない人は歯がちがう 宮田隆著 草思社

2007年4月 7日 (土)

女性や高齢者では口腔内創傷の治癒が遅延

今日はデンタルトリビューン紙よりのトピックです。

イリノイ大学シカゴ校の研究によれば、女性や高齢者の創傷治癒には時間がかかることがわかりました。

この研究所では、口腔内の創傷治癒は年齢に関係なく、女性より男性で早いことが明らかにされており、皮膚の創傷の治癒は男性より女性の方が速やかに治癒するのに対し、口腔内の創傷は逆であることが示唆されました。口腔内の創傷治癒遅延にリスクが最も高いのは高齢の女性で、創傷閉鎖の速度は若年男性の半分程度でした。

同研究では、18~35歳および50~88歳の男女、合わせて212名のボランティアを対象に、第一大臼歯と第二大臼歯の間の歯肉に、鉛筆の直径の半分程度の大きさの傷を付け、7日間連続でビデオ撮影を行い、創傷の治癒の過程を観察しました。

男性で口腔内の創傷の治癒が早かったのには、テストステロンが何らかの役割を果たしていると考えられます。

テストステロンは抗炎症作用を有するホルモンで、唾液中に豊富に含まれています。女性は、一般に関節リウマチなどの炎症性疾患にかかりやすいですが、皮膚の創傷が男性よりも女性において早く治癒する傾向が認められたのは、炎症が創傷の閉鎖を早める働きをすることが一因になっていると考えられます。

2007年3月25日 (日)

歯医者との相性も大切

毎日、患者さんの悩みを聞いて、励ましつつ治療を行っているつもりですが、やはり、患者さんとの相性が残念なだら存在します。

説明をしたと思っても、説明不足だと感じる患者さんもいらっしゃいましたし、「説明なんか良いから早くやれ!」という患者さんもいました。

求めているベクトルが歯科医師と患者さんであわないとなかなかうまくいかない事が多いみたいです。

もちろん、私が相性がとても良いと思っても、患者さんが、「この歯医者は駄目だな」と思ってしまう事も多いと思います。

今日は、そのあたりの事がある本に書いてありました。審美歯科に関する本なのですが、それを頭に置いて読んでください。

歯科医師との相性も大事

審美歯科を受ける場合、患者さんの目標が明確で、そのための治療法について十分理解があり、かつその治療をどうしても受けたいという意思があること。これがとても大切な条件であることは、これまでの説明で理解していただけたと思います。

その上でどこでその治療を受けるか、すなわちいかに歯科医師を選ぶかという問題が出てきます。

歯科医師を選ぶにあたって、その技術的なレベルを問うのは当然の事です。審美治療の場合、歯科医師の技術だけでなく、審美という主観の関与が大きい領域では仕上がりの差がさらに大きくなる可能性があるからです。

けれども、「イヤな奴だが、技術が優れているので我慢する」というのは感心しません。

技術的な面をクリアしているのはもちろん不可欠の条件ですが、その上で医師の人間性に対して「好き嫌い」をいっても、いっこうに構わないと私は思っています。むしろそれを重視すべきではないでしょうか。

審美治療に限らず、歯科治療は治療後のメンテナンスが重要です。ですから治療はそのとき限りではなく、歯科医師とは「長いつきあい」で考えるべきです。

普通の人間関係でも、「嫌いな人間」と長く付き合うのには相当の努力を要しますし、ストレスもかかります。相手はまして、自分の口を預ける歯科医師です。

またご承知のとおり、歯科治療では至近距離で歯科医師と患者さんが接しています。そういう位置関係で治療を受ける以上、患者さんは歯科医師に対してもっと好き嫌いをいっても良いのではないでしょうか。

審美治療は、歯科医師の力だけではなく、患者さんの協力があって初めて成り立つものです。インテグレーション(著者の先生は、シェイプインテグレーションという治療法を提唱しています)つまり積み重ねという言葉からも、少しずつ形を修正し、構築していく治療です。

患者さんの「なりたい形」を作り上げるには、患者さんと歯科医師が協力しあわなければ達成出来るものではないからです。

また歯科治療は、其れを受ける側にとっても楽なものではありません。しかしそれを乗り越えたとき、必ず「やってよかった」という結果が待っています。

ですから私から患者さんに強くお願いしたいのは、結果のために治療を楽しむくらいの余裕と、最後までやり通す強い意志をもって頂きたいということです。そのためにも、共に協力しあう歯科医師選びは慎重にしていただきたいと思います。

参考文献 歯の審美治療入門 河野陽一著 夏目書房

2007年3月24日 (土)

歯がしみる!!

最初に言わなければいけないのは、私も歯がしみるのです。

でも、原因が分かっているので、我慢できます。しみる仕組みがわかってからは、半分諦めもあるのかもしれません。

今日はそんなしみる歯について、歯学博士山崎博嗣先生の「歯・口腔のことがよくわかる本」からお伝えします。

歯科の2大疾患は、齲蝕と歯周炎(歯槽膿漏)ですが、歯に穴が開いているわけでもなく歯が黒くなっているわけでもないのに、歯がしみるという症状を経験したことがありませんか?

場合によっては歯科受診して異常なしといわれてしまうこともあります。正常でもビール、冷水、あんこなどでしみる事もあります。またその人の感じ方にもよるようです。

この場合には知覚過敏症が疑われることが多いのです。

知覚過敏症(象牙質知覚過敏症)について考えてみます。この状態は歯周炎と関連して起こることが多いのです。

しみるのを感じる過程を考えますと、これはとりもなおさず歯の中心部にある歯髄という部分から三叉神経を通じ、脳に神経刺激が到達し、歯の部分で感じている事になりますが、歯髄の中で軽度の炎症を起こしているということになります。

齲蝕で歯の外側、最表層のエナメル質から、次の象牙質がおかされ、菌が歯髄に達し、そこで炎症を起こす場合とは異なり、歯の硬組織が破壊されずに炎症を起こしていることになります。

そこで、なぜ歯髄が外界に露出していないのに炎症を起こすのかということになりますが、これは歯の微細構造にあります。

歯の中心部の歯髄から象牙質に向かって微細な管、象牙細管というものがあり、外からの刺激がこの細管を通じて歯髄に到達し、軽度に炎症を起こし、歯がしみるという症状がでます。

さらに歯冠(歯の頭の部分)と歯根に分けて考えますと、歯の最表層のエナメル質があるのは歯冠部分だけで歯根にはセメント質といわれる薄い層しかありません。それで歯周炎で歯根を支えている歯槽骨が細菌の塊(プラーク)あるいは過度の刺激で吸収・消失しますと(骨の吸収と表現されます)、歯の根の部分が歯肉より露出した状態になります。

外観的には、中年以降で、何となく歯が長くなったと感じる、あの状態です。

歯の根が歯肉より露出した状態になりますと、外界からの刺激、物理的刺激(歯ブラシ・温度差)、科学的刺激(酸味など)がここに到達しやすくなり、またこの状態はセメント質が破壊されている場合が多く、象牙細管が外に開いている状態になりますので、刺激が即、歯髄まで到達し、しみることになります。

この状態は歯冠のエナメル質が破壊された部分(齲蝕により、あるいは歯ブラシによる摩耗などが原因です)にも同様に起こります。

さて、この知覚過敏症の予後はどうなのかといいますと、自然治癒があり得るのです。

齲蝕を始め、歯や骨など硬組織疾患に自然治癒はないと一般的にはいわれていますが、ここだけは自然治癒があり得るのです。

どのようになっていくかと申しますと、歯髄の入っている空間がありますが、その部屋の内側から壁塗りすると考えてください。時間はかかりますが、その機転が起こるまで外部からの刺激を遮断する薬剤を塗布するということが治療になります。

しかし、その間はしみるので、その部分に歯磨きがおろそかになるために汚れがたまり、その結果、歯槽骨の吸収が促進されるという悪循環が形成されてしまいます。

そこで症状の程度によっては、歯髄を除去する処置(抜髄)が必要になることもあります。

気温が低下してくると冷気でもこのような症状を呈する患者さんが多くなってきます。ぬるま湯で歯ブラシするのも一考です。

また外気が冷たい時には、余計に強く感じることになります。その場合には、鼻呼吸をして、口呼吸をしないようにすることも必要でしょう。

参考文献 歯・口腔のことがよくわかる本 山崎博嗣 本の泉社

2007年3月 7日 (水)

息の合った双子。虫歯はどう?

最近、テレビのバラエティーでは、双子タレントを使って、「どのくらい息が合うか?」という実験をよく目にします。

では、虫歯は双子で似てくるのでしょうか?

今日はその辺をDental Tribune紙のレポートから見てみましょう。

ニューヨーク大学の研究員であるWalter Bretz氏とPatricia Corby氏は齲蝕を引き起こす可能性のある15の原因の重要性を評価するため、1100組の双子を集めて研究を行っています。

この研究は、これまでに行われた双子における口腔保険の研究において最も大きな規模のものであり、5年間の予定で、国立歯科頭蓋顔面研究所(NIDCR)から170万ドルの助成金を受けて実施されます。

研究では、解剖学的問題、唾液中のタンパク質の分析結果、口腔最近レベル、ショ糖に対する味の好み、その他遺伝的要因、環境的要因について調査を実施します。

また、フッ素添加水が入手出来ない、歯科治療を受けられないなどの、社会経済的な問題に付いても評価を行います。

共にブラジル出身であるBretz氏、Corby氏によって集められた1.100組の双子は、ブラジル北東部のモンテスクラロスという貧しい地域に住む21歳までの男女で、一卵性、二卵性を含んでいます。

モンテスクラロスでは、水への不適切なフッ素添加物と質の悪い歯科治療により、住民は齲蝕の危険にさらされています。

両氏は、遺伝子をすべて共有している一卵性双生児と、平均で半分の遺伝子を共有している二卵性双生児を比較することで、齲蝕における遺伝の影響についての知見が得られるだろうと述べています。

研究の初期結果では、齲蝕の原因となる細菌が、一卵性双生児では2人にともに認められず、遺伝的要素がきわめて重要であることが示唆されています。

両氏は、NIDCRの遺伝学者Thomas Hart氏と共同で、齲蝕に関与する遺伝子を特定する研究も行う予定です。

まだ、研究結果が出ていないので、なんともコメントしづらいですが、双子における齲蝕との関わりについて、はっきりしてくると、今後の予防にも大きく良い影響が見られると思うので、是非がんばっていただきたいと思います。

2007年3月 6日 (火)

入れ歯安定剤について

本日は、歯科技工士さんが書いた本「入れ歯至急相談室 宮野たかよし著 現代書林」から、入れ歯安定剤についてお届けします。

入れ歯安定剤の恐怖

連日テレビCMなどで紹介されている「入れ歯安定剤」が、歯肉にとって、どんなに危険なものか、皆さんはご存じでしょうか。

最初は1日1回しか付けていなかったのに、それが2回3回と増えていき、挙げ句の果てに、食べるたびに付けなくてはならなくなってきます。

このように、「入れ歯安定剤」を毎日使っていると、歯肉がこんにゃくのようにぐにゃぐにゃになってしまいます。なぜでしょうか?

入れ歯安定剤を使うと、今日はA、翌日は少しずれてBという具合に、入れ歯が安定する位置が毎日すこしずつ違ってきます。

すると、入れ歯の下の歯肉はいつも違った位置で力をくわえられる事になり、それが続くとぐにゃぐにゃしたこんにゃく状粘膜になってしまうのです。

そして最後には、入れ歯を支える土手のようなふくらみが無くなり、入れ歯自体もはめられなくなってしまいます。

安定剤の取り扱い説明書にも、よく見ると「長期の使用は歯ぐきに悪影響を与えるかもしれません」と書いてあります。

入れ歯は正しい位置に付けて同じように噛んでいると、歯肉がマッサージされ引き締まってきます。安定剤はやめて、きちんとした入れ歯で、歯肉を健康にしましょう。

少し付け足しなのですが、やはり入れ歯安定剤は、あまり歯肉や歯肉を支える骨に良い影響は与えないみたいです。

大学に在籍していたとき、この安定剤を麻薬のように使い続ける患者さんがいました。合わない入れ歯をこの安定剤で無理矢理歯肉に押しつけるので、骨が吸収してしまうのです。

入れ歯は歯肉の中の骨の量が多ければ多いほど、はずれにくい入れ歯になります。しかし、骨が吸収してしまう事により、上記に書いたようなこんにゃく状顎提(フラビーガムといいます)になってしまいます。

しかし、顎にぴったり合っている良い状態の入れ歯に使用すると、非常に優れた威力を発揮します。安定剤を使用する場合は、一度、歯科医で入れ歯の調整を行ってからの方が良いかもしれません。

2007年2月18日 (日)

ダメージの小さい治療3

昨日からの続きです。

「何もしないという選択」

ここでは何もしない選択についても、触れておきましょう。

患者さんの中には、迷っていて、どうして良いのか分からない患者さんもたくさんこられます。

その迷いの中には、前向き煮物を考えながら迷っているケースもありますが、迷ったあげく、何もしないという事も重要な選択肢の一つであると私は考えています。

何もしない選択をする場合、次のようなケースが考えられます。

第一は、もともと治療の必要がないケースです。口元の悩みは精神的なものと深く関わっていますから、精神的な悩みが解消されると悩みも解決してしまう場合があるのです。

たとえば、多少歯並びが悪くても、彼氏から「その口元がかわいいよ」といわれれば、悩みは悩みでなくなります。

同じように私が「治さなくてもきれいですよ」と一言いっただけで、患者さんの悩みが解消されることもあるのです。

なかには、「治療をする必要がない」と断られたがって来院しているように見える人もいます。こういうケースは、しいて治療を受ける必要はありません。

第二は、治療のタイミングの問題です。今は手を付けられない、あるいは手を付けたくないという選択です。実際、歯科の技術革新はめざましく、歯胚再生技術はさておき、骨の再生などは何年かののちには可能になるかもしれません。そういう新しい治療を待って治療を受けるという選択があってもいいと思います。

第三は、しばらく考える時間を持つというケースです。たとえば噛み合わせがおかしいといってこられる患者さんの中には、歯も歯並びも悪くなく、歯科医師もどのように手をつけていいか分からないケースもあります。

こういう場合は、もう一度ゆっくり考えていただいて、必要とあらばカウンセリングを続行します。

第四は、患者さんの望む治療法をどうしても私たち歯科医師が選択したくない場合です。

どう考えても治療の必要がないと思われる場合が、そのほとんどを占めます。また、患者さん望む治療法では、患者さんの悩みが解決しないと予想される場合などもこれに含まれます。

こうした場合には、「お望みの治療方法を私の所では行うことが出来ません」ということを、その理由とともにはっきりと申し上げるようにしています。もちろん患者さんがお望みであれば、一からカウンセリングのやり直しを行うことも出来ます。

このように、何もしないということが選択される場合もあるのです。あとは、患者さん自身がどこまで納得出来るかでしょう。必要ならば、また治療を受けると選択肢もあるのですから。

参考文献 歯の審美治療入門 河野陽一著 夏目書房出版

2007年2月17日 (土)

ダメージの小さい治療2

昨日の続きで、河野先生の著書の中からご紹介いたしております。

昨日は、「歯科における侵襲」について多くの事を書きました。

侵襲だけでなく、「治療の深さ」も重要なポイント

長々と最小の侵襲について述べてきましたが、私は侵襲という言葉をあまり使いたくありません。

その理由は、もちろんこの言葉の字面からくるイメージが良くないこともあるのですが、重要なのは次の二点です。

一つは、歯科での処置を行う場合、必ずしも侵襲という言葉だけでは説明しきれない場合があるからです。

例えば、大臼歯に虫歯が出来た場合を考えてみましょう。

この治療には、虫歯の部分を最小限に削って充填する方法と、削った上からかぶせる方法があります。虫歯の部分を最小限に削って充填するほうが侵襲がすくないので、「最小の侵襲」を重視する場合、当然、前者を選択することになります。

ところが、この選択に問題が無いわけではありません。充填するとつなぎ目が見えて実例に見えない上に、そのつなぎ目から新たな菌の繁殖を招くことがあります。

また虫歯が深くて大きく削ると、歯が薄くなって欠けやすくなります。それならば、多少侵襲は大きくても、上からかぶせる治療の方がよい場合もあるのです。

このときに、「かぶせる治療の方が侵襲が大きい」と単純にいえるでしょうか。むしろ侵襲とい言葉より、「治療の深度が深い」というべきだと私は考えています。

この治療の深さは、侵襲やダメージと同じ意味ではありません。

つまり、治療が深ければ侵襲も大きいとは限らないのです。そして治療は深いものでありながら、侵襲が小さい場合も少なからずあるのです。

たとえばすでに虫歯があって深く削ってあるところに、あたらな虫歯が出来ても、すこし削るだけで済みます。こういう場合、治療は深くても侵襲は小さいといえるでしょう。逆に何も治療していない歯を削る場合、治療の度合いは浅くとも、侵襲自体は大きいという場合もあるのです。

このように治療を選択する場合、ただ侵襲だけを問題にするのではなく、治療の深さも合わせて考えなければなりません。

すなわち、すでに「深い」治療がなされている場合には「深い」治療を選びやすいけれど、逆に治療の度合いが「浅い」場合には、「深い」治療を選びにくくなります。

その場合、とりあえず浅い治療でどこまで治るかということをやってみなくてはいけないケースも出てきます。

もう一点は、歯科の場合、処置それぞれにあらかじめ侵襲の度合いが決まっているかのような印象があることです。たとえば、「矯正治療は歯を削らないで、侵襲が小さいを決めつけているようなケースです。

確かに矯正治療では、歯そのものに対しては矯正装置をつける以上の侵襲はありません。しかし、歯を動かす時は骨に対する侵襲が生じますし、また歯を並べるスペースが不足している場合には、あらかじめ歯を抜く事などを考えると、全体として侵襲が小さいとは言い切れません。

もともと侵襲は小さい方が良いに決まっているわけですから、侵襲が大きいと決めつけられてしまった処置法は選択される余地が無くなってしまいます。

このように、侵襲の度合いだけで考えると選択の幅が狭くなったり、適切な選択が出来なくなることが多々あるということです。そこで私は治療方法を選択するにあたって、「侵襲」だけでなく、「治療の深さ」も重要な指標として、併せて考えることにしています。

侵襲と深さの両方を考えることにより、患者さんご自身が治療法を選択する上でもよりわかりやすいと思います。

もちろん処置をする際に、歯や歯周組織にどの程度ダメージを与えるかということは非常に重要な問題で、このことについて患者さんに十分な説明をすることはいうまでもありません。

同時に、治療の深さの違いによって最終的な修復物の出来上がりに違いが出てくることも多く、これについても侵襲とは別に患者さんに十分理解していただく必要があります。

明日へ続きます。

参考文献 歯の審美治療入門 河野陽一著 夏目書房出版

2007年2月16日 (金)

ダメージの小さい治療1

歯学博士 河野陽一先生の著書「歯の審美歯科入門」夏目書房の中に、非常に共感できるエッセーがありましたので紹介いたします。

「ダメージの小さい治療を選ぶ」という当たり前のこと

患者さんが治療方法を選択する時、私たち歯科医師は患者さんの要望を満足させるために、現在の口の中の状況をしっかりと把握し、治療すべき範囲や程度を決めることから始めます。

患者さんの気持ちとしては、なるべくさわらずに、限られた範囲で治療をすませたいと考えるのが普通でしょう。

それは患者として当然の事です。

さわればさわるほど、歯や口腔内の組織にたいして侵襲が大きくなるからです。けれども、ある程度以上さわらないと希望を叶えることが出来ないとなると、患者さんの悩みも深くなります。

先ほどから私は「侵襲」という言葉を使っていますが、この言葉は皆さんにとってあまりなじみのない言葉だと思います。一般に、治療によって患者さんにかかる負担やダメージの事を「侵襲」といいます。

医科ではよく「手術侵襲」という言葉を使いますが、これは手術によってどの程度組織が傷つけられ、それがどのくらい患者さんの負担になるかという度合いの事です。

たとえば、「この患者さんは高齢で全身状態が良くないので、手術による侵襲に耐えられるだろうか」などというような使い方をします。

最近歯科でも、「侵襲」という言葉が頻繁に使われるようになりました。処置をする際に、患者さんへの負担をなるべく軽くするために、「最小の侵襲」ですむような治療が議論されます。これは2001年、FDI(国際歯科連盟)の学会誌「International Dental Jounal」で、「最小の侵襲(Minimum Invasion)という概念が提唱されて以来の事です。

しかしこのような提唱がなくとも、侵襲を最小になるように配慮して治療することは、歯科医師として当たり前の事です。そんなことを声高にいうと、逆に「いままではそういうことが軽視されてきたのだろうか?」と疑問を持たれかねません。インフォームドコンセントが盛んにいわれるいうになった時と、同じです。

いうまでもないことですが、これまでに治療の際に、最小の侵襲となるように配慮することを私たち歯科医師が怠って来たわけではありません。ただ、「最小の侵襲」という言葉の定義や使い方が、歯科医師の間でもまだあいまいなままなのです。

最小の侵襲とは、病状や患者の希望その他の条件を勘案し、そのなかで最小の侵襲、すなわち相対的な最小の侵襲となるべく治療にあたることであって、絶対的最小の侵襲のみをともなう治療法を選択するべきだという意味ではないと考えています。

もしそうなら、「なにもしない」という選択肢があるとき、つねにそれが最優先で選択されることになりまねません。こういう例は、多くはないものの、無いわけではないのです。

たとえば、脱灰(歯がもろくなっている状態)していても、窩洞(穴が開いていない)となっていないごく初期の虫歯は自然治癒することが認められているので、いまでは「処置すべきではない」とされています。

しかしこのことが、「虫歯になりかけていても、穴が開いた状態になっていなければ、放っておいても治る」という誤解を生んでいるのです。これは逆に危険な事です。

重ねて書きますが、患者さんが治療を選ぶ際、最小の侵襲となるような治療を選ぶのは当然のことで、私たち歯科医師もそうなるように努力しています。

そのときに使われる最小の侵襲とは、同じ治療法を選択する時に、より侵襲が少なくなるよう工夫をしたり、同じ結果を得るためにより侵襲が少ない治療法を選択するという意味であると私は考えています。

このように、最小ということ自体が相対的なものであり、患者さんの状態や要望によって、さまざまな「最小の侵襲」があることを皆さんにもご理解いただきたいと思います。

この河野先生のおっしゃっていることは、わたしがいつも思っていることに非常に近いと思います。そのため、何回かに分けて、歯科に取り組む考え方をご紹介したいと思います。

2007年1月17日 (水)

細菌性心内膜炎(この病気歯が原因?より)

~細菌性心内膜炎~ 

これは、血液に入った細菌が心臓に侵入して心臓の弁と心内膜に感染を起こす病気です。

ある男性のケースから見てみましょう。

〔55歳 男性のケース〕

発熱や全身の倦怠感が続いたため、内科に緊急入院となりました。抗生剤による点滴を受けるなどの治療の結果、症状はおさまりました。検査の結果、医師からは「細菌性心内膜炎」であると言われました。

重度の歯周病で歯がぐらつき歯肉から度々出血がありましたが、長期間放置していました。噛むと痛み、我慢できなくなったため歯科医院に通院しかけたばかりでした。

では、細菌性心内膜炎とはいったいどのような病気なのでしょう。

血液を循環させるポンプの役割をしているのが心臓で、その心臓の内側を覆っているのが心内膜です。細菌によりこの内膜に炎症を起こすと細菌性心内膜炎を引き起こします。

この病気は後天性の心臓弁膜症や心室中核欠損などの心臓の病気を元々持っている場合に起こる事が多いです。

抜歯などの外科的処置が誘引になって血液中に菌が入り、心臓に行き、菌血症という状態になり発熱や全身倦怠感を起こします。

細菌が心臓の弁に付着してしまうとそこで細菌が増殖し、膿を形成、やがて細菌の塊や血液の塊が崩れ、他の血管に飛んでいきます。飛んだ先の血管が脳の血管であれば、脳梗塞を起こしますし、心臓に行く血管であれば心筋梗塞や心不全を引き起こします。

このように、体に重篤な後遺症を引き起こすことの多い病気で、心臓に異常のある方はあらかじめ抗生剤を服用しながら歯科治療、特に抜歯や歯石除去を行う必要があります。

《日頃から注意すること》

歯周病や虫歯などは重篤な状態になるまで放置せず、普段から身体と同じように定期検診を受け、悪いところは初期のうちに治しておく事が重要です。

参考文献 「え?この病気歯が原因!?」 佐藤豊・佐藤文枝著 砂書房出版

2006年11月30日 (木)

歯はつるつるですか?

歯科診療では、鏡を使うとすぐに治療した歯を確認することが出来るので、見た目の美しさも要求されます。

それと共に、口の中は皮膚ではなく、粘膜という特殊な膜によって覆われているため、とても敏感です。文献によれば髪の毛1本分歯が高いだけでも違和感を生じるほどです。

そのため、治療でもっとも気を遣うのは、治療後の歯の仕上げです。なめらかに、しっとりと口の中に違和感なく馴染むように仕上げなければなりません。

歯の表面を綺麗に仕上げれば、その歯の表面は滑り台のようにつるつるとして、プラークという細菌の固まりも付着しにくくなります。

今日は、昨日削除してしまったブログの内容を書く予定が、すっかり話が別の方へそれてしまいました。よほど私とその話は縁がないとみえる。

2006年8月28日 (月)

顎関節症1

歯が痛い、歯肉が痛いといった、明瞭な自覚症状を持って来院する患者さんの場合は、比較的診断名が付けやすいのです。

しかし、「右側の辺りが全体的に違和感がある」とか「噛んだ時だけ痛みがある」といった症状を訴えてくる患者さんの場合は、診断名を下すのが非常に困難です。

神経の病気でもなく、虫歯でもない場合が多いのです。

これは、闇雲に歯を削ったり、神経を抜いてしまったりしても解決しないことが多いのです。

なぜなら、噛み合わせが狂っているために痛みが出ている可能性があるからです。

この噛み合わせが狂ったまま、誤魔化し、誤魔化し生活していると、顎が自分の意志とは関係なく、いたくない方ばかりで噛む癖が付いてしまい、顎の付け根の「関節部」が壊れてしまうことがあります。

これが「顎関節症」と言われるものです。

歯科医学的に「顎関節症」の診断を下すには、顎関節の痛み、関節の周りの雑音、開口障害ないし顎の開け閉めがスムーズに出来ない等の中で少なくとも1つ以上を有する事が必要条件とされます。

しかし、現実に生活をしていて、感じる事は、

・食物を食べたり、話をした後に顎がだるい

・顎を動かすと痛い

・口を開け閉めすると音がする

といったことから始まる事が多いです。

顎関節症は、何らかの症状を持っている人も多いのに加えて、自覚症状のない人でも検査をしてみると約70%の人に以上が見つかります。

このうち、実際に医療機関を訪れて治療を受ける人は6~7%程度だと推定されていますが、将来的に顎関節症になる可能性のある「予備軍」はかなりの数に達すると考えられています。

患者さんの割合は、男性に比べて女性が2~4倍と多く、なかでも若い女性が中心です。年代別に見ると、20歳代が最も多く、30歳代をすぎると次第に減少します。

なぜ顎関節症が女性に多い理由として、女性の方が靱帯(じんたい)がやわらかく、顎関節の適合がしっかりしていないこと、さらに女性ホルモンとの関係などがあげられていますが、確実なことはまだよく分かっていません。

今日は潜在的に慢性化している顎関節症の自己診断をしてみましょう。次の10項目についてチェックしてみてください。

①食べ物を噛んだり、長い間しゃべったりすると、顎がだるく疲れる

②顎を動かすと痛みがあり、口を開閉すると、特に痛みを感じる

③耳の前やこめかみ、頬(ほお)に痛みを感じる

④大きなあくび、リンゴの丸かじりが出来ない

⑤時々、顎が引っ掛かるようになり、動かなくなることがある

⑥人差し指、中指、薬指の3本の指を縦に揃えて、口に入れることができない

⑦口を開閉したとき、耳の前の辺りで音がする

⑧最近、顎や頸部、頭などを打ったことがある

⑨最近、噛み合わせが変わった気がする

⑩頭痛や肩こりがよくする

このなかで、いくつか該当する項目があったひとは注意を要します。特に①~⑧の項目に当てはまるものが多い人は顎関節症が疑われます。

次は、予備軍と言われる人の生活習慣をチェックしてみましょう。

①「歯ぎしりをしている」と言われたことがある

②日中、気がつくと歯を食いしばっていることがある

③食事の時はいつも左右のどちらか決まった方で噛む

④いつもうつ伏せで寝ている

⑤頬杖(ほおずえ)をつく癖がある

⑥職場や家庭でストレスを感じる事が多い

⑦物事に対して神経質な面がある

⑧夜、ぐっすり眠れないことが多い

これらの項目はいかがでしたか?該当する数が多いほど、顎関節症を発症しやすいと言えます。

今後も、この顎関節症について定期的に書いていきたいと思います。

参考文献 顎関節症 あごが痛い、口が開かない NHK出版

2006年8月26日 (土)

お言葉にあまえて

こんにちは。
今日は、いつもお世話になっている須田先生のブログに非常に有効な「傷口に対する」考え方が書いてありましたので、須田先生の許可を得て、転載してもかまわないということなので、お言葉に甘えて、転載させて頂きました。
以下全文です。
いろいろと講演会・勉強会に行ってはいるのですが、忙しく、アップできないでいましたが、久しぶりに時間が空いたので(患者さんの無断キャンセルですが・泣)アップします。
8/19(土)に長崎市の医師会館まで、佐世保共済病院歯科の川村先生ご夫婦と一緒に(車に乗せていただき)拝聴してきました。もともとこの「新しい創傷治療」のことは川村先生からお聞きしていて、自分も本を購入していたりしていたのですが、今回、保険医協会の講演会でその夏井睦先生がいらっしゃるというので拝聴してきました。(会場で佐世保総合病院歯科の溝口先生ともご一緒になったりもしました。)

これは傷口に対する新しい考え方なのですが、簡単に言うと、、、
①傷は乾かすと治らない(=ガーゼを使ってはいけない)。
②消毒すると傷が化膿する(ヨード・イソジンなどは使わない)。
③傷・縫合創、ドレーン刺入部は洗ってよい。
といった所です。
*ゴッドハンド輝24巻参照・笑

あと、分かりやすいところで保湿クリーム(尿素+クリーム)などが実際には体に良くないとか、いろいろありましたが、
まず、、、

◇熱傷・皮膚損傷に使ってはいけない軟膏
ゲーベンクリーム(基剤がクリーム)
ユーパスタ(基剤が高浸透圧、消毒薬)
イソジンゲル(消毒薬)
オルセノン軟膏(基剤がクリーム)
アクトシン軟膏(基剤が高浸透圧多糖体)
ブロメラシン軟膏(同上)
オロナインH軟膏(基剤がクリーム、消毒薬)←最悪とのこと。実家にもあるのですが、何も治った記憶がアリマセン。

そして…

◇熱傷局所治療

○発赤のみの場合(1度熱傷)では、ワセリン塗布ラップで覆う。
○水泡幕は直ちに除去して、ワセリン塗布ラップで覆い、包帯を巻くか、ラップの上にガーゼを当てて包帯を巻く。
○抗生剤は発熱・創部痛などの明らかな感染症状があるときに短期集中的に使用。

◇なぜ傷口が痛いか?

○消毒による痛み
○傷が乾燥する痛み
○固着したガーゼを剥がされる痛み
…など、医原性(医者が原因)の疼痛とのことです。
そう考えると、「カットバン」「バンドエイド(のガーゼのタイプ)」は貼ると治りが悪くなるし、赤チン・マキ○ンなどもそういうことになります。


基本的に傷口には「目に入れても大丈夫なもののみ使用」という考え方で、日常や我々の歯科治療において留意しておきたいですね。
以上が須田先生のブログの紹介です。
とても参考になると思いますので、ご家庭でも試して見てください。
ここも参考にしてみてください。

2006年8月16日 (水)

親しらずの治療の考えかた

先日の野球大会の時の休憩時間に、色々と矯正の先生をおしゃべりさせていただきました。

その際に、少し疑問に思っている事を色々質問させてもらいました。

今回は、「親しらず」の治療の考え方についてまとめてみます。

「親しらず」は個人差がありますが、だいたい20歳前後に萌出(生えてくる)ことが多いのです。

今回、私が「親しらず」に関して質問した事は2つです。

ひとつは「親しらず」に存在は、顎関節(噛み合わせ)に影響するのかということ。

もう一つは「親しらず」は歯並びを乱すのかということです。

結論としては、どちらの質問も悪影響を及ぼすとの事でした。

歯並びに関しては、12~13歳位で親しらずを抜歯してしまうとのことでした。

なぜなら、まだ歯肉の中で完全に歯が完成してはおらず、親しらずの頭の部分しか完成していないので、抜歯する時の苦痛がすくない(抜きやすい)ということと、その後の永久歯の歯並びに悪影響を受ける前に取り除くというものでした。

噛み合わせに関しても、噛み合わせの治療が終わっても親しらずの影響でまた噛み合わせがずれる可能性が高いとのこと。

この2つの理由で親しらずは抜歯するのが妥当だということでした。

また、以前、講習を受けた勉強会では、親しらずが歯周病原菌の温床になる可能性があるとの報告を聞いたことがあります。

そのため、今回、野球大会の昼休みに話した緊急親しらずサミットは。「親しらずは、基本的に抜歯」という結論がでました。

それにしても暑い場所で、熱い議論が出来たものです。

2006年7月24日 (月)

実用的?それとも見た目?

私たちが生きている限り、歯も生き続けています。もちろん神経を抜かれてしまった歯でもです。

歯やそれを支える骨も、ターンオーバーといって、新しい骨や歯に置き換わっているのです。そのため、動きも活発です。

もし、何らかの理由で歯が欠損(抜けてしまった)してしまったら、歯は抜けて無くなった部位に倒れ込んだり、噛み合っていた歯が上へ下へ移動してしまいます。

そのため、歯が無くなってしまった場合、歯の移動や顎のバランスを取るために、何らかの義歯を入れる必要があります。

現在考えられる、義歯は大きく分けて3つあります。ブリッジ、入れ歯、そしてインプラントです。

今日は、少しエステティックな視線で、この義歯を考えてみようと思います。

今回は大きく歯を欠損してしまった場合に付いて取り上げてみようと思います。

歯が抜けてしまうと、その歯を支えていた骨は、自然と吸収してしまい、歯肉がやせてしまいます。そのことにより、口周りの張りが無くなり、顔の印象がだいぶ変わってきてしまいます。

まずは、インプラントです。

「メディカルインタビュー 医療面接」という雑誌(デンタルダイヤモンド社)の中にこの様な記述があります。

「実際に歯がなくなっただけでなく、周囲組織も喪失しているために、組織吸収量の多い症例(上顎無歯顎に代表される)では、かえって義歯のほうが、顔貌の回復に役立ち、患者の満足度が高い場合もある。」

しかし、インプラントは①咀嚼率の向上が著しい②違和感の喪失③義歯の脱着という精神的負担からの解放④歯列内配置を改善した結果、力のバランスが取りやすいと言ったメリットも多く有しています。

次は義歯です。

「幸せの入れ歯」(遠藤憲史著 現代書林社)のなかでは、義歯は、自然な美しさを取り戻す目安となるスマイルライン(にっこり笑ったときの唇の形)の回復はしやすいと述べています。

しかし、義歯はいつ外れるか分からない不安や煩わしさといったデメリットも有しています。

今回の結論から言えば、正直わかりません。

私は、インプラントを希望する患者さんがお見えになった場合、ます入れ歯をおすすめいたします。入れ歯を入れてみて、生活出来るようであれば、それはそれで良いですし、どうも入れ歯の違和感がぬぐえないといった場合のみインプラントの検討に入るようにしています。

2006年3月30日 (木)

ホワイトニングについて

昨日は、歯の汚れは内因性のものと外因性のものがあるとお伝えしました。Dscf0100_1

外因性の変色の場合は、歯の表面に付いた汚れや茶シブを落とすクリーニングをすることである程度は白さが戻りますが、それには限界があり、本来の色以上には白くはなりません。

加齢のように内側から変色してくる場合も、歯のクリーニングだけでは白く出来ず、歯を漂白(ブリーチング)して白くする必要があります。

この方法をホワイトニングと言います。Dscf0154_1

以前にもこのブログで書いた覚えがあるのですが、この「ホワイトニング」とは実は偶然の産物なのです。

10年以上前にある歯科の先生が過酸化尿素と水素を使って口の中の消毒をしようと試みました。その時、偶然にも歯が白く変色していたと言うのが「ホワイトニング」の始まりです。

もともと消毒から始まった事ですから、ホワイトニングを行っても、歯の劣化や歯肉を悪くすることはありません。

ホワイトニングの原理ですが、歯に対して酸化還元反応を起こさせます。

歯の中には着色の原因である「有機性着色物質」というものがあります。歯に過酸化尿素を酸化還元反応させると、「フリーラジカル」という長く連なった着色物質を分断する働きがおこります。これがホワイトニングの原理です。

ホワイトニングには2種類あります。

歯科医院で行うことが出来る「オフィスホワイトンング」と自宅で行う「ホームホワイトニング」です。

しろくま歯科医院では両方おこなっていますが、まずは、「オフィスホワイトニング」をおすすめしています。

なぜかと言えば、早く白くなるということと、値段が「ホームホワイトニング」に比べて安いのです。

「オフィス〜」の欠点は、早く白くなるのですが、術後24時間は色の付いた食べ物を食べることが出来ないのです。

「オフィス〜」は短時間で着色を落としますので、歯の表面の皮膜がとれます。そのため、歯の中の水分が出てしまい、不足しがちです。

その結果、歯自体の吸水性が良くなってしまい、色の付いた水分等を歯が吸い込んでしまうのです。

「ホームホワイトニング」はその点、歯の表面の皮膜を取らずに白くしていきますので、特に色が付き易いと言うことはありません。時間とお金に余裕がある場合にはこちらの方が良いかもしれません。

少し宣伝をさせてください。しろくま歯科医院では結婚をする証明書をおもちの場合、ウェディング割引を行っています。もし、結婚式が間近なカップルがおいででしたら、白い歯で新しい門出を祝ってみてはいかがでしょうか?

詳しくは、しろくま歯科医院のホームページをご覧下さい。

2006年1月26日 (木)

口内炎

ほんとに鬱陶しい状況になるときがあります。Pict0073_1_1

歯医者の私も逃れることが出来ない。本当に口内炎には悩まされます。食事、会話、仕事、すべてが上手く出来なくなり、非常にストレスが溜まります。

今日は、口内炎を取り上げてみます。最近は口内炎の患者さんが非常に増えていて、本当に同情いたします。なぜ、最近は増えているのでしょうか?そのあたりも考えていければ良いと思います。

では、口内炎による症状にはどのようなものがあるのでしょう

  1. 痛み
  2. 出血
  3. 食事がしみる
  4. 口腔内の乾燥
  5. 口内の腫れ
  6. 口がうごかしずらい
  7. 食事が飲みずらい
  8. 味覚が変わりやすい
  9. 会話しにくい 等

特に、食事に関わる働きが障害され、低下してきますが、症状の悪化に伴い、体力低下などの身体的な症状がもちろんの事、イライラや不眠などにも大きな苦痛を伴う事となります。

この憎き口内炎ですが、原因はどんなことが考えられるのでしょうか?大きく分けて3つの事に分類出来ます。

1)機械的損傷

  1. 入れ歯があわないとき
  2. 歯並びが悪く、粘膜に当たるとき
  3. 寝ているときや食事中に頬粘膜(ほっぺたの肉)を咬んでしまったとき
  4. 口腔内の粘膜が乾燥している時(口腔内の粘膜が乾燥しているとちょっとのことで傷が付きやすくなります)

2)口腔衛生不良

  1. 水分が食事の摂取では不十分で、唾液の分泌が不足しているとき
  2. 歯磨きやうがいなど口の中を清潔にすることが出来ないとき(虫歯が出来ているときに代表されるように、口の中が不潔になると、色々な菌が繁殖しやすくなります)

3)全身状態の低下

  1. 病気や過労で体力が衰えている時
  2. 食事がとれず、ビタミン不足(特にビタミンB2)
  3. 貧血など栄養状態が悪いとき
  4. 白血病や再生不良性貧血などの病気があるとき

以上の様に、口の中は非常にデリケートな粘膜によって覆われています。粘膜は眼球の表面と基本的には同じです。目を直接さわったりせず丁寧に扱うように、本当は口腔粘膜も清潔に扱う事が大事なのですね。

では、今後、このような事が無いようにするには、どうすればよいでしょうか?最後に予防に付いて、ふれておきましょう。

1)口の中を傷つけないようにしましょう。

  1. 歯ブラシは硬すぎないものを選びましょう
  2. 歯磨きの際、強いブラッシング圧は避け、歯肉をマッサージする様にしましょう
  3. 入れ歯があわないときは、早めの調整が必要です
  4. 虫歯があるときは、早めに治療しましょう

2)口の中を清潔にするようにしましょう

日頃から毎食後の歯磨きやうがいを習慣化しましょう

3)体調を整え、健康的に過ごしましょう

  1. バランスの良い食事
  2. ビタミン(特に、ビタミンB2)を多く含んだ野菜や果物を多く取るように心がけましょう
  3. 過労を避け、寝不足にならないように睡眠は充分に取りましょう

以上が、口内炎に対する原因および注意です。最初にふれていましたが、口内炎によって来院する患者さんのほとんどが何処か疲れている感じが受けます。

口内炎は、そのまま放置すると口腔粘膜がんに発展するおそれがある恐ろしい病気です。

小さいものなら歯科医院でレーザーや軟膏状のもので簡単に治る疾患です。口内炎があると言うことは、口の中に何かもんだいがあるかもしれません。

早めの通院をおすすめいたします。

2006年1月25日 (水)

喉に魚の骨が刺さったら。

ほとんど、私の場合、経験がないのですが、一人だけ患者さんで喉に刺さった魚の骨を取った事があります。今回は、メディカル・トリビューンからのトピックをお伝えします。

小骨が刺さりやすい

 のどに刺さりやすい魚の骨は、タイやサバなどの太くて大きな骨より、ウナギやイワシ、サンマなどの小骨が多いそうです。
 

刺さる場所は、外から見えるへんとうが一番多いが、時には、のどの奥の舌の付け根である舌根へんとうに刺さることもあります。
 「これらの場所なら、局所麻酔を掛けて簡単に抜くことができるが、さらに奥の声帯の裏側の下咽頭に刺さると、刺さり方によっては、全身麻酔で手術することになります」(日本医科大学(東京都)耳鼻咽喉科・頭頚部(けいぶ)外科の中溝宗永講師)
 

いずれにしても魚を食べたとき、のどに痛みを感じたら、魚の骨が刺さったと考えて間違いないようです。しばらくして痛みが消えれば、多分、骨は抜けているので、受診する必要はないようです。
 

痛みが続くと、刺さったと思われる場所を指などで触って、自分で抜こうとする人がいたり、あるいは、ご飯の丸のみを試みる人もいます。
 それでうまく抜ければよいが、刺さった骨の出ている頭の部分だけが折れて、残りの骨は粘膜の中に埋没して、痛みだけが残るケースも少なくない。

痛み続けば他の病気も

 「痛みがどのくらい続いたら受診すべきかは、人によって違いますが、何日も我慢しないで、できるだけ早い受診を勧めます」と中溝講師。
 

幼児やお年寄りは、かむ力も弱いので、魚料理のときは、周囲の人が気を付けてあげると予防になります。また、お年寄りには、圧力鍋などで骨まで軟らかく煮るなどの配慮があってもよいかもしれません。
 

魚を食べないのに、食後に骨が刺さったようなチクチクした痛みが、2、3カ月以上も続く場合は、病気の疑いがあります。
 中溝講師は「喫煙と飲酒歴が長く、量が多い人で、首にしこりがある場合は、のどにがんがあることが多いのです。すぐに専門医を受診してください」と話しています。

やはり、喉に魚の骨が刺さったら、歯科ではなく、耳鼻咽頭科に行った方がより正確に診断してくれそうです。

2006年1月21日 (土)

がん治療の後遺症と予防法

’06.1.23付けの「アエラ」(http://opendoors.asahi.com/data/detail/7170.shtml)にこのような記事が出ています。

「がん治療法の後遺症 防ぐ選択と予防法」Entsuji

この記事を要約すると、がんはもはや「不治の病」ではなく、「不死の病」になりつつあります。乳がんの場合、8~9割の患者さんは亡くなりません。がん治療は生き残った人たちの人生のをいかに保つかが問われるようになってきています。

そのため、がん治療を行う前には、術後のリハビリや心のケアを重視して行う様になってきています。

静岡県立静岡がんセンターでは治療の副作用や後遺症をなるべく軽減するために、治療前のリハビリなどに積極的に取り組むのだそうです。

たとえば、肺は食道、胃のがんで開胸手術を受ける人は全員、リハビリテーション科において事前に効率の良い腹式呼吸の指導を行っているといいます。

「全身麻酔の影響で、術後1週間ぐらいは肺活量が減る。痰詰まりを起こさないためにも、効率の良い腹式呼吸をしっかり練習してもらいます。」(同病院 田沼明医長)

乳がん手術を受ける患者さん全員には、リンパ浮腫予防のためのリンパマッサージを教えます。これは乳がんの副作用に「リンパ浮腫」があるためです。

そして、そのがんの副作用や後遺症を軽減するためのリハビリの中に口腔ケアが含まれています。

歯科口腔外科の太田洋二郎部長は言います。

「手術前に虫歯治療はもちろん、歯槽膿漏の治療や歯垢除去など口内を清潔にする処置も行います。もともと歯垢や歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)、舌や口内粘膜には、レンサ球菌や肺炎球菌など色々な細菌が山ほどいます。通常は問題ないが、がん治療の後には思わぬ悪影響を及ぼす危険性があります。抗がん剤治療や頭部や頸部に放射線治療を受けた後、口内炎が起きます。口の中をきれいにしておくと症状が軽く、早く食事を再会出来き、退院も早くなります。」

「まだ、大規模な調査ではありませんが、事前に口内ケアをした場合、合併症の発生率が数分の1に減るというデータがあります。肺炎などの発生率も、口の中をきれいにしたほうが低いです。」

通常、患者はがんと診断されてから手術まで基本的に「受け身」のまま治療に向き合う。ところが、事前に口腔ケアや呼吸練習などが必要となると、治療に俄然「参加意識」が生まれ、前向きに取り組むようになっているというのです。

がん治療を受け終わった広い意味での「がん生存者」は今約300万人。2015年には500万人以上に達すると予想されています。がん生存者の生活の質を考慮するため、われわれ歯科医師も立ち上がる時が来たのかもしれません。