しろくま歯科医院 WEBサイトへ

しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
calender

2012年5月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
AED
当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

最近のトラックバック

リンク



2010年1月17日 (日)

口内の汚れは万病のもと

本日は、日本咀嚼学会編集の『誰も気づかなかった噛む効用~咀嚼のサイエンス~』の中の渡辺久東京医科歯科大学歯学部歯周病講座准教授のテキストよりお届けいたします。

◇危ない『口内の汚れ』

口と肛門は、消化器系の入り口と出口です。いずれも身体と外界の接点ですから、いろいろな異物(細菌も含む)が入り込みやすいところです。また適度の温度と湿り気があるので、とりわけ細菌の住みやすい環境です。どちらも不潔にしていますと、いろいろと厄介な病気を引き起こします。

口の中の病気で、代表的なものは“むし歯”と“歯周病”です。歯周病には、歯肉炎と歯周炎(歯槽膿漏)があります。むし歯と歯周病は、放っておくと終いには“歯を失う”ことになります。その原因は、口の中を不潔にすること、口の中の汚れにあります。

口の中の汚れにはいくつかあります。まず第一番目に、食事をした後に残る“食べかす”です。通常は、うがいやようじで取れますが、奥歯の間に挟まった場合などは、大変苦労します。俗に「奥歯に物がはさまった言い方」などと言いますが、いつでも気になってしかたがないものです。この状態が続くと、その部分にむし歯や歯周病を起こします。

第二番目が、着色です。これは食物の色素、紅茶・コーヒー・お茶などの飲料水の茶渋、たばこのヤニなどです。これらは病気とは直接には関係ありませんが、口元がとかく気になる現代の生活にあっては、常に気をつけたいものです。

昔から『明眸皓歯(めいぼうこうし)』といって、明るく澄んだ瞳と白い歯は、美人の形容として使われます。たばこについては、ニコチンとコチニンが白血球の機能を低下させることが報告されています。長期間喫煙を続けますと、感染に対する抵抗力が低下するといわれています。

例えば、歯周病については喫煙者はたばこを吸わない人に較べて、4~14倍も病気に罹りやすいといわれます。たばこの害を論ずる場合は、一日の本数と喫煙の期間が問題になります。ご自分の健康もさることながら、間接的な喫煙(受動喫煙)の害も指摘されています。マナーを守った喫煙を心がけたいものです。

参考文献 誰も気づかなかった噛む効用~咀嚼のサイエンス~ 日本教文社 

2010年1月 8日 (金)

歯科診療所で全身疾患の・・・

本日はデンタルトリビューン紙 2009年12月号よりお届けいたします。

◇歯科診療所で全身疾患のスクリーニング《米国》

歯科医師が全身の健康管理に深く関与することは、患者にとっても有益である。ニューヨーク大学歯学部(NYUCD)では「全身の健康管理も歯科医療従事者の責務とする」という理念のもと、独自の学生教育や看護学部との連携を行っていることを、10月5日付の同大学プレスリリースで報告した。

◇学生教育に、全身疾患の評価

歯科医院へ定期的に通院していても、プライマリ・ケア医とはあまり頻繁に会わない患者もいる。このようなケースにおいて、歯科医師は患者の全身の健康状態を観察し、重篤な疾患の徴候を発見し介入することが可能な立場にあるといえる。

例えば、患者が過度の口渇や空腹感、頻尿などを訴える場合、糖尿病の初期症状かもしれない。

NYUCDでは、学生教育の段階からこの理念を反映させ、学生は口腔疾患のみならず、全身疾患の評価法も学んでいる。

また、同大学では全身管理の一環として禁煙指導にも注力しており、患者にただ禁煙を勧めるだけではなく、禁煙治療のサポートまで行う。

昨年の春からは、学生と教員に対する教育プログラムとして、「臨床医のための禁煙治療介入の5A:質問(ASK)、助言(ADVISE)、評価(ASSESS)、支援(ASSIST)、経過観察の手配(ARRANGE)」が開始された。

◇看護との協力

2006年にNYUCD内に開設された看護学部診療所は、包括的な看護保険を行うために口腔衛生と全身の健康管理をリンクさせる重要な役割を担っている。

歯学部と看護学部が協力し、すべての患者は、全身と口腔、双方の健康管理に対応する総合健康管理センターを利用出来る。同センターは歯学部ロビー内という便利な場所にあり、がん検診やカウンセリング、人間ドックなど包括的なプライマリ・ヘルスケアを提供している。

さらに、同大学では歯科検診にも重篤な全身症状のリスク評価も組み入れるべきだとし、その実践に向けて、現在、歯科と看護とが協働で連携プログラムを立ち上げている。

2009年12月17日 (木)

歯科医が訪問 口腔ケア

本日は、読売新聞 12月10日分の『安心』のページよりお届けいたします。

◇誤嚥性肺炎予防効果も

口の中を清潔に保ったり、飲み込む力を鍛えたりする「口腔ケア・嚥下リハビリ」が高齢者の肺炎予防などに効果があると注目されている。

歯科医の間で、口腔ケアや嚥下を重視した訪問診療を広げる動きも強まり、11月には全国組織が発足した。(文:針原陽子)

◇食べられるように

千葉県松戸市のマンションの一室。介護ベッドの背もたれを少し起こした状態の男性(73)が、介護者の妻(71)の手を借りてプリンを食べていた。歯科医の大石善也さん(49)が、そののど元に聴診器を当てて、のどの状態や呼吸の様子を確かめる。

男性と妻には「口に入れて早く飲み込むと、少し器官に入ってしまう感じです。ちょっとためらってから飲めるように練習しましょう。」と助言した。

男性は7年前に脳出血で倒れ、現在は寝たきり。この5年ほど経管栄養などに頼っていたが、嚥下リハビリを受け始めて少しずつ食べられるようになった。妻は「意識と表情がはっきりしてきた。本人も楽しみが増えたでしょう」と喜ぶ。

同県柏市で開業する大石さんは、外来を休む週一日半と昼休みを使い、歯科衛生士9人とともに、老人保健施設(老健)などの施設や在宅高齢者ら約170人の訪問診療を担当する。

一回1時間。衛生士が歯や歯茎、舌などをきれいにする口腔ケアに30分を、歯科医による聞き取り、飲み込みのチェックやリハビリに30分を充てる。

家族を介して訪問看護師や往診の医師と連携を取ったり、同じ時間帯に訪れるヘルパーに口腔ケアのやり方を指導したりすることもある。大石さんは「高齢化によって要介護状態で自宅や施設で長く暮らす人はますます増える。歯科の訪問をもっと増やす必要がある」と訴える。

◇医師の連絡会発足

口腔ケアを行えば、細菌の多い唾液などが気管に入って起こる「誤嚥性肺炎」の発症率が、ケアをしない人の半分以上に減ることがわかっている。食べることで栄養状態や意欲が向上することも知られている。

これらを踏まえて「在宅療養支援歯科診療所」が設けられたのは2008年4月。在宅で療養する人を24時間体制で支えるもので、診療時間でも、75歳以上の患者を訪問したら月一回は算定できる管理料などが認められた。

しかし、口腔ケアや嚥下リハビリを重視する歯科医はまだ少なく、患者も必要性をあまりしらない。こうした現状を変えるため、大石さんら訪問診療に力を入れる開業医と、大学や病院の歯科医の有志が今年11月、「全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会」を発足させた。

連絡会では今後、専門的に訪問診療を手がける医師のデータベースを作成するほか、各地域に活動拠点も設置。往診を行う医科のネットワーク「全国在宅療養診療所連絡会」などの他業種との連携も模索する考えだ。

在宅医療に詳しい辻哲夫東京大学教授(高齢者政策)は「口から食べることにより体力がつき、生活の質も上がることから、歯科が医科と連携することが重要。歯科が、在宅高齢者へのケアを重視するようになったことは、時代のニーズに応えた取り組みだ」と評価している。

2009年12月 3日 (木)

キシリトールガムの効果は?

本日は、羽田宣裕先生監修の『こどもの歯をじょうぶにするQ&A64』よりお届けいたします。

◇虫歯をやっつけて、虫歯を防ぐ唾液がふえる

キシリトールは、いちごやプラムなどの果物、レタスやカリフラワーなどの野菜にも含まれている天然の甘味料で、砂糖と同じ甘さがあります。

市販のキシリトール入りのガムはおもにシラカバやカシなどの樹木から抽出されたキシリトールが使われています。

フィンランドで虫歯予防の目的で開発されたのを発端に、世界各国に広まりました。キシリトールが虫歯を防ぐのは、次の理由からです。

①虫歯菌はキシリトールでは酸を作れないので、虫歯菌にならない。

②虫歯菌がキシリトールを食べると、エネルギーを消耗して活動が弱まる

③さわやかな甘みが、虫歯菌予防効果のある唾液を多く分泌させる。

キシリトールガムは食後に5分以上噛むと、食事中に溶け出した歯のミネラルを回復させ、再石灰化を促します。また、毎食後に噛むと、虫歯菌の数が減ります。

寝る前の歯磨き後に噛むのも効果的です。

ただ、本当に虫歯菌を減らしたいのなら、歯医者さんで虫歯菌の検査を受け、決められたカリキュラムのもとに使うべきです。

甘い物を食べたいこどものために、ラムネ菓子代わりにあげてもいいですが、おなかがゆるむことがあるので食べ過ぎに注意を。

参考文献 羽田宣裕監修 こどもの歯をじょうぶにするQ&A64 小学館 

2009年11月21日 (土)

寿命と歯槽膿漏2

昨日の続きです。本日も野田先生の著書よりご紹介いたします。

◇寿命と歯槽膿漏

日本では、戦後の1950年代にはじめて歯周病学講座が開設されました。たった50年の歴史しかありません。

なぜ、このように歴史が浅いのかというと、その理由は必要がなかったからです。今日でこそ日本人は長生きですが、かつての日本人は短命でした。

織田信長は「人生五十年」と謡いましたが長生きしたほうで、十六世紀当時の平均寿命は二十歳にも満たないものでした。その後、江戸時代では三十歳から四十歳、明治に入っても四十歳のままでした。

たしかな統計がある1921年~1925年当時の男性平均寿命が42.1歳、女性が43.2歳でした。これは、細菌などの感染による幼児の死亡率が高く、また、結核などの不治の病があったためです。

そして、人生50年と人々が意識したのは戦後のことで、終戦直後の1947年でした。男性の平均寿命が50.56歳、女性が53.96歳となりました。

つまり、近年までの人生は五十歳であったということは、歯槽膿漏の末期で歯が抜け落ちる前に、人生そのものが終わっていたのです。

歯科医院で痛い目にあう前に、天寿を全う出来たわけです。ですから、歯槽膿漏の研究は必要なかったわけです。

ところがその後、医学が急速に進み、1959年に平均寿命は68歳となりました。また、日本老年医学会は65歳以上を老人と定義して、老人医療に取り組み始めました。

2001年の調査では男性の平均寿命が78.07歳、女性が84.93歳となり、人間の寿命が歯の寿命をはるかに超えてしまいました。そして2002年には、男性の平均寿命が78歳、女性が85歳まで伸び世界一の長寿国となりました。

その結果、歯槽膿漏を治さなければならない、という問題がクローズアップされました。

歯の多くは歯槽膿漏で抜け落ちます。歯をなんとか持たせたい、一生自分の歯で暮らしたいとい要求に応えなければなりません。

ですから、年を取ると歯茎がさがり、歯に食べものが挟まってしょうがない、と考えるのはまってください。加齢でも歯茎は下がりますが、多くの場合、歯槽膿漏で歯茎が下がるのです。

また、ご自身の歯茎の色をみてみましょう。健康な歯茎はピンク色で、歯にしっかり密着していますが、歯肉の歯との境目が赤く腫れている場合は要注意です。これは初期の段階では、歯肉炎と呼ばれますが、歯槽膿漏の可能性もあります。

さらに、これが進行すると血や膿が出て口臭が発生します。これは、明らかに歯槽膿漏です。ちなみに、歯周病は、歯科医のあいだでは3Sと呼ばれています。

3Sとは、だれでもかかる(social)、症状のない(silent)、自己管理出来る(self-controllable)の三つの英語の頭文字から命名されました。

ですから、痛みや歯がぐらつき出す前に、このような症状が気になり出したら、すぐに歯科医に診てもらうべきです。歯槽膿漏(歯周病)は単に抜け落ちるという問題にとどまりません。

歯槽膿漏は、心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患も起こします。

参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 著者 野田隆夫 野田雅代 光人社

2009年11月20日 (金)

寿命と歯槽膿漏1

本日と明日の2回に分けて、野田先生の著書『歯周病で死ぬのはイヤだ!』よりお届けいたします。

◇寿命と歯槽膿漏

歯槽膿漏にかかった患者さんは、助けを求めて歯科医の元を訪れます。ぐらつきだした歯を治したい、以前と同じように物が噛めるようになりたいという希望をもって、歯科医院を訪ねます。

はたして、その実態はどうでしょう。多くの場合、ぐらついた歯を抜きます。と診断されるのではないでしょうか。また、歯を抜いた後に歯茎から血や膿が出なくなり、気持ちよくなったでしょう、といわれるのではないでしょうか。これは、今まで行われてきた歯槽膿漏に対する現実的な問題解決方法であることは確かなことなのです。

というのは、歯槽膿漏の原因は細菌説が有力ながら、進行して末期になると決定的な治療法や特効薬がありません。ですから歯槽膿漏の初期段階での治療には自信がありますが、末期では延命がせいぜい、というのが歯科医の本年です。つまり、歯を抜く以外に方法がないわけではないわけで、悲しいかな、これが現状であるわけです。

ですから歯科医は、早い段階で治療に来てくだされば治るのに、もっといえば、早い段階いで来てほしいと願っています。

とはいうものの、歯槽膿漏は初期から中期までは、自覚症状がありません。したがってそのような方は、歯槽膿漏の治療ではなく、虫歯の治療を希望して歯科医院を訪れます。

そこで、善意のある歯科医は虫歯を治した後に、歯槽膿漏も治療します。するとどうでしょう。それは気になっていない歯でした。と患者さんのつれない言葉。

ときには、痛みもなにもないのにいじられた、お金儲け主義じゃないか、と勘ぐられたりします。

歯槽膿漏の治療を希望してきた患者さんでも、この一本はあきらめてください、末期の歯槽膿漏は治すのが難しですから、これ以上の歯が同じ末路をたどらないようにしましょう、と説明すると怪訝な顔をします。

たとえこの歯がなくなっても、それ以外の歯が今のままでなら文句ないでしょう、と説くと、そんな話は信じられないと言いたげです。

このような経験をした歯医者は、症状が出るまで放っておこうと考えるのも無理ありませんし、また患者さんが望まないことを出来ないのが医療というものです。

なぜ、このような事がおこるのでしょうか。それはおそらく歯科医は歯槽膿漏を治せるのは初期から中期であると考えているのに対して、患者さんは歯槽膿漏の末期になって、はじめて何とかしてほしいと考えるからでしょう。

こう考えると、やはり患者さんが歯槽膿漏の正しい知識を持たなければ、歯槽膿漏の治療は成り立たないkとも事実です。

それでも、賢明な読者のみなさんは、これだけ科学が進歩した現代で歯槽膿漏が治らないはずがないという疑問を持たれるのではないでしょうか。

確かに考えるのは無理もありません。しかし、歯槽膿漏の研究は、意外と歴史が浅いのです。

明日へ続きます。

参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 著者 野田隆夫 野田雅代 光人社

2009年11月 2日 (月)

むし歯や歯周病がなかった先住民

本日は、西原克成先生の著書 『歯はヒトの魂である~歯医者の知らない根本治療~』よりお届けいたします。

◇むし歯や歯周病のなかった先住民

歯の病気には、以前は国民病とも文明病とも呼ばれたむし歯と歯槽膿漏(歯周病)があります。

どうして文明病かと言うと、昔の原始人や類人猿、今から100年前頃のアフリカやオーストラリアの先住民やその頃のエスキモーに、ほとんどむし歯や歯槽膿漏が無かったからです。

そしてまもなくこれらの人々の間に文明が浸透して、生で食べていた食生活が激変し、食物を蒸したり煮たり焼いたりして食べるようになっただけで、一気に文明国の人々よりも歯が駄目になってしまったのです。

これは文明化して加熱食品を食べるようになったのに、歯磨きという高度化した文明の習慣が伴わなかったためです。

加熱食品とは、熱によって食品が消化され、軟らかくなり、栄養が細菌にも消化・吸収されやすくなるために、細菌が歯の表面にべっとりとへばりつき、雪のように食べる度にすこしづつ積もって歯垢が出来るからです。

ことに澱粉や蔗糖を含むものを食べて、ストレプトコッカス・ミュータンスという細菌が口の中にはびこると、むし歯が出来る。雪のようにへばりついた歯垢に唾液のカルシウムが沈着すると、これが石灰化して黒くなって硬くなります。これが歯石で、歯茎の所にぐるりと黒くへばりつくと、細菌の巣になるので歯茎が炎症を起こす。これが歯肉炎です。

さらに進んで、歯の根の表面に歯石が少しづつ触手を伸ばして歯肉炎に入り込んでくると、歯茎に膿が貯まって漏れ出す。それでこの歯周病を歯槽膿漏と呼んでいたのです。

むし歯や歯周病が進むとしばしば歯科で歯を抜かれてしまいます。歯を抜かれると歯がなくなってしまう。これを「歯の欠損症」といいます。

歯がないだけでは病気の気がしませんが、じつはこれもれっきとした病気です。そしてこの歯の欠損症の治療がいわゆる入れ歯です。

今次世界大戦のアメリカ軍では、歯が7本以上ない人は、ないままに軍務につくことは出来ませんでした。国家がすべて14金の入れ歯(金属床義歯)を作ってから戦闘に参加させたのです。食べるということはいざとなるとそれほどにも人間の生活に重要なことなのです。

米海軍も陸軍もこの入れ歯に14金を使うのを止めて、コバルトクロム合金の義歯に変えたのは朝鮮戦争が終わってだいぶ経った1965年頃です。日本では、今も昔も健康保険では、金属床の義歯は出来ません。安価なレジン床(プラスチック)の義歯しか作ることが出来ません。

参考文献 歯はヒトの魂である~歯医者の知らない根本治療~ 青灯社

2009年10月21日 (水)

歯周病と関連が深い自己免疫疾患2

本日も昨日に引き続き、渡辺秀司先生の著書『歯周病を自分で治す本~歯のグラグラが治る、口臭が消える、不思議な樹脂を発見!~』よりお届けいたします。

◇掌蹠膿疱症の発症にも関係

掌蹠膿疱症は、原因がよく分かっていない皮膚病です。

手のひらや足の裏に膿を持った湿疹ができ、長期間にわたって再発を繰り返す難病です。扁桃腺や虫歯からの感染、また、歯科で使われる金属のアレルギーで起こる場合があることも知られています。さらに、特定のウィルスへの感染によるものといわれています。

奥田克爾・東京歯科大学微生物学講座教授のグループは、口腔内の慢性感染症と掌蹠膿疱症との関係について研究を行っています。

実験の結果、アクチニマイセス・アクチノマイセテミコミタンスなどの歯周病菌が出す毒素が、手のひらや足の裏で免疫反応を起こし、掌蹠膿疱症の原因になっていることが考えられると報告しています。

また、実際に、歯周病の治療によって掌蹠膿疱症の症状が改善した例は少なくないといいます。

以上のように、歯周病は単なる口腔内の病気にとどまりません。全身にさまざまな悪影響を与える病気であることを認識し、出来る限り早期から予防・改善する事が求められます。

参考文献 歯周病を自分で治す本~歯のグラグラが治る、口臭が消える、不思議な樹脂を発見!~ 渡辺秀司著 マキノ出版

2009年10月20日 (火)

歯周病と関連が深い自己免疫疾患1

本日は渡辺秀司先生の著書『歯周病を自分で治す本~歯のグラグラが治る、口臭が消える、不思議な樹脂を発見!~』よりお届けいたします。

◇歯周病と関係が深い自己免疫疾患◇

免疫不全とは、細菌などの外敵に対して防御機構(免疫不全)が正常に働かず、抵抗力が落ちた状態をいいます。

免疫不全は自己免疫疾患によっても起こります。私たちの体は、細菌などの外敵や異物に対して、抗体を作って闘います。普通、自分の組織(細胞)に対して抗体を作ることはありませんが、何らかの原因で自分の赤血球に対する抗体ができてしまうことがあります。

つまり、抗体が正常な細胞を攻撃して障害をもたらし、病気を発生させるのです。このように、自分の体にとって不要な抗体が作られることによって起こる病気を自己免疫疾患と呼んでいます。

自己免疫疾患には、臓器不特定疾患と臓器特異的疾患があります。前者には、シェーグレン症候群、突発性血小板減少症、自己免疫性溶血性貧血、慢性甲状腺炎(橋本病)、原発性粘液水腫、悪性貧血、急性進行性糸球体腎炎、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎、I型(インスリン依存型)糖尿病などがあります。

一方、後者には、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、多発性筋炎、強皮症などがあります。

それぞれの病気のくわしい説明は省きますが、これらの病気がある人は、歯周病が発症したり進行したりしやすいことは明白です。抗原抗体反応あ繰り返され、不要な抗体が作られているわけで、体内に常に炎症が引き起こされるからです。

これらの病気がある人は、全身の抵抗力を落とさないように普段から留意すうることが求められています。

明日へ続きます。

参考文献 歯周病を自分で治す本~歯のグラグラが治る、口臭が消える、不思議な樹脂を発見!~ 渡辺秀司著 マキノ出版  

2009年10月 6日 (火)

歯周病を見つけるには

本日は、朝日新聞出版から出版された『 Q%Aでわかる 「いい歯医者」 』よりお届けいたします。

Q:歯周病を見つけるにはどうすればいい?

A:歯肉の腫れや出血は歯周病の最初のサイン。早めに歯医者へいってください。

歯肉炎の段階ならプラークコントロールだけで治ってしまいます。それだけに早期発見が大切なのですが、長く放置されて歯を失うことになったり、治療が長引いたりするケースが少なくないといいます。

歯周病は進行しても痛みや腫れといった自覚症状が無いからです。

歯周病を早期発見するためにも、次のような症状があるかどうか確認してみてください。

◇歯肉の縁が赤い

歯周病は、歯肉が炎症を起こす歯肉炎から始まります。歯ぐきの縁が赤くなっているのは炎症を起こしている証拠。歯肉の腫れが目立つ、硬いものを噛んだり、歯を磨いていたりするときなどに出血するなどの症状があれば、歯周病のサインです。

◇歯石がついている

歯石は歯垢(プラーク)が石灰化したのものです。歯石になるとブラッシングだけでは取り除けなくなって、歯と歯肉のすき間(歯周ポケット)が深くなってきます。歯周ポケットの深さは、歯周病の進行度を示す目安となります。

◇朝、口のなかがネバネバする

ネバネバの正体は歯垢かもしれません。歯磨きが不十分だと、歯垢がたまってしまいます。また、夜寝ている間は、口の中に水分や栄養が豊富にあり、静かな状態です。

そのため、歯周病原細菌の活動が活発になり、歯周病のリスクがより高くなります。

◇歯がのびてきた

歯肉や歯を支えている骨は、年とともに少しづつ下がってくるものですが、病変が歯を支える骨まで達して骨が溶けてくると歯肉も下がって、歯がのびてきたように感じることがあります。

◇指でおすと歯が揺れる

歯を支える骨が溶けはじめると、歯が浮いたような感じがしたり、指でおすとグラグラしたりすることがあります。この段階になるとかなり歯周病が進んでいると考えられます。

参考文献 Q%Aでわかる 「いい歯医者」 朝日新聞出版 

2009年9月13日 (日)

歯周病の正しい治し方

本日は、丸橋賢先生の著書『歯で守る健康家族』よりお届けいたします。

◇歯周病の正しい治し方

歯周病とは、歯根をしっかりと支えている歯槽骨と呼ばれる顎骨が溶ける病気です。進行とともに歯槽骨の吸収(溶ける)が進み、グラグラ動揺し、物が咬めなくなり、最終的に歯が抜けてしまう病気です。

歯周病は治りにくいと一般的には考えられているのは、現在の治療法が的外れで、根本的な原因が除去出来ないからです。

食生活の脱線を正し、良好な栄養バランスを取り戻すと、見違えるほど顔の色艶が良くなります。歯肉や口腔内粘膜も健康的で美しいピンク色になり体は元気になります。

このように、病みたい体から治りたい体へに元気にUターンさせておいて、口腔内の治療を行えば、驚くほどよく治るのです。

私の診療所には、全国から悩みに悩んだ重症の患者さんがたくさん来院されます。いくつもの歯科医院をまわり、大学病院にも受診し、治療を続けても治らなかったり、抜いて総入れ歯にするといわれた患者さんたちです。このような患者さんの多くは、顔にも生気もなく、土気色で病人然とした様子でやってきます。

私は患者さんを一瞬見ると、その人の状態がわかりますので、最初にその患者さんが全身状態と関係のある本物の歯周病なのか、それともかみ合わせが狂った外傷性咬合による局部的なものなのか、不良治療によるものなのかを判断し、分類して治療を行います。

①口腔内の局部的原因による歯周病

歯がグラグラし、悩んで来院する患者さんの約半数は、全身状態と関係した本当の歯周病ではなく、かみ合わせや不良治療などが原因の局所的なものです。

このような歯周病は、全身の抵抗力が落ちているわけではないので、口腔内に対する技術的な治療がブラッシングによって比較的簡単に治ります。

《例1 歯列が悪く、咬合が不自然なもの》

現代人の歯列が不正な人が多く、ギザギザ、凸凹とした歯列がよく見られます。上下の歯の咬合関係には厳密で繊細な法則があり、正し部位に正しい方向で加わる力には非常に強い耐久力があります。

しかし、悪い方向に加わる力には弱く、すぐに骨が溶けてしまいます。このような場合は、咬合調整などにより、正しい咬合に改善し、必要があれば手術や補綴も行います。

《例2 不要治療が原因の場合》

不良な金属冠(クラウン)などにより、咬合が狂っていたり、根管治療が悪く、排膿している例もよくあります。要は正しい治療をすれば治るのです。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋賢著 現代書館 

2009年9月12日 (土)

むし歯、歯周病予防には食後に緑茶

本日は、坂本貴史先生の著書『歯と口の悩みを解決する本』よりお届けいたします。

◇むし歯、歯周病予防には食後に緑茶

お茶の効用はよくしられています。歯についての効用はに限っていえば、以下に紹介するようになっています。

・カテキン(おちゃの渋み成分)・・むし歯、口臭予防効果

・フッ素・・むし歯予防効果

・フラボノール・・口臭予防効果

そして、口の中に残っている食べもののかすを洗い流す作用もあり、文句のつけようがありません。

さらに、一仕事を終えてゆったりした気分でお茶を飲むと、ストレスが緩和し、唾液の中の殺菌効果、再石灰化を促す効果の高い、サラサラした唾液の分泌が十分に期待できます。

カテキンの効用についてもう少し触れておきます。

①喉や食道に侵入してきたインフルエンザなどの悪性ウィルスの増殖を防ぎます。外出から帰ってきたときなど、お茶でうがいをするといいでしょう。

②アルツハイマー型初老期認知症の予防にも効果があります。アルツハイマー型初老期認知症の原因の1つとして脳内血管の酸化があげられますが、それを防ぐには、ビタミンCやEなどの抗酸化ビタミンを摂ることが大切です。そして、このビタミンCとEは、すぐに分解されずに長く体内にあったほうが効果があるのですが、カテキンはこのふたつのビタミンの分解を遅らせます。

《ここがポイント》

・緑茶と同じ茶葉から作られるウーロン茶からもカテキンを摂取することが出来ます。しかし、その働きが最も強力といわれるエピガロカテキンガレートが圧倒的に多く含まれるのは緑茶です。

・一杯の緑茶からより多くのカテキンを摂るには100度Cのお湯(沸騰したてのお湯のこと、数分たつとすぐに80度Cに下がってしまう)を急須に注いで3分まつのが理想です。

・小魚を煮る時、番茶を使うと骨まで軟らかく煮ることが出来ます。これは、お茶に含まれるタンニンの成分が働くためです。魚を丸ごと食べればカルシウム満点で、歯にも体にも良い。昔のヒトはよく知っていたお茶の効用の1つです。

いつまでも健康な歯でいるには、まず丁寧は歯磨きをして歯垢を取り除くこと、そして、、もし歯石が付着してしまったら、歯科医で取ってもらうことです。そのうえで、日頃の食べ物から歯周組織の血行の改善や出血の予防、粘膜の強化、歯や歯槽骨の強化のために、ビタミンCやK、葉酸、フラボノール、カルシウムなどを十分に補給することです。

参考文献 歯と口の悩みを解決する本 坂本貴史著 法研   

2009年8月28日 (金)

むし歯はどうして出来る?

本日は、中村輝夫先生の著書『食は一生~そのための「歯」の本』よりお届けいたします。

◇むし歯はどうしてできる?

歯に張り付いた細菌が砂糖などの炭水化物(米、うどん、パンなど)から酸を発生させ、その酸が歯質を溶解してむし歯が発生します。

よって、歯面に細菌が付着していなければむし歯は出来ません。また炭水化物の中でも砂糖は酸の酸性させやすさが断トツに高いので、砂糖を摂取しなければむし歯は出来にくいのでs。

ステファンカーブと呼ばれる歯垢のPH曲線をえがいたグラフがあるのですが、グルコース《砂糖水》を口に含むと、数分も経たずにPHが5以下になっているのがわかります。細菌はすぐグルコースを分解して酸を作ってしまいます。

この実験では、2回目にグルコースを口に入れる前に左側だけしっかり歯磨きしたので、右側のPHは1回目と同じように下がっているのに、左側は下がっていません。細菌を除去できれば、たとえ砂糖水を口にしても、むし歯の心配はいらないのです。

砂糖自体は歯を溶解しないので、砂糖水の中に歯を浸していてもむし歯は発生しません。細菌にも歯を溶解する力がないので、砂糖が入っていない真水の中に歯を浸して細菌を入れてもむし歯は出来ません。 しかし、砂糖水の中に細菌を入れるとむし歯が出来ます。

お米が酵母菌によってアルコールになるように、細菌は生きていくためのエネルギーを得る作業として砂糖を分解しますが、その結果生まれる酸によって菌が溶解するのです。くどいようですが、むし歯を作るには砂糖と細菌の組み合わせが必要なのです。

参考文献 食は一生~そのための「歯」の本 中村輝夫著 東京図書出版                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           

2009年8月23日 (日)

二十代にも歯周病が増えている

本日は、坂本貴史先生の著書『歯と口の悩みを解決する本』よりお届けいたします。

◇二十代にも歯周病が増えている

歯科疾患実態調査《厚生省(当時)・一九九九年》によると、五~十四歳で37%、十五~二十四歳で65%の人が、歯周病の第1期症状である歯肉炎にかかっています。

この割合は、年齢が上がればさらに増えます。まさに国民病ともいえます。

歯周病がこんなに増えたのはむし歯が出来る原因と同じで、繊維質の多い野菜や硬いものを食べなくなったからです。スナック菓子などの軟らかいものを食べる人が増え、口の中に歯垢が出来やすい状態を作り出しているのです。

そして、歯周病は感染することもあるので要注意です。余計なおせっかいかもしれませんが、たとえ恋人同士でもキスをするにはエチケットが必要です。きちんと歯の手入れをしておくのも愛情の一つではないでしょうか。

また、糖尿病との関連も見逃すことができません。糖尿病は、病気そのものよりも動脈硬化、腎臓病、網膜症などといった合併症が怖い病気です。

この病気になると、唾液の分泌量が減ります。そのために、喉が渇くという現象が目立ちます。

異常に喉が渇いてしかたがないという症状から糖尿病が発見されることがよくあります。そして、喉が渇くと、口の中が不潔になりやすくなります。

若い人が糖尿病になった場合は、多くのむし歯が出来るという傾向があります。中年以上の人が糖尿病になった場合は、むし歯より、むしろ、歯周病にかかりやすく、その結果、総入れ歯になる比率が高いという傾向があります。

不幸にして糖尿病になってしまったら、口の中の清潔を保つように注意することが、極力必要です。

さらに、この病気で注意しなければいけないのは、全身の抵抗力が著しく低下することです。ちょっとした傷でもなかなか治りにくいという症状がよくおこります。歯を抜かなければならなくなったときなどは、事前に糖尿病であることを歯科医に伝えるようにしましょう。

参考文献 歯と口の悩みを解決する本 坂本貴史著 法研

2009年8月12日 (水)

高齢者の口腔ケアの重要性

本日は、戸田恭司先生の著書『口腔ケアのいきいき』よりお届けいたします。

◇口腔ケアの重要性

口腔ケアとは、「歯、口腔を中心とした顎咀嚼系諸器官の疾病予防、健康保持を行うことにより、全身や精神の健康増進に寄与しクオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を高めるための科学的知識に基づく技術の実践」といえます。

とりわけ要介護高齢者に対する口腔ケアは、介護保険制度の実践のなかで、関心が高まりつつありますが、口腔ケアの対象者は高齢者に限られているわけではありません。

乳幼児から成人の日常に健康維持はもとより、疾病しかかった場合の症状の改善や生命維持にとって欠かすことの出来ないのもです。

◇食べることは基本

「おいしく食べること」、「気持ちよく便通できること」、「ぐっすり眠れること」は、いずれもヒトとしての基本的生理現象であり、QOLの重要なポイントでもあります。

なかでも、“食べること”は、楽しみや幸せを感じるもっとも重要な行為の1つですが、加齢あるいは疾病による歯・口腔や摂食・嚥下機能の低下や障害で、それらが阻害されることがあります。

その場合で生きていくためには、経口摂取にしろ、経管栄養にしろ、体内に最低限必要な量と質の栄養素を摂取しなければなりません。

しかし、食物(栄養素)が口から摂取出来ないからというとそうではありません。むしろ使用されない(機能しない)器官は質的・機能的萎縮を来すので、この場合にはいっそう口腔ケアが重要になってきます。

例えば唾液分泌の低下や口唇の閉鎖不全、口呼吸による口腔乾燥で、粘着性の舌苔が付着し、口臭、歯周炎、カンジタ症、味覚異常などが発症しやすくなることが知られています。

また口腔の機能は食べる機能だけでなく、以下に示すように私たちが社会生活を送るうえで、実に多様な役割を担っています。

これらの機能はどれをとってもひとたび失われると重大な支障を来します。口腔ケアは、これらの役割を的確にバックアップして、多様な生活の質を保っていくうえでも必要であり、そこに口腔ケアの意義があります。

◇表 口腔の機能と障害

①咀嚼障害・・開口障害、閉口障害

②消化・呼吸器の入り口・・呼吸障害

③構音機能・・発音障害

④顔貌審美性・・審美障害

⑤味覚・・味覚障害

⑥感情表現・・表情筋障害

⑦唾液機能~消化・抗菌・免疫~・・唾液機能不全

⑧摂食・嚥下機能・・摂食嚥下障害

⑨個体識別機能・・自己証明不能

⑩道具的機能・・道具的使用不全

⑪闘争本能

⑫愛情表現

参考文献 口腔ケアのいきいき 戸田恭司 森下真行 安井良一 阿川真澄 著 医歯薬出版 

2009年8月 4日 (火)

最近のむし歯予防

本日は、柴田先生の著書『成長を生かして無理なく美しく 子どもの歯ならび基礎のきそ』よりお届けいたします。

◇最近のむし歯予防

よくキャラメルやチョコレートは歯にとって悪玉のようにいわれますが、砂糖は味覚の発達や精神の安定に寄与いたしますので、摂取すること自体なんら問題ありません。

摂取のしかた、時間や回数を決めないで砂糖を与えることが問題で、むし歯につながります。

お家でのホームケア、まずは歯磨きの習慣を定着させることが一番です。これには規則正しい生活がかかせません。歯磨きをするときには、是非フッ化物配合の歯磨き粉を使ってください。フッ素洗口との相乗効果が期待できます。

また、メルボルン大学のレイノルズ教授は、一日四回、十四日間にわたってCCP-ACP配合のシュガーレスガムを噛む実験を行いました。

一日四回噛むことで、噛まない人より歯の再石灰化の増強が100%以上優れていることがわかりました。なんと2倍以上です。

再石灰化ということは、むし歯予防効果だけでなく、初期虫歯なた治癒するということです。

より効果的な噛み方は、食後のおやつの後、またフッ素配合の歯磨き粉で磨いた後や寝る前に噛むことだそうです。そのとき3~5分程度噛むと、ガムに含まれているカルシウムやリン酸がさらに再石灰化を促します。

カルシウムは現代の日本人で一番摂取量の少ない栄養素の一つといわれています。唾液、フッ素、CCP-APでむし歯予防の相乗効果が期待出来ます。

参考文献 成長を生かして無理なく美しく 子どもの歯ならび基礎のきそ 柴田征紀著 海苑社 

2009年8月 1日 (土)

デンタルフロス

本日は、沼部幸博先生の著書『絵で見る 予防歯科』よりお届けいたします。

◇デンタルフロス

歯ブラシだけでは992_2 磨けない部分を磨くための補助清掃器具。その一つにデンタルフロスがあります。

◇デンタルフロスとは

デンタルフロスとは、簡単にいうと、歯と歯の間を磨くための“糸”です。といっても、普通の糸ではなく、、切れにくいように、また歯茎を傷つけないように加工されています。

糸の太さも何種類かあり、滑り止めをよくするためのワックスを塗ったものや、清掃感をdさすためにミントなどの香料を含ませたものもあります。

パッケージに入ったフロスを引き出しながら使うタイプが一般的ですが、糸ようじともいわれるホルダータイプ(すでに柄に張ってある)も多く出回っています。とりわけ奥歯に手が届きにくい人には、奥歯だけY字型のホルダータイプを使用するのもよいでしょう。

また、ブリッジの下や矯正治療中の方々のためには、特別に工夫されたスパーフロスが市販されています。

◇使い方

フロスを30~40cmぐらいの長さに切り、両端を両手の中指に2,3回巻き付け、人差し指や親指の先で、2~3cm程度離し、ぴんと張って持ちます。

歯と歯の間に、ぴんと張ったフロスをゆっくりと斜めに前後に動かしながら入れていきます。歯と歯の接点を通り抜けるときに少し抵抗がありますが、そのとき、勢いあまって歯肉にフロスを食い込ませないように注意ください。

歯と歯の間にフロスが入ったら、まずきれいにしたい歯の面に沿わせ、歯茎にやさしくフロスを押しつけるようにします。歯茎に少しだけフロスが当たる抵抗を感じたら、それ以上は決して歯茎の方に強く押しつけて傷つけないように注意しながら、フロスを前後上下させます。

もう少し詳しくいうと、清掃をしたい歯の湾曲に糸を沿わせるようにしながら2,3回、ゆっくりと動く範囲内で糸を前後上下させます。このとき、フロスを歯茎に押しつけて強く前後には動かさないでください。フロスを入れた歯と歯の間の、清掃をしていない向かい側の歯の表面にもフロスを同様に沿わせて行きます。

そして、次の歯と歯の間に移って清掃を続けていくわけですが、一度使ったフロスの部分は使わないで、指を使ってフロスの新しい部分を送り出し、同じようにきれいにします。

すべての歯に対して行うのが理想ですが、歯並びの関係や、むし歯(う蝕)、かぶせ物がある場所には入らない場合がありますので、無理に入れないようにしましょう。

また、ホルダータイプのものは割高ですが、一度使ったフロスの部分をよく水洗いして、繰り返し使用できます。

最後に、歯と歯の間の隙間が大きすぎる場合には、歯間ブラシを入れてきれいにします。

参考文献 絵で見る 予防歯科 沼部幸博著 クインテッセンス出版  

2009年7月 8日 (水)

歯の大敵バイオフィルムってどんなもの?

本日は、花田信弘先生の著書『むし歯・歯周病』よりお届けいたします。

◇歯の大敵バイオフィルムってどんなもの?◇

(バイオフィルムのおさらい)

バイオフィルムとは、歯の表面に張り付いている増殖した菌を膜が覆っている細菌の固まりのことです。

●●台所の三角コーナーについているヌルヌル●●

私たちの身近にあるバイオフィルムといえば、台所の三角コーナーや排水口、風呂場の排水口にヌルヌルとした膜が表面を覆っています。あれがバイオフィルムです。バイオフィルムとは細菌が作り出した膜です。

洗剤をかけても、たわしでゴシゴシこすってもとれにくい、あの不快な汚れの塊。あんなものが歯についていると思うとぞっとします。

バイオフィルムが問題視されるようになったのは、欠陥や尿管に入れる管、カテーテルといいますが、カテーテルなどを補うものとして利用されるようになってからのことです。

これらの人工機器が体内に入れられると、しだいにその表面に細菌によって膜のようなものがつくられ、その膜に守られた環境で細菌が増殖してしまうということが起きてきたのです。

バイオフィルムが出来てしまうと、抗生物質などの薬もその膜にはね返されて内側に浸透しなくなります。そのため、細菌による感染が起こり、尿管カテーテルのバイオフィルムに巣くった細菌のために膀胱炎になるというようなことが起きています。

こうしたことから、バイオフィルムが注目されるようになりました。

◇むし歯菌がなぜバイオフィルムの中で生き続けられるのか?

そして、体の中で一番硬い歯の表面でも同じようなことが起きていることがわかったのです。ミュータンス菌は砂糖をえさとして、その中でどんどん増殖します。そして、排泄物として乳酸などの酸を出し、歯のエナメル質を溶かしていきます。

バイオフィルムが出来てしまうと、唾液も歯のエナメル質に触れることが出来なくなり、唾液の洗浄作用も働きません。細菌がますます繁殖しやすい環境になります。

さらに、ミュータンス菌はいったんバイオフィルムをつくってしまうと、デキストラーゼという酵素を分泌して、自分たちがつくったネバネバのグルカンそのものもえさにして生き続け、乳酸を出し続けます。

自分が作り出したものをえさにすることが出来るので、砂糖がそれ以上入ってこなくても(甘いものを食べ続けなくても)むし歯をどんどん進行させてしまうのです。

参考文献 むし歯・歯周病 花田信弘著 小学館   

2009年6月13日 (土)

歯周病の原因説2

昨日の続きです。

歯周病には、細菌が深く関わっているという考え方が有力になります。プラークは細菌の塊ですから、それを除去する術、すなわち歯磨きと細菌の感受性のある抗生物質が脚光を浴びるわけです。

いわゆる歯周病細菌説です。歯磨き剤の宣伝などでも、歯周病と闘う・・・・・・とか、よくきくのではないのでしょうか。

しかしながら、現実はそう単純ではありません。

プラークは細菌の塊なので、これを除去するだけである程度の効果は上がりますが、それで解決とはいきません。細菌が原因であろうということはたしかなことなのですが、いまだに末期の歯周病には決定的な治療法がありません。

たとえば、ワクチンのようなものが開発されて、将来は撲滅の可能性があるのかという問いに対しては悲観的にならざるを得ません。

確かに、歯周病に関わる細菌について、世界中で数十年間、研究が続けられています。原因となる菌の種類を特定して、有効に取り除こうという試みです。徐々に成果を上げているように報道されていますが、決定打はいまだ見つかりません。

決定的な治療法が見つからないのは、特定されるべき特別な細菌が存在しないからかもしれません。つまり、体内に普通に生息する常在菌が、特殊な条件下で炎症を起こすかもしれないのです。

そこで、歯周病のメカニズムは、細菌などの侵襲因子(毒素や酵素など)と、それを防御する生体の抵抗力によって説明されることが多いのです。

例えば、糖尿病を患っている場合、歯槽骨の破壊が早く進みますが、その理由は生体の抵抗力が低下するためと説明されます。また、臓器移植などで免疫抑制剤を使用した場合、あるいは加齢にともない免疫力が低下した場合、健康な人では感染しない細菌に感染する場合があります。これを日和見感染(通常なら無毒な弱毒性微生物・非病原微生物・平素無害菌などに、人の抵抗力が落ちると感染すること)と呼びます。

しかしながら、この抵抗力の低下を遺伝子レベル、分子レベルで解析しようとする研究も、今のところ、十分な成果が上がっているとはいえません。

かりに、歯周病が日和見感染だとするならば、常在菌が炎症を引き起こす特殊な条件を見つけ出し、排除する方法を研究すべきなのではないでしょうか。

口の中というのはもともと細菌だらけで、雑菌がいっぱいいるわけです。細菌といっても口の中に棲んでいる細菌は常在菌であって、結核やジフテリアのような特殊な細菌ではありません。なんの引き金もなければ、炎症を起こすこともなく、平穏に生息しているわけです。

たとえば、大腸菌が炎症を引き起こすことがあるからといって、ビフィズス菌もいるわけです。それらを全て殺してしまったら、逆に人は生きてはいけないでしょう。それよりも、そいう引き金を排除することを優先するべきではないでしょうか。

あと一つ面白い話しがあります。

口の中の常在菌であるカンジタ菌が、歯周病の原因説だとする説を歯科医の河北正先生が1990年に発表しました。

カンジタ菌は、水虫のようなカビに分類される真菌で、通常の細菌とは異なる性質を持ちます。抗生物質を大量投与すると細菌は死滅しますが、カンジタ菌は抗生物質に感受性が無いために勢力を増します。これを菌交代現象と呼びます。

たとえば、プラークコントロールと歯石除去によって、多くの歯肉の炎症は消えるのですが、時として悪くなる場合もあります。この現象は、もしかしたら、カンジタ菌の菌交代現象が原因なのかもしれません。カンジタ菌が歯周病の原因菌だとは断言できませんが、治療を行ううえで、当然、無視出来ない存在であることは確かです。

このように、歯周病の原因は細菌説が有力ながら、決定的な治療法が見つからないために、種々の原因説が唱えられているのが現状なのです。

参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 野田隆夫 野田雅代著 光人社

2009年6月12日 (金)

歯周病の原因説1

今回は、2回に分けて、野田先生の著書『歯周病で死ぬのはイヤだ!』よりお届けいたします。

◇歯周病の原因説

歯石という言葉を聞いたことがない方は少ないでしょう。歯石は歯についた石灰質の石の事で、鍾乳石のような石灰質の沈着物と考えるとわかりやすいと思います。

つまり、歯石というのはもともと人の唾液中の石灰分であり、食べ物に含まれる石灰分であるわけです。

それが歯と歯肉との境目あたりに付着します。歯肉の上に見えている歯石はよく歯磨きをすれば取れますが、歯肉に隠れた場所に付着すると、ブラシが届かずに取り除くことが出来ません。そして、この隠れた歯石が、歯周病に関係していると考えられています。

歯周病の原因説としては、この歯石説がもっとも古いのです。

その歴史はなんと古代ギリシャ時代にまで遡り、ヒポクラテスが歯周病は歯石が原因だ、と述べています。

また、現代でも、歯科医の河田克之先生は、きわめつけの悪を働くのが歯石だ、と述べています。

つまり、歯石は「棘」と同じで、棘が刺さった場合、生体はそれを異物として取り除こうとします。自然に取れない場合、痛みにくわえて、まわりが膿んで腐ってきます。生体は周囲を腐らせても異物を排除しようとし、結果、歯肉が膿んで口臭が酷くなる、と考えているそうです。

歯周病の原因に関しては、未だに意見が分かれています。その理由としましては、歯周病の研究の歴史が浅いことは既に述べました。くわえて言うと、歯周病を専門に扱う大学の講座が誕生したのが、戦後の1957年(昭和31年)4月です。東京医科歯科大学に「歯科保存学第二講座(歯周治療学)が開設されました。この初代教授が、大阪大学から着任した今川先生でした。

そのて、そのころの治療法は、原点というべき歯石の除去が中心でした。歯周病の原因が歯石であると考えられていたためですが、今のような超音波スケーラーはなく、ハンドスケーラーと呼ばれる小さな鎌状の刃物で歯石の除去が行われてました。

1968年になると、今川先生が定年退職されて、その門下生である木下四郎先生が後任教授となりました。木下先生は、歯周病学の研究に精力的に取り組み、大きな成果をあげました。

つまり、「プラーク(歯垢)コントロール」が歯周疾患の予防と治療に大きな効果があることを突き止めて、その方法の確立に力を注ぎました。そして、日本歯周病学会理事長として、「歯周病疾患治療指針」を完成しました。

1970年以降、木下説にそって、歯周病には「細菌」が深く関わっているという考え方が有力になります。プラークは細菌の塊ですから、それを除去する術、すなわち歯磨きと細菌の感受性のある抗生物質が脚光を浴びるわけです。

明日へ続きます。

参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 野田隆夫 野田雅代著 光人社 

2009年6月 7日 (日)

疲れている人やお年寄りも歯周病になりやすい

本日は、渡辺秀司先生の著書『歯周病を自分で治す本』よりお届けいたします。

●●疲れている人もお年寄りも歯周病になりやすい●●

毎日欠かさず食後に正しいブラッシングを実行しているにもかかわらず、歯周病になる人がいます。その一方で、いい加減なブラッシングをしていても、歯周病とは無縁で、美しいピンク色の歯肉を保っている人もいます。

前者に該当する人からは、「ブラッシングをきちんとやっていたのに、どうして歯周病になったのでしょうか」と必ず聞かれます。

その理由はいくつか考えられますが、最も大きな理由として、歯周病が免疫と関係している点があえられます。

歯周病には、全身の免疫と口腔内の免疫の両方が関係しています。両者は基本的には一致しています。ストレスや睡眠不足などで疲れがたまると、口内炎(口腔粘膜に発生する浅くて平坦な潰瘍)や口角炎(口の端に出来る炎症)のできることがあるでしょう。

これは免疫力が低下するためです。これと同様に、疲れがたまったり風邪を引いたりして、免疫力が低下すると歯肉が赤く腫れることがあります。

ですから、一般的には、慢性的に疲労が溜まっている人やお年寄りは歯周病になりやすく、発症すると悪化しやすいといえます。逆にいうと、いい加減にブラッシングをしているのに歯周病にならないのは、免疫力が強いからだといえます。

ただし、だからといって、歯周病の予防にブラッシングが無意味だというわけではありません。口腔内を清潔に保つことは、歯周病対策の基本中の基本だからです。

しかも、ブラッシングは、口腔内の免疫力の向上にも役立ちます。風邪などがきっかけで、歯周病が発症するのは、普段はブラッシングによって発症を妨げていたのが、抵抗力が落ちたために発症したと考えられるのです。

参考文献 歯周病を自分で治す本 渡辺秀司著 マキノ出版 

2009年5月20日 (水)

むし歯・歯周病ともに口腔内細菌の感染症

本日は、島谷浩幸先生の著書『歯磨き健康法』よりお届けいたします。

★むし歯・歯周病ともに口腔内細菌の感染症

最近、歯周病が健康面に及ぼす影響について、TVや新聞でもよく取り上げられるようになりました。

歯周病は口腔内細菌の感染症であり、歯肉や周囲の骨などの歯周組織が破壊される病気でうす。

しかし、まだ、一般的には、歯周病は体質や老化のたぐいであると思っている人が少なくないと思われます。来院される患者さんの中には、「歯周病は老化現象だから、仕方がない」と思い込んでしまっている人が多くいます。つまり、一般的には「むし歯は甘い物の食べ過ぎ、歯周病は老化現象」と思っている人がまだまだ多いようです。

実際、高血圧や糖尿病、骨粗鬆症などのいわゆる「生活習慣病」の中に感染症として唯一「歯周病」が含まれていることからも、国としての認識もまだまだ低いのかな、とも思います。

確かに、歯周病は発症に至る過程で、細菌の存在だけでなく、喫煙や食生活での栄誉のバランスによる、人(宿主)の体の抵抗力の低下が関与し、環境(生活習慣)とも全く関係ないとも言えますが、「感染症としての歯周病が生活習慣病に分類される」ことには、違和感を感じざるを得ません。

そして、「歯周病で死ぬことはないから・・・・」というのが、大部分の人の認識だと思います。確かに、歯周病(あるいはむし歯も)は、直接生命の危機に関わる病気ではないかもしれません。実は、生命に関わる病気である糖尿病や動脈硬化、高血圧などの発症や進行に直接的あるいは間接的に関わってきます。

つまり、『歯周病は生命に関わる病気』なのです。

むし歯も然り、重度に根に病巣を持つものは、歯周病と同様、「生命に関わる病気」です。しかし、何も怖がることはありません。

その原因である口腔内細菌を排除すればいいのです。

口腔内細菌を排除すれば、むし歯・歯周病を予防・進行抑制でき、さらに口腔環境が改善できます。

つまり、むし歯・歯周病は「なって当たり前」の病気ではなくて、それに関与する口腔内細菌(その塊が歯垢・プラーク)を排除さえすれば罹らない病気なのです。

しかし、なぜほとんど大部分の人がこれらの病気に罹ってしまうのでしょうか?

その答えは簡単です。

「歯磨きが上手くできていない」の一言に尽きます。

参考文献 歯磨き健康法 島谷浩幸著 アスキー新書

2009年4月10日 (金)

歯周病と口臭は関係があるの?

本日は、宮崎秀夫先生と八重垣健先生の編集された『口臭ケア』よりお届けいたします。

◇歯周病は口臭の大きな原因です。

歯周病の口臭には、臭いの程度や種類に多くのバリエーションがあります。しかし、いずれも生理的口臭に比べ、臭いが強い傾向にあり、発見は容易です。介護が必要でない人の口臭でさえ約2/3は歯周病が原因ですから、要介護者は、歯周病には特に注意しなければなりません。

もし、要介護者に強い口臭が認められたなら、まず歯周病を疑って歯科医師の診察をうけましょう。口臭は歯周病発見のバロメーターです。

◇歯周病と口臭の関係

実は、釈迦やヒポクラテスの時代から、歯周病は口臭の原因だと言われてきたのですが、その関連性が化学的に明らかになったのは、ごく最近のことなのです。

歯周病の重症度を示す方法の一つに、歯肉出血指数というものがあります。歯周病になると、炎症を起こした歯肉から出血がみられますが、これは、出血の度合いにより炎症を評価するための指標になります。

歯肉出血指数を用い、歯周病の程度により計4グループにわけ、口臭の原因物質である口腔内空気中の揮発性硫黄化合物(VSC)の濃度を比較してみました。すると、出血指数が増えるにつれ、VSC濃度が著明に上昇します。すなわち、歯周病の患者さんは歯周病でない人より口臭が強く、その強さは歯周病の重症度に比例するといえます。

◇歯周病からくる口臭の原因

それでは、なぜ歯周病が、強い口臭の原因になるのでしょうか。理由の一つは、歯周病原菌にあります。同じ種類の細菌ながら、歯周病原性のあるものとないものでVSC産生能を比較すると、病原性のあるVSCは(メチルメルカプタン)を大量に産生することがわかります。

また、歯周病では、歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝)また多くの白血球にはVSCの原料となる硫黄成分が多いため、口臭が強くなると考えられています。実際に唾液中の硫黄成分は、歯周病の重症度に従い増加します。

ちなみに、歯周ポケットから大量に出てくる浸出液中のアミノ酸の成分を調べますと、メチルカプタンの材料であるメチオニンが多いことが分かりました。

参考文献 口臭ケア 宮崎秀夫・八重垣健 編集 医歯薬出版  

2009年3月27日 (金)

予防歯科時代に取り残された人々

本日は、中平宏先生の著書『50歳からの歯から若返る生き方』よりお届けいたします。

◇予防歯科時代に取り残された人々

かつては現在のような「予防歯科」の概念が無かったため、患者さんと歯科医との関わりは方といえば、むし歯などのトラブルが起きてから歯科医院に足を運び、削ったりかぶせたりの治療を受けた後は、また不具合を感じない限り通院しない、というスタイルが一般的でした。

しかし、現在では常にすこやかな口元でいることこそが大事だと考えられるようになってきました。自宅での歯磨きなどのセルフケアはもちろん、かかりつけの歯科医院(ホームディンティスト)をもって、定期的に歯のメンテナンスを受ける人もすこしづつではありますが、増えてきています。

歯科医院でのメインテナンスの一つに、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)というものがあります。これは専用の器具を使って、歯に付着したプラークや歯と歯肉の間に出来た歯周ポケットなどを徹底的にクリーニングし、特殊なペーストで歯面を研磨して、最後には歯質を強化するフッ素を塗布するという、いわば“歯のエステ”のようなプロフェッショナルケアです。

PMCTのほかにも、採取した唾液から菌の量を調べて、むし歯になるリスクと歯を守る力を診る「唾液検査」や、歯科衛生士による歯磨き指導など、口の中をすこやかに保つための取り組みが、今の歯科医院では取り入れられています。

こうした動きの背景には、歯の健康が心身の健康と深く結びついているという考えがあります。きちんと噛めて、おいしく食べられる歯は、生きる根本である食生活を充実させててくれます。そして、口臭や滑舌を気にすることなく会話が出来ることは、人とコニュニケーションをとるうえでも大切です。

何より、見た目が美しくなければ、自信がついて、笑顔あふれる毎日を過ごせるようになるでしょう。「笑顔で美しい口元」は、今や生活の質、すなわちQOL(生活の質)を高め、人生を化輝かせるためのパーツと受けとめられているのです。もちろん、そういった風潮が出てきたのは、人々の暮らしが豊になり、社会全体に、物質的・精神的な余裕が出てきたからともいえます。

一方、現在のように予防歯科の概念が浸透していない世代は、同じようにはいきません。とりわけ、今の50代、60代が子供の時は、ちょうど欧米型の食文化が入ってきた時期でした。それまでの、ご飯中心に豆腐や根菜、漬け物などのおかずをそろえた伝統的な日本のスタイルから、ハンバーグやオムライス、スパゲティ、パンといった軟らかいメニューが食卓に並ぶようになったのです。

これらの洋食は、わかりやすい味と食べやすさで万人に好まれがちですが、反面、あまり噛まなくても飲み込めてしまうため、咀嚼回数が少なくなり、それによって唾液の分泌量も減少してしまいます。

唾液は、口の中の細菌を退治するうえでは、とても大切な働きをするものです。唾液が少なくなると、結果として、むし歯や歯周病といった問題が発生しやすくなるのです。ともすれば、問題を抱えやすい欧米型の食生活と歯のメインテナンス不足、この二つの事情が重なることで、ますます歯を悪くした方も少なくはないでしょう。

幼い頃からの習慣は、大人になってからもなかなか変えられないものです。たとえ先に述べた昨今の風潮を知識として知っていたとしても、これまで過ごしてきた環境から作られた考え方や生活のスタイルに、すぐに取り入れるのは難しいかもしれません。

いうなれば、50代、60代以上の方たちは、「予防歯科時代に取り残されてしまった人々」ともいえるのです。

参考文献 50歳からの「歯から若返る生き方」 中平宏著 幻冬舎

2009年3月15日 (日)

歯肉出血や腫れ

本日は、花田先生、井田先生、野邑先生の著書『むし歯・歯周病』よりお届けいたします。

◇痛くもかゆくもないのに、歯の根元では歯周病がはじまっています。

歯周病は、歯を支えている骨、歯槽骨が溶けてしまう病気です。痛くもかゆくもないので、気づきにくいのが厄介なところです。

「歯ブラシで磨くと血が出る」、「歯肉が腫れている」程度のところできずくと治療も比較的簡単ですので、ちょっとおかしいなと思ったら、迷わず歯科医に行きましょう。

歯周病の治療もむし歯の治療と同じように、検査からはじまります。

まず、歯周ポケットの検査(ポケットプロービング)をします。歯周ポケットとは、歯と歯肉の間のすきまです。ここが歯周病の発生場所です。歯と歯肉がぴたっとついていれば、ポケットは出来ないのですが、もともと1mmぐらいの歯肉溝というすきまがあります。これが、歯周病のために30代半ばぐらいから徐々に深くなって、歯と歯肉の間に隙間が開いてくるのです。

3mm以上の隙間が出来ると、炎症が起き、出血します。歯周病が始まっています。

ポケットの検査ですが、中の歯垢をきれいに取り除き、歯肉の腫れがおさまってから、細い針のような器具を歯と歯肉のすきまに差し込み、歯周ポケットの深さを測り、出血のあるなしなど歯肉の状態を調べます。

それともう一つ重要なのは、X線検査です。歯を支える骨に変化がないか調べます。歯周病が歯の根元で進むと、歯を支えている歯槽骨が、自分にも害が加わることを恐れ、退却していくと思ってください。

この歯槽骨が減っていっていないかを調べるのが、X線の検査です。

参考文献 むし歯・歯周病~もう歯で悩まない~ 花田信弘 井田亮 野邑浩美 共著 小学館

2009年2月23日 (月)

こんな人は歯槽膿漏になりやすい

本日は、垣本充先生の著書『歯育て上手は子育て上手』よりお届けいたします。

◇こんな人は歯槽膿漏になりやすい

かつて、歯槽膿漏は全身的な病気と関連していると考えられていました。中高年での発症が多く、成人病のなかでもとくに糖尿病が歯槽膿漏を誘発するという考えがありました。

たしかに、糖尿病は全体の抵抗力が落ちて感染症を引き起こしやすく、歯槽膿漏を悪化させます。しかし、最近では、食生活の変化や歯垢が歯肉に悪影響を及ぼすという局所的な面がクローズアップされてきたのです。糖尿病の人だけが歯槽膿漏になりやすいのではないということです。

それでは、どんな人が歯槽膿漏になりやすいのでしょうか。それらのタイプについて、ここで紹介してみましょう。

☆歯に自信のある人

30歳をすぎてまったく虫歯の無い歯に自信のある人が、ある日突然、歯槽膿漏で何本も歯を失ってしまう。ありえないことではありません。

歯磨きを熱心にしなくても虫歯がほとんどないような歯質の丈夫な人でも、軟らかい食べ物をずっと食べ続けると、歯垢が歯石を作り、歯肉の炎症を引き起こして歯槽膿漏を発病させます。虫歯がまったくないという人も、やはり食生活のコントロールや歯石のチェックをなどをする必要があるのです。歯石は鏡でみればすぐに分かります。歯磨きをしてもとれない茶色の汚れがそうです。歯石ができているのがわかったら、歯科医院へいってとってもらいましょう。

☆スポーツ選手

野球、相撲、ラグビー、サッカー、そのほかどんなスポーツでも、選手はプレー中に歯を強く噛み締めます。人間誰しも、頑張るときに「歯を食いしばる」、あの行為です。これは歯肉にはよくありません。あまりに強い力で上下の歯が噛み合うと、歯を支えている歯槽骨が壊れてポケットができ、そのうち歯槽膿漏へ進行していくのです。

巨人軍で活躍したホームランバッターの王選手とエースの江川選手を比べてみましょう。頑張る時、王選手は歯を食いしばるタイプ、江川選手は唇を引き締めるタイプです。とくにわるいのは前者のタイプといえるのではないでしょうか。

☆歯ぎしりする人、ストレスの強い人

眠っている時の歯ぎしりは驚くほど大きな音を立てます。旅行などで同室の人が歯ぎしりをすると、まわりの人は眠れなくなることがあるほどです。歯ぎしりは上下の歯を力一杯噛み合わせた状態で起こります。一日の食事だけで歯肉や顎の骨には数百キログラムの力がかかるといわれます。歯ぎしりはこれ以上の運度をしているわけですから、これが習慣化している人はスポーツ選手同様に歯槽膿漏の危険性が高いわけです。

また、ビジネスマンやOLにはストレスが付きものです。ストレスにさらされた時、知らず知らずのうちに歯をぐっと噛み締めているはずです。これも歯や歯肉に余分の力をかけているのです。体や心をリラックスさせることが精神衛生上必要なように、歯や歯肉にもリラックスが必要なのです。

☆歯ならび・噛み合わせの悪い人

現代人のソフト嗜好が、顎を小さくして歯ならびや、噛み合わせをわるくしていることは前に説明した通りですが、これが実は歯槽膿漏の大敵なのです。歯並びがわるい歯列不正は歯の間に歯垢がつきやすく、それが歯肉を、歯肉炎から歯槽膿漏へと進行させます。

噛み合わせのわるい不正咬合は、食べ物を噛むときに歯に力が均等に行き渡らないため、特定の歯や歯肉に力が集中します。すなわち、正常なら3~4本の歯でうけていた力を一本の歯で受けるようになり、そのために、歯槽骨をいためて歯槽膿漏へと進行するのです。

このように、歯槽膿漏になりやすい人をつきつめていくと、やはり食生活が大きく関係していることがわかりました。糖尿病などの成人病も、子どものころからの食生活の積み重ねによって生じる病気ですが、軟らかい食べ物を母親から与え続けられた子どもも、歯や歯肉が弱くなり、ついには歯槽膿漏へと至るという図式がかけそうです。

参考文献 歯育て上手は子育て上手  垣本充著 膿文協  

2009年2月22日 (日)

細菌・歯石の排除

本日は、佐藤孝先生の著書 『歯からはじめよう!アンチエイジング』よりお届けいたします。

◇歯垢は種々雑多な細菌の塊

歯からのアンチエイジングとは、多因子に対する予防であり治療であることもわかりました。その中でもまず第一に、口の中の破壊活動を行っている細菌を排除して、歯や歯周病組織を感染症から守ることが大事なこととなります。

口の中はもともと細菌だらけですが、悪さをするものもいれば、何ら害を及ぼさないものまで混在しています。これらを口腔常在菌とよんでいます。歯垢(デンタルプラーク)は種々雑多な細菌の塊であって、これを除去することにより虫歯や歯周病を起こす元凶を絶つことが出来るのですが、完全に全てを取り除くことは難しく、歯ブラシなどによるコントロールには限界があります。

細菌のコントロールは歯の表面だけでなく、歯と歯肉の間の溝である歯周ポケットの深いところの管理も大事も大事になってきます。

数多く存在する細菌の中でも特に歯周病の発症に関しては、嫌気性菌(発育するのに酸素があると困る菌)が関与しているといわれています。嫌気性菌は、酸素が到達しにくい歯周ポケットの深いところでのみ活動しているため、取り除くことが非常に困難になります。また、これらの細菌を全部まとめて一掃することが、人為的に可能かどうかも問題となります。害を及ぼさない細菌まで取り払い、口の中を無菌状態にすることなど所詮できないことです。かえって常在菌がいなくなると体の抵抗力がなくなり、代わりに特殊な菌が増えだして、新たに害が出てくる事があります。

◇歯石は細菌のしかばね

歯垢は石灰化して硬くなり、歯石へと変わってゆきます。歯石は細菌のしかばねで化石と考えれば、これは生体にとっては異物の存在となってきます。生体が異物として認識すれば、当然それに対する生体からの拒否反応が起こってくると考えられます。

体内に蓄積する石のような異物は胆石や唾石などがありますが、これらも大きくなり数が増え蓄積してくると、生体にとって障害が出てくるんはよく知られていることです。歯石も同じように、体にとっては異物として存在するわけで、この量が多くなり、広範囲にわたり蓄積することにより、歯の周りの組織(歯肉・歯槽骨)が異常反応をおこし、今まで害を及ぼさなかった細菌もいっきに活動し始めることも考えられるのです。

生体にとっての異物の存在となる歯石を徹底的に排除するには、細菌による破壊活動から口の中を守ることになり、組織の抵抗力を増し活力を高めることにつながってきます。

そのための対策としては、歯垢と歯石をしっかりと取り除くことです。特に歯石は、いったん沈着すると、歯ブラシではとれないので歯科へいくしかありません。歯周ポケットの奥深く見えにくいところに存在する歯石は、非常に硬くなってとれにくいため、従来は専用の器具を使って取り除いていたのですが、最近は超音波振動によって除去することが主流になってきました。

この機器は、根の表面や周りの歯肉を傷つけたり痛めたりすることが少なく、見えない歯石の取り残しが極力防げるようになりました。歯石をとる時の患者さんの苦痛も和らげられ、歯にも患者さんにもやさしく、術後経過も良好となってきました。

しかし、、一度に完全に取り除かれた歯石であっても、時間の経過の中で再び沈着を始めます。年に一~二回定期的なメインテナンスを繰り返すことが必要です。

参考文献   歯からはじめよう!アンチエイジング  佐藤孝著 日刊工業新聞社

2009年2月12日 (木)

歯ブラシ2

昨日の続きです。

本日も沼部先生の著書よりお届けいたします。

◇歯ブラシの毛先の特徴

歯ブラシの毛先は細くしなやかで、弾力性があります。これを上手に利用しましょう。むし歯(齲蝕)や歯周病の原因は、歯の表面に付着したり、噛む側にある溝や、歯と歯肉の間に入り込んだプラーク(歯垢)です。これを毛先を使って掻き取ってしまうのです。

◇当て方

歯ブラシの当て方は、毛が開いてしまうような強さではなく、歯ブラシの毛先が、ややしなる程度にします。

ここでは、歯周病予防に効果的な毛先を使ったスクラビング法を紹介します。この方法は、歯のほっぺた側では歯と歯肉の境目に毛先が入るように当て、舌のある裏側では、毛先が歯の表面に直角に当たるようにします。

◇動かし方

歯ブラシの毛先を歯に当てたら、小刻みにやさしく左右に揺するようにします。あまり強く大きく動かし過ぎるとかえって汚れを取る効率も悪くなりますし、歯肉を傷つけたり、長い間には歯の表面が削れる原因になります。

汚れ具合にもよりますが、1本の歯に当てたら、その場所で左右に10回から20回ぐらい、歯ブラシの頭を揺するように動かします。

◇みがく順番

大切なのは、全部の歯をまんべんなく磨くことです。上顎の歯の磨き方を例に挙げると、右上のの奥歯のほっぺた側から磨き始めたら、そのままほっぺた側を前歯を通り左の奥歯の方へ歯ブラシを進めていきます。最後の歯までたどり着いたら、歯ブラシを裏側に移して、今度は左上から右下へ向かって道草をすることなく歯ブラシを移動させていきます。そして、それがすんだら、上の歯の噛む側を奥の歯から順番に磨いていきます。

この後は下の歯も同じ。奥歯の裏側が気持ち悪くなって苦手な方も工夫して頑張ってみましょう。『磨くことと、磨けていること』は違います。それには自分の口にあった歯磨きの方法を覚え、習慣づけることが必要です。

参考文献 絵で見る予防歯科 沼部幸博著  クインテッセンス出版

2009年2月11日 (水)

歯ブラシ1

本日は、沼部幸博先生の著書『絵で見る予防歯科』よろお届けいたします。

◇歯ブラシ

むし歯(齲蝕)や歯周病の原因であるプラーク(歯垢)を取り除く一番の方法は歯磨きで、その際、もっとも頼りになるのは歯ブラシです。5年前の調査によると、日本人の99%近くの人が歯磨きを毎日かかさないそうです。

そこで、歯ブラシの選び方と持ち方、そして交換時期についてお話しましょう。

◇歯ブラシの選び方

薬局やスーパーマーケットには、さまざまな種類の歯ブラシが並んでいます。自分にあったものを選ぶのはむずかしそうですね。

歯ブラシには大きくわけると手用歯ブラシと、電動歯ブラシとがありますが、今回は手用歯ブラシについて説明します。

大人の方が使う場合には、大きさは、大人用と書かれているものであれば良いでしょう。私は、歯並びの悪い方には、それよりすこし小ぶりのものをおすすめ致しております。毛の硬さは、歯肉が健康な人なら『ふつう』、腫れたり炎症のある人なら『やわらかめ』を選びます。

毛の材質は動物の毛よりもナイロン製のほうが一般的で、3列ぐらい毛が植えているものが多いようです。毛の先の形は色々ありますが、細くとがったタイプは、歯と歯肉の間に入りやすいものをねらったものです。柄の太さや形もいろいろありますが、しっかりと持ちやすいものであればどれでも結構です。

◇歯ブラシの持ち方

持ち方は、パームグリップより、鉛筆の持ち方であるペングリップの方が歯ブラシの頭の小回りがきき、当てる力も調整しやすく、毛先に加える働きを自由に制御することが出来ます。(写真はパームグリップ)Imgphoto_02_03

◇歯ブラシの交換時期

歯ブラシの交換時期の目安の一つ。歯ブラシを後ろから見て毛先がフレーム(枠)からはみ出していたら、毛が開いてしまっている証拠。その時が変える時です。

使った後には、毛の部分をよく洗い、頭を上にして自然乾燥させ、常に清潔に保つように心がけましょう。

そして、本当に自分にあった歯ブラシであるかどうかに自信のない方は、かかりつけの歯医者さんや歯科衛生士さんに選んでもらうことをお勧めいたします。

明日へ続きます。

参考文献 絵で見る予防歯科 沼部幸博著  クインテッセンス出版 

2009年2月 5日 (木)

遺伝子診断法

本日は鴨井先生の著書『新・命をねらう歯周病』よりお届けいたします。

◇生まれる前から歯周病にかかることがわかる?

現在、遺伝子診断はさまざまな病気を対象に、その病気へのかかりやすさを検査するために小用されようとしています。

人間の遺伝子の配列がほぼ解明されたことにより、例えばある病気にかかっている人と健康な人の遺伝子を比較することで、どの遺伝子違いがあれば、どの病気が発症しやすいかをしることが出来るのです。

極端な話しですが、羊水の中に含まれている胎児の細胞のかけらさえ得られれば、お母さんのお腹の中にいるときに既に将来かかるかもしれない病気の種類を推測できるのです。

もちろん、病気になるには遺伝子のような先天的な問題だけでなく、生まれてから後の食べ物の好みや生活環境などといった後天的な因子も関係しますので、すべてを遺伝のせいに帰することはできません。しかし、その病気への「かかりやすさ」が推測できれば、あらかじめ日々の生活に気をつけたり予防を心がけたりすることが出来ます。

これと同じく歯周病の場合も、かかりやすい人とそうでない人のいることが分かっています。ですから、遺伝子診断でかかりやすいと診断された人には、プラークコントロール(ブラッシングなど)を徹底的に行う習慣を早くから身につけさせ、歯に汚れが付着しにくい繊維質の食べ物をよく食べさせる、などといった策をあらかじめ講じることが出来るのです。遺伝子操作は、歯周病予防にとっても有効な検査方法といえそうです。

歯周病への「かかりやすさ」については、最近の研究によって新たな事実に光が当てられつつあります。歯周病のような生活習慣病への「かかりやすさ」には、1種類の遺伝子だけでなく、何種類かの遺伝子の異常が関係している、つまり、歯周病は多因子性遺伝子性疾患であることがわかってきたのです。この場合の異常とは遺伝子の塩基配列のたった一カ所の異変のことで、遺伝子の一塩基多型(SNPs:スニップス)と呼ばれています。

現在、多くの研究機関で、SNPsの組み合わせと歯周病へのかかりやすさ、再発のしやすさを調べ上げるための技術開発が行われています。今のところ歯周病のSNPs候補として上がっているのは、免疫に影響を与えるサイトカインに関するものや、外敵を攻撃する白血球の一種である好中球の表面物質に関するものなどです。人種による差もあることがわかっていますので、特に日本人の歯周病にかかりやすい遺伝子(疾患感受性遺伝子)研究が組織的に進められています。

近い将来、歯周病に関わる多くのSNPsが発見され、歯周病のなりやすさの診断精度は飛躍的に高まるだろうと、期待が高まっています。

参考文献 新・命をねらう歯周病 鴨井久一・沼部幸博 砂書房

2008年12月19日 (金)

“世界”は何を食べているのか?

本日は、丸森英史先生、竹内博朗先生編著である『“食育”は歯科医療を変える』よりお届けいたします。

★世界の肥満人口は、飢餓人口を超えた

「世界の肥満人口は飢餓人口を超えた」とばりぃ・ホプキン教授(ノースカロライナ大学栄養・経済学部)は、シドニーの国際農業経済学会で明らかにしました(2006.8.15)。

世界のすべての人に必要な食糧は生産されているのに、貧困に根ざした不均等な配分が大きな原因です。肥満は先進国だけの問題ではなくなりました。国際途上国にも急速な割合で肥満人口が増えています。その大きな要因としてポプキン教授は加糖飲料の増加を指摘しています。生きるために食べる時代から、美味しさを求める時代になりました。

小銭があればいくらでも美味しいものが手に入る時代です。簡単に美味しさを味わえるには甘味です。美味しさを演出され、一人一人に一つしかない大きさも決まっている胃袋へ、体が必要とする以上に詰め込まれているのです。

国連食糧農業機関(FAO)は、2001~2003年の栄養不良人口を年平均8億5.400万人と推定しています。世界人口の約1/8にあたる人々が食糧不足にあえいでいます。その18%が5歳未満の子どもたちです。一方で、13億人以上が体重過多の肥満です。グローバル化の負の一面です。誰でもどこでも安くて美味しいものが手に入り、ライフスタイルも変化し運動量が少なくなっているのが原因です。

★むし歯予防が食を通じて健康につながる

私たちを甘い魅力で引きつけ結局砂糖を取りすぎているのです。それは単に個人の嗜好の問題ではなく、グローバル化した経済や政治そして豊かになりたいと努力してきた私たちの生活観、生活習慣に深く根ざしています。

歯科の視点で、加糖飲料の増加で思い浮かぶのはむし歯の問題です。先進国はフッ素でむし歯を抑制できたと言われています。しかしフッ素は、砂糖の食べ過ぎの害そのものを消したのではないというDr.Paula Moynihan(栄養と口腔保険に関するWHO協力センター長・英国)の指摘は重要です。砂糖との付き合いがこれからの歯科の課題であるのです。

むし歯も出来ず、それが体の健康に結びつくためには、食のコントロールは避けて通れません。むしろむし歯予防が体の健康に結びつく、そのような歯科からの食を通した保険指導が求められます。

健康のためとは錦の御旗ですが、現実には政治や経済のしがらみで左右されています。われわれが口にする甘いものもこの現実と無縁ではありません。

「美味しさ」に惑わされない知恵が必要なのです。

参考文献  “食育”は歯科医療を変える 丸森英史・竹内博朗編著 クインテッセンス出版

2008年12月17日 (水)

予防歯科とは

本日は日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座 教授の沼部幸博先生の著書『絵で見る予防歯科』よりお届けいたします。

◇予防歯科とは

予防という言葉を、近頃よく耳にすると思います。でも、いったい予防とはなんなのでしょうか。予防することでどんな効果があるのでしょうか。そこで、「予防歯学、予防歯科とはなにか?」についてにお話からはじめたいと思います。

★予防の考え方

“予防”と聞くと、“病気にかかることを防ぐこと”と考えるのが一般的です。風邪が流行っているときのうがいやマスク着用は、この典型といえます。しかし、実際の予防医学は、もっともっと広い考え方をします。すなわち、予防には発病の防止だけではなく、寿命の延長やからだやこころの健康を高めること、そして機能回復と長期間の維持などが含まれ、これを段階的に表す一次予防から三次予防までの考え方があります。

★一次予防

病気の発生予防で、私たちが通常、“予防”とよぶ考え方です。まず健康増進としての保険教育、食事や栄養指導、口腔清掃指導(ブラッシング指導)があります。

つぎに特異的予防として、私たち専門家による定期的な口腔清掃指導や、歯周病の原因になりそうな口の中の問題点を取り除くことがあります。

皆さんがマラソンランナーだとすると、私たち歯科医療スタッフは、一次予防という的確なアドバイスを与えながら、トラブルなく完走できるよう見守るコーチです。

★二次予防

残念ながらかかってしまった病気を早めに発見し、早めに治療などの対策を施すことで、病気が進行し、重症化するのを防ぎます。それには早期診断・早期治療が大切で、定期的な口腔診査によるむし歯や歯周病の早期発見と早期治療、そして歯周病などに関連しそうな口の中の他の病気の治療などが含まれます。

また、機能障害の防止として、歯周病の治療である歯肉の下に入り込んだ歯石の除去や歯周病を治すための手術、残す事ができない歯を抜くことなども含まれます。

予防の中に治療が入っていることを意外に思うこ方もいらっしゃるかもしれませんが、転んだランナーを早めに手当てしてキチンと走れるようにしてあげることは、より大きな事故を引き起こす事態を防止する対策でもあるのです。

★三次予防

病気の治療の過程で保健指導を行ったり、病気にかかってしまって機能が失われてしまったところをリハビリテーションして回復させ、後遺症の発現を抑え、また再発防止や社会復帰を目指すことです。

歯科では、見栄えや噛む能力、発音などを回復させるために入れ歯を入れたり、歯科治療後のメインテナンス管理をきちんと行うことをいいます。大事故にあってしまったランナーを手当てし、再び歩けるようにすることも、深く傷ついたからだや心の健康を高める予防なのです。

このように、歯科医院のスタッフは、日々予防歯科医学に取り組み、皆さんのQOL(クオリティオブライフ)に貢献するため、努力を続けているのです。ですから、みなさんが定期的に歯科医院でチェックを受けることは、「予防」という見地からみてきわめて大事なことなのです。

参考文献 絵で見る予防歯科   沼部幸博著 クインテッセンス出版  

2008年11月16日 (日)

アスリートの口腔衛生

本日は、デンタルトリビューン紙2008年11月号よりお届けいたします。

◇アスリートの口腔衛生

(米国)本年8月8日から17日間にわたって開催された北京オリンピックでは、多くのアスリートの活躍を見ることが出来ましたが、アスリートにとって、口腔衛生を良好な状態に維持しておくことは、トレーニングを行う上でも、競技に参加するうえでも非常に重要です。

無痛治療やYouTubeでの受診行動促進に取り組んでいる米ペンシルベニア州の歯科医師Jerry Gordon氏が、sの重要性をデンタルトリビューンに発表しました。

◇競技前には検査が必要

競技に参加する選手は全員、かかりつけ歯科医師による齲蝕、歯周病、欠損歯、感染歯の検査を受け、さらに第三大臼歯の位置を確かめうるために、パノラマX線写真を撮影することが進められます。特に、対戦相手との身体的な接触がある競技では、顎骨骨折のリスクが高いため、下顎枝、下顎角、下顎骨下縁付近に第三大臼歯が位置している場合には、抜歯を検討するべきです。

歯の健康管理が適切に行われていなければ、選手の成績や競技スケジュールにも悪影響が及ぶ可能性があります。実際に支障が出たケースも少なくありません。

オリンピック総合病院で施された歯科治療件数は、1992年のバルセロナ大会で約600件であったのが、1996年のアトランタ大会では900件以上に増えました。大会前に適切な検査と治療を行っていれば、オリンピック会場に来てまで治療をしなければならないケースは大幅に減っていたはずです。

◇競技中の口腔のけがに注意

アスリートにはけがは付きものです。歯の場合は、特に前歯の欠けや位置のずれ、脱落などが多く、顔面では、唇の裂傷、顎骨骨折、および顎関節の損傷などが多く見られます。また、顎や頭部への衝撃は脳震盪を引き起こす可能性があり、意識消失やめまい、あるいはさらに重篤な合併症の原因となることがあります。

歯や顔面のけがには強い痛みが伴い、多くの治療費を要することが多いのです。これらを予防するためにも、競技中には歯科医師が作製したマウスガードを装着することが勧められます。

米国歯科医師会(ADA)が行った調査によると、高校のバスケットボール選手がマウスガードを装着せずに試合に出場した場合、31%が歯や顔面になんらかの外傷を負っていることが報告されています。一方、マウスガードを装着せずに試合に出場した場合、外傷を負った選手はわずか4.2%でした。

このように、マウスガードの装着により、けがの予防効果は7倍も改善します。しかし、このような統計があるにもかかわらず、毎年200万本以上の歯が競技中に脱落しており、その多くが、マウスガードを装着していないアスリートの歯です。

マウスガードの装着はほとんどのスポーツで勧められます。特に、身体的な接触が多いボクシングやアメリカンフットボール、格闘技、キックボクシング、レスリング、ストリートホッケーなどでは、自分の歯に合わせて制作されたオーダーメイドが必須であるといえます。

◇スポーツ飲料の後には水を摂取

そのほか、より良好な口腔衛生を維持するためにスポーツ選手が知っておくべき事として、スポーツ飲料の影響が挙げられます。ほとんどのスポーツ飲料は、ソーダ水と同程度の酸性度であることが確認されており、酸蝕症を引き起こす可能性があります。従って、スポーツ飲料を飲む際にはマウスガードを口の中から取りだし、スポーツ飲料は口の中には溜めずに素早く飲み込むか、ストローを使って歯に触れないように飲み込むことを心がけます。さらに、可能であればスポーツ飲料を飲んだ直後には、酸の濃度を薄めるために水を飲むことを強く推奨します。

歯のトラブルによって、選手の成績や競技スケジュールに悪影響が出ないようにするためにも、適切な口腔衛生管理やマウスガードの装着を行うとともに、スポーツ飲料の飲み方にも注意を払うことが重要です。

2008年11月12日 (水)

清涼飲料水で歯が溶ける!?

本日は、坂本貴史先生の著書「歯と口の悩みを解消する本」よりお届けいたします。

☆清涼飲料水で歯が溶ける!?

日本には、現在、およそ五百六十万台の自動販売機(飲料・たばこ・雑誌など)があるそうです。保有台数でいえばアメリカの七百六十万台が世界一ですが、一平方メートル当たりの設置台数をみると、日本の自動車普及率は世界一です。町の中はゆうに及ばず、地方に行くと、畑と思われるようなところまで清涼飲料水の自動販売機が置かれ、子供から大人まで、いつでも、どこでも、手軽に好きな飲みものを手に入れることができます。

便利には違いありませんが、この便利さが歯に深刻な影響を及ぼしていることは否定出来ない事実です。それは、ついつい甘いものを飲み過ぎてしまうことです。

お茶やミネラルウォーター以外の飲料はどれもかなり甘味が強く、多いものですと、一缶の飲料の中に40gを超える砂糖が含まれているものもあります。これは一杯のコーヒーや紅茶に入れる平均的な砂糖の量の六~七倍です。

ほとんどの炭酸清涼飲料水には10%程度の砂糖が含まれています。飲み過ぎれば、当然、糖分を摂りすぎてしまうことになり、虫歯を作る原因にもなります。

◇飲み物やお菓子に含まれている糖分は角砂糖何個分?

では、自動販売機に並んだ飲み物にはどれくらいの量の砂糖が含まれているのでしょうか?わかりやすくするために甘いお菓子に含まれる砂糖の量も一緒に示しておきます。日頃味わっている飲み物やお菓子の甘さを思い出しながらよんでください。角砂糖は一個で3.6g、14キロカロリーあります。

〔含まれている糖分は角砂糖にしてどのくらい〕

・サイダー 6.5個

・スポーツドリンク 5個

・コーラ 7.5個

・缶コーヒー 6.5個

・シュークリーム 2.5個

・大福 3個

・あんパン 6.5個

・ショートケーキ 8個

コーヒーやコーラはやっぱりそうかとうなずけますが、スポーツドリンクにも想像以上の量の砂糖が含まれているのには驚かされます。また、ここでは調査の対象に入れませんでしたが、牛乳にも約4~5%の乳酸が含まれていますので、飲み方によっては虫歯になる可能性があります。

食後のおやつの時に一日1~2回飲むといった飲み方であれば問題ありませんが、水の代わりに少量ずつ何回も飲むといった〈ちょびちょび飲み)をしていると虫歯の危険性が高くなります。

飲み物ではありませんが、そのほかにも、呼吸器疾患などの治療のために飲用するトローチは、長期間連用すると同様の危険性があると言われいます。

参考文献 歯と口の悩みを解決する本 坂本貴史著 法研

2008年11月10日 (月)

フッ化物の過剰な摂取に警告

本日は、デンタルトリビューン紙2008年11月号よりお届けいたします。

☆フッ化物の過剰な摂取に警告

(カナダ)トロントで開催された第28回国際フッ素研究学会において、フッ化物が人体に与える影響について新たな懸念が掲示されました。

フッ化物添加水道水(フロリデーション)などによるフッ素含有物への過剰な曝露により、脳神経学的な変化が生じる恐れがあるほか、骨質や歯の発達にも影響が現れる可能性のあることが報告されました。

◇全身への影響いまだ評価できず

フロリデーションは多くの国際機関が齲蝕の予防法として有効であると評価しており、オーストラリアやマレーシアではフロリデーションが行われています。一方で、中国、日本、フィリピン、インドなどではフロリデーションは行われていません。

現在まで、フッ化物が全身の健康に与える影響について、詳細に検討した研究はほとんど行われていませんでした。このため、現在入手不可能なデータから、フッ化物の潜在的なリスクを確実に予測することが出来ません。

同大学の大会長を務めたトロント大学のHardy limeback氏は「米国学術研究会議」がフロリデーションを行っていないインドや中国などの文献を検討したところ、フッ化物の過剰な摂取による歯以外の組織にも影響が現れることが明らかになった」とのべました。

そのえで「フロリデーションが行われている地域における、住民のフッ化物総摂取量と副作用が現れる量の間に適切な安全域が設定されている必要があるが、十分な安全域が確保されていないと考えられる」との見方を示しました。

2008年10月21日 (火)

歯周病にかかりやすい人って?

本日は、石川烈先生の著書「歯周病」よりお届けいたします。

歯周病にかかりやすい人っていますか?

☆歯周病にかかりやすい人とは-

いろいろファクター(要因)があるので、ひと言ではいえませんが、こんな生活をしているとなりやすいですよ、ということはあります。

そのファクターは、大きく三つに分けて考えられます。環境因子、生体因子、細菌因子です。これらのリスクの度合いが大きくなると、発症しやすくなります。

昔は内因、外因といいましたが、抵抗力が落ちると歯周病になりやすくなります。

たとえば、徹夜で仕事や勉強をして疲れ果てたとき、歯周病の急性発作が起こったり、潰瘍性歯肉炎が見られたりします。

以下、歯周病のファクターを書いてみますので、ご自分の状態をチェックしてみましょう。

①歯を磨かない人、口の中をキレイに出来ない人

プラークが付き、口の中が細菌でいっぱいになる。こういう人は間違いなく罹患率が高い。歯周病は生活習慣病だから、何にもまして生活習慣病が大切になってくる。

②たばこを吸う人

日本の場合、喫煙率は欧米に比べて高く、男性五十%、若い女性二十五%くらいの人がタバコを吸っている

③糖尿病の人

六十歳以上の約2割が糖尿病、あるいは予備軍です。

④口をぽかんと開けている人

口の中は、粘膜で出来ており唾液で覆われているので、細菌が付きにくい状態になっている。口を開けているとなかが乾燥するので、歯肉炎になりやすい。鼻が悪い人も口で息をするのでひどくなることが多い

⑤歯並びが悪い人

プラークが残り、歯石ができやすい

⑥薬(坑癇癪剤、降圧剤、免疫抑制剤)を飲んでいる人

薬の影響で、口の中にひどい炎症が出てくる。既に高血圧で降圧剤を使っている人はたくさんいる。免疫抑制剤は、今後移植が盛んになるとみられるであろう。

参考文献 名医の言葉で病気を治す 歯周病 石川烈著 誠文堂新光社

2008年10月17日 (金)

フロス活用し口腔ケア

本日は、日本経済新聞2008年10月4日分よりお届けいたします。

☆放置すれば脳卒中や心臓病発症率が3倍に

歯磨きを怠ると虫歯だけでなく、歯周病になってしまいます。この歯周病を放っておくと、糖尿病や脳卒中、心臓病など全身のさまざまな疾病を悪化させるなどの悪影響があることがわかってきました。食後の口腔ケアにしっかり取り組めば、生活習慣病予防につながります。

歯周病は高齢者だけがなるものと考えるのは誤りです。軽いものまで含めると、十代でも六十%以上、四十代では八十%以上の人がかかっているといわれています。

日本歯科大学の沼部教授は「歯周病は万病の悪化に関わる」と話します。

☆全身に悪影響

歯周病は炎症の一種。口の中に軽い炎症があるだけでも、そこで生まれた炎症の原因となる物質などが、血管を通って体中に散らばります。すでにどこかに病気がある場合、この物質が症状を悪化させます。

指摘されているだけでも糖尿病や肺炎、脳卒中や心臓病、早産にも影響しているといいます。心臓病や脳卒中で発症リスクが約三倍になります。高齢者の口腔ケアを徹底したところ、肺炎の発症率が減ったという研究報告もあります。

やっかいな歯周病を防ぐためには歯のケアが第一です。それを見ていきましょう。最初に思いつくのは歯磨きでしょう。

財団法人サンスター歯科保険振興財団の武藤葉子衛生士長は「ブラッシングは力を入れればいいというわけではありません」と指摘します。

歯の汚れはべっとりとついているわけではありません。ねばねばしているもので、歯ブラシで巻き込んで取るのが歯磨きの基本。力を入れすぎてしまうとブラシの毛先が広がってばらついてしまい逆効果。ツメの間に歯ブラシを入れて白く見えるくらいが力の目安です。

磨き方にはいくつかの方法があります。

歯の表面の汚れが気になる人は歯に直角にブラしを当てて細かく横に動かす「スクラブ法」、歯周病の人には歯に斜め四十五度の角度であてて小さく横に動かす「バス法」が良いといわれています。

歯と歯肉の間には健康な人でも一~二ミリメートルの隙間があります。歯周病になると一層溝が深くなった「歯周ポケット」が出来ます。歯垢(しこう)や汚れがたまり歯周病の病原菌などの温床になります。バス法だとその隙間の汚れを出来るだけ取り除くとともに、歯肉をマッサージして炎症を改善する効果が期待できるといいます。

歯ブラシの大きさは、ヘッドが前歯二本分より小さいものを選びましょう。毛の細さや硬さ、並び方などでさまざまな種類がありますが、バス法では「普通から軟らかめ」を使います。硬いと歯肉を傷つける恐れがあります。適度な力で使っていると二~三ヶ月たっても歯ブラシの毛はあまり広がらないですが、毛先が摩耗したり、弾力性が落ちたりすると歯磨きの効果が落ちてしまうので、一ヶ月ごとに交換する方がいいです。

☆歯ブラシでは六割

武藤氏はさらに「歯ブラシで適切に磨いても汚れの六割しか落ちない。残りは歯間ブラシやデンタルフロスを使わないと難しい」とい指摘しました。歯と歯肉に挟まれた三角地帯の汚れは磨きにくいので、歯間ブラシを使います。力をかけすぎず回しながら隙間に通します。

さまざまな大きさの製品が出ていますが、最初は直径の小さいものから使うといいでしょう。

デンタルフロスは口腔ケア専用の糸。長さ四十センチほどに切り取り、約十センチの間隔をあけて両手の中指に絡めます。親指や人差し指で角度を調節し、歯にあてながら動かして汚れを落とします。

歯磨き効果を高めるために洗口剤を併用するのも効果的です。口内の菌を減らし、除去でぃやすくする。ただあくまで補助で、歯磨きが基本に変わりはありません。

☆定期的に受診を

歯周病はいかに進行させないで抑えるかがポイント。放っておくと歯の付け根の骨が壊されて元に戻らない歯周炎になります。その手前の歯肉炎ならば歯科医などでたまった歯垢や歯石を取り除き、適切な治療を受ければ元の健康な状態に戻すことが出来ます。メタボリック症候群によって健康診断への注目が集まっていますが、日本歯科大学の沼部教授は「定期的に歯科を受診して、歯周病かどうかをチェックして欲しい」呼びかけています。

2008年10月16日 (木)

関節リウマチ患者の歯周病

本日は、デンタルトリビューン紙2008年10月号よりお届けいたします。

◇関節リウマチ患者の歯周病~口腔衛生の悪化は一要因にすぎず~

(ドイツ)これまでにも、関節リウマチ(RA)患者では歯周病罹患率が高くなることが報告されていますが、その因果関係は明らかにされていません。このたび、ベルリンのPischon Nicole氏らによって、RA患者の口腔衛生状態は歯周病の一要因ではあるものの、そのほかにも関連する要因があることがJournal of Periodontology〔2008;79(6):979-986) 発表されました。

RA(関節リウマチ)患者の歯周病罹患率は約8倍

RAは、長期にわたる炎症により関節が破壊されて関節炎が生じ、最終的に炎症部分が機能しなくなり、身体障害に至ることもある疾患です。

RA患者は現在、日本に約56万人、米国に約250万人、ヨーロッパに約230万人いるとの報告があります。

RA患者のなかには、手先を思うように動かすことが出来なくなり、日常生活に困難を来す者もいます。それにより影響を受ける問題の一つが口腔衛生であり、口腔衛生状態の悪化が歯周疾患の原因となっている可能性が指摘されます。しかし、今回の研究でRAと歯周病の関連において、口腔の不衛生だけでなく、他の要素が関与している可能性が示されました。

同研究では、対象をRA群(57人)と非RA群(52人)とし、口腔衛生状態を調べました。口腔衛生の指標として、①プラーク・インデクス(PII)②ジンジバル・インデクス(GI)③プロービング・デプス(PD)④クリニカル・アタッチメント・ロス(CAL)を測定しました。

また、歯周病の潜在的リスクを評価するため、問診によりRAや歯周病と関連する慢性疾患の有無、年齢や性別、喫煙歴、学歴、アルコール消費量、BMIなど人口学的特徴およびライフスタイルについても調べました。

解析はstepwise回帰分析を用いて行いました。

その結果、歯周病の有意な予測因子となりうるのはRA歴と年齢のみであり、RA群では非RA群に比べて約8倍も歯周病に罹患しやすいことが示されました。

◇二つの炎症性疾患を結びつける生物学的機序の解明に期待

そこで、口腔状態がRA患者における歯周病の発症率上昇とどの程度相関しているかを各指標で補正して調べたところ、PIIで12.4%、GIで11.1%、PIIとGIを合わせると13.4%にすぎませんでした。

この結果を受けて、Nicole氏らは「口腔衛生の悪化が一要因であることは明らかだが、それだけでRAと歯周病の関連を十分に説明することはできない。そのほかに、RA患者における歯周疾患の有病率を高くしている要因が存在する可能性が示唆された」とまとめています。

今後は、RAと歯周病という2つの炎症性疾患を結びつける生物学的機序を明らかにするため、研究が重ねられることが期待できます。

RA患者は、口腔衛生を良好な状態に維持するため歯磨きと歯間の清掃を定期的に行い、年に2回は歯科医を受診することが推奨されています。歯周病を発症した場合には、氏歯周病治療専門医に相談するのが最適な治療法の選択において有効です。

2008年10月12日 (日)

歯磨きの意識

本日は日本経済新聞 平成20年10月4日分に掲載された記事からです。

☆歯磨き意識 男性は薄く

男性は女性よりも歯磨きの回数が少ない。サンスターが三十五~五十九歳の男女九百三十二人を調べたところ、女性の約四割が一日三回以上で、平均二・三回だったのに対し、男性で三回以上磨く人は一割程度にとどまり、平均では一・八回でした。

口の中の菌は夜寝ている間に繁殖するため、就寝前と食後に磨くことが重要です。男性では寝る前に磨く人は約六割と最も多かったが、朝食前の起床直後という効果が乏しい時に磨く人も約四〇%いました。

歯磨き以外のデンタルフロスや歯間ブラシの使用率も男性は約二八%で、五割を越す女性よりも大きく劣ります。

また、「歯周病はある程度の年齢になればやむを得ない」とあきらめている比率も女性より高く三割を超えています。

2008年9月30日 (火)

歯周病のメカニズム

本日は、東京女子医大客員教授 石川先生の著書よりお届けいたします。

歯周病のメカニズムとは?

歯周病は、別名「サイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)」と呼ばれるように、ほとんど自覚症状がないのが特徴です。痛みも無いため、悪くなっても放置していることが多いのです。

ちょっとおかしいなと感じても、歯科医院で痛い目にあうのは勘弁と思いつつ放置し、膿みが出て慌てて歯科医院に飛び込む人が大半ではないでしょうか。

どうして歯周病になるのかというと、歯肉炎を長い間放置していることが原因です。歯肉炎を放置していると、炎症が歯の周りに広がり、歯周炎を起こします。歯槽膿漏とは、歯周炎の中期から末期の状態を考えて良いでしょう。

では、どうして歯肉炎が起こるのか、その原因を考えてみましょう。

★6~7歳から発病する歯肉炎

歯肉炎とは、炎症が歯肉にかぎられている場合の症状で、発病は永久歯が生え始めた6~7歳からです。なぜ、そんな小さな時に発病するのでしょうか。

第一の原因は、歯の表面に付く汚れ、プラーク(歯垢)です。プラークとは、細菌のかたまりをいいます。細菌のかたまりであるプラークが歯の表面に付き、これが歯肉に炎症を起こして歯肉炎となります。

6~7歳というと、大人と同じようにものを食べている年齢です。また、やわらかいものや甘いものが多い食生活です。これらが生え始めた永久歯に付き、さらにブラッシングが不十分であると、プラークが残ったままの状態となり、歯肉炎が発症しだすと考えられます。

★体のもつ自浄作用

口の中には、細菌がたくさんいます。細菌は口の中だけでなく、皮膚にもたくさんいます。しかし、皮膚は角化組織で、細菌は体のなかに入り込むことができません。

人間の体は、細菌の出す毒素や酵素が体内に入らないような仕組みになっており、これを「自浄作用」といいます。

たとえば、腸のなかには、微生物(細菌)がたくさんいます。なかにはタチの悪い細菌もありますが、それ自体では、通常は病気を引き起こしません。

ところが潰瘍が出来るとか、いったん腸がダメージを受けて免疫力が落ちると、自浄作用が働かなくなり、俄然タチの悪い細菌が活発になり、一気に病気になってしまいます。

このように、普段は人間の体は自浄作用で守られており、細菌などでは弱らないようにできているので安心してよいでしょう。

★歯だけは自浄作用が効かない

しかし、困ったことに、歯だけは自浄作用が効きません。歯の表面に付いたプラークを、自浄作用で退治することが出来ないのです。つまり、歯磨きなど、外からの力を借りなければ、歯に付いた菌を退治できません。

いったん歯の表面に付いた細菌は、必死に生き延びようと、糊のようなものを出し増殖します。最初は、簡単な球菌のような細菌が、時間が経つと糸状の菌となり、12時間くらいで独自の細菌層で、歯を覆ってしまいます。

さらに、24~48時間くらい経つと、かなりべったりしたプラーク(バイオフィルム)がつくられます。

★炎症は体を守る一つの現象

歯の表面に細菌が付いても、歯磨きをして汚れを落とせば、病気になりません。

ところが、歯と歯肉が接した、特に内側の部分(抵抗減弱部位)にたくさんのプラークが付くと、細菌の出す毒素が体の中に侵入しようとします。

人間の体は、外から異物に対して白血球をはじめとする食細胞や、いろいろな抗体で戦いを起こして抵抗します。それが歯肉で起こると、歯肉炎という炎症になるのですが、歯肉炎の段階で食い止められず、さらにすすむと歯周炎となり、最後には悪化して歯を失ってしまうのです。

どのステージでも、人間の抗体は細菌との戦い、炎症を起こしています。炎症や免疫とは、常に人間の体を守る一つの現象と考えてよいでしょう。

参考文献 名医の言葉で病気を治す 歯周病 石川烈 誠文堂新光社

2008年9月26日 (金)

お口のケアで寝たきりを防ぐ

本日は、野田先生の著書「歯周病で死ぬのはイヤだ!」よりお届けいたします。

★お口のケアで寝たきりを防ぐ

脳梗塞などで倒れると、体のあちこちが不自由になります。舌も思うように動かないので、歯のまわりに食べかすが残っていても、舌でかきだすことが出来ません。

さらにいえば、口の中に食べかすが残っていても、そのことさえ分からないことがあります。人の手を借りてお口のケアをしない限り、口の中は悪い菌でいっぱいになるので、歯はボロボロになります。

もちろん、合わない入れ歯を無理して使うと、靴擦れのように、歯肉に悲惨な炎症がおきてしまうこともあります。いわゆる大きな口内炎で痛みを伴います。これを褥瘡(じょくそう)と呼びます。

現在のところ、なかなか口腔ケアまでやってくれる病院はありません。しかし、国立保険医療科学院の花田信弘先生は、お口のケアが寝たきりを防ぐのに画期的な役割を果たすと考えています。

たとえば、虫歯で歯の根しかない状態でも、根気よく歯を再建し、噛み合わせを確保すると、いままで自力では歩けなかった人が歩けるようになったのを目の当たりにしたそうです。また、話しがでいるようになって、表情が変わり、生きていく意欲を感じるようになることもあったそうです。

入れ歯を外された人も、入れ歯を調整して使えるようになると顔の表情が変わり、生き生きとする人もいます。今まで、フガフガいって赤ちゃんのように扱われた人が、入れ歯がちゃんと入ると、突如としてしゃべり出すこともあります。

歯がないことで、どれだけ人の自尊心を傷つけ、人間性も奪っていたかということを思い知らされます。

このように見てくると、リハビリの現場では手を動かしたり、足を動かしたりと、運動機能の回復に重点が置かれているように思えますが、食べることやしゃべることも非常に重要なことだといえます。

つまり、お口の機能の回復に努めることが、ひいては体全体の機能を回復させることにもつながるのです。

参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 野田隆夫 野田雅代 共著 光人社

2008年9月10日 (水)

歯磨きの目的

本日は、飯塚哲夫先生の著書「歯科受診の常識」よりお届けいたします。

☆歯磨きの目的

今、歯磨きを全くしないという人は、おそらくいないでしょう。しかし、意味のある歯磨き、効果的な歯磨きをしている人も、おそらく日本中にいないのではないでしょうか。つまり、ほとんどすべての人は、あまり意味のない、してもしょうがない歯磨きをしているということです。

歯磨きは、何のためにするのでしょうか。歯をきれいに清掃するためでしょうか。それでは、なんのための歯を清掃する必要があるのでしょうか、虫歯や歯周病という「歯の病気」を予防するためでしょう。

しかし、歯磨きをしている人たちはみな、歯の病気を予防できる程度までに歯を清掃しているという自信があるのでしょうか。もしも自信があるとしたらその根拠は一体なんなのでしょうか。

おそらく、誰もそんな自信などないでしょうし、大体、歯の病気を予防出来るレベルまで清掃出来ているかどうか、といったことは考えてもみないのではないでしょうか。

ほとんどすべての人たちは、もの心ついた時から、家族の歯磨きを見て、見よう見まねで歯磨きを覚えます。

その結果、圧倒的多数の人々がしている歯磨きは、歯の病気の予防に役立っていません。だから、歯を磨いても虫歯になるし、歯周病にかかる事になります。

「身だしなみ」で歯を磨いている、という人がいるかもしれません。しかし、その場合でも、歯を清掃する目的で歯を磨いているわけです。だから、歯がきれいに清掃されていなければ、「身だしなみ」の意味もありません。

一口に「歯磨き」と言っても、いわゆる「歯磨き」には2種類あります。「歯磨き」と「歯肉磨き」の2種類です。これは「虫歯予防のための歯磨き」と「歯周病予防のための歯磨き」の2種類と言い換えてもいいでしょう。

虫歯を予防するためには、「歯」を磨く必要があります。歯を磨くとなぜ虫歯を予防出来るかを説明しましょう。

虫歯は、食べ物の中の糖の中の細菌が働きかけて、歯の表面でいくつかの酸が産生される事が原因で発生します。この酸が硬い歯の表面を溶かす事によって、歯が壊れて行くわけです。

歯の清掃が不十分な場合には、歯の表面に歯垢(プラーク)が形成されています。歯垢というのは歯の表面にこびりついた細菌の集団で、いわゆる「食べかす」ではありません。この歯垢の中の細菌が酸の産生に関与するということです。

このような酸の産生は非常に急速で、糖を摂取した後直ちに歯の表面の歯垢の酸性度(PH)は高くなります。つまり、PHの値が低下します。

PH(水素イオン指数)というのは、水素イオン濃度を表す濃度で、PH7が中性、これより数値が小さいと酸性、大きいとアルカリ性ということになります。

歯垢のPHは通常6.8ですが、糖に曝されて約10分後には最も小さいPHである約5に達し、30~60分の間にゆっくりと元に戻ります。歯の主成分であるcalcium hydroxyapatiteはPHが5.5以下になると溶解し始めるので、このPHをcriticalPH(決定的PH)と呼びます。

虫歯予防のための歯磨きは、「食べたらすぐ」「食べたら必ず」行うのが原則なのはこのためです。これは、食べかすを取り除くのが目的の歯磨きです。食べかすを取り除くことは、そのほか歯垢を形成させないためにも必要です。歯の表面に歯垢がなければ酸は酸性されないわけですから、食べかすを取り除く目的とは別に、歯の表面の歯垢を取り除いて常に歯を清潔にしておくための歯磨きも必要なのです。

一方、歯周病予防のための歯磨きの基本は「歯肉磨き」です。正確には、歯と歯肉との間にある「溝」を磨くことです。この目的は、食べかすを取り除くことではなくて、この部分の歯垢を取り除くことです。

歯垢と歯周病との関係は、歯垢と虫歯との関係と多少異なります。歯垢は必ず歯周病の原因になるわけではなく、新しく形成されたばかりの歯垢は歯周病の原因にはなりません。それが古くなると、歯垢中に歯周病の原因になる細菌が増えてくるのです。

それからまた、歯垢が存在すると直ちに歯肉に炎症が生じるわけではなく、その影響が表れるまでに10日ほどかかります。

そのような理由で、歯周病予防のための歯磨きは、「食べたらすぐ」とか「食べたら必ず」にの必要はありません。理論的には一日一回徹底的な清掃を行えば十分です。不十分な清掃を頻繁に行うのは、歯周予防のためには最も悪い歯磨きです。

参考文献 歯科受診の常識 飯塚哲夫著 愛育社

2008年8月16日 (土)

歯科医院でのメインテナンス

本日は、マガジンハウスより出版された「歯周病とインプラント歯科治療最後の選択」よりお届けいたします。

歯科医院でのメインテンス

どんなに丁寧にセルフケアをしていても、歯の裏側や歯と歯の隙間、歯肉の内側の見えない部分など、歯磨きの行き届かないところが出てきます。自分で出来ないところは、定期的に歯科医院でメインテナンスをしてもらいましょう。

メインテナンスの時には、歯や歯肉の状態に異常がないかもチェックしてもらいます。メインテナンスの時は、治療後の状態を保つためと、虫歯や歯周病を予防するためでもあります。プラークや歯石のクリーニングだけでなく、自分では気が付かない病気の有無をチェックしてもらうことが大事です。治療後、不安な点があれば、歯科医師やスタッフなどに相談をしましょう。

特にインプラント周囲炎は発病していても、外見からはわからないことが多いので、歯科医院でのチェックは欠かせません。最近は、デジタルカメラで口の中を撮影し、診断用のチェアに座ったまま、モニターで写真を見せて、現状の説明をしてくれる歯科医院もあります。

◇自分で出来ない時はプロの手を借りる

治療後しばらくしは、きちんとセルフケアを行い、定期的にメインテナンスに通っていた人でも、仕事が忙しかったり、体調をくずしたり、セルフケアがきちんと出来なくなることもあります。そういうときこそ歯科医でのメインテナンスが必要なのですが、逆に「さぼってしまったから怒られるのでは」と思って気分的に行きにくくなったり、メインテナンスに行くのがおっくうになる人もいます。

そのまま放っておいては危険です。ためらわずに歯科医院でプロに清掃してもらいましょう。

◇歯科医院専用の防具でしっかりとクリーニングを

歯科医院で歯科衛生士が行う清掃は「PMCT」(Professional  Mechanical  Tooth Cleaning)と呼ばれ、専門の器具が使われます。PMCTでは、細かいところの歯石を取り除く器具や、歯肉溝の汚れやコーヒー、紅茶、たばこのヤニなどの着色汚れを取る器具など、様々な器具を使います。

また、プロ仕様の研磨剤やフッ素配合のジェルを用いるなど、自宅では出来ないケアが歯科衛生士などの手によって受けられます。

プロにキレイにしてもらった口の中は、とても爽快で気持ちのよいものです。メインテナンスは、この爽快感を味わいに行くためのもの、と考えてみてはいかがでしょうか。定期的に行くには、メインテナンスを終えたら、会計時に次回の予約をするのがコツです。

参考文献 歯周病とインプラント エグゼクティブのための歯科治療、最後の選択! マガジンハウス

2008年8月11日 (月)

歯磨きのヒント3

本日も青山先生の著書よりお届けいたします。

☆歯周病を防ぐ歯磨きポイント

①ある程度の時間をかける

ある程度の時間とは、何分という絶対的な時間を意味することではありません。TVを見ながらとか、お風呂に浸かりながらでもいいので、何かをしながらのこととしてながらブラッシングをする事をおすすめいたします。

一日に一度は、十分な時間をブラッシングに割いて欲しいですね。その際には、歯磨き粉をつけ

ずに、毛先で歯肉をマッサージするつもりで磨いてください。

②歯と歯肉の境目に歯ブラシを45度に当てる

歯周病は100%歯と歯肉の境目から発生します。したがって、その部分の汚れ(プラーク)を取り除けば、歯周病にはならないです。歯ブラシの毛先をその部分に当てて、小刻みに歯ブラシを振動させて磨いてください。

③歯間ブラシがデンタルフロスを使う

歯ブラシだけでは一日中磨いたとしても、歯と歯の間の汚れを取り除くことはできません。そこで、その部分の汚れを取り除くために、歯間ブラシかデンタルフロス(糸ようじ)が必要になってきます。

これらが日常的に使えるようになるまでには時間がかかるかもしれませんが、何事も慣れるまでの辛抱です。慣れてしまえば、たいしたことはないのですが、習慣になるまで少しの間がんばってみてください。

☆どんな歯ブラシがいいか

歯科医院で、予防の説明を受ける際、一番最初に受ける説明が歯ブラシの選び方でしょう。“弘法筆を選ばず”ということわざはありますが、正しいブラッシングをするためには、適切な歯ブラシを選ぶことはとても大切なことです。

①小さめな歯ブラシをつかう

歯ブラシが大きいと、歯と歯肉の境目の細かい箇所に毛先が当たらなくなってしまいます。ブラッシングで大切なことは、汚れの溜まりやすい箇所に毛先を当てて振動させることです。そのためには、どうしても小さめの歯ブラシを使うことが大切です。

具体的には、横に四列以上の毛が並んでいる歯ブラシは使わないほうがよいでしょう。歯周病の人なら、一列や二列の特別な歯ブラシを使う場合もありますが、一般的には、三列の歯ブラシを使います。

②歯ブラシの硬さ

歯ブラシの硬さは、健康な歯肉の人なら、普通か堅めが良いでしょう。しかし、歯周病が進んでいる人は、初めは軟らかめの歯ブラシで歯肉を十分にひきしめておき、出血がなくなってきたら普通の硬さに戻すのがよいでしょう。

③歯ブラシの交換の時期

歯ブラシは消耗品である以上、適切な時期に交換する必要があります。人によって交換する目安は違うかもしれませんが、一ヶ月に一度は新しい歯ブラシに変えて欲しいです。毛先の弾力性がなくなってしまっているものを使っていると、汚れを取り除く歯ブラシの能率が落ちてしまいます。

新しい歯ブラシに替えたときに、歯肉に傷をつけて、ブラッシングが痛く感じるようなら、歯ブラシの交換時期を長引かせずたと思ってもよいでしょう。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年8月10日 (日)

歯磨きのヒント2

昨日に引き続き、青山先生の著書よりお届けいたします。

☆どこを磨けばいいのか

ブラッシングはただやみくもに磨いていればいいというわけではありません。磨かないといけない部分、逆に言えば磨き残しの多いポイントというのはだいたい決まっています。そこをよく磨くことが大切です。

①奥歯ほど時間をかけて丁寧に

食事の時にはほとんど奥歯を使いますので、汚れの大半は奥歯にこびりついています。しかし、多くの人は、磨きやすく、見た目の気になる前歯ばかりブラッシングの時間をかけがちです。奥歯あっての前歯です。奥歯は家にたとえれば土台に当たる所なので、奥歯がダメになれば、前歯もそのうちダメになってくるのです。

②金属の大きい被せ歯ほど時間をかけて磨く

多くの部分を削って被せている歯は、人間の体の中で一番硬いエナメル質が削られ、その下にある軟らかい象牙質が、接着剤のすぐ下にさらけ出されている状態になっています。したがって、その接着剤が溶け出したり、隙間が出来てしまうと、軟らかい象牙質は、あっという間に虫歯が進行してしまいます。ですから、表面のエナメル質が大きく削られている歯ほど、時間をかけて丁寧に磨かなければなりません。

③神経の無い歯ほど時間をかけて磨く

歯の神経を取った歯は、血液による栄養補給が出来ないので、年々弱ります。歯が弱くなれば、当然虫歯にもなりやすくなります。それを補うためには、十分なブラッシングが大切です。しかし、患者さんは、どの歯の神経をとったかは案外覚えていないものです。そこで、金属やセラミックで被われている歯は、神経を取った可能性が高いので、そういう歯に時間を十分かけてください

④歯と歯肉の境目をよく磨く

ブラッシングで一番大切なのは、この歯と歯肉の境目をいれいに磨くことです。極論すれば、この部分さえよく磨けていれば、歯の表面などはどうでもいいのです。歯の表面のようなツルツルした所には汚れは長い間停滞しません。そういう汚れは簡単に取り除けるのです。ブラッシングの究極のテーマは、この歯と歯肉の境目をよく磨くことなのです。

明日に続きます。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年8月 9日 (土)

歯磨きのヒント1

本日は、青山先生の「よくわかる家庭の歯学」よりお届けします。

☆人間だけがするブラッシング

以前患者さんから、「人間はブラッシングをするようになったから、虫歯や歯周病の菌に対する抵抗力がなくなってきたのではないか」と質問され、考えさせられたことがあります。

人間は動物の一種なのに、人間だけがなぜブラッシングをするのでしょうか。この患者さんへの答えのポイントは二つあります。

一つ目は、時代とともに、食べ物があまり噛まなくてもいいような軟らかいものになってきているということです。火さえ使わない時代や、包丁などのない時代には、歯が包丁がわりになって、硬いものも歯で噛みきっていました。この硬いものを歯で噛みきるという行為が、今のブラッシングと同じ役割をして、歯の表面についたプラーク(細菌)を取り除いたり、歯肉のブラッシングと同じ役割をして、歯の表面についたプラーク(細菌)を取り除いたり、歯肉をマッサージする効果があったのです。

それが、時代とともに食べ物が軟らかくなってきて、歯の表面にプラークもつきやすくなり、ブラッシングをしないと細菌だらけの状態になってきてしまったのです。

その証拠に、犬や猫がドッグフードのような軟らかい食べ物を食べるようになり、歯周病になり始めているのです。犬や猫でさえ、本来の硬い食べ物を食べていれば防げたであろう病気を、軟らかい食べ物が主食になると、人間と同じ病気になってしまうのです。

二つ目は、昔は人生50年といわれ、今よりも人生が短かったので、食べ物の硬さの効果と併せて、それくらいの期間はどうにか歯を持ちこたえる事が出来たのです。

しかし、今では平均寿命でさえ80歳を超える時代ですし、食べ物も軟らかく歯に付着しやすいですから、一年でも長く自分の歯で生活していくためには、ブラッシングはどうしても欠かせなくなってしまったのです。

☆食後すぐの歯磨きはあまり意味がない

私が学生のころ、食後3分以内に3分以上のブラッシングを一日3回しようという「3.3.3運動」を習いました。そしてそれをそのまま患者さんに勧めていた時代がありました。しかし、これはあまり意味のないことだったのです。その理由について述べます。

①食後3分以内のブラッシング

食事や間食などをすると口の中が酸性になるので、食後なるべく早くブラッシングをするべきだという考えから3分以内にブラッシングをしようとすることが言われるようになりました。この理屈には一理あります。口の中はお茶や水で軽くゆすいだり、ガムなどによる唾液でも中性に近づきます。早くブラッシング出来るなら早いにこしたことはないのですが、食後3分以内に歯を磨くことは現実には不可能な場合が多く、そんなに神経質になる必要はありません、食後早く磨くことができるなら磨いた方がいいというぐらいの気持ちでいいでしょう。

②3分以上のブラッシング

このことに関して否定するつもりはありませんが、より深く理解してもらうためあえて言えば、磨くべき箇所ではなく歯の表面ばかりを何分磨いても無意味なことを理解しておいてください。学校の試験で例えると試験によくでる問題を能率的に短時間勉強する人と、ほとんどでないような箇所ばかりを長い時間かけて勉強する人とでは、どちらのほうの点数が高いかは明らかでしょう。

試験勉強でこんなに非能率的なことをする人はほとんどいないのに、ブラッシングに関してはこのような非能率的なことをしている人がほとんどで、いくら磨いても虫歯になるからと、電動歯ブラシを買ったり、歯磨き粉を変えたりされるのですが、本当に磨くべき箇所を理解してさえいれば、短時間のブラッシングでも十分な虫歯予防は可能なのです。

③一日3回のブラッシング

これに関しても、3回ブラッシングをすることはいいことであり、何も問題ありませんが、一日3回ブラッシングをしないから虫歯や歯周病になるわけではありません。プラーク(歯の細菌)が歯石のように歯ブラシで除去できない状態になるには24時間以上かかるといわれています。

したがって、同じ箇所だけを適当に一日3回磨くよりは、たとえ一日一回でも隅々まで細かく磨く方が断然効果的なのです。②③でも述べたように、時間や回数が問題なのではなく、どの箇所をどういうふうに磨くかが重要なので、その知識を得るために歯科医院をどんどん利用するべきです。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年4月27日 (日)

赤ワイン用ブドウに口腔細菌阻害効果が期待

本日は、デンタルトリビューン紙2008年4月号からお届けいたします。

赤ワイン用ブドウに口腔細菌阻害効果が期待される

(米国)赤ワインの原料であるブドウに含まれる化学物質が、細菌による齲蝕の形成を妨げる可能性があることが、ロチェスター大学医療センターのイーストマン歯学准教授Hyun Koo氏らの研究チームによって発表されました。

この化学物質とは、圧搾後に不要となったブドウの種と皮が発酵して生じたポリフェノールの一種であり、細菌による全身性感染症の発症も阻害する可能性もあります。

ミュータンス連鎖球菌へのポリフェノールの影響を検討

本研究は、フィンガーレイクス地方のワイン醸造所の強力を経て、ワイン用ブドウに含まれる化合物が口腔衛生に与える影響について検討することを目的としています。

2005年12月には農務省が、口腔細菌に対するブドウポリフェノールの影響の研究のために、研究チームに対し助成金を交付しました。

赤ワイン用のブドウに含まれるポリフェノールの構成と、そのミュータンス連鎖球菌阻害能について分析が行われ、ミュータンス連鎖球菌のグルコシルトランスフェラーゼ(糖転移酵素)分泌能に対するブドウポリフェノールの作用について検討しました。

グルコトランシルフェナーゼは糖質で、糊のような物質(グルカン)を生産する酵素で、酸性されたグルカンは歯の表面に菌を付着させ、細菌叢の周りにバリアを形成します。

細胞外多糖類基質の形成を阻害し悪玉菌を無害化

このバリアは、細胞外多糖類(ESP)基質と呼ばれ、ミュータンス連鎖球菌を口腔内環境から守り、抗生物質に対する耐性を著しく増強します。本研究が焦点を当てたミュータンス連鎖球菌の2番目の特性は、酸の分泌能とその酸のなかで生存する能力です。ミュータンス連鎖球菌は耐酸性で、酸性の口腔内でもほかの菌を凌いで生き残れることが出来ます。

Hyun Koo氏は「この化学物質は、ワインの醸造過程で出来る廃棄物に含まれており、悪玉細菌を無害化します。新しい洗口剤の開発にもつながるため、われわれはこの物質の単離を目指しています」と述べます。一方で同士は、ほとんどの食物には、口腔衛生にとって良い化合物と悪い化合物の両方が含まれるとして、「口腔細菌に効くからといって、必要以上に多くのワインを飲むおは薦められない」と注意を促しています。

2008年1月29日 (火)

虫歯はこうして出来る2

昨日の続きです。本日も丸橋賢先生の著書「歯で守る健康家族」からお届けいたします。

虫歯予防の基本

①家族を予防の拠点に

約30年前、東京の中心部の開業医に勤務していたとき、その周辺の子供の虫歯が極めて少ないことに気づきました。

治療に来院する子供を診ると、虫歯が1本だけといった例がほとんどで、ブラッシングも良くなされていて歯も歯肉もとてもきれいなのです。

なるほど、住民の衛生意識の高さの程度に虫歯は少なくなるのだ、と私は理解しました。

その周辺は大企業の本社が多く、住民の衛生意識も高いらしく、子供を連れてくるお母さんの態度もとてもきちんとしていました。

当時の日本は、子供の口のなかは虫歯だらけで、とくに地方ではみそっ歯(ランパントカリエス)といってほぼすべての歯が急速にみその様に腐ってしまう虫歯も見られたのです。そのような状況の中で、都心に住む子供たちの虫歯の少なさ、口腔内の清潔さには驚きに値しました。

将来の虫歯予防の一つの方向性も示唆していました。生活の向上とともに衛生意識や健康観が向上することが大切なことがよく分かったのです。それから現在まで、日本の子供達の虫歯も少しずつ減少傾向をしめしています。

しかし、日本の中でも口腔衛生思想の教育活動の熱心さや普及程度により、子供の虫歯普及率は地域によって大きな差があります。平成7年度の群馬県内の1歳6ヶ月児検診データを見ると高崎市では4.3%でしたが、ある農村では36.4%にもなっています。高崎市では、保健所を中心に予防活動が熱心に行われ、その成果が上がっているといえます。

1歳6ヶ月児では虫歯のある子供ほんの少数で、親がほとんど注意せずに育てている場合に限られます。この時期に36.4%の子供に虫歯があったら、3歳児検診時にはほぼ全員が虫歯になってしまうと心配です。

1歳6ヶ月児で4.3%しか虫歯がない高崎市ですら、3歳児のときは41%の子供が虫歯になっているのです。そして就学児童検診では、虫歯のない子供は、ほんの少数しか見られなくなるのです。

前述したようにしっかりした衛生意識をもつ家族の住む地域では虫歯は極めて少ないのです。お母さんを中心に理解を深め、家族単位で予防の拠点作りをすることが大切だと思います。

②虫歯の少ない北欧に学ぶもの

ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどでは虫歯は極めて少なく、子供は皆美しい歯をしております。北欧で虫歯の少ない理由の第一は、土曜日をお菓子の日を決めていて、他の日に甘い物を子供に与えない節度ある習慣にあると思います。

日本では親の教育的態度が確立しておらず、子供を甘やかしたり放任したりしてお菓子を節度無く与えてしまいがちです。

理由の第二は、自然の恵みをそのまま食べる食生活にあります。ジャガイモ、パンを主食とし、魚、肉、野菜などを食材の形が残っているような調理で食べます。自然そのものを食としていれば、体も歯も丈夫になり、虫歯にもなりにくいのです。

第三は健康教育が充実していることです。保健衛生教育、福祉、医療などが充実していることでは有名ですが、衛生意識レベルは相当高く国民に浸透しています。

残念ですが、戦後急速に経済発展を遂げた日本は、物資的には豊かになったものの、国民の健康思想などの立ち後れは明らかで、まだ途上国と考えなければいけないでしょう。

フッ素やキシリトールの使用が虫歯を少なくしていると主張している人がいますが、これは間違いです。それよりずっと昔から北欧の虫歯は少ないのです。キシリトールなどは最近売り出されたばかりです。

③文化的に成熟した家族・民族になろう

私は40カ国あまりをみて回りましたが、虫歯をはじめとする歯科疾患が少ない国は、次の二つのいずれかに属します。

未開民族などに見られるまだ昔からの食や暮らしがあまり変化していない民族や国かまたは長い歴史を経て成熟した文化を築いた国です。

マサイ族やモンゴルの遊牧民、中国の少数民族などが前者に属し、ヨーロッパ諸国が後者の代表です。

物資文化や経済ばかり発展し、文化的成熟が追いつかない国では虫歯が多く、健康的な問題も多く見られるのです。日本、アメリカ、ブラジルなどがその代表で、中国や東南アジア諸国がその仲間に加わりつつあります。

このような現実を考え、日本の地域格差を比較検討すると、私たちがまず始めるべきことは、家族という小世界の文化的質を高め、健康観を充実させていくことであると考えるのです。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋 賢著 現代書館

2008年1月28日 (月)

虫歯はこうして出来る1

本日は、丸橋賢先生の著書「歯で守る健康家族」からお届けいたします。

虫歯はこうして出来る

現代の日本人は、中学生で90%以上の人が虫歯をもっています。他の国と比べ、日本人は虫歯が非常に多く、見た目にも汚い歯をしている民族だと思います。文明国でもヨーロッパなどでは、かなり美しい歯をしていますし、特にノルウェー、スウェーデンなどでは、口元に虫歯が見える人はほとんど見かけません。

このように虫歯の多い日本人も人類学者の研究によるとほとんど虫歯が無かったのです。それが食生活の変化、特に砂糖の摂取量の増加に比例して、虫歯が急増して閉まったのです。

面白いグラフがあります(興味のある方は、本書P48を参照してください)。日本における砂糖の消費量の推移と虫歯罹患率を示したグラフですが、砂糖の消費量と虫歯の罹患数が見事に比例していることがわかります。昭和17年頃から砂糖の消費量が急降下している時期があります。

戦争のために砂糖の消費量が低下したのですが、その時期、虫歯の急減していることが分かります。

①細菌が砂糖を分解すると酸ができ、この酸が歯を溶かして虫歯を作る

虫歯できるためには、細菌と砂糖(蔗糖)が必要です。口腔内にはたくさんの細菌が存在します。細菌は、何かを食べて生活しますが、口腔内には様々な食べかすが残っていて、それらを食べ、発酵させます。発酵の産物として乳酸などの酸もできますが、特にニュータンスなど一部の菌が砂糖を発酵させると、酸がたくさんでき、この酸がエネメル質を溶かして虫歯が出来るです。

歯はとても強いもので、特にエナメル質は自然界でダイヤモンドの次ぎに硬く、とても丈夫です。しかし、弱点があり、酸には溶かされやすいのです。

エナメル質は、主にカルシウムをたくさん含みますが、このカルシウムが酸に溶かされやすいのです。カルシウムが酸に溶かされることを脱灰といいます。

エナメル質が溶かされ、穴が象牙質に達すると、象牙質は有機成分が多く、ここに様々な細菌がとりつき、有機質を腐敗させ、虫歯は急速に進行します。

硬いエナメル質よりも軟らかい象牙質で虫歯は速く進行するため、虫歯は外見上の入り口は小さく、中で大きく進行します。

糖分には砂糖のほかにブドウ糖、果糖、乳糖などがありますが、虫歯つくる力がもっとも強力なのは砂糖で、他の糖はかなり弱くなります。ですから甘いものを食べたいときは、果物などを食べた方が虫歯になりくいのです。

以上の様に虫歯が出来る原理を知れば、虫歯を予防するポイントを知ることになります。虫歯予防にちては後で詳しく述べますが(明日以降)、まず、食生活に注意して硬く丈夫な歯を作ること、砂糖を食べ過ぎないこと、細菌が多くならないように食後に正しいブラッシングを行うこと、が三大原則になります。

②虫歯はこうして進行する

歯は中心に神経(歯髄)その上に象牙質、そして表装にエナメル質という構造をしています。歯冠部の表層は硬いエナメル質で覆われ、その内部は有機質が多く、軟らかい象牙質となっています。そして中心部には血管や神経があり、歯髄と呼んでいます。

脱灰の程度が軽く、虫歯がエネメル質にとどまっている物をC1 といいます。C1では無症状で、しみることもありません。また、C1も軽いうちならば、予防を徹底すれば再石灰化が起こり、虫歯の進行が止まったり、治ったりすることもあります。

虫歯が象牙質に達したものをC2といいます。C2も軽いうちは、しみたりする症状もありませんが、深部に達してくると冷たいものや甘いものを飲食した時、しみるようになってきます。

この状態では虫歯はかなり歯髄に接近しています。削って充填したり、金属冠などを被せたりするのみで治せるのはこの進行程度までです。

C2もさらに歯髄に接近すると冷たいものでなく、熱いものの飲食でもしみるようになります。こうなると特殊な歯髄保護処置をしないと歯髄を助けられなくなる場合もあります。

さらに放置すると、虫歯は歯髄に達します。そうすると歯髄が細菌に感染し、炎症を起こし、歯痛が始まるのです。最初は軽いこの痛みを放置するとまもなく、あのズキンズキンとうずく、激しい痛みになってしまいます。(この状態をC3といいます)

こうなるともう抜髄(神経を取る)しかなくなるのです。これでも治療せずに放置すると歯冠部は崩壊し、歯根しか残らないC4の状態となります。こうなると歯根の中心の穴(根管)を通って細菌が顎骨に達し、腫れ上がることになります。虫歯の各段階で治療方法はことなりますが、それは後でまとめて説明します。

あすへ続きます。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋 賢著 現代書館

2008年1月24日 (木)

口腔ケアで命を救う

本日は東京都立駒込病院歯科口腔外科部長である茂木伸夫先生の著書「歯医者さんにかかると寿命が延びる」から予防の大切さについてお伝えします。

☆口腔ケアで命を救う

日本口腔ケア学会会長の鈴木俊夫先生のお話からですが、「8020運動で表彰された患者さんが体調が悪化して一時寝たきり状態になったため、介護認定を受け、訪問看護で栄養指導も受けるようになりました。患者さんは寝たきり状態になっても《歯磨きと歯石除去》を忘れずに訴え、家族から訪問歯科診療の要望により数回の訪問診療後、体調も好転し再び通院できるようになった。」そうです。

訪問歯科診療と訪問介護のケアの的確なコンビネーションが命を救ったのだと思います。

☆肺炎も降参、口腔ケア

重症な入院患者さんをお見舞いに行って少し話しを聞かされた時、患者さんの口の周辺に何か腐敗臭を感じた経験はございませんか。

おそらく、このアンモニア様のにおいが口のケアをしていないときににおいかと思います。

これは口を清潔に保ち、保湿などに気をつければ、におわなくなると思います。口のケアを怠りますと肺炎、ここ数年、言われています誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)になってしまうかもしれません。

誤嚥性肺炎というのは、本来気管に入ってはいけないもの、例えば食べ物の残りかすなどが気管に入り肺炎を起こすものです。

口や気道で繁殖していた細菌を含む唾液や分泌液や胃液などが気管に入り、その結果、肺炎を起こしてしまいます。誤嚥性肺炎を起こさないためにも、しっかりとした口腔ケア対策が必要であると思われます。

米山武義先生らは「要介護高齢者における2年間の肺炎発生率を調べ、要介護高齢者366名のうち182名の口腔ケアを受けなかった患者さん(平均年齢82歳)のうち34名(約19%)が肺炎を発症し、184名の口腔ケアを受けた患者さん(平均年齢82歳)のうち肺炎を発症したのは21名(11%)であった」と報告しています。

口腔ケアを行ったことでの肺炎発症率がかなり減少していることがわかりました。

☆口腔ケアでは免疫力アップ

中年のある患者さんが都立駒込病院に来院してきた時には、すでに多くの歯が重症の虫歯になっていまして、残せる歯は上顎の前歯2本だけでした。

結核で療養中に調子が悪くなり、歯も磨けなかったそうです。残り2本の歯は十分に大切にするように口腔清掃の歯を全部抜歯いたしまして、義歯を入れました。

今では何でも食べられると喜んでいます。早く歯医者さんに行けば良かったと言っていました。口腔ケアは、口の中の清掃だけでなく、きちんとものが噛めることが出来るまでケアしています。

参考文献 歯医者にかかると寿命が延びる 茂木伸夫著 愛育社出版

2007年12月23日 (日)

生活の中の口腔衛生3

昨日の続きです。

ブラッシングによる清掃法

機械的清掃法とは、歯垢や舌苔(舌背表面の粘着性の汚れ)を、機械的に取り除こうというものであり、歯ブラシを用いる方法が主となります。補助的手段として、デンタルフロス、歯間ブラシなどを用います。

歯科医院で行うPMCT(プロフェッショナル・トゥース・クリーニング)も、この延長線上にある、非常に効果の高い方法の一つです。

現在まで、最も歯垢除去効果の優れたブラッシング法はバス法であり、多くの歯科医院において成人にはバス法を中心に指導していますが、操作が難しく、マスターするまでには歯科医院にてブラッシング指導を受ける必要があります。

1)歯ブラシの選択

最近では電動歯ブラシについての質問が多く「使って良いものか」あるいは、「何を使えばよいか」と聞かれます。

著者も朝・昼のブラッシングには電動歯ブラシ(厳密には音波歯ブラシ)を使っており、電動歯ブラシを否定するものではありません。著者のクリニックでは、以前に市販電動歯ブラシの一覧表を作り、推奨できる製品をリストアップしたことがありますが、電動歯ブラシのモデルチェンジが早く、中には同一の製品名で全くシステムが変わってしまうものも見受けられました。

したがって、現在はどれがよいかといったアドバイスは出来ないのが実状です。著者は、朝、昼を人前に出るためのエチケットとしての歯口清掃、夜を一日使用した歯・歯肉をケアするための歯口清掃と2種類に分けて考えています。

その意味では、エチケット用のアイテムとしては利便性が高いのです。ただし、一日一回は、手用歯ブラシとともに、デンタルフロスか歯間ブラシ、さらに洗口剤まで使用して手入れする必要があります。

デンタルフロスの効果は、歯ブラシとの併用で90%の歯垢除去率があります。

また、最近は、ティートリー(オイル)、ペパーミント(フレーバー)などフレーバー付きやエッセンシャルオイルを含有させたフロスが多く市販されるようになり、むしろ香りのないタイプのほうが少数になりました。

参考文献 オーラルケアのためのアロマサイエンス 千葉栄一著 フレグランスジャーナル社

2007年12月22日 (土)

生活の中の口腔衛生2

昨日の続きです。

口腔衛生の種類と実践

成書によれば、口腔衛生とは「歯と口腔の疾病を予防して、それらの健康を保持増進し、間接的に全身の健康を保持増進することを目的とすること」とあり、実際に口腔の健康を保持増進するための方法を、我々は歯口清掃と呼称しています。

歯口清掃とは、歯科疾患あるいは口腔経由疾患の予防のために、口腔内で行われる総ての処置を意味します。歯口清掃の方法は以下の様に分類します。

  • プラークコントロール(う蝕、歯周病の予防)1)自然清掃法2)機械清掃法3)化学清掃法
  • 含嗽(口腔、咽頭の清掃、予防)
  • 消毒・外用薬(口唇、口内炎の治療)

今回は、プラークコントロールの機械清掃法までお伝えします。

「スローフード運動」の歯科的効果

自然清掃法とは、咀嚼、唾液などと共に、飲食物による清掃作用がこれに含まれます。最近活発になってきた運動で、「環境白書」も推奨している「スローフード運動」などは、運動の主旨とは異なるが、歯科的な見地からは、まさにこの清掃性を合致しています。

「食事くらいはゆっくり食べましょう」というスローフードの提案は、健康のためだけではなく、環境に負担をかけない生活も目的とされます。

1986年のイタリア北部のブラという小さな町で生まれた、伝統的な食材や料理を守り、ゆっくり食事を取るほかにも、子供達も含めた消費者に味の教育を進めるといった、スロ-フード運動は欧州に広く浸透しました。

フランスでも10年前から「味覚のレッスン」という活動が起こり、その活動内では実際にハーブを嗅がせて香りを体験させたり、何が身体に良いのかなどを教えています。

ファーストフードと異なり、粘着性の少ないスローフードは、特に新鮮な野菜や果実が有用な清掃食品になることが認められており、活発な咀嚼や味覚障害による唾液流出量の増加と、これに続く嚥下により、口腔内の不潔になりやすい因子を除去します。

歯磨きは主としてはおよび歯肉に対して、行われるものであり、口腔内全体の清掃はしておらず、スローフード運動の歯科的効果は大きいのです。

Knightonは、被験者に酵母菌を食べさせた2時間後に、食材などを食べた場合と歯磨きをした場合とを、酵母菌の減少率にて比較する実験を行いました。この結果、歯磨きよりも、食品(バナナ、オレンジ、ガム、リンゴ)を食べたり咀嚼した方が、清掃作用が強い事がわかります。ただし、この実験は、元来口腔内に存在しない菌を用いた条件であり、歯垢(デンタルプラーク)に対する結果ではないですが、リンゴや梨、あるいはお新香などを食事の最後に食べることは、以前から有効な清掃法として我が国でもよく知られていて、各地で実施されています。

2005年7月、健全な食生活を育成、教育するために、家庭・学校・地域社会の中心に「食育」を推奨し、国や自治体が取り組む事を定めた、「食育基本法」がようやく実施されました。食育を智育・徳育・体育の基礎となるものと位置付け、食に関する知識と食を選択する能力を身につけ、健全な食生活を実践できる人間を育てることを目的としています。

我が国では、O-157、BSE、鳥インフルエンザ、SARSなどという専門用語が何を意味するものなのか誰もが知っているほど、食の安全性に問題が生じ、さらには偽装表示などという悦の問題まで露呈てしています。

ものような状況に追い込まれたことにより、ようやくスローフード運動に準じたものが、我が国でも法政化したのかと思い、内容を確認すると、上記のような食の安全性を中心とした項目はあるが、食の基本であり、またスローフード運動の基本でもある、「噛んで食べる」ことに関しての、歯科的あるいは口腔衛生の観点からの言及はありませんでした。

「食育」とは「何をどのように食べるか」に集約されると考えるがどうでしょうか?「食べる事は身体的・精神的に健康的な状態を維持するための基本的な活動」と日本学術会議でも位置づけられており、健康長寿に必要なのは、「噛んで食べる」ことに他ならないのです。

この趣旨から厚生労働省を主体に、8020運動(80歳で20本以上保有する)も現在展開しています。したがって、咬合・咀嚼の専門家である歯科医師の立場から見た食育基本法は、現時点では完成度の低いものにしか映らないのです。

ただし、本法の成立を機に、欠損部を補うためにも歯科の専門家を積極的に呼び集め、「噛んで食べる」ことを重要視した食育が、将来は広く実施されることを期待します。

明日へ続きます。

参考文献 オーラルケアのためのアロマサイエンス 千葉栄一著 フレグランスジャーナル社

2007年12月21日 (金)

生活の中の口腔衛生1

本日は、千葉栄一先生の著書「オーラルケアのためのアロマサイエンス」からお届けいたします。

口腔衛生の起源

仏陀(BC566~486)が仏法を説いて回っていた頃、仏陀は弟子達に口臭がひどいため、歯磨きなどの口腔衛生法を積極的に指導したことが知られています。

当時、歯磨きに使用した木(木の枝)の事をサンスクリット語でダンタ・カーシュタといい、中国に伝わった時に、歯木や楊枝と訳しました。このダンタが英語のDental(歯科)の語源とされています。

歯木としては、インドセンダン(ニーム)のテーマである口腔衛生の起源の一つとなっています。この逸話から、人類は実に二千五百年以上前から、歯を磨いていたという事実とともに、当時から口臭に悩まされていたことも、同時に理解できます。歯を磨く思想は、その後インドから仏教をともに中国、朝鮮を経て、552年には日本にも伝えられたのです。

ちなみにセンダン(栴檀)について辞典で調べてみると、白檀のい異称とありました。白檀という名称からなら、多くの方がサンダルウッドというアロマテラピーのエッセンシャルオイル名をすぐに思い浮かべるでしょう。もちろん、近親種程度に捉えるべきです。

サンダルウッドの主な産地はインドであり、芳香性が強く、主要成分としてセスキテルペンアルコールを多く含有しており、消毒効果も期待できるため、当時としては最適な歯ブラシとなったと思われます。

このように口腔衛生と、広義に解釈したアロアテラピーは、その起源からかかわりをゆうしています。

明日へ続きます。

参考文献 オーラルケアのためのアロマサイエンス 千葉栄一著 フレグランスジャーナル社

2007年11月18日 (日)

放っておくと死ぬ?

本日は、花田信弘先生の「もう虫歯にならない!」からお届けいたします。

放っておくと死ぬ?

誰でも内臓の具合が悪ければ、お医者さんに行って検査を受けたり、薬を飲んだりします。ところが、虫歯となると、本当に痛くなるまでなかなか歯医者さんに行かないようです。

それは「虫歯で死ぬわけじゃない」「たかが虫歯」という気持ちがあるからではないでしょうか。

確かに、虫歯は生死にかかわるものではないかもしれません。しかし、考えてみてください。手や足が傷ついたときは消毒するはずです。それは細菌が傷口から入って、血管を通して体全体に回らないようにするためです。

虫歯も傷です。しかも歯の部分に囲まれて、自然にふさがることのない特別な傷だといえます。

口の中にたくさんいる細菌が虫歯の穴を通して血管中に入っていきます。この状態を菌血症といいます。さらに、感染が進んで血液中の細菌が増えると、敗血症になり、今度は血液を通して細菌が全身に運ばれるため、多臓器不全を起こして死に至ってしまう。そんなことも絶対ありえないことではありません。

それは少々オーバーな話だとしても、虫歯の傷口から絶えず侵入してくる多くの微生物と常に闘うことで、体の抵抗力という貯金を減らしてしまうことは確かです。

抵抗力という兵士をたくさん使ってしまうと、虫歯菌よりもっと深刻な病原菌が入ってきたときに使える兵士が減ってしまっていて、ガクンと体力を落としてしまうことになります。虫歯のような、治療すれば簡単に治せるものに大事な抵抗力を使ってしまうなんてバカバカしいではありませんか。

口の中にはたくさんの細菌がいます。いままでは、それらの細菌が病気につながるとは考えられていませんでした。しかし、最近の研究で、川崎病の原因は口腔細菌である溶連菌が外に出している毒素であることがわかりました。1億個以上もある口の中の細菌が、虫歯を通して全身に広がって行くことで、健康障害を起こすこともあると考えられるようになっています。

ただし、口腔細菌のうち、この細菌がこういう病気をもたらすというふうに、細菌と病気の関係はまだすべて解明されていませんが、細菌自体ではなく、細菌が作り出す毒素に問題があるということはわかってきています。

ただし、口腔細菌のうち、この細菌がこういう病気をもたらすというふうに、細菌と病気の関係はまだすべてが解明されていませんが、細菌自体ではなく、細菌が作り出す毒素に問題があるということはわかってきています。

口の中にいる細菌だけでなく、インフルエンザ、はしか、百日咳など多くの感染症は、口を介してうつる経口感染です。病原体の体への侵入口は、目、鼻、生殖器、そして口です。健康な皮膚からは入ってきません。

目や鼻、生殖器は粘膜によって守られていますが、口は大きな侵入口にしては守りが甘いといわざるをえません。

参考文献 もう虫歯にはならない 花田信弘著 新潮文庫

2007年11月 2日 (金)

歯ブラシの取り替え時期

本日は、日経新聞10月13日分の「くらし知っ得 REAL  SIMPLE japan」からお届けいたします。

歯ブラシの取り替え時

毎日使っている歯ブラシ。一般に歯ブラシの毛先が開いたら交換時期と言われますが、実際にはたまたま気がついた時に交換しているケースがほとんどではないでしょうか?

歯ブラシは毛先で汚れをかき出すものなので、毛先が寝てしまうと効果が落ちます。歯磨きの際にブラシを軽い力で当てるようにと言われるのは、歯肉に負担をかけないためでもありますが、汚れをよく落とせるように毛先を寝かせないためためなのです。

具体的には歯にブラシを直角に当てて1本づつ磨くような意識で、小刻みにそれぞれ10~20回、左右に動かします。歯と歯の間など狭いところはデンタルフロスや歯間ブラシを使うようにしましょう。

交換時期を見極めるためには、毎日歯磨きが終わるたびに毛先を確認する必要は無いが、「目安として、自宅で朝晩使っているものなら新品をおろして1ヶ月後、職場で昼休みのみに使うものなら2ヶ月後には毛先を確認しよう」」とライオン広報部の紙谷成子さんはアドバイスします。

歯周病対策用の毛先が超極細のタイプは毛先がカールしてきたら取り替え時期です。

歯ブラシは衛生上、歯磨きが終わったら良く洗ってから乾かすのが鉄則だが、ブラシの付け根に汚れがたまった時も交換のサインです。旅行の外出さきなどで携帯用の歯ブラシを使っていて、乾かす時間が場合は、タオルで水気をおとしてからしまい、帰宅後にケースから出してしっかり乾かすようにすると長く使えます。

定期的に歯ブラシの状態を点検することが毎日気持ちよく歯磨きする秘訣となります。

リアルシンプルジャパン編集部

2007年10月22日 (月)

自覚症状が出たときは重度の歯周病

本日は、熊谷先生の著書「歯科 本音の治療がわかる本」からお届けいたします。

☆歯周病は自覚症状がない病気です

歯周病は、歯を支える骨が溶けてしまう病気です。でも、骨が溶け始めても痛くもかゆくもありません。かかり始めは、指でゆすって歯が揺れることもありません。痛くなったり、歯肉から臭い膿が出るようだと、もう重症です。かかりつけの歯科医院で定期的なケアを受けている人は良いのですが、そうでない人は、重症になってはじめて病気に気づいて歯周病の治療を始めているのが現状です。

指で動かして、歯が揺れるようになったら歯周病の末期ですが、こうなってから慌てて受診すると治療をする度に歯を抜かれる羽目になります。ここで「ひどくなったら抜歯になる」「歯槽膿漏は治らない」という誤解が生まれたのです。

末期の歯周病は手の打ちようがありません。歯を少しでも残したければ必死でブラッシングする以外にないでしょう。臭い、噛みにくい、見かけが悪いという具合で快適にはなりませんが、生活を犠牲にして努力をすれば何年か歯を抜かずに維持出来る場合があります。それで、「歯槽膿漏は抜かずに治せる」という期待が生まれました。

☆歯医者さんも気づかない?

歯周病は自覚症状がないので、患者さんが気がつかないのは無理もないことですが、残念なことに歯医者さんも気がつかないことが多いのです。患者さんにも歯医者さんにも「かかりつけ」のつもりがなければ、たとえ歯科医院を受診したとしても歯医者さんは歯周病に気がつかないかもしれません。

というのは、かかりつけ歯科医でなければ患者さんの訴えがないときに歯周病の詳しい検査はしないのです。目立たない病気ですから、詳しい検査をしなければ、かかり始めの歯周病を見つけることはできません。歯を支える組織の破壊は、ひどく進む時期と安定している時期を繰り返して進みますが、安定期には目立った自覚症状はありません。

☆早期発見・早期治療

重症になって、「名医」を求めて、たくさんの時間とお金をかけて治療を受けても、治療結果で確実なことは、数年で必ず再治療が必要になる-優秀な臨床医も学者も、そして患者さんもそんな歯周病治療を普通のものだと勘違いしてきました。

そして、多くの患者さんは、治療をあきらめて、簡単に抜歯して入れ歯にしてしまっているのです。しかし、家族でかかりつけ歯科医をもって、歯周病を初期の段階で見つけて、早期の治療をすれば、歯周病は簡単にコントロール出来る病気なのです。

参考文献 「歯科」本音の治療がわかる本 熊谷崇・秋本秀俊 共著 法研

2007年10月 4日 (木)

歯周病の予防はますお口の清掃から2

昨日の続きです。

歯ブラシの効能

さて、それでは歯ブラシの効果ですが、私たち歯科医はお口の汚れ、特に歯と歯肉の汚れを「染め出し」によって評価しています。普通、歯科医は食品添加物に使われる色素が入った専用の染め出し液を使用し、米国のオレリーという歯周病医が考案したプラークコントロール・レコードという記録方法を用いて歯の表面の染め出された面の数に対して、歯の数掛ける4面で割った数字で評価するのです。

たとえば、すべての面の4つの面が染め出されたとすれば、100%ですし、すべての歯の2つの面が染め出されたとすれば50%、と言うことになります。つまりプラーク・コントロール・レコード=染め出された歯面の数/(歯の数X4)となります。

この評価方法が歯周病の治療に導入されてずいぶん経ちますが、一つだけはっきりと分かったことがあります。それは、いくら頑張って歯ブラシをしても0%にはならない、という事でした。私自身も長い臨床経験で体験済みです。つまり、私たちは歯ブラシだけでは完璧にプラークを取り除く事はできないのです。

完璧に取り除く事の出来ない理由の一つには、おそらく歯の形に問題がありそうです。特に奥歯は歯肉との境目の少し上の部分が最も大きく膨れたようになっています。ですから、ちょうど突き出た岩の様になっていて、その下の部分はどうしても歯ブラシが届きにくくなってしまいます。

もう一つの問題は歯と歯とが接触している部分です。この接触部分は人それぞれ大変個性があって実に複雑です。面と面の広い面積で接触している人もいれば、わずかな点で接触している人もいます。

まや、虫歯の治療で冠を被せてもらったりすると、人工的にいろいろな形の接触形態になってしまいます。ところがこの接触している部分が大変汚れやすいのです。ます、歯ブラシで完璧に磨くことは不可能です。

若い人は「歯間乳頭」という歯肉が歯と歯の間を埋めていて簡単には食べ物がその部分に入らない様になっていますが、年をとって来るとどうしても歯肉がやせて歯と歯の間に隙間が出来るようになります。そうすると歯の接触している部分にバイオフィルムが発生し歯周病に罹りやすくなります。ですから、その部分をいろいろな補助器具を駆使して清掃する必要が出てきます。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 宮田隆著 医歯薬出版

2007年10月 3日 (水)

歯周病の予防はまずお口の清掃から1

本日は、宮田隆先生の著書よりお届けいたします。

歯周病は感染症で、それも深刻な感染症であることは何度も強調しました。そして、その感染源は細菌達の集合住宅であるバイオフィルムにあり、その中に潜む歯周病菌であることもお話しました。ですから、その歯周病菌が繁殖しないような状態を常に保っていれば理論的には歯周病にはならないはずです。

ただし、これもすでにお話しましたが、私たちの数%、おそらく7~8%ぐらいの人は、どうやらもともと遺伝子的に歯周病に罹患しやすい体質を持っていて、なかなか歯周病から逃れることが出来ないようです。

しかし、残りの90%の人たちは、バイオフィルムさえ駆逐すれば(あくまで理論的には、ですが・・)歯周病にはならないはずです。

ただ、残念ながら生まれて死ぬまで完璧にお口の清掃を出来るかたなどいませんし、さらに加齢現象の様々な影響で私たちは知らぬ間に歯周病に罹ってしまっています。問題は、どうそれを最小限の被害でとどめるか、ということでしょう。

歯を良く清掃し、お口の中を清潔に保つことは、私たちの身体に多くの効能があります。もちろん、虫歯にもなりにくくなります。虫歯の原因は歯にこびりついた食べかすに繁殖した虫歯菌が原因ですから、そういう意味では予防はそう難しいことではありません。

虫歯菌が繁殖して大量の酸を出し、PHが5.5以下になると歯の表面が脱灰し始めます。ですから、その前に歯をきれいにしておけば虫歯にならないことになります。

しかし、歯周病の場合、歯周ポケットが出来てしまうと、歯ブラシだけでは歯周病の進行を止める事はなかなかできません。

こういうふうに考えたら如何でしょう。ます、歯周ポケットがない状態では、歯と歯の周りの清掃は大変効果があります。しかし、運悪く歯周病菌に感染して歯肉が腫れたり、わずかな歯周ポケットが出来てしまうと、清掃だけを目的とした歯ブラシだけで治すのは難しくなります。

清掃プラスちょっとした工夫が必要となります。その「工夫」についてはあらためてお話します。

さらに、歯周病が進行してはっきりとした歯周ポケットが出来てくると、歯ブラシによる清掃だけでは決して治りません。もちろん、しっかり歯ブラシしてお口の中をきれいに保てば歯周病の進行を遅らせることは可能です。しかし、あなたが体調を崩したり、何かの原因で免疫力が落ちたときに、歯周病は確実に、そして急速に進行してしまいます。つまり、歯周ポケットがあるかないかで日常のケアの考え方が全く違う、ということなのです。ただし、あなたは自分で歯周ポケットがあるかどうかは分かりません。もちろん、歯周病の得意な歯科の先生に診察してもらい、歯周ポケットを測定してもらうのが確実ですが、歯ブラシをすると「出血」する、という兆候で自分も歯周ポケットの有無程度の判断は出来ます。

よくテレビでも「歯肉からの出血」が歯周病の危険信号といったコマーシャルを耳にしますが、それはその通りなのです。

歯周病がもっと進行するうがいぐらいでも出血することがあります。ですから、歯ブラシの後や、うがいで出血したら、まず歯周ポケットがあると判断すべきでしょう。

明日へつづきます。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 宮田隆著 医歯薬出版

2007年10月 1日 (月)

口の中は細菌の巣窟

本日は、波田野先生の著書「歯から始まる怖い病気」からお届けいたします。

口の中は細菌の巣窟

歯は賢固な城壁に守られています。

表側に見えているエナメル質という丈夫な帽子の部分と、歯が埋まっている歯肉と歯を支える骨に取り囲まれて、歯はがっちりとガードされている。鉄壁な守りなので、絶対に大丈夫だろうと油断していると、いつの間にかエナメル質の一部が溶け出して、虫歯に成っています。

きちんと歯を磨いているのにおかしいな、と思うことがあるかもしれませんが、歯磨きは適切な場所を、正しく磨かなければ効果がない。

歯を磨くというのは、歯の表面にブラシを掛けることではなく、ましてや食べかすを除去するために行うのではありません。

もちろん、食べかすが残っているのは困りますが、大切なのは歯と歯の間や歯と歯肉の境目に生息している細菌を取り去ることです。そこがしっかり磨かれて、細菌がいなくならなければ目的は果たせません。歯を磨いていたとしても、虫歯になってしまうのです。

歯と歯の間に白っぽい粘りのあるものがついていることがあります。ほとんどの人の歯についているはずです。それを取って顕微鏡で見ると、たらこの粒のような丸いものや糸くずのようなものが動いているのが見えます。もっと拡大すると、真珠のネックレスのように繋がっていたり、ぶどうの房のような形、あるいは棍棒が連なっているようなものもあります。これら統べたが細菌です。

細菌は、1ミリメートル角の升に、一億匹入る大きさと言われています。もちろん、人間にとって有益な細菌もいれば、悪さをするのもいる。日和見菌といって、通常は関係ないのですが、ある条件になるといきなり悪さをする細菌もいます。

どの細菌にも共通していえるのは、増えるスピードがとにかく速いということです。ひとつの細菌は、30分で2個に分裂します。その後、4.8.16と2の2乗で増えてい来ます。

ひとつの細菌が24時間後には275億個になっているということになります。

口の中全体を考えると、いったい何億の細菌が生息しているのか想像もつきません。この細菌の大群の中に虫歯の原因菌もいて、虎視眈々と活動の機会をねらっているのです。

参考文献 歯から始まる怖い病気 波田野尚樹著 祥伝社新書

2007年9月18日 (火)

いろいろな感染症

本日は、宮田隆先生の著書「歯周病の本当に怖いわけ」からお届けいたします。

いろいろな感染症

歯周病は感染症です、などというと、あなたはマラリアや結核と同じ恐ろしい伝染病を想像するかもしれません。

歯周病は伝染こそしませんが、実は恐ろしい感染症であることにはかわりがないのです。

感染症というのは「病原性を有する微生物が体内に入り、そこで定着、増殖し特定の局所あるいは臓器に障害を引き起こすこと」と難しく定義されていますが、要するに細菌やウィルス、原虫など微生物が引き起こす病気で、生活習慣病や糖尿病などとは全く違う病気です。

少し感染症のことをおさらいしてみましょう。

端なる風邪と思われがちなインフルエンザは、世界中に広がるウィルスが原因の大変怖い感染症です。

1918年に大流行したスペイン風邪というインフルエンザでは、世界中で2.500万人が感染によって命を落としました。日本でも38万人が犠牲になりました。

いま、鳥インフルエンザが人に感染するのではないかと、世界中の保険機構が監視の目を光らせているのはご存じだと思います。

マラリアは特に発展途上の国々の人たちを悩ませる感染症ですが、以前は先進国でも猛威をふるっていました。マラリアはウィルスや細菌より大きい原虫という微生物から感染します。

マラリア原虫はハマダラカという蚊の唾液腺に寄生しています。ハマダラカは夕方に活発に活動して雄と雌が交尾します。妊娠した雌のハマダラカは、栄養が必要なため人の血を吸います。その時に唾液腺に寄生していたマラリア原虫を人に体内に注入するのです。

ですから、刺すのは雌だけです。著書らの歯科医学教育国際支援機構による現地活動のように熱帯で仕事をしていると、日の沈む前後には蚊に刺されないよう特別注意します。

マラリア原虫は最初に肝臓に侵入しますが、その後、赤血球を新たな寄生場所とします。

その時に高熱がでます。熱帯熱マラリアとか三日熱、四日熱マラリアと呼ばれるのはこの時期です。ですからマラリアは、赤血球が破壊されるため、ひどい貧血症状を起こします。アフリカでは貧血になった子供達に輸血をして、そこから今度はHIVに感染してしまうなど悲劇も起きています。

AIDS(後天性免疫不全症候群)を発症させるHIVもウィルスです。ウィルスは細菌よりさらに小さい、最も小型で細胞構造を持たない単純な生物です。いや、ウィルスの構造から無生物という考え方もあるくらいです。

また、遺伝情報を伝える核酸であるDNAかRNAのいずれかしかもっていませんし、自分でエネルギーを出して増殖する能力もありません。ですから、いつまでも他の細胞に寄生していないと生きていけないのです(これを専門的には偏性細胞寄生虫といいます)。

HIVは免疫を担当するT細胞に寄生します。そのためHIVに感染すると免疫が働かなくなり、多くの人はAIDS になってしまうのです。

私たちに身近な感染症として最近注目を集めているのが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となるピロリ菌でしょう。

ピロリ菌も歯にこびりついた歯垢からも感染することが示唆されています。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 著者 宮田 隆 医歯薬出版

2007年5月31日 (木)

丈夫な歯を保つには・・・・。

本日は、日本経済新聞5月27日付けに載った新聞記事からです。

丈夫な歯を保つには・・・。

歯みがきに使う歯ブラシや歯磨き粉、洗口液。ドラッグストアへ行くと、口腔ケア用のさまざまな商品があふれています。

どれを使えばいいのか分からず、迷うこともおいでしょう。歯の健康を守るには目的にあったものを選ぶことが大切です。

歯ブラシは、毛の太さや硬さ、並び方などが異なります。硬いほど汚れを落とします。ヘッドの大きさは歯2~3本にあたる位が磨きやすいです。毛の並ぶ列が多いほど磨く時間が短くて済みます。

一番奥の歯が歯肉と接する側面部がもっとも虫歯になりやすいです。この奥歯は40歳以上の大半が虫歯だと言われています。

ライオンのオーラルケア研究所の氏家高志所長は「ここをケア出来るように歯ブラシを選び、当てる場所を意識して使うといいですよ」と助言します。

最近人気の電動歯ブラシは当て方などを正しく使えば効果的という意見が歯科医の間にも多い。

高速振動で発生する水の力によって、歯ブラシでは届かない汚れにも効果があるとの研究報告もあります。

鶴見大学の新井高教授が電動歯ブラシの効果を調べた世界中の研究を集めたところ、手磨きや電動歯ブラシ、超音波歯ブラシなどの効果に差はありませんでした。

「手で正しく磨くと5~6分かかるものが、電動だと約2分。ただ、道具よりも磨き方が重要であることにはかわりがありません」(新井教授)

中高年が気を付けたいのが歯周病です。歯肉がやせて歯と歯肉の間の溝が深くなり「歯周ポケット」が出来ます。

歯垢や汚れが溜まりやすく、歯ブラシではなかなか落ちにくい。毛が柔らかくて、毛先の細いタイプを選び、時間をかけてゆっくりと磨くといいです。

歯と歯肉に挟まれた「三角地帯」の汚れは特に磨きにくいものです。歯間ブラシで力をかけすぎずに回しながらすき間をきれいにする。最初は直径0.8㎜くらいが目安。すき間は場所によって違うので、一人で何本も使い分けるのが良いです。

歯間ブラシが入らない場所はデンタルフロスを使います。歯肉を切りやすいので歯科医に使い方を教えてもらいましょう。

洗口液~夜寝る前の歯みがき後に~

歯みがき効果を高めるために洗口液を使う人も増えてきました。歯周病、虫歯、口臭予防など用途別にありますが、口内の菌を減らしたり、除去しやすくするのが主な役割で、歯みがきの変わりになるものではありません。あくまで補助的なものと覚えておきましょう。

花王パーソナルヘルスケア研究所の前田室長は「使いすぎると口の中の善玉菌まで死滅してしまいます」と注意を促します。

新たに口内に入った細菌で炎症などを起こすこともあるといいます。就寝前の歯みがき後に使うのが良いでしょう。

歯磨き粉や洗口液は医師の処方する医薬品もありますが、大半は薬効成分を含む「医薬部外品」と含まないで口臭対策の清浄剤などからなる「化粧品」に分かれます。購入の際に、表示をきちんと確かめることも大切です。

2007年5月26日 (土)

歯並びと虫歯の関係

歯並びを良くすると多くのメリットがあります。

なぜなら、歯並びが悪いデメリットを克服しているからです。

歯並びが悪いといくつかのデメリットがあります。その中の一つに虫歯との関係があります。

今回は、それを考えてみましょう。

①歯のすき間などに歯垢がたまりやすい。

歯がきちんと並んでいないという事は、それだけブラシが届かないすき間が多くなると言うことです。そのため、歯みがきをしても歯垢が溜まりやすく、虫歯になりやすくなってしまいます。

②噛み合わせがうまくいっていないため、歯が痛みやすい

歯並びが悪いと噛み合わせがずれてきます。なぜなら、歯並びが悪いときには、歯の「押しくらまんじゅう」が起こって、奥歯から順番に前の歯を押してくるので、歯が傾いてくるからです。

噛み合わせがずれてくると、噛んだときに特定の歯ばかりに負担がかかるので、その歯が痛みやすく、虫歯になってしまう可能性があります。

それともう一つ、歯が傾いていると、歯の根元を支えている部分の負担が大きくなって、歯が痛みやすくなります。歯はもともと垂直に生えています。上の歯と下の歯が垂直に生えている場合は、強い力で噛んでも歯の付け根には力が分散されさほど大きな力はかかりません。

このことは、机に削っていない鉛筆を垂直に立てて、机に接している所を片手で支えて、もう一方の手で真上から押してみるとよく分かります。真上から強い力で押しても、支えている手には力を入れなくても鉛筆が倒れることはありません。

しかし、鉛筆をすこし傾けて、同じように真上から押してみると、今度は支えている手に力を入れなければ、鉛筆は倒れてしまいますね。

これは、歯も同じです。傾いていると、垂直の時のように強く噛もうとすると、歯の根元には大きな力がかかって、痛むのが早くなってきます。

また、歯が傾いてその後ろの歯が、噛み合わせ面より早く当たるようになると、奥歯のあたる部分が痛みます。

このように、噛み合わせがおかしくなると、不都合が起こるのです。

矯正によって、歯並びを治す時は、このように倒れた歯をまっすぐにする治療法をおこなっています。これは、歯を健康に長持ちさせるために治療でもあるのです。

参考文献 抜かずに治す「歯並び」なっとくBOOK 岸本雅吉著 海苑社

2007年5月16日 (水)

歯磨き粉の量は?

今回は、波多野尚樹先生の著書「歯から始まる怖い病気」からお送りします。

大量に歯磨剤を使うと歯が悪くなる?

歯を守るには、とにかく歯を丁寧に磨くことです。食後、食前、就寝前と気が付いたら歯みがきをすつ習慣を身につけるだけで、バイオフィルム(虫歯菌の塊)を取り除くことができます。

この場合、注意しなければならないことがあります。

日本人は歯磨剤が好きなようで、年間の使用量は70576トンで、世界でも有数の歯磨剤大国です。

しかし、本当に歯を大事にしたいと思ったら、歯磨剤を大量に使わないことです。

歯磨剤をいっぱい付けて使う人ほど、歯が悪いのです。

歯科剤の中身は、大部分が糊(のり)でそれに炭酸カルシウムやリン酸カルシウム、塩、アパタイトなどの研磨剤の成分が混ぜてあります。これに、界面活性剤、保湿剤、結合剤、発泡剤、香料、色素などを加えて販売されています。

ペパーミントのさわやかさと発泡剤の泡で口の中が満たされると、もう充分にブラッシングした気分になって歯みがき時間が短くなってしまいます。

最低、10分は磨かないと細菌の除去は難しいのに、短時間で歯みがきが終わってしまうので、当然磨き残しが出ます。本人にとっては口の中はさわやかな気分なので、磨き残しに気が付かない。これが問題なのです。

もちろん、歯磨剤はまったく効能がないわけではないのです。

歯に付いた茶渋やたばこなどステインと呼ばれる着色しみを削り取るには、歯磨剤を使用すると良く取れます。

しかし、あまり大量に使うと歯が削れてしまうので、歯ブラシの先端にせいぜい枝豆一つ分程度で充分で、それ以上使う必要がないのです。

虫歯や歯周病は感染症なので、もし細菌をコントロールしようと思ったら、抗生物質や殺菌剤で菌の動きを封じ込めるしかありません。

ところが、口の中には悪い菌だけが住んでいるわけではなく、人間に有益な菌もまた数多く生息しています。もし、殺菌剤を口に入れてしまうと、悪い菌は死ぬかもしれませんが、有益な菌も死んでしまいます。

舌や食堂などの軟組織も同時にダメージを受けてしまうでしょう。

細菌は微妙なバランスを保ちながら生きている

仮に100種類の菌が生息しているとして、ある種の細菌に効果のある抗生物質を投与すると、その細菌は死ぬかもしれませんが、口腔内の細菌のバランスが崩れて、もっと別の悪さをする細菌が勢力を伸ばしてしまうかもしれません。もしくは、抗生物質に抵抗性のある耐性菌が出来てしまったら、もはや駆除することは出来なくなります。

つまり、毎日習慣的に薬物を使うと、思わぬ病気が発症しないとも限らないのです。しかも抗生物質は医師の処方箋が必要なので、歯磨剤の中には入れることは出来ません。

つまり、歯磨剤には細菌に対して効果があるものは、一つも入っていないということになります。

しかし、歯磨剤で歯を磨くと、ペパーミントの香りが口いっぱいに広がり爽快感を感じます。口の中がすっきりした感じがして、歯を磨いたという達成感さえ感じます。

実は、これが問題なのです。

歯を磨く目的は、あくまでも歯と歯の間や、歯肉との境目のプラークを取り除くことなのですが、ペパーミントの刺激によって、唾液腺が刺激され大量の唾液が出てくるのでゆっくり歯を磨いていられないのです。

歯を一本一本丁寧に磨かなければならないのに、発泡剤で口の中は泡だらけ、ペパーミントの香りだけで気分はすっきりになる。歯をしっかり磨いたわけではないのに、気分だけは歯みがきをしたいという達成感があるという状況が起こっている。

歯磨剤を使うのは、歯に着色したステインを落とすときと、ニンニクなどにおいの強い食品を食べた後のエチケットのときだけで、後はごくごく少量にすることが、歯を守る秘訣であります。

参考文献 歯から始まる怖い病気 波多野 尚樹著 祥伝社

2007年5月15日 (火)

キシロトールの口腔内環境改善効果

本日は、デンタルトリビューンからのトピックです。

砂糖に代わる甘味料として利用されるキシリトールに、口腔内環境を改善させる可能性があることが、最新の研究により示唆されました。

これまでにも、キシリトールは比較的少量で口腔内の細菌叢を変化させることが明らかにされています。

スウェーデンの歯科医師でウメア大学小児歯科分野の大学院生であるPernilla Lif Holgerson氏は、このほど行った研究で、キシリトールの摂取量を相対的に多くすると、口腔内の酸生産量が減少する可能性があることを示しました。

同氏が小児および青少年を対象に行った一連の研究では、キシロトールの1日あたりの摂取量を3.4gにすると口腔内の有害な数は減少するものの、歯垢中の乳酸産生量に変化は認められなかったのです。

また、別の研究では、キシロトールの摂取量を増加すると、歯垢の酸性度が低下することが明らかにされています。

今回の研究では、7~12歳までの128人の小児に1日3回チューインガムを食べてもらいました。

これによるキシリトールの摂取量は、1日当たり6gに相当します。4週間後、齲蝕起因性の細菌はおよそ3分の1に減少したが6ヶ月後には有害細菌は元の水準にもどりました。

研究期間中、キシリトールによる消化器系の問題は認められず、その他の副作用も観察されませんでした。

☆しろくまより一言

この研究は、大変有意義なものと感じますが、キシロトールを投与した期間が明記されていません。これにより、すこし混乱が生じるおそれがあります。この問題について、また詳細が分かりましたら、またこのブログでお伝えできればと思います。

2007年4月 9日 (月)

歯は老化ではなくならない

今日は、山形の酒田でご開業されている熊谷先生の著書からご紹介いたします。

人が歯を失う理由

多くのお年寄りが入れ歯になっているので、年を取ると歯が無くなるのが当たり前と勘違いしている人が多いかもしれません。でも、歯を失う理由は老化ではありません。かかりつけ歯科医院で適切なケアを受けていれば、年を取って入れ歯になる事はありません。歯が無くなる理由は他にあるのです。

日本人の虫歯の状態と変化

過去の虫歯の経験はDMFTという指数で表します。

  • D(虫歯の穴のある歯の数)
  • M(失った歯の数)
  • F(詰められた歯の数)

上記の物を合計した物がDMFTです。

ちょうど、20歳の日本人は、DMFTが9.2。虫歯の経験が一人平均9.2本あるということになります。

虫歯のリスクコントロールが進んでいるスウェーデンと比べてみましょう。30年くらい前はたいして違いが無かったのですが、スウェーデンの指数は毎年のように下がって、1999年には4本以下。ずいぶん大きな差になってしまいました。

1本も虫歯がない人は、日本人では25人に1人、スウェーデンでは5人に1人です。

実は北欧では1950年代から、虫歯の原因から治療に至る学問(カリオロジー)が発展しました。そして、虫歯になってしまった歯を削って詰める治療よりも、病気の原因を理解した上で治療することに重点が移ったのです。

虫歯の経験は、年を取るとどうなる?

20歳で平均9.2本の日本人の虫歯経験が、その後、年を取るとどうなっていくか、平均値から仮に推測してみましょう。

40歳ぐらいからF(詰められた歯)が減り始め、M(失った歯の数)が増え始めます。

(F)と(M)の合計は年を取るにつれて増加し、70歳になる前に半分以上の歯を失って(大きな入れ歯になって)残りの歯も全部金属で覆われてしまいます。

人が歯を失う理由は、調査によると、虫歯55.0%、歯周病38.4%、その他破折や事故による外傷6.6%です。

多くの歯が、虫歯のために削って詰められ、それがまた虫歯になったり、根の先に炎症が出来てしまうために、年を取るにつれて抜歯になっているのです。

参考文献「歯科」本音の治療がわかる本 熊谷崇 秋本秀俊 著 法研

2007年4月 4日 (水)

日本人は歯が弱い

今日は、日本大学客員教授であり、歯周病専門医である宮田隆博士の「老けない人は歯がちがう 草思社」からお送りいたします。

日本人は歯が弱い

私は大学での研究や国際医療活動を通じて、いろんな国の人の歯を診てきました。その中で一ついえるのは比較的日本人は歯が弱いということです。

硬い肉を咀嚼してきた欧米人や黒人の歯がしっかりしているのはある程度、想像がつくところですが、同じ黄色人種である中国人と比較してみても、日本人よりよっぽどしっかりとした歯を持っています。

現代の日本人の歯は全体的にこじんまりしていて、あごも小さい傾向にあります。エナメル質が薄く、歯肉も薄い・・・・・・各国での診療活動を通じて、そんな実感があります。

江戸末期や明治初期の日本人の写真を見ると、あごが張ってしっかりした口元をしています。歯も現代人より、はるかに頑丈にみえます。この百数十年で、なぜそんなに大きく変化したのでしょうか。

それは、やわらかい食べ物が多い食生活の影響がまず考えられます。咀嚼回数の少なさは、あごの発達を遅らせ、歯の成長や噛み合わせにも影響をおよぼします。

また、咀嚼が少ないと唾液も十分に分泌されないため、歯に歯垢(プラーク)が付きやすくなります。

日本人の歯の脆弱さは、統計にもはっきりと現れています。

1994年の上海市の調査では、30代前半の虫歯経験者数の平均はわずか2本以下。一方、日本をみると、93年の大阪府の調査では、30代前半の虫歯経験歯数の平均は14本にもおよんでいます。

こうした統計は、歯科医院の数や歯科検診の有無、衛生観念、食生活などの要素が複雑に絡んだうえでの結果ですが、その要因の一つに、日本人の歯の脆弱さ、虫歯へのなりやすさも含まれると思われます。

歯の質は、食生活の変化や公衆衛生などの社会的要素にも大きく左右されます。かつての日本人の歯が今よりもっと丈夫だったのは、漬け物や豆類、干物など硬い物を多く食べていたということ、甘い物がなかなか食べられなかったことなどの食環境とも深く関係しています。

もちろん、中国にしてもこの先、急速な近代化からくる食生活の変化、一人っ子政策からくる子供の過保護などで歯質がかわっていく可能性はあります。

もっとも、日本人の虫歯は、歯みがき指導の徹底、意識の向上でかなり減少してきており、小中学生の虫歯数は大幅に低下しています。

対照的に際だって来ているのが、歯周疾患の深刻さです。

ところが、全体の歯科の傾向としては、ホワイトニングや審美矯正といった外をつくろう方向ばかりに強い関心が集まり、肝心の歯の健康、歯肉の健康が置き去られている傾向があるように思えます。

予防医学では、体質を知ることが病気や体の不調を未然に防ぐ大きな手がかりとなります。一人でも多くの日本人が、自分の歯質や現状を理解し、健全な歯を保とうとする意識を持つことが今、必要なのです。

参考文献 歯周病でからだがサビつく! 老けない人は歯がちがう 宮田隆著 草思社

2007年3月28日 (水)

虫歯は減ってきている

今回は、波多野尚樹先生がお書きになった「歯から始まる怖い病気」の中から、「虫歯は減ってきている」をお送りします。

虫歯は減ってきている

30年近く小学校や幼稚園の歯科検診で子供達の歯を診て感じるのは、最近は本当に虫歯の子供が減ってきているということです。

20年前は800人検査すると半分以上は虫歯だったけれども、ここ何年かは100人にせいぜい2,3人と激減しています。

昔よくいたような「みそっ歯」の子供などはほとんど見かけなくなっています。おそらく、お母さんが子供達に歯磨きを励行しているおかげです。

21世紀を担う日本人は、デンタルIQが上がってきているようです。

ところで、どうして虫歯になるのでしょうか。

簡単にいえば、虫歯を引き起こす細菌が増殖し、大量の酸を出すために、歯のエナメル質や象牙質が溶け出し歯を壊していくのです。虫歯の正式名称が齲蝕(うしょく)-カリエスと呼ばれるのは、この症状のためです。

このように、虫歯というのは細菌による感染症です。

歯を赤い染色剤で染めてみると、大半の人が真っ赤に染まります。

とりわけ歯と歯の隙間と歯と歯肉の境目は赤い色が強くでます。これは食べかすが染まっているわけではありません。

この赤い染料は、細菌がいるかどうかを検査する薬品です。この赤く染まった部分こそ、虫歯の原因となる細菌が生息していることを示しています。

人間の口の中には、300種とも500種ともいわれる細菌がいるとされます。

赤ちゃんは産道を通って生まれますが、その際母親が体内に保存している細菌を受け継いできます。

胎児の時代に、胎盤を通して母親から貰うものもあります。それらの細菌は良い働きをするものも、悪い働きをする細菌も混在しており、常在菌として体内に溜まり、その人が死ぬまで生き続けます。

ところで虫歯菌ですが、生まれたばかりの乳児には虫歯の原因となる菌がほとんど見られないことから、大人が口移しで食べ物を与えたりする際に、食べ物と一緒に口の中に入るのではないかと考えられています。大人から子供へ、虫歯菌が伝染したということです。

細菌は目には見えないのだから、どこからどんな方法でも口の中に入る可能性があります。そして、自分に適した環境になるととたんに増殖を開始します。

虫歯の原因が細菌だと初めて発表したのは、ペンシルバニア大学のミラーという研究者であります。1890年の事です。しかし当時は虫歯の原因菌を特定できておらず、口腔の細菌と感染が全身疾患を引き起こす主な原因であるという細菌学の考えを発表したのみでした。

その後、多くの研究者によって虫歯が起こるメカニズムが研究されてきましたが、なかなか虫歯菌の真犯人が見つからず、乳酸桿菌という細菌が犯人ではないのか、いや他の細菌が原因だと様々な説がでました。

ほぼ100年近く経った1970年代のこと、虫歯に直接関係のある菌が突き止められました。ストレプトコッカス・ミュータンス(ミュータンス連鎖球菌)がそれです。ほんの30年まえの事です。

エジプトのミイラの頭蓋骨には、虫歯や治療の痕跡が見つかっています。人類は大昔から虫歯に悩まされていましたが、その原因が細菌であるとわかり、しかも菌が特定させずにずいぶん長い時間がかかったものです。5000年近い年月、人間は原因もわからないまま虫歯に悩まされ、見えない敵と戦ってきたのです。

このテキストを読んで驚いたのは、私が生まれた時代に虫歯菌が特定されたということ。ということは私が生まれるずっと前から親父は歯科の治療をしていたわけですから、まさに原因不明の敵を戦っていたことになります。そのときの歯に付ける薬はどんな根拠で扱っていたでしょう。

虫歯の原因菌がわかった今は、虫歯が減ってきたといってもそれは当たり前の事かもしれません。

2007年2月 5日 (月)

虫歯予防おさらい

現在、多くの歯科に関する書物が出ています。そこには多くの予防の事が書かれています。

今回は、改めて予防についてまとめてみたいと思います。

虫歯の原因はミュータンス菌といわれています。乳幼児期にこの細菌に感染しなければ、成人後も虫歯になりにくいと言われています。

しかし、大部分の日本人の口腔内にこの細菌は存在しているのです。ところが、この細菌に感染していても、しばしば虫歯になる人と、ほとんどならない人がいるのです。

次にあげる人はとくに虫歯になりやすいので、より注意が必要です。

★歯並び・噛み合わせが悪い人

歯並びがでこぼこしているので、歯間にプラークが残りやすくなります。

★歯を磨かない人

プラークが残り、口の中の細菌が増えやすくなります。

★歯の強度が不十分な人

歯の表面が細菌の出す酸で溶けやすくなります。

★唾液量が少ない人、唾液中に細菌に対抗できる物質(抗菌物質)が少ない人

歯の浄化作用や、歯を保護する作用が働きません

★砂糖を含む物をたくさん食べる人

細菌が、歯の表面に付着した砂糖の成分を分解して酸をつくるため、虫歯の進行が早いです。

★間食が多い人

いつも口の中が汚れていて細菌が増えやすくなります。

実は、私自身も間食が多いし、歯の強度は十分ではありません。自分で書きながら大いに反省した次第です。

参考文献 中・高年の歯の病気がすべてわかる本 森山貴史著 主婦と生活社

2006年11月 9日 (木)

デンタルフロス

皆さん、「デンタルフロス」って知っていますか?

歯と歯の間に挟まった食物残差を取り除く、糸の事です。ワックスコーティングがしてあったり、ハーブの香りがしたりと、最近多くの商品が発売されています。

年を取り、私も必ず食事の後は、使っています。今日はそんなお話。

Dental Tribune紙からのレポートです。

舌と歯のブラッシングに加え、1日2回フロッシングを行うと、2週間で歯肉出血が38%減少することが、双生児を対象とした研究で明らかになりました。

フロッシングを行わなかった群では、歯肉出血部は約4%増加しました。

研究グループは、12歳~21歳の双生児51組を対象に、一重盲検ランダム化比較試験を実施しました。

対象を、手動による歯と舌のブラッシングを1日2回行う群(TB群)と、これらのブラッシングに加えてフロッシングを併せて行った群(TB+FL群)の2群に分けて、研究開始前後に歯肉出血および口臭を調査しました。

なお、双生児を対象とし、食生活や健康、生活習慣などの環境因子をほぼ同一とし、症例群(TB+FL群)と対象群(TB群)をマッチングさせました。

その結果、TB+FL群では2週間で歯肉出血部が38%減少し、ブリーディングスコア約42%減少しました。

一方、TB群では、歯肉出血部は4%増加しました。口臭に関しては両群の実施前後の改善に著しい有意差を認めたが、両群間に有意差は認められなかった。

研究グループの一人で、ニューヨーク大学(米ニューヨーク州)歯学部齲蝕学総合診療部のWaiter A Bretz博士は、「歯肉出血と口臭は、口腔衛生不良を示す初発症候であり、歯周疾患に繋がる可能性がある。歯周疾患や齲蝕を予防するには、自宅で徹底的に口腔ケアを行い、定期検診を受けることが肝心であります。」と述べています。

2006年10月27日 (金)

誤飲と誤嚥

最近、このブログのアクセス解析(誰が、いつ何を見たか分かる表)を良くみるのですが、圧倒的に多いのが、「喉に魚の骨がつまったら」というタイトルで書いたものが圧倒的に多いのです。

そのため、多くの方が、この問題に付いて悩んでいるのだなと実感しました。そのため、実は歯医者が考える誤飲で困るものについて、テキストを見つけましたので、ご紹介します。今日のテキストは、「もう虫歯にならない! 花田信弘著」です。

「誤嚥(ごえん)」という言葉を聞いたことがありますか?

子どもがビー玉やタバコの吸い殻を間違って飲み込んでしまうという「誤飲」なら聞いたことがあると思いますが、「誤嚥」は「誤飲」とは全く違うものなのです。

そもそも、ヒトは、猿から進化する過程で、のどの構造に大きな変化があったため、「誤嚥」を始めました。いささか唐突ですが高齢者と口腔ケアに関わることなので、触れておきたいと思います。

口腔はすべての動物にとって食べる器官(摂食器官)として機能しますが、人間んいとってはその他に、しゃべる器官(情報器官)としても機能しています。

人間は他人に、重要な情報を口でしゃべることによりその理解を得て仲間を増やし、他の動物よりも大きな集団を形成しました。そして、マンモスや虎のように圧倒的な破壊力を持つ猛獣にも打ち勝ってきたのです。

また、口でしゃべることによって次世代に先祖の知識を正確に伝え、文化の伝承や生産力の飛躍的な増大を成し遂げてきました。

しゃべるということは、人類が始めて経験した「IT革命」です。

口が食べる器官からしゃべる器官へと機能変化した際に、人間の口腔には大きな変化が生じました。

哺乳類は喉頭蓋(こうとうがい)が軟口蓋(なんこうがい)とつながって気道と鼻腔が直結しているので、息は必ず鼻から出し入れします。ところが、人間は、連続しておしゃべりするために、気道と口腔が開けっ放しになり、しゃべる息を吐き出した後、直ちに息継ぎをするために口腔から気道に空気が流入する口呼吸が必要になります。鼻呼吸専門のサルにはこれができず、しゃべれません。

つまり、口が食べる器官からしゃべる器官へ進化するにつれて、口腔・咽頭の変化が始まったのです。

人間は、しゃべる機能が優先させた結果、その昔サルだった時代には繋がっていなかった気道と鼻腔の中間に大きな穴が開いてしまいました。

そしてその穴をふさいだり、開けたりしているのが軟口蓋と咽頭蓋です。この働きが上手く行かなかった時、口に入ったものが間違って気道に入り込んでくる時があります。

よく食べながらしゃべっていると、気管にご飯粒などが入ってしまい、苦しい思いをしたことがあるでしょう。これが、「誤嚥」です。

口腔・咽頭の変化は、発語を可能にしてサルをヒトへと進化させ、ヒトはしゃべることで、集団として強くなったと考えられます。しかし、個体としてのヒトは必ずしも強くなったとは言えません。なぜなら、ヒトは口呼吸を行うようになったことで、細菌を含む唾液の誤嚥だけでなく、咽頭炎、上気道炎のような呼吸器系の疾患やひどい歯周炎に悩まされるようになりました。

また、他人に息を吹きかけるので、口臭の問題も発生しています。現在の日本の医療で、外来患者が最も多い疾患は風邪と歯科疾患ですが、これはしゃべるために、気道と鼻腔の間に大きな穴があいた結果、口腔の病原体が唾液を介して気道に入りやすいからだと考えられます。

この誤嚥が、とくに問題になるのは高齢者n場合です。脳血管障害を持つ高齢者の場合、寝ている間に少しずつ気道を経て、肺へ唾液が流れ込んでいきます。本人も気がつかずに唾液を気道から肺へと間違って飲み込んでしまうので、この現象を「不顕性誤嚥」といいます。

高齢者が夜寝る前に医療用アイソトープをのり状にして歯の表面に付着させ、夜中に徐々に解けるようにして、翌朝、このアイソトープを誤嚥しているかどうかを撮影するという実験を、東北大学医学部老人科の研究グループが行いました。その結果、両側に脳梗塞のある人92%、片側にある人は66%、脳梗塞がない人の場合は16%の人に誤嚥が認められました。

これがどうして問題になるかといえば、高齢者は免疫機能が低下しているうえに、口の中にさまざまな悪い菌が定着しており、唾液を通じて肺に入ってしまうからなのです。

高齢者の死因のトップが、がんや心臓病ではなく、肺炎だというのは意外な気がしますが、この中に、誤嚥による肺炎が少なくありません。高齢者の一部に見られる抗生剤を服用してもくりかえす肺炎は、口の中にいる細菌によって引き起こされていると考えられるのです。

たかが歯の細菌と言ってはいられません。介護の場合でも、歯と口の健康は重要で、生死に関わる問題だということがおわかりになっていただけたでしょうか?

2006年10月13日 (金)

部位によるリスク

先日、朝起きたら口の中が鉄分くさい感じがしました。

案の定、歯磨きをすると、うがいの水に血がまじっていました。

「あ~、また始まった・・・。」

私は、実は部位的にとても重度の歯周病にかかっている歯が2本あるのです。

気を付けているのですが、なかなか良くなりません。

元々私の歯肉は普通の人に比べてかなり薄くて、治療が難しいのです。

その日の夜に無理にお願いして衛生士さんに歯石の除去をしてもらいました。

やはり、気が付かないうちに歯石が溜まっていたらしく、それが原因で今回の腫脹に繋がったみたいです。

実は、口の中は、そこの部分も同じように虫歯や歯周病が生じるわけではありません。かならずその人の弱い部分があって、そこを把握しておくことが重要です。

同じ人の中でも、虫歯や歯周病になりやすい所と、なりにくい所が出来るのは、主に歯の質と唾液の影響によることが大きいです。

歯は一見同じような質に見えるかもしれませんが、そうではありません。深いくぼみのように形の点で不利な所や、一見硬そうなエナメル質(歯の表面)の表面にも、すじ状・点状に形成が不十分で弱いところがあります。

露出した象牙質(エナメル質より深い奥の歯)も弱いところです。

しかし、唾液の流れの良い部分(下の歯の舌側、上の歯の前歯の前)では、歯の質の弱点はあまり問題にはなりません。

唾液には歯を守るだけでなく、歯の結晶を成熟させる働きもあるのです。

唾液には刺激がなくても分泌される安静時唾液と、味覚や咀嚼などの刺激によって出る刺激唾液があり、それぞれ分泌される場所も量も違います。

大量にでるのは刺激唾液です。唾液は流れ出る量も多いほど酸を中和する(虫歯になりにくい)能力も強くなります。

咀嚼や唾液腺に問題があったり、あるいは慢性疾患で薬を常用している人は唾液が少なくなることがあり、もともと刺激唾液のゆきわたりにくい、上の前歯の外側や上顎の奥歯の奥などが、一番虫歯になりやすいといわれています。

2006年9月17日 (日)

歯の着色

歯に色が付く原因は、食べ物と加齢によるものがほとんどです。

子どもの歯は、比較的白いのですが、年齢を重ね、成長するに従い、黄色みを帯びてくるのはなぜでしょうか。

歯が黄色くなってくる原因は大きくわけて2つあります。

一つ目は、食べ物による外側からの着色です。

コーヒー、紅茶、日本茶、烏龍茶などのお茶類。コーヒーカップや湯飲み茶碗に茶渋が付くのと同じです。

他にもブルーベリーやコーラ、ブドウ、ブルーベリー、オレンジジュース、木イチゴ、カレーなど色の濃い食材の多くは、歯に着色しやすいという特徴があります。

これらの食べ物に含まれる着色成分はいずれも、最初のうちは単なる歯の表面の汚れにすぎません。

しかし、時間が経つにつれ、次第にエナメル質の中に染みこみ、普通に歯磨きをしただけでは落とせなくなってくるのです。

また、ご存じの通り、煙草のヤニも歯が変色する大きな原因です。喫煙する習慣のある人はないひとに比べて、歯が黄色っぽくなりやすいというのは本当です。

もう一つの黄色っぽくなる原因は、加齢によるものです。

歯の表面は半透明のエナメル質で覆われています。その下に象牙質という黄色い層があります。象牙質の色は誰でも年を重ねることに従って、だんだん濃くなっていきます。

一方エナメル質は少しずつ薄くなっていきます。その結果、エナメル質から下の象牙質の色が透けて黄色っぽく見えるようになってくるのです。

他にも歯が変色する原因として見られるのが、虫歯の治療などで神経を抜いてしまった場合です。

時間が経つにつれ、歯が内側から茶色から褐色に変色してくることがあります。これは神経が死んでしまい、象牙質に栄養が届かなくなったり、象牙質に汚れが溜まってしまったために起こる現象です。

また加齢や生活習慣病とは関係なく歯が変色してくる人もいます。

これは、永久歯が形作られる7歳頃までの幼児期に、テトラサイクリンという抗生物質を飲んでいた影響と言われています。症状としては、歯肉と歯の境目が、帯状に茶色く変色したり、縞模様が出来たりします。歯の表面全体が褐色になる場合もあり、色のつきかたには個人差があります。

この様に、歯が黄色っぽくなるいわゆる変色は、外からの要因と内側からの要因があります。

参考文献 “きれいな歯をつくる 大人のためのデンタルブック” 倉治ななえ著 オーイズミ出版

2006年8月24日 (木)

薬剤の副作用

最近は、体の栄養分の不足をサプリメントや薬剤によって計画的に摂取する人が増えてきています。

今日のお話は、これに黄色信号を灯すかもしれません。

Dental Tribune紙からのトピックです。

薬剤の過剰摂取や薬剤とビタミン剤やハーブなどとの組み合わせによって生じる口腔内の副作用反応をいち早く診断し、治療するのは歯科医師である場合が多々あるという報告がGeneral Dentistryに発表されました。

筆頭著者のScott S. Derossi博士は、

「薬剤に対する口腔内の反応はさまざまである」とし、AGDスポークスマンのEric Shapira博士は、「薬剤反応は摂取した薬剤によってことなる。例えば、次サリチル酸ビスマスの過剰摂取は反応であれば、黒舌が認められるが、一時的で無害なものである。抗菌薬の過剰使用によっても同じ反応がみられ、毛舌が生じる場合がある。噛むタイプのビタミンC剤など酸性の薬剤によってアフタ性口内炎が生じる可能性もある」としてきしているます。

これらの薬剤反応には予防が可能なものがあることから、歯科医師は患者がどの様な薬剤やビタミン剤、ハーブなどを摂取しているかを把握する必要がると述べています。

Derossi博士は、「防げないものも多いが、早期発見と適切な治療、投薬計画の変更によって解消できるものもある。高齢化が進むに従い、また、より多様な薬剤が使用されるようになっていることから、さらなる薬剤による口腔内の副作用に遭遇する可能性がある」と指摘し、

「副作用のなかには危険なものとそうでないものがあり、服用した薬剤の量や種類によって異なる。歯科医師はビタミン剤の過剰摂取によって深刻なダメージが生じることがあることを覚えておく必要がある」と注意を促しております。

今回のレポートと、自分で勉強したなかでも、非常に見に迫るものがあります。毎日観察しているつもりでも、患者さんの生活も時には、詳しく聞き出す必要があるのかもしれません。

2006年7月31日 (月)

口呼吸のリスク

きちんと歯を磨き、きちんとした生活を送っているのに、虫歯が多い方がいらっしゃいます。

すべての方がその理由に沿っているというわけでは無いのですが、40%位の確立で口呼吸を行っています。

呼吸は本来、鼻でするものです。鼻の粘膜はフィルターの働きがあり、細菌を取り除いたり、空気を加湿してくれます。

しかし、口で呼吸すると、唾液が減って口の中が乾き、虫歯になるリスクが高まるうえ、口臭も出やすくなってきます。思い当たる人は是非治しておきたいものです。

口呼吸の原因はさまざまです。よく見られるのは、次の4つ。

①鼻の奥、のどの突き当たりにある扁桃腺のひとつ、アデノイドが大きいなど、耳鼻家系の病気を持っている。この場合、寝ている間、いびきをかきやすいのも特徴

②口を閉じる筋肉(口輪筋)などが弱い

③舌が大きめで、しかも力が弱い

④上の前歯が出っ張るっているなどで、口が閉じられない

ー:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-

①が疑わしい人は、耳鼻科で検査をして適切な治療を受けましょう。

④が極端な場合、歯列矯正が必要になります。今は、大人の矯正が盛んに行われている時代なので、思い切って矯正の専門家へ相談してみるのも良いかもしれません。

②③は、口輪筋や舌を鍛えるトレーニングを行うことで、多くの場合改善出来ます。舌を歯に押しつける癖があって、舌の縁に歯型が付きやすい人、あるいは、上下の前歯の間に舌を出す癖のある人にも、このトレーニングは有効です。

★舌先を強化するトレーニング

通常、安静時は舌が上顎(うわあご)の天井にくっついていて、舌先は口蓋すう壁(こうがいすうへき)と呼ばれる上顎の小さく突起した部分についているのが普通です。

しかし、子どもの頃の指しゃぶりなどが原因で、舌を歯と歯の間にはさんでものを飲み込んだり、舌を前方に突き出す癖のある人は、これが出来ていません。舌全体を持ち上げて、舌先を口蓋すう壁に当てる練習をしましょう。

アイスバーなどのスティックを口の前で立て、鏡を見ながら、それを舌先でクイッと押す練習を舌の力を強化するのに効果的です。

★口輪筋を強化するトレーニング

20cm程度のヒモをつけたボタンを唇と前歯の間にいれます。口を閉じてヒモを手前に引っ張り、ボタンが飛び出さないように唇の周りに力をいれます。このとき、顎の周りの部分が梅干し状に皺がよらないよう、おすまし顔で出来るようになることがたいせつです。鏡を見ながらやってみましょう。

参考文献 きれいな歯をつくる 大人のためのデンタルブック 倉治ななえ著 オーイズミ出版

2006年7月 7日 (金)

歯が浮いた感じ

患者さんの歯に関する訴えの中で、比較的多く聞く言葉は、「歯が浮いた感じ」と言うことです。

歯が浮いた感じになる時、歯や歯の周りではどの様な事が起きているのでしょうか?

まず、歯が浮いた感じを説明するには、歯の構造を理解しておく必要があります。

歯の歯肉に隠れた部分は、骨と歯が直接くっついているわけではなく、歯根膜という薄いクッション状(トランポリンのバネみたいな感じ)繊維に囲まれています。

歯は歯根膜というハンモックでつり下げられ、それを骨が支えているのです。

歯が浮いた感じになるのは、この歯根膜の毛細血管がうっ血して腫れ、炎症を起こしているのです。歯根膜はごく薄い膜で、しかも周囲を骨に囲まれているので、腫れると行き場がなくなり、その結果、歯が持ち上がる格好になります。

歯が浮くという感じを受けている時は、実際にわずかに浮いていると言われています。

原因は、硬いものを食べたり、無理な噛み方をしたり、あるいは、疲れなどです。

忙しすぎる生活を送っていると、ストレスが溜まり、全身の血行が悪くなり、首や肩がこるのと同じで、歯根膜も血行が悪くなってしまうのです。

特に、歯が弱い人の場合は、疲れが「歯が浮く」といった症状になって現れやすいです。

急に激しい運動をしたあとや、歯を噛みしめる癖がある人も、歯に強い力がかかって歯根膜が圧迫され、歯が浮いた感じになることもあります。

またお酒の飲み過ぎで起こることもあります。

疲れやストレスを感じない生活を送る必要があります。

また、普段は自覚症状のない虫歯や歯周病も、疲れや風邪が原因で菌の動きが活発になり、歯肉の腫れを引き起こす事があります。

2006年6月17日 (土)

5分間の口腔ケア

DENTAL TRIBUNE紙からのトピックをご紹介いたします。

東北大学大学院内科病態学の研究グループ(佐々木英秀教授ほか)らが、「5分間の口腔ケアで高齢者の肺炎発症、死亡率低下、さらに認知機能の低下抑制にもつながる事を確認した」というのです。

その研究の詳細はといえば・・・・。

11の老人保健施設の入所者417例(平均年齢82歳)を対象に、毎食後5分間の口腔ケア(ブラッシング、不十分な場合は消毒を追加)を実施。

ケア有り群、ケア無し群にランダムに振り分けて、肺炎の発症と肺炎による死亡率を2年にわたり追跡しました。

追跡期間中に肺炎を発症していたのは、ケア有り群11%、ケア無し群19%、肺炎による死亡率もケア有り群の7%に対し、ケア無し群では16%と高く、口腔ケアを行っている群で有意に肺炎の発症と重症化が抑えられている事が示された。

全般的知的機能検査 MMSE(映画「明日の記憶」でも行っていました)でも、ケア無し群では2年後に3.0ポイント低下していたのに対し、ケア有り群では1.5ポイントの低下にとどまっていました。

日常生活動作の減退も口腔ケアの効果は、歯のあるなしに関わらなかったようです。

2006年6月 7日 (水)

歯磨き6

つい先日の事です。

「先生、夜になると口が臭うときがあるよ」と家族に警告をもらいました。イエローカードです。

確かに、自分自身でも夕方終盤の診療の時、疲れから口が渇き、口臭があることは自覚していました。

しかも、こんな事も言われました。「先生は歯医者なのに歯磨きの時間が短い!!」

・・・・・・・・・・。レッドカードです。

全く持って面目ない話です。

その後、口臭はしっかり歯を磨くことや、口腔乾燥が起こった時に、適切に水分を補給することで、なんとか回復しつつあります。

今日は、自戒の念も込めて、一回の歯磨きの時間はどれくらい必要かということを考えて見ましょう。

歯の磨き方に関しては、以前このブログで紹介したやり方が良いと思うのですが、時間を今回は考えて見ましょう。

人間の歯は、だいたい28~32本生えているのが普通です(先天性に欠落している歯もあります)。今日は、一人28本と仮定して話を進めます。

歯はだいたい磨かなければいけない面が5面あります(表、裏、左隣、右隣、噛む面)。

1本で5面×28本ですから140面磨かなければいけないということになります。1面だいたい10秒だとしても1400秒。約23分です。5秒でも約12分。

毎日、朝歯磨きの時、朝の儀式のように歯磨き粉をブラシに付けて、口に入れて、1分以内に「ぐちゅぐちゅ」って行っても磨けている訳がないのですよね。

最近、水流を使って多数歯同時に磨ける電動歯ブラシ(ソニッケア等)が売れているのもうなずけます。

今回は、わたしも大いに反省しつつブログを更新しました。今日からまた自分の歯磨きを見直して見ます。

2006年6月 6日 (火)

口の介護予防3

口の介護予防の3回目です。

私も介護予防に付いて勉強し始めたばかりなので、分からない事がたくさんあります。このブログを通じて、皆さんと一緒に勉強できればと思っています。

さて、介護の本を読んでいて、見慣れない言葉がたくさん出てくるのです。その一つが「サルコペニア」。

今日は、この「サルコペニア」を中心に、介護を考えてみましょう。

以下の文章は「実践!介護予防 口腔機能マニュアル 平野造彦 細野純著」の本よりまとめたものです。

「低栄養」は、高齢者、特に要介護高齢者を中心に高頻度に認められてきています。この低栄養は免疫能の低下などを招くことから、生命予後に深く関与することが知られており、低栄養の予後や改善は高齢者の要介護状態の危篤化を防ぐ介護予防の重点項目でもあるのです。

この「低栄養」を示す高齢者は、口腔機能が低下している者も認められ、口腔機能向上支援を中心とした関わりは栄養改善に寄与します。

さて、「サルコペニア」ですが、これは、サルコ=筋肉、ペニア=減少をあわせたの造語です。加齢とともに、身体を支える筋肉を作る能力であるタンパク質合成能力が低下し、筋肉が著しく衰えます。このような加齢に伴う骨格筋の量や筋力の低下を意味します。

筋肉の減少は、筋力の低下にもつながり、身体機能の低下を招きます。筋肉は体の中でも体熱を多く産生する重要な器官です。

すなわち筋肉が衰えると、基礎代謝量が減少し、エネルギーの消費量の低下を招きます。これは、不十分な栄養摂取につながり、体タンパク質の合成を低下させ、サルコペニアを取り巻く負のスパイラルを形成してしまいます。

また、筋肉はタンパク質を貯蔵する最大の器官でもあり、筋肉の減少は栄養素を貯蔵するといった面からも大きな問題となります。

サルコペニアといわれる状態は口腔内にも現れることが予想されます。これを裏付けるように私たちは、加齢とともに、舌の筋力が低下し、さらに、要介護高齢者は介護度の悪化と共に、舌の筋力は口唇の筋力とともに低下することを報告しています。

太幹を支える筋力が低下すると自分の体を支える筋力が低下すると自分の体を支える事が出来なくなり、身体機能の低下に繋がります。

同様に、舌などの口腔の筋力が低下した場合は、食べる機能の低下をきたすことが予想されます。

サルコペニアの対策として体タンパク質の材料となる栄養素(タンパク質)を摂ることや、体タンパク質合成を促進するためにレジスタンス運動(重量の刺激を筋肉に与える運動)を行うことが推奨されているそうです。

同様に、口腔機能向上訓練によって舌の筋肉が上昇することが示されています。

今後も、口にたいする介護についてレポートしていきたいと思います。

参考文献 財団法人 東京都高齢者研究・福祉振興財団 「実践!介護予防 口腔機能マニュアル 平野造彦 細野純著

2006年6月 5日 (月)

口の介護予防2

口の介護に入る前に今回は、「食べる機能」をもう一度理解しておきましょう。

食べる機能に直接関係する主器官として口腔、鼻腔、咽頭、喉頭、食道があります。

口腔は食物を取り入れる入り口であり、消化器官の入り口と捉える事ができます。前方の口唇(上・下唇)、側方の頬、上部の口蓋、さらに下部の舌、口底で囲まれた空間で、後方は咽頭へとつながっています。口腔は口腔粘膜で被覆されており、その表面は、唾液により潤されております。

口唇(くちびる)の機能

  • 物を挟み(捕食)、保持する
  • 咀嚼時に口裂を閉じ、食物が口腔内に洩れるのを防ぐ
  • 頬とともに口腔内圧を保持する
  • 咀嚼時、口腔前庭(舌のしたのあたり)に入った食物を固有口腔に押し出す
  • 赤唇部は感覚が敏感で食物の性状を感知し、危険物の摂取を防ぐ
  • 舌と唇がお互いを押し合い、歯並びを保つ
  • 上下の口唇の開閉により息を調整して発声を調整する
  • 表情をつくる
  • 顎の開閉運動を調整する

頬の機能

  • 食物をかみ砕く時、舌と協調し食物を歯列の上にのせ、そこに保持する
  • 舌と頬で互いに歯を押し合い、歯並びを保つ
  • 舌と共に口腔内を陰圧、陽圧にする
  • 表情をつくる

口蓋(口の天井の部分)

  • 舌により食物を押しつけられる事で、食物の性状をしる
  • やわらかい食物を舌と共に圧縮し押しつぶす
  • 口腔の上蓋となり、発生時の共鳴腔をつくる(発音に関すること)
  • 軟口蓋は、嚥下時、鼻腔封鎖・食塊形成に重要な役割を果たす
  • 口蓋の味蕾は味を受容する

舌の機能

  • 捕食された食物を移送または保持する
  • 食物の物性や口腔内での形状、位置をしらべる
  • 口蓋との間で柔らかなものを押しつぶす
  • 舌の味覚、一般感覚により、嚥下に適さない食物を選択する
  • 舌感覚を刺激して唾液分泌を促す
  • 食物と唾液を混合して食塊をつくり、嚥下時に咽頭に送り込む
  • 舌根部粘膜の感覚は嚥下反射を誘発する
  • 形を変えることで、溝音に参加する
  • 口唇や頬の圧で食物を内側に動かさないように、舌で外側に押す

このように、普通に食事している感覚でも、口の中ではさまざまな部位がさまざまな働きをして食事をサポートしているのです。これが、何らかの原因で不具合が生じたら、全く食事が喉を通らなくなります。

明日から、その内容を少しずつご紹介できればと思います。

参考文献 財団法人 東京都高齢者研究・福祉振興財団 「実践!介護予防 口腔機能マニュアル 平野造彦 細野純著

2006年6月 4日 (日)

口の介護予防1

東京老人医療センターの平野造彦さんと東京都歯科医師会の細野純先生の監修の「実践!介護予防 口腔機能向上マニュアル」の中の一節です。

日本の高齢化は今後、更に進むことになります。2015年頃には団塊世代が高齢期に入り、2025年頃には高齢者人口は約3500万人とピークを迎えることになり、高齢化の最後の急坂を登って行きます。この超高齢化社会に直面している現在、人々にとって、健康で自分らしい「老後」をどの様に迎えるかは、大きな関心事であると思います。

中略

高齢者の日常の中で「食」に関わる問題は、健康を維持する栄養面だけでなく、楽しく、美味しく、安全な食事への支援が必要です。「食べる楽しみ」を末永く亨受するためには「食べる機能」を担う口腔機能の維持向上が不可欠です。

口腔機能は摂食・嚥下機能だけでなく、人とのコミュニケーションに必要な会話や感情表現の機能もあり、日常生活の中心的な機能です。したがって、口腔機能の低下予防は生活機能の低下予防に大きく貢献できると思います。

だんだんとお年を召してくると、食欲や睡眠欲が欲の大部分を占めてくると思われます。そういった時、食欲を奪われる事を考えると、非常に悲しく辛い者があります。

次回から口の介護予防を何回かに分けてご紹介できればとおもいます。

2006年5月24日 (水)

歯石を取ってみよう4

今回は、「歯石を取ってみよう」の4回目です。

前回までは、患者さんご自身で歯を磨く、パーソナル・プラークコントロールと歯肉縁上(歯の部分)の歯石を機械的に除去するスケーリングの説明でした。

今回は、歯肉縁下(歯肉の下、歯と歯肉の間)に溜まった歯石の除去の話です。

この歯肉縁下のプラーク除去は、患者さんが自分自身で歯石を取ることは出来ません。

術者(歯科医師、歯科衛生士)が、専門の道具を用いて歯石除去を行います。

この歯肉縁下の歯石除去は、すべての患者さんが行うものではありません。歯肉縁上歯石を除去を行って、歯肉の状態が良好又は安定した場合は、無理には行いません。

なぜ、歯磨きだけでは上手く歯肉縁下の歯石が除去できないのかといえば、歯肉縁下の歯石はバイオフィルムと呼ばれている特別な細菌の塊になってしまうのです。

バイオフィルムとは、細菌の塊が、バイオフィルムと呼ばれる粘性のフィルム状の膜を作って細菌を包みこんでしまうのです。また、このバイオフィルムとなる細菌は非常にずるがしこく、細菌同士で会話をするように情報交換をしながら住み着いていきます。またこれにより、細菌の性質を変えることができます。このことを自己誘導体とも読んでいます。

バイオフィルムは非常にぬるぬるしており、排水溝のぬるぬる(これもバイオフィルムです)に良く似ています。排水溝のような水流の激しいところでも決してぬるぬるがとれることがありません。

またバイオフィルムは、歯の表面だけでなく、舌の表面に付いて口臭の原因になったり、口から体の中に流れ込み、循環器障害、誤燕性肺炎、発熱が出たりします。

東京歯科大学微生物講座奥田教授はいいます。

消毒薬や抗生物質などの抗菌薬は、バイオフィルムに対してその効果を発揮させることはありません。バイオフィルムを構成する「ぬるぬる」の本体に浸透出来ないためです。またバイオフィルムの中心部の細菌は、代謝も低く、それを阻害する薬剤は無効です。従って、バイオフィルムは機械的除去が不可欠であり、PMTCに勝るバイオフィルム除去方法はないと断言できる」

PMCT(昨日のブログを参照してください)の効果は

1:虫歯の予防

バイオフィルムを除去し、再付着を防ぐので虫歯の予防効果があります。そのため歯のエナメル質表面へのカルシウム補給を促し、再石灰化(歯を作り直す)を促進します。

2:歯周病・歯肉炎の改善

歯周ポケット内にあるバイオフィルムを除去するので、歯肉の状態を改善し、予防にも繋がります。3ミリ以上深いポケットの場合は、他の方法でバイオフィルムを除去します。

3:歯質の強化

洗浄後にフッ化物入りのペーストやカルシウム補強剤を塗布することにより、歯の再石灰化をさらに促進します。

4:自然な美しさの回復

歯についたヤニや色素も取り除けるので、患者さん本来の光沢のある歯面になり

「歯石を取ってみよう」も明日で最後です。よろしくお願いします。

参考文献 やさしい説明、上手な治療(2)歯周治療 末永書店

       歯の予防シリーズ バイオフィルムとPMCT 株デンタルダイヤモンド社

2006年5月23日 (火)

歯石を取ってみよう3

今回はいよいよ歯周病の治療に入ってきます。(前半)

歯周病は患者さんと術者との共同作業ということをまずしっかりと頭に入れておいてください。歯医者や衛生士に頼りきりで、自分で歯磨き(プラークコントロール)を行わないと何の意味もありません。

歯周病は何の目的のためにどのような治療をするのか?

2つの治療が基本になってきます。

1:プラークを減少させる→細菌数を減らす

2:危険因子を取り除いたり、改善する→生体の防御機構を強める

このような目的で治療いたします。

  1. 歯肉の炎症症状を止める
  2. 歯周ポケット内の諸症状あ(出血、排膿、浸出物の存在等)を止める
  3. 付着(歯肉と歯が付いていること)の喪失と歯槽骨の吸収を停止させ、安定させる
  4. 再感染の元になる歯周ポケットを出来るだけ減少させる
  5. 再感染と炎症の再発を抑える
  6. 出来れば歯根面の新付着をはかる
  7. 動揺歯を安定させる
  8. 健康で機能的な咬合を確立させる
  9. 外観的にも美しい歯周組織を創り出す

患者さんの心得

  1. 歯周病は細菌が原因の感染症である
  2. 組織学、細菌学的には歯周ポケットから歯石や、プラークを完全に除去することは不可能である
  3. 慢性疾患であり、完全な治癒は難しいが、コントロールは出来る
  4. 治療後は、メインテナンスをしなければ感染力が抵抗力を上回り、再び付着の喪失が起こる。

歯周治療の基本はプラークコントロールです。

歯肉縁上(歯肉より上、歯の部分)のプラークコントロール

患者さんの分担(パーソナル・プラークコントロール)

慢性疾患である歯周病をコントロールするには、今まで慣れ親しんできたライフスタイルを、今後長期にわたって変える必要があります。「自分の健康が自分で守る」という意識が必要です。

  • ブラッシング
  • フロッシング(歯間の間のお掃除です)
  • 歯間ブラシ
  • 液状歯磨き(リステリン等)
  • 薬用歯磨き
  • うがい
  • 食べ物の注意
  • 生活上の注意(禁煙、ストレス軽減、規則正しい生活を送る)

歯科医院の分担

  • PMTC(後で詳しくご説明いたします)
  • スケーリング・ポリッシング(後で詳しくご説明いたします)
  • 食事指導
  • 歯科治療による口腔環境の改善(虫歯の治療、歯肉の審美性、抜歯処置)

*PMTCとはP(プロフェッショナル 専門家により)、M(メカニカル 専門の器具を使用して)、T(トゥース 歯を)、C(クリニーニング 清掃)という専門的な歯のクリーニング方法です。後で出てくるバイオフィルム除去に威力を発揮します。

*スケーリングとは歯肉縁上(歯の部分)、縁下(歯肉の中)の歯面付着物(歯石)を取り除く事です。歯石は付着性プラークが石灰化したもので、それ自体に病原性はありません。けれども、そのデコボコした面には病原菌が付きやすいので、取り除かねば、病原性の強い非付着性プラークの増殖しやすい環境を作ってしまいます。

明日の歯周治療後半は、歯肉縁下とバイオフィルムに付いて説明します。

参考文献 やさしい説明、上手な治療(2)歯周治療 末永書店

2006年5月22日 (月)

歯石を取ってみよう2

昨日の続きから入ります。

昨日、歯周病は生活習慣病と思われているが、実は「感染症」という話を書きました。

そのことをふまえて、本題に入ります。

・感染症の原因菌(歯周病原菌)

歯周病には2つの感染経路があります。

  1. 誰もが持っている(内因性)の細菌に、防御力の低下した時に日和見感染として発症する場合。
  2. 本来健康な人には存在しない細菌が、人から人へと感染して発症する場合

*若年性(若い人が感染してしまう)歯周炎の原因菌とされるA.a(Actinobacillus actinomycetemcomitans)という菌は、思春期の頃両親から感染します。

また、P.g(Porphyromonau gingivalis)という菌は、感染するためには最低10数年の接触が必要とされています。またこの菌には夫婦間の感染もあることが報告されています。

歯周病そのものは遺伝するものではありませんが、家庭環境や歯周病を進行させやすい素因の存在(口移し、同じスプーンを使うなど)は無視できません。家族全体の診査や治療が必要なのは、このような理由によるものです。

・症状が重くなる場合の2パターン

・非常に病原性の強い細菌に感染した場合

煙草も吸わず、糖尿病のような全身性疾患もなく、生体の抵抗力も特に低くないのに、歯周炎になる場合もあります。通常の抵抗力を上回る非常に強い細菌に感染した場合です。早期発現型歯周炎はこれにあたります。

・抵抗力が極めて低い場合

誰もが持っているような細菌でも、重い歯周炎を引き起こすことがあります。身体や歯周組織の抵抗力が、他の人より低くなっている場合です。その原因となるものを危険因子(リスクファクター)といいます。

・歯周病の進行を止めるには

歯周病の進行を停止させるには、まずプラーク(歯垢・リスクファクター)を出来るだけ取り除き(プラークコントロール)、歯周病原菌を減少させなくてはなりません。

同時に患者さんの局所的、全身的な危険因子を取り除いたり、改善することによって、生体の防御力を強めることも必要です。

毎日の生活リズムを規則正しくし、ストレスの少ない生活環境を作ることも大切です。ストレスが多いと唾液の分泌量が減少し、その結果唾液中の免疫物質が十分働かなくなるからです。十分な唾液の分泌は、虫歯や歯周病の予防に重要な役割を果たし、口腔の健康増進に大きく影響いたします。

前回と2回に分けて歯周病治療の意味を解説してきましたが、次回はいよいよ歯石除去に入ります。バイオフィルムという強敵も現れます。これは手強そうです。

参考文献 やさしい説明、上手な治療(2)歯周治療 末永書店

2006年5月21日 (日)

歯石を取ってみよう1

先日、歯石除去についての質問がありました。

歯石除去という大変重要な事を今まで書いてこなかった事に大変反省しつつ、どうせなら、しっかり説明していこうと思います。

1:口の中の健康

人間の口の中には、健康な状態であっても、ごくわずかですが細菌が存在しています。人体にはもともと細菌の活動に抵抗する力があり、歯と歯肉の間には、白血球、マクロファージ、リンパ球といった免疫系の細胞が移動してきます。そして細菌と戦う準備をします。

これが免疫の働きです。このように人体には防御機構が働いているのです。

2:虫歯も歯周病も細菌感染症です。

最近では、歯周病は「生活習慣病」という言い方をされますが、厳密に言えばそれは間違いです。

虫歯も、歯周病も細菌によって起こります。細菌は歯の表面や、歯肉についたプラーク(歯垢、歯苔)の中にいます。細菌の活動に対する抵抗力(生体の防御力)は人によって大きな差があり、虫歯や歯周病になりやすい人と、なりにくい人がいるのはそのためです。

3:なぜ歯周病になるのでしょう。

歯周病は、歯と歯肉の間(歯肉縁下)に入った歯周病原菌によって起こります。細菌の活動は、歯と歯肉の間の結合組織を徐々に壊し(付着の喪失の始まり)、隙間(歯周ポケット)を作ります。このときの生体の防御力は、煙草やストレスなどの危険因子によって、大きく左右されます。歯周病の初期の段階が歯肉炎で、炎症が深部組織に移行したものが歯周炎です。

4:歯肉炎は知らない間に始まっている

口の中の細菌数が増えるにつれて、歯肉溝の部分に炎症症状が現れます。歯肉が赤く腫れ、出血が起こり、仮性ポケットが形成されます。この段階で、病気に気づいて適切な治療をうければ、大部分の歯肉炎は健康な歯肉に回復します。

5:こうなったら歯周炎

歯肉炎を放っておくと、歯と歯肉を結び付けている歯周靱帯(歯根膜)が壊され(付着の喪失)、そこに歯周ポケットが形成されます。続いて、歯槽骨(歯を支えている骨)が吸収して歯はぐらぐらになり(歯の動揺)、さらには歯周ポケットから膿が出るようになります。進行してしまった歯周炎は、治療して元通りの歯肉や歯槽骨の状態にもどすことはできません。しかし、患者さんと歯科医師の努力によって、ある程度まで健康な状態を取り戻すことは可能です。

今日は健康な歯肉から重度の歯周病までの流れを説明しました。明日はもう少し詳しい説明を行います。

参考文献 やさしい説明、上手な治療(2)歯周治療 末永書店

2006年5月 8日 (月)

ほっぺたの内側を咬んでしまうのはなぜ?

「先生、ほっぺたの内側を咬んでしまったのですよ~」

「内側が大きく腫れてしまって、血豆のようになっているのです。」

このような会話が私たちの診療所では毎日のように繰り返されます。

ほとんどの場合、その傷口は何の問題もありません。血豆は自然と小さくなるか、小さな衝撃で破れてしまいます。

では、なぜ頬(ほほ)を噛んでしまうのでしょう。

頬(ほほ)を噛んでしまう理由は多いわけて4つあります。

  • 頬を噛む癖、頬を吸う癖が付いてしまっている。
  • 体重の急激な増加
  • 噛み合わせが悪い、虫歯がある
  • 老化現象

〔頬を噛む癖、頬を吸う癖が付いてしまっている〕、〔体重の急激な増加〕

これは、ストレスや疲れが原因のサインと受け止めて、十分な休養をとることを心がけてください。

〔噛み合わせが悪い、虫歯がある〕

まだ若いのに、頬(ほほ)を噛んでしまうのは、口の中に問題があるのかもしれません。虫歯があるために噛み合わせが悪くなっている、あるいは、被せ物を入れたばかりで寝れていない、噛みしめの癖があって歯の表面が極端に減ってしまい、噛み合わせが深くなってしまって、頬(ほほ)や舌を巻き込みやすいのです。

〔老化減少〕

食事をしている時に、ふと頬(ほほ)を噛んでしまい、痛みを感じてしまう場合は、多くの場合、加齢減少、老化のサインかもしれません。

実際に頬(ほほ)や舌を噛んでしまうと訴える人は50歳代以降が圧倒的に多いのです。若いうちは、テレビを見ながら食事をしても、歯と舌が上手く協調して動いてくれているので、頬(ほほ)や舌を噛むと言うことはまずありません。しかし、歳を重ねるにつれ、テレビの方に気を取られて舌や頬(ほほ)を噛んでしまったりするのです。

このような症状は、大きな問題に発展する事は少ないのですが、噛み癖が付いてしまうと、治りが悪くなり、潰瘍から悪性腫瘍に以降するともかぎらないので注意が必要です。

参考文献 きれいな歯をつくる 大人のためのデンタルブック 倉治ななえ著 オーイズミ社

2006年5月 2日 (火)

夜間の口の動きは

私が今まで教えてもらった先生のほとんどが、口を揃えていうことがあります。

「歯科の病気の原因が細菌のバランスと力(咬合)のバランスが崩れたとき」というものです。

口の中の細菌は、悪い細菌を食べてくれる良い菌もいるので、すべての菌を殺菌してしまうと、これもまた具合が悪いのです。バランスが大事なのです。

もう一つ、大事な要素は力(咬合)のバランスです。

人は生まれてきたときから、徐々に歯が生えてきてその人に合った噛み合わせ(力のバランス)が構築されていくのですが、虫歯になったり、歯を何らかの原因で失ってしまったりすることで、その人本来の口の中の力関係が崩壊していきます。

その崩壊により、他の歯によけいな力が加わり、口の中のバランスが崩れ、調子が悪くなってしまうのです。

しかし、きちんと口の中のケアをしているのにもかかわらず、顎(あご)の調子が悪くなったり、歯の調子が悪くなることがあります。

その最大の原因といわれているのが、「歯ぎしり」です。

歯科の中では歯ぎしりにはいくつかの分類があります。

・ブラキシズム

一般的には睡眠中に行われる歯ぎしりとして定義されていますが、アメリカの咬合学会のなかでの定義は「昼間あるいは夜間の顎口腔系の非機能運動または異常機能」となっており、歯に負担を与える悪い口の中の癖全般になっているようです。

・クレンチング

上下の歯を押しつけることを意味します。要するに噛みしめのことです。歯ぎしりと異なる点は歯ぎしりの音がしない点です。

クレンチング(噛みしめ)は昼夜を問わずおこりますが、噛みしめが強いことが多いので、顎関節や補綴物(銀歯、金歯、作り物の歯)に多大な損傷を与えます。

このクレンチングとブラキシズムは一体どのくらいの頻度で見られるのでしょうか?

歯ぎしりの患者さんからとった問診票を調べた研究があります。

夜間のブラキシズムの出現率は8~16.1%、昼間のブラキシズムを含めると8~34.2%であると報告されています。

性差については、ブラキシズムには性差は無いとするものや、女性は夜間のクレンチングが多いなどというデータもあります。

小児の発生率もほぼ成人と同じであり、年齢差では20~50歳がもっとも発生率が高く、年齢と共に減少する傾向にあります。

しかし、ほぼ毎夜一定してブラキシズムを行う者、一過性(ときたま)ブラキシズムを行う者がいること、音を生じないブラキシズムがあること、ブラキシズムには日間変動があることなどから、ブラキシズムの程度や状態を性格に把握することは困難であるとされています。

またブラキシズムが人に指摘されて気づく場合が多く、人から指摘されることのない環境に生活する者のブラキシズムの有無は見つかりにくいと言われています。

ブラキシズムによるさまざまな影響

  • 歯の破折
  • 咬耗
  • 知覚過敏
  • 歯の動揺
  • 修復装置の脱落、損傷
  • 筋緊張型頭痛
  • 顎関節症(クリッキング、顎関節痛、退行性関節疾患)
  • 筋痛、疲労
  • 咀嚼筋(口を開け閉めする筋肉)のこわばり
  • 筋肥大
  • 筋筋膜痛

このように、「食いしばり」には多くの弊害があります。ご自分で原因不明の不快感がある場合は疑って掛かってみる価値はあるかもしれません。ナイトガードのような予防器具もあります。お近くの歯医者さんでご相談下さい。

2006年3月 8日 (水)

初めての歯磨き

初めて自分の子どもを出産し、喜びもつかの間、毎日が驚きと不安の毎日。20060120siro1

私が子どもを育てているのか、それとも子どもに私が育てられているのか・・・・。

お母さん、お父さんがお子さんの「歯」に関して、多く質問が寄せられている事を少しずつ解説して行きたいと思います。

第一回は「初めての歯磨き」です。

子どもの頃の歯磨きの目的は、あくまで虫歯予防です。大人の様に歯周病を気にしなくても良いですから、歯が生え始めてから歯も磨き始めると言うことになります。

しかし、1歳までに歯磨きが十分でなかったと言っても、虫歯になるケースはあまりありません。といっても放置しておいて良いと言うわけではありません。

最初の歯が生えはじめる生後7~8ヵ月ころから、口にふれる練習も兼ねて、食後は濡らしたガーゼで歯を拭いたり、乳歯用の歯ブラシで歯のケアを心がけてください。

上下の前歯が出てくる1歳半頃になると、離乳食も開始して、歯に汚れもたまりやすくなります。

この時期になったら歯ブラシを用意しましょう。歯の生え始めの時期は、色々な物をなめるのが盛んな時期なので、歯ブラシを口に入れてもあまり抵抗する事は少ないみたいです。

歯ブラシに慣れさせる意味でも、食べたら「歯ブラシを持たせる」「口にくわえさせる」などして、徐々に歯磨きの習慣を付けていくようにしましょう。

・仕上げ磨きはどうするの?いつまで行えば良いのでしょう。

歯の汚れは、口に歯ブラシをしゃぶっていたり、お湯や水でゆすいだとしても、簡単には落とすことは出来ません。

やはり、大人によりきちんとした仕上げ磨きは必要かと思います。では年齢的にどの時期にはどの様なケアが必要か見ていきましょう。

2歳くらい・・・・お父さん、お母さんが全面的に磨く「保護者みがき」の時期です

6歳くらいまで・・・・・子どもの磨き残しを補うための「仕上げ磨き」が必要です

6歳いこう9歳くらいまで・・親が子どもの歯磨きあとの口の中をチェックする「点検磨き」の時期と言われています。

ではやり方です。「保護者みがき」「仕上げみがき」の方法は、まずお父さんかお母さんが足を広げて座り、足の間に子どもを仰向けに寝かせます。

そのとき、子どもの頭を両太ももでしっかり固定します。頭の側からのほうが口の中がよく見えます。

子どもがいやがって暴れるときは、両方の足とひざを使って、子どもの手と足を押さえつけるようにします。

実際に磨くときですが、歯ブラシを軽く歯に当て毛先の弾力を利用して、やさしく磨きます。ゴシゴシと力まかせにこするのは、歯や歯肉を傷つけるばかりで、かえって細かい汚れはとれません。子どもが痛がって、ますます歯磨きを嫌になってしまうことがあります。

とくに痛がるのは、子どもの上くちびるをめくると裏側の真ん中当たりにある上唇小帯と言われるヒダに歯ブラシが当たったときです。

子どもの場合、このヒダが歯の近くまであり、歯肉も軟らかいので、痛いのです。Jyosin_1

それを防ぐために、仕上げ磨きをするときは、上くちびるの内側を歯ブラシを持っていない方の人差し指で上から押さえ、このヒダをガードするようにして磨きます。

参考文献 子どもの歯を丈夫にするQ&A64 小学館 羽田宣裕著

2006年2月23日 (木)

キシリトール

以前リカルデントガムについて解説したことがあります。

このリカルデントは脱灰してしまった歯に再石灰化させる力が強いと説明しました。(詳しくは平成17年11月22日のブログを参照ください)

少し種類は違いますが、キシリトールにも歯を再石灰化させる力があります。

福井県が歯科予防としてキシリトールを配布するというのです。以下にその全文を期します。

給食後のタブレットで丈夫な歯を-。福井県は2006年度から、虫歯の予防に効果があるとされるキシリトールのタブレット(錠剤)を県内の小学校に配布する。
 虫歯がある子供の比率がここ数年、全国平均を上回っていることを憂慮した県が、キシリトールに注目。相談を受けた菓子大手のロッテが、錠剤を無償提供してくれることになった。
 同社商品開発部は「自治体が虫歯予防にキシリトールを本格的に活用する例は聞いたことがない」と話している。
 県は06年度、17ある市町で1校ずつ選んだモデル校の全児童に毎日の給食後、特定保健用食品として市販されている同社の錠剤をなめさせて効果をチェックする。07年度からは保護者にも負担を求め、対象校を増やす予定だ。(共同通信)

今回の福井県の決定は、虫歯が全国平均を上回っている事を考慮したために決定したことだけれども、とても画期的な事と思います。

今の小学生はどうか分からないのですが、私が小学生の頃は、給食後の歯磨きなんて全く行っていませんでした。現在も私の頃と同じ状況が続いているとしたら、虫歯罹患率はかなり高くなっていると思います。きちんとした歯磨きをするのが理想ですが、出来ない環境にあるならば、このキシリトールの配布は必ず虫歯罹患率をさげてくれるでしょう。

この行いが福井県だけでなく、全国に広がってくれることを願っています。

2006年1月18日 (水)

歯磨き5

184 この例えは、いつも私がお子さんに話している事です。

毎日の事はとかく手抜きをしてしまう物なので、しっかりとしたイメージを持って取り組む事が大事だと思います。

では、必ず毎日行う事として、歯科では「歯磨き」が挙げられます。

で、私が考える歯の磨き方のイメージは、「滑り台」です。

この写真を見てもらえば分かるのですが、滑り台の上はぴかぴかで、とても綺麗です。

しかし、「滑り台」の周りは砂があったり、草が生えていたり、とかく汚れやすいです。

歯も一緒で、_246 歯の表面は滑り台の様になだらかになっているので、あまり歯石、歯垢は溜まりずらいと思います。歯も滑り台の周り(歯肉、歯と歯の間)を重点的に掃除しなければならないと思います。

「滑り台」で滑って遊ぶお子さんはいても、周りの砂場で遊ぶお子さんは少ないのと一緒で、歯の場合も歯垢、歯石が溜まりずらい歯の表面ばかり磨いて、肝心の歯肉、歯間は磨いていないのが現実ではないでしょうか?

自分も含めて反省しなければいけません。

(良く妻に、「歯医者なんだからしっかり磨いているの?」と言われています。・・・・・・汗)

2005年12月22日 (木)

歯科用ライトセイバー?

今日は、「DENTAL TRIBUNE」紙からのトピックです。

ホワイトニングに関する誤解が少しあるようなので、少し解説。

ホワイトニングの発見は、過酸化尿素と水素を使って歯の消毒を目的に使用されました。その際に偶然に歯が白く漂白されているのを発見してのが最初と言われています。

そのため、ホワイトニングは口腔内の症状を悪くすることが少ないと言われています。

私のホワイトニングの患者さんの中にも、以前より歯の状態が良くなったという方が結構多いです。

で、今回の話題。

マサチューセッツ州ボストンにあるForsyth Instituteの研究者らは、ホワイトニングの際に使用する青いライトが、歯肉の炎症を軽減させることがあると注目している。その青いライトを2分間照射する事によって、マウスウォッシュよりも効果的に、表面の悪性細菌のみを殺す事が可能であると述べています。Na_ph07

青いライトが、歯肉疾患の発症と進行に大きく関わるBBPを、一連の反応を引き起こす事によって殺すと言うのです。

またライトの照射中は患者に与える不快感もいっさいありません。

もしかしたら、ホワイトニングの後に歯の調子はいいと感じたのは、このあたりにも関係あるのかもしれませんね。

2005年12月17日 (土)

スポーツ外傷対応マニュアル

社団法人 日本学校歯科医会という団体から発行されている

歯・口腔・顎顔面のスポーツ外傷対応マニュアル」という冊子があります。

今日はそれをまとめてみます。

学校生活を送る生徒に送られる「傷害見舞金給付」が一番多いのは「歯の外傷」だと言われています。

平成14年度の「傷害見舞金給付」の給付状況を見てみると、高校生は300件近い傷害の中で、歯科に占める割合は約125件、中学生では160件中40件近い数にのぼっています。

これは、学校側が生徒にスポーツを推奨する事は資質や能力を養い、生涯にわたるQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上に充分に補えるためです。このため生徒は活発に体を鍛え、能力の向上に努めて行きます。

その副作用として、激しいぶつかりあい、転倒等がおこり事故へと繋がります。

では、歯・口腔顔面外傷の対応を見ていきましょう。

1 歯の破折

救急ポイント:歯の神経が出ていて、出血しているかどうか?

①出血している→神経が感染しないように出来るだけ早く学校歯科医又はかかりつけ     歯科医へ

②出血していない→時間的に余裕がある

〔アドバイス〕折れた歯の破折片を持っていくと使えるときがある

2 脱臼(歯が抜け落ちそうな場合)

救急ポイント:顎骨に異常がないか、局所だけの問題かどうか。完全に抜けてしまっているかどうか。

①完全に抜けている→汚れている場合には少量の保存液(なければ牛乳、生理食塩水、水道水は禁忌)に保存。再植の成功の成功率は抜けてからの時間との勝負になります。神経が出来るだけ感染しないように出来るだけ早く学校歯科医又はかかりつけの診療所へ

②抜けていない→学校歯科医またはかかりつけ歯科医へ

3 陥入(歯が歯肉又は骨のなかへ入り込んだ状態)

救急ポイント:外傷の程度が重篤な場合が多い。意識状態も要注意

アドバイス:意識の確認、外傷の消毒、学校歯科医またはかかりつけ歯科医へ連絡。口腔外科へ搬送してください。

4 顎骨骨折

緊急ポイント 外傷の程度が重篤な場合が多い。意識状況も要注意

アドバイス:意識の確認。外傷の消毒。学校歯科医又はかかりつけ歯科医へ連絡。口腔外科へ搬送

5 軟組織のけが

緊急ポイント 顔面や口唇の怪我も学校歯科医又はかかりつけ歯科医へ連絡。砂利や小石の除去を行う。感染に注意する

アドバイス:唇と歯肉を結ぶ上唇小帯の裂傷も多いです。

このような傷害を充分に防ぐために、マウスガードの着用が効果的です。

マウスガードに付いても時間を見つけて解説していきたいと思います。 Dscf0077_1

2005年12月11日 (日)

歯の欠損

今回は、「DENTAL TRIBUNE」紙に興味のある記事が出ていましたので、ご紹介。Cavity_img_01

閉経後女性における歯の欠損

とてもショッキングな見出しです。以下に記事の要約を書きます。

バッファロー大学(米ニューヨーク州)の研究者がニューヨーク州エリー郡において行った横断的研究により、

「年をとっても歯を失いたくないのであれば、閉経後に女性は特に口腔衛生に特に気を配る必要がある。」

という事が明らかになりました。

この研究は、研究開始時に測定された歯周疾患の指標である歯槽骨(歯を支えている骨)の後退と、10年後の歯の欠損リスクの増大との関連が示されました。

106例の白人女性を対象に行われた同研究では、10年~13年後の経過を追跡調査しました。年齢、収入、喫煙の有無、ホルモン療法の有無、間食消費量、虫歯数などを調節したうえで分析したところ、閉経後女性においては歯周疾患による歯槽骨の欠損が歯の欠損のおもな原因であることが示されたとのことです。

歯槽骨が1mm後退すると、歯の欠損リスクは3倍高まったとのことです。

同研究の筆頭著者で、同大学歯学部口腔生物学のMine  Tezal教授は、

閉経後女性は、エストロゲン欠如、ホルモン療法、低骨密度など、歯の欠損に影響する特異な因子を有する部分母集団である。この集団においては、歯周疾患をコントロールすることで、歯の欠損リスクを大幅に低減できる可能性がある。女性が高齢になっても歯を残す事が出来れば、栄養状態や社会生活、自尊心を保つことにつながる」とコメントしています。

妊娠中にも女性は歯周病の危機を迎えることが多いです。やはり、体のリズム、ホルモンバランスを崩さないことが、口腔内のバランスを保つのも有効になるのかもしれません。

しかし、ここで気を付けなければいけないのは、白人女性の歯槽骨と我々アジア人の歯槽骨ではだいぶ骨の厚さが違うので、我々はさらに気を付けなければいけないと思います。

2005年12月 7日 (水)

口臭1

あるアンケートで分かった事なのですが、成人にブラッシングする理由を質問すると「口臭予防のため」という答えが多く返ってきます。1tonton1

口臭は非常に微妙なもので、自分の口臭は気にならない事が多いのですが、他人の口臭は良く分かるのです。なぜか。

しかも、この口臭というものは、家族や親類であっても指摘しずらいものです。だれしもそんな経験があるために、自分の口臭を気にするのでしょうか?

では、口臭の最大の原因はそのようなものなのでしょうか?

口臭の主な原因は揮発性硫黄化合物(VSC)といわれる物です。難しくいえばメチルメルカプタン(舌かみそう・・・。)、硫化水素、ジメチルサルファイドなどです。

これは、食後の食べかすが口の中の細菌(プラーク)によって簡単に腐敗発酵を起こし、培養してしまいます。これが口臭を起こします。

口が臭う原因は約3つあります。

1:生理的な口臭

  • 誰もが持っているにおいで、基本的には気になりません。しかし清  掃を怠ると、その臭いが悪臭へと変わるかの可能性があります。(プラーク(歯垢)中の細菌が口臭を作り出します)
  • 緊張して口が渇くと口臭は強くなる傾向にあります。
  • 朝起きたときと、食後3時間経過頃ピークがきます。

2:病気が原因で起こる口臭(改めてブログで紹介します)

3:食べ物による口臭

  • 生理的な口臭、病的な口臭で無い場合、臭いの強い食べ物(ニンニク、ニラ、ラッキョウ等)や、たくあん、納豆等を食べると口臭がひどくなるときがあります。
  • アルコールや煙草も同じです。これらは、単に口の中に残っていて臭うだけでなく、、いったん体内に取り込まれた臭いの元になる成分が胃で消化され、血液を介して全身を循環し、肺を経由してはき出されています。よって、口の中だけをきれいにしても臭うことがあるので注意が必要です。

番外編1:心因性の物

「自臭症」という病気があります。これは、実際には口臭がないのに、本人は口臭があると思いこみ、対人面で生涯がでる病気です。歯科医院においての治療はカウンセリングが中心になります。また、心療内科でも受診が可能です。

番外編2:人が悪臭と感じる物にはどんなもがあるのでしょう。

  • スカトール  屎尿(しにょう)の臭い。アンモニア、アミン類など窒素化合物の臭い
  • イソ吉草酸  靴下の蒸れたような臭い。油の腐ったような臭い
  • メチルシクトペンテノロン 砂糖が焦げたような臭いや卵が腐ったよな臭い。口臭の原因はこれ 

私も、ネットや文献でたくさんの口臭の原因を確かめましたが、多くは自臭症に含まれるのではないかと思います。コップに自分の息を吹き入れ、そっと手で覆い、そっと嗅いでみてください。これで臭わなければ、たぶん大丈夫でしょう。

2005年11月25日 (金)

歯磨き4

以前に歯磨きに付いての私の考えを述べてきました。Ga01_1

  • 歯磨きの重要性(モチベーションの向上)
  • 歯磨きの時期(適切な行動)

これだけでも、かなり良い状態になるのですが、磨き方も一工夫付け加えてみましょう。

現在、我々歯科医師が歯科大学で習う磨き方は以下の様なものがあります。

歯ブラシの毛先を使用する方法

  • フォーンズ法(操作が簡単で小児向き)
  • スクラッピング法(歯面清掃に適している)
  • バス法(歯周ポケットの清掃に適している)
  • バス改良法(歯周ポケットと歯面清掃)

歯ブラシの毛の脇腹による方法

  • ローリング法(圧迫回転運動、成人向き)
  • スティルマン法(圧迫振動、歯肉マッサージ)
  • スティルマン改良法(加圧振動、歯肉マッサージ)
  • チャーターズ法(加圧振動、歯肉マッサージ)

とまあ、この位習います。私も大学を卒業してもう何年も経ちますので、もっと効果的な方法が出ているかもしれません。今度ゆっくり調べて見ようと思います。

しかし、今私がこの歯磨きの方法を見直してみても、少し難しい感じがします。

歯科医師の私が「う~ん、こういう感じだったかな?」っていう感じなので、患者さんや、このブログを読んでいる方は。「なんだこりゃ?」って感じがすると思います。

で、今回は、私が大学院の時に先輩である古屋先生(http://www.furuya.pos.to/)に習った方法を皆さんにお伝えします。

その磨き方は、「ベロ磨き」です。なんか、怪しい感じですが、とても効果的で、とても簡単です。やり方を順序に書いていきます。

  • まず、口の中の歯を舌(べろ)で一本ずつなめていきます。
  • ヌルヌル、ザラザラする歯を確認します。
  • ヌルヌル、ザラザラする歯のみを、歯磨き粉を付けない歯ブラシで磨いていきます。
  • 舌(べろ)で「キュッ!」っていうまで磨きます。

ここで、解説です。

まず舌(べろ)をセンサー代わりに使うのです。ヌルヌルするのは歯垢で、ザラザラするのは歯石です。ここだけを磨けば良いのです。簡単でしょ。

で、磨く時期なんですが、前回お話したように食べた回数+寝る前です。

時間は早く「キュッ!」とすれば5分でも良いし、なかなか「キュッ!」とならない場合は、1時間でも続けます。

ここで、秘訣なのですが、この磨き方は歯磨き粉は付けないのがポイントです。

歯磨き粉で口の中が泡だらけになると、舌(べろ)センサーが働かなくなり、泡のせいで歯磨き時間が短くなってしまうのです。

それと、うまくいく秘訣があります。「ながら磨き」です。新聞読みながら、お風呂はいりながら、テレビ見ながら。

だらだらと口の中に歯ブラシを長時間入れている事が大事です。唾が溜まってしまいますが、自分の唾なので、しょうがないので飲んでしまってください。

でも、決してやってはいけないことがあります。それは「鏡の前での歯磨き」です。これは一番いけません。

歯磨きがメインで行っているのに鏡の前に立つと、必ず、髪の毛をいじったり、服装を気にしたりしてしまって、歯磨きが長く続かないのです。これだけは注意してください。

今回は、少し長めになってしまいましたが、次は歯を磨かなければならない原因

「バイオフィルム」についてお話出来ればと思っています。

2005年11月22日 (火)

リカルデントってなに?

Lin_img_18_ 自分の身だしなみから、自分の行動、および立ち居振る舞いまで自分の事に感心を持っている人が多くなった様な気がします。

テレビのCMも自分自身を高める商品が数多く紹介されていますし。

その波に上手く乗ることが出来たのが、口臭予防品です。相手に悪い印象を与えないために出てきた商品だと思うのですが、歯科医師の私にとって非常に良い流れになってきているのではないかと思っています。

そこで、今日は口腔ケア用品の中から、良く質問される商品についてお答えできればと思います。

それは、「リカルデント」です。

「リカルデント」って商品の名前ではと思っている方も多いと思うのですが、実はこのリカルデントというのは、カルシウムの一種なのです。

「リカルデント」を少し詳しく見ていきましょう。

「リカルデント」はCPP-ACPという化学式で表されます。

CPP(Casein phosphopeptide)とは牛乳タンパク質で、ACP(Amorphouscalcium phosphate)は非結晶で可溶性の性状を有するリン酸カルシウムです。

話は少し変わりますが、虫歯というのは、口の中にいる微生物(歯垢-プラーク-の中に多くいます)が出す酸によって歯を溶かしてしまう事をさします。この現象を脱灰と言います。

歯科の世界ではこの脱灰を防ぎ、歯を丈夫に太らせ、溶けにくくすることを予防と位置付けしています。そしてこの予防の事を再石灰化と読んでいます。

少々説明が難しくなってしまいましたが、リカルデントは脱灰してしまった歯を再石灰化する働きが強いと言われています。

このリカルデントガムを含んだガムを1日4回20分、または1日7回5分間咬ませたときと、同じ条件でリカルデントを含まないガムで比較したところ、リカルデントを含んだガムは、含まない物に比べて101~151%もの再石灰化が起こっていることがわかりました。

この再石灰化した歯は、一般の歯より虫歯になりにくい事もわかっています。ガムを咬んで虫歯予防なんて10年前では考えられませんでしたよね。まさに逆転の発想です。

2005年11月16日 (水)

本当のフッ素の話2

以前に、フッ素の歴史をご紹介しましたが、

本日は「なぜ、フッ素が歯に良いの?」ということを取り上げたいと思います。

歯の表面はエナメル質という体の中で一番堅く、丈夫な歯質によって覆われています。

このエナメル質というのは「ハイドロキシアパタイト」というリン酸カルシウムという成分で出来ています。これにフッ素が作用することにより、エナメル質が「フルオロアパタイト」という酸に強いリン酸カルシウムに変化するのです。

虫歯になると言うことは、虫歯菌が出す酸により歯が溶けてしまう事です。この「フルオロアパタイト」は虫歯菌の出す酸に対して抵抗があります。

また、フッ素は虫歯そのものに直接作用し虫歯菌の代謝を抑制し、虫歯菌の出す酸の量を抑えてしまいます。このため、虫歯になりにくい歯になると言うことがいえます。

フッ素の働きはそれだけでは無い!

フッ素は歯の表面が一部溶けた部位に対して唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンを沈着させることにより、虫歯でできた溝を埋め、修復する働きがあります。

フッ素はお子さまだけの物ではありません!

大人も歯質をしっかり強化することにより、強い噛み合わせを獲得することが出来ます。

フッ素は質も大事ですが、毎日生活の中に取り入れることが大事です。是非、毎日の生活の中にフッ素をとりいれてみてはいかがですか?

2005年11月11日 (金)

本当のフッ素の話1

フッ素とは皆さんがよくご存じの元素のひとつです。

原子番号9 原子量19 の元素です。_109

なぜ、このフッ素が歯科の予防に活躍するようになったのでしょうか?そもそも話は約100年前(1930年代)のアメリカにさかのぼります。アメリカの某所に奇妙な茶褐色や斑状の模様が入った歯がたくさん見受けられる様になりました。原因を調べると、水道水には多量のフッ素が含まれていることがわかりました。

この事をもっと掘り下げて調べてみると、フッ素をある程度の濃度に抑えて摂取すると茶褐色や斑状の模様が出来ないばかりか、歯の予防に繋がるきっかけになったのです。

最近はフッ素についてもかなり深くまでわかってきました。海外ではフッ素にたいして、

「唯一かつもっとも効果的な歯科予防法」とまで言われています。

時をみてまたフッ素の働き、また最近のフッ素の研究などを紹介出来ればと思っています。

2005年11月 9日 (水)

歯磨き3

_096_1 昨日に引き続き歯磨きの話です。

歯磨きを規則正しく磨いているのに虫歯になりやすいのは

  • 歯磨きの時期が悪い
  • 歯磨きの仕方が悪い

と言うことをあげました。

つまり、毎日、ルーティンワークにの様に規則的に歯を磨いても、あまり効果がないと言うことです。もちろん最近は歯磨材の中にもとても良い物があって、磨くことにより口腔内の健康増進に関与している物もありますが、虫歯の出来にくい時期に磨いても、歯磨材本来の力を発揮したとはとても言い難いと思います。

歯をあまり磨かなくても虫歯の少ない人、しっかり習慣的に磨いていても虫歯の多い人。これには磨く時期が関係していると思います。

虫歯と食事の関係を表した物に「ステファンカーブ」という物があります。Photo_3

このステファンカーブとは、砂糖水でうがいをした時の口腔内のpHの移り変わりを表したグラフです。これは砂糖水を食事と見立てて、口の中で食事(砂糖水でうがい)をした後、pHがどのように変わっていくか、つまり、酸性に近づけば、虫歯になりやすい状況だといえます。その結果を時間軸で追っています。

このステファンカーブの使い方としては、口の中が酸性になっている時に歯磨きをすれば、虫歯になりずらいのでは・・・。という事です。

では実際に、このグラフからどの時期に歯磨きをすれば良いかなのですが、食事の後2分でに急激にpHは下がり酸性に傾き始めます。その後20分かけてゆっくりと中性へと戻っていきます。これは、食事で少なくなった唾液が、徐々に口の中に戻って来る時間です。唾液の量が多いほど、虫歯にはなりにくいということもいえます。

このグラフからは、次のようなことも読みとれます。食事の回数が増せば(間食)、継続的なpHの低下が持続しますので、虫歯になりやすくなります。

これらをまとめると次のようになるかと思います。

  • 歯磨きの適正な時間は、食事の後20分以内。
  • 唾液の量が少ないと虫歯になりやすい。
  • 唾液の少なくなる就寝中も虫歯になりやすい。
  • 歯磨きの回数は食事の回数+寝る前。

次は歯の磨き方についてお答えできればと思います。

2005年11月 8日 (火)

歯磨き2

今日は11月8日、良い歯の日です。それにちなんで歯磨きの話をしましょう。

歯磨きをすると、そのやり方は別として、口の中の状況は一変すると言うことはすでPhoto_4 に述べました。

しかし、中には、しっかり歯を磨いているにもかかわらず、歯周病の進行が進んでいたり、虫歯の状況が悪くなりやすいという患者さんも、残念ながらいるのです。その原因を探るべく、良く患者さんから話を聞いてみるといくつかの気になる事柄が浮かび上がります。

  • 歯磨きは規則正しく複数回磨いている(朝起きて等)
  • 一日2回(もしくは3回)磨いている

なぜ、ちゃんと磨いているにもかかわらず、口腔内の状況が良くならないのでしょう?

私なりに考えてみました。大きな原因は2つ考えられました。

  1. 磨く時期(時)が悪い
  2. 磨き方が悪い

患者さんの中には、ほとんど歯を磨かないのに、虫歯が全くない患者さんもいるのです。もちろん歯が欧米人並に丈夫なのかもしれないのですが、上手く生活の中に上記の2つの条件をクリアしている要素があると思われます。

では、すこし時をさかのぼり、歯磨きはいつから行われているのでしょうか?

歯磨きの歴史はとても古く、最古の歯磨きは、古代インド(BC5世紀頃)の「お釈迦様」が広めた「歯木」と古代エジプト(BC3000頃)での「チュースティック」だと言われています。しかも驚くべきことにその当時からすでに歯磨剤が使われていた形跡があるというのです。

こんなに古くから歯を大事にしてきたというのは、本当に驚きです。野生の動物は歯が無くなってしまうと死んでしまうことから、歯は生死に関わると直感的に悟っていたのでしょう。しかし、この時代の先祖たちも虫歯が多い人と少ない人がいたはずです。これは毎月多くの新型歯ブラシがは発売されている現代でも同じです。

なぜ、時間をかけて、しっかり毎日規則正しく磨いているのに虫歯になるのでしょうか?もしかしたらこの「規則正しく」というのがネックかもしれません。(歯磨き3へ続きます。)

2005年11月 4日 (金)

歯磨き1

歯科治療の一番の欠点は、治療期間がとても長いということです歯科の欠点はまだまだ続きます。整形外科の様に骨折したのでギプスで固定して、1ヶ月使わないというような事も出来ません。虫歯の歯も使って食事をしたり、会話したりしなければなりません。

そのため、歯科医師は、刻一刻と状況が悪化する口腔内状況を見ながら治療を行っていかなければならないのです。口の中の状況が良かろうが、悪かろうが、毎日使って行く歯をどうしたら良くすることが出来るのでしょうか?

たとえば、一つの例ですが、歯がすごく悪くて、ご飯が上手く食べられないという患者さんが来院したとしましょう。しかも、歯肉からも出血しています。

私たち歯科医師は、その患者さんの口腔内状況をよく観察しながら患者さんのライフスタイルを聞き、そして今どんな悩みがあるのかを聞いていきます。

そこで患者さんと共に治療の計画を立てていきます。そのとき、患者さんにもっと丁寧に歯を磨いてくださいとお願いします。磨き方なんて考えないで、とにかく毎日丁寧にってお願いします。

最初は渋々承諾する患者さんですが、しっかりと毎日磨いてくれたとします。

しばらくすると、歯肉の出血も止まり、歯も悪いながらもご飯が食べられる様になってきます。そのころになると患者さんも歯磨きの重要性がわかってくるので、さらに丁寧に磨くようになって来ます。その間も歯科治療は続くので口腔内の状況はどんどん良くなっていきます。

私たちは患者さんがしっかりとした歯磨きの習慣が出来たとき、その患者さんにとってもっとも効果的な歯の磨き方を指導していきます。患者さんは歯に対する感心が益々高まり口腔内の状況はとても良くなっていきます。

Photo_2

今回、私が言いたかった事は、歯科治療はとても長くなることが多いのです。毎日患者さんの口の中をチェックすることが出来ません。

そのため、考え方を変えて、歯を良くしていくのは、毎日の患者さんの歯磨きで、私たち歯科医師はそのお手伝いをするにすぎないと言うことです。

本当に歯磨きをしっかり丁寧にするだけで(すべてとは言いませんが)、口腔内の状況は一新します。磨き方なんて考えなくても良いから、とにかく歯を磨いてみてください。職場へ歯ブラシを持っていってください。もっと自分の歯に感心をもってください。

今度、何回かに分けて歯磨きのコツをお伝えできればと思います。